二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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クレイモア外伝 黄昏の戦士達
日時: 2012/04/13 23:03
名前: カササギ ◆QcV39OuFkU (ID: ???)  

プロローグ
かつて、人間は妖魔になすすべもなく
同胞の内臓を喰われるのを指をくわえているしかなかった。
そして、およそ百年前……
妖魔を見抜き、妖魔を超える力で妖魔を殺す戦士が現れた。
しかし、戦士達は人々から感謝される事はなかった
それは、戦士達は妖魔の血肉を取り込んだ半人半妖だからである。
人々は戦士達をこう呼び畏怖している。
クレイモア……と。

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Re: クレイモア外伝 黄昏の戦士達 ( No.1 )
日時: 2012/04/14 00:43
名前: カササギ ◆QcV39OuFkU (ID: ???)  

Seen0 斬殺の悪魔1

その日、町の人々はいつものように朝を迎え。
町の中央に位置する広場には、
色とりどりの野菜や果物に、新鮮な肉類等を売る店が並び活気に満ちている。
そんな喧騒と中に一人くすんだ皮の外装を纏う者が、
人混みをかき分けながら、ゆっくり歩を進めていた。

「そこの旅のお方。
 うちのパンを買っていかないかっ!
 ようく焼いてあるから、他の店のより長持ちするぜ!!」

ふいに話しかけられた外装の者は、
声の主であるパン屋の男のほうを振り向き口を開いた。

「……せっかくだが、それは必要ない。
 それよりも、町長の家か役場はどこにある……?」

「そこの角を右に行きゃ町長の家だが……。
 兄ちゃんは、この町への移住希望者かい?
 にしちゃ、軽装だ…し…………!?」

「わかった。 そこの角を右か……。
 それじゃ、忙しいところをすまなかったな」

外装の者は絶句したパン屋の男に軽く礼をすると、
そのまま、振り返る事無く人混みへと消えていった。

「おい!
 ニコラ、今日の朝市は終わりだぞ。
 どうした? さっきの野郎に脅されたのか!?」

「え、うえっ? 
 いんや、何にもされてねぇが……
 “あれ”はなんなんだよ…………!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「これが、約束の報酬金です。
 どうか、お受け取りを……」

「俺は要らないよ。
 その金は、後からくる黒服の男に渡せばいい」

「はあ……。
 それだけでは、万が一間違えた場合は……?」

「心配はしなくて良い。
 ただ、依頼の破棄とみなされて
 今度一切、ここから依頼が来ても受理されないだけだ」

外装の者もとい。
若い戦士の男は愛想のある顔で、町長の問いに答えると
「もう、妖魔を見つけている」と言葉を残しその場を後にした。

「……うぅ。
 あの小僧は一体……?」

「町長?」

「剥き出しの大剣…銀色の瞳……。
 あの若人は悪い奴では無さそうだが、
 何か…人というよりも妖魔に近いかんじだ」

Re: クレイモア外伝 黄昏の戦士達 ( No.2 )
日時: 2012/04/14 23:39
名前: カササギ ◆QcV39OuFkU (ID: ???)  

「なんだ、あれって?
 ホントに大丈夫か、酷い汗だが……?」
震えと脂汗が止まらないパン屋のニコラ。
初老の果物屋は何故、
脅された訳でも何もされていないはずの、ニコラが怯えるのか、皆目見当もつかない。
その理由を確かめようとした次の瞬間だった。

Seen0 斬殺の悪魔2

「まずは一匹目か……」

突然、聴こえるか聴こえないかの微かな男の声が聴こえた気がした。 
その瞬間。 後ろで果物を片付けていたはずの、
妻の頭が突然、足下に転がり
ドサリと残された体はゆっくり鈍い音をたてて倒れた。

「イヤあああぁっ!!」
どこかで女性の絹をさくような悲鳴があがり、
果物屋の男は何が起こったのか、どうして妻がと呆然とする中。
淡い金の影は「二匹…三匹……」と呟きながら、
荷馬車を引く無精髭の中年男や
身なりとかっぷくのよい商人の通行人を次々に切り刻み
真っ赤な血の花を咲いていく。

「ぼ、暴漢だっ!!!」

「コイツっ!?」

パニックに陥った人々は、我先にと逃げ惑い
走っていくなか一瞬、少年とその影との目があう。

「お前で最後っと……」

「へっ……??」

突然、
視界が縦にぶっつりとズレたかと思った
すぐ後に少年は生命の火を失った………。

(十匹か、依頼より多いな……。
 おそらくこいつらは、
 ここであまり喰い過ぎると、俺達戦士が複数くると睨んで
 殆ど外で食事をしていたクチか……?)

「お……っ! …い。
 おいっ!!」

「何だ?」

「大人しくしろ!
 よくも、罪のな………!?」

「なんだコレ、死体が全部……妖魔!」


3へ続く


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