二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【REBORN】 皓々と照る月 【標的42/骸登場なう】
- 日時: 2013/02/17 12:38
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: 6xS.mLQu)
- 参照: 更新停滞中。
※必読!お知らせ >>115
※参照1000突破企画シリーズ小説更新中 >>105
私は平凡なただの並中生である。名前は東城夕(とうじょうゆう)。平凡主義者といっても過言ではないほど平凡と普通を愛すこの世に生を受けたただの女子中学生。平凡ではないところといえば……ない。恐ろしいほどない。多分私が一番、並中生らしいと思う。何をとっても並だから。そもそもこの学校は並という字がついているのに並じゃない人が多すぎる。暴力で並盛を支配する風紀委員長や、その取り巻き。私のクラスメイトだって、学校のマドンナと極端にダメな男。おっと話がズレたが私が言いたいことを簡潔に纏めると、こうだ。「私はただの平凡主義者です。」
- -
平凡すぎるほど平凡な女が非凡な原作に巻き込まれていくきわめて残念な話。
東城夕(13)は平凡な少女だった。面倒くさがりなのが玉に瑕だが、友達ともつかず離れずの関係を保ち続け、平和な生活を送っていたのだ。しかし、突如現れたリボーンの「ファミリーに入れ」という一言により、平凡な生活が崩れ去る。平凡を望む少女とボンゴレの皆様が織り成すシリアス有りコメディ有りバトル有りなお馬鹿連載。
※オリキャラは主人公と主人公の家族のみです。なるべくオリキャラは少なめに心がけています。
※主人公自体は平凡ですが、主人公が平凡に執着する理由はやや非凡気味です。
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Ⅰ設定
[cast]東城夕 / >>67 >>92(質問してみた)
Ⅱ本編
[prologue] / >>1
[story]
01〜05話 / >>2 >>3 >>4 >>5 >>6
06〜10話 / >>7 >>8 >>9 >>10 >>11
11〜15話 / >>12 >>13 >>14 >>15 >>16
16〜20話 / >>17 >>20 >>21 >>23 >>24
21〜25話 / >>30 >>32 >>36 >>38 >>45 【>>48(ツナ目線)】
26〜30話 / >>57【>>58(京子目線)】>>59 >>65 >>69 >>74
31〜35話 / >>80 >>90 >>91 >>95 >>98
36〜40話 / >>100 >>102 >>103 >>121 >>123
41〜 / >>125 >>127
[shortstory]
>>81(時間軸としてはおとうさんが死んだ直後)
>>89(時間軸としてはヴァリアーに来て暫くたった頃)
- -
[作者紹介]
苗字(元なゆ汰(♀)◆青祓/海賊/銀魂/鳴門/復活/黒子/目高/首無etc...ジャンプ系の漫画らぶ。てか少年漫画はすべて大好物。好きな食べ物は和食。嫌いな食べ物は茸。万年五月病の面倒くさがり。最近風邪気味だけど元気にやってる♀。
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[LINK]
Thanks!(お題サイト/お題スレ/様)
>>マダムXの肖像(元間接の外れた世界)/>>#69/>>NoaNoa/>>ひよこ屋/>>名前がない
>>お題倉庫【使ってくだされ】[>>22]No.12>>お題提供屋。(ばんからという名で御題お借りしました。)
[coment]
ルリ朱雀&様/ちぃ様/未桜様/月那様/雲雀様/有栖様
〆24.9.5〜
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- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.7 )
- 日時: 2012/09/05 16:42
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
まだ痛む頭には包帯が巻かれている。まだ医者は安静にしてなさいと言ったけど、勉強が遅れたら困るので無理矢理退院。横暴だとか気にしない。とにかく私は今登校中だ。もちろん学校に。包帯を巻いているためかちらちらと生徒が見てくる。うざいのでとりあえずスカートに手をつっこんで、早足で歩く。程なくして門に到着。学校の前では風紀委員会が仁王立ちしていた。げ、服装検査かよ。特に校則違反な格好はしていないが、雲雀恭弥と会うのは避けたい。ということで、〝群れ〟を見て顔をしかめ、トンファーを握る雲雀恭弥を避けるように、端っこの委員に服装検査してもらう。
「……よし。問題はないな…。しかし、シャツはきちんとしまえ。」
「はーい。」
言われたとおり、シャツをスカートの中に入れる。きちんと入れ終えてふと横を見れば、——やばい、雲雀恭弥と視線がゴッツンコ。雲雀恭弥はにやりと不適な笑みを見せた。その笑みを見た瞬間、背筋が凍る。逃げなければ——わたしのお馬鹿な脳が逃げろと指令を出す前に、本能のままにダッシュした。絶対ギネス超えてるよっていうくらいのスピードで生徒の間を駆け抜ける。ああもう、なんでこうなるかなあ。走るたびに痛む頭を抑えながら、急いで教室に駆け込んだ。
「…?どうしたの東城さん。そんなに息切らして」
「……ああ、笹川さん…。イヤ、肉食動物に追いかけられましてね」
「わあ、そんなの学校にいるんだね!大丈夫?」
…笹川さん信じちゃったよ。まあ確かに雲雀恭弥は肉食動物(?)だけどさ、本物が学校にいるって信じちゃったよ。何これ。私が悪い感じ?そうなのか?私が悪いのか?
すると、笹川さんが私の頭の包帯に気づいたらしく、一瞬で驚いたような顔にチェンジ。「どうしたの?」って聞かれたから「恐竜に蹴られた」と返す。そして笹川さんは信じた。もういや!この子純粋すぎる!可愛すぎる!沢田が惚れるのもわかるね!と思ってたら後ろから一言。
「オイどけよ。10代目が通れねえだろうが」
「おっとっとごめんよ転校生くん」
「転校生ってなんだよ!」
だって名前知らないし。転校生はちゃっちゃと沢田を席に座らせ、私に啖呵を切った。それを見て沢田がオロオロ。山本がケラケラ。くっそコイツらマジなんだし。
「オレの名前は獄寺隼人だ!」
「ああそう、ごっきゅんね、ごっきゅん。」
「ごっ…!ごっきゅんじゃねえ!」
ごっきゅんが頬を染めて反抗。何ヤダこの子…可愛い。初々しいところがなんともいえぬ可愛さ。恥ずかしがりやなところがなんともいえぬキュートさ。
そんなことを悶々と考えていると、ある疑問が頭に浮かんだ。そういえば。
「どうしてあの時私を呼び出したのさ」
「あー…アレは、10代目がお前を不思議な奴だって言うから…どっかのファミr「獄寺君!続きは言っちゃダメーッ!」10代目っ!?」
は?ファミ?なんじゃソレ。新しいファミコンの名前?それともファミ通のこと?沢田がごっきゅんの言葉遮ったせいで全然わからなかった。
けどちょっとほっとした。ごっきゅんの「ファミ」って言葉が何だか不吉な言葉に聞こえたから。なんか、関わっちゃいけない気がする。平凡な日常が、非凡になる気がする。
もっといっちゃえば、そう、私が私じゃなくなるような。
そんな、気がして、恐い。
- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.8 )
- 日時: 2012/09/05 16:45
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
帰り道の途中、ちょっとだけ遠回りした。のが間違いだった。間違いだらけの人生に絶望寸前な気分の私の目の前には、黒いボルサリーノとスーツを着た赤子が銃を持って立っている。何故。最近のおもちゃは精巧に作られてるなーと考えつつも冷や汗たらり。おもちゃだとしても、銃を突きつけられるなんてこんな経験レアだね!とか思えるわけない。とにかく私が運が悪いことを再認識した。否、すでに運が良い悪いの領域ではない。不幸だ。誰か私に幸せを募金してくれないだろうかなんて冗談を考えながらも、熱くなる目頭に手をやる。面倒事に巻き込まれないように生きてるつもりなのに、何故面倒事ばかりが私に降りかかるのだろう。とりあえずこの状況をなんとかしようと、目線をあわすためにしゃがみこんで、精一杯の笑顔を作る。やべ引きつる。
「…ど、どうしたのかな?」
「おまえが東城夕だな」
うんそうだけど。…って何で知っているのだ。おかしい。おかしすぎる。そもそも何故赤子がスーツを着ているのだ。最初の方から間違いだらけだよ。訂正の仕様がないくらい間違えてるよ。赤子はニヒルに笑いながら「オレはリボーンだぞ」とヘリウムガスを吸ったかのような甲高い声で言った。まさかの横文字の名前。何処の国の出身でございますかなんて聞かない。聞きたくもない。
「…ご用件は?」
「ファミリーに入って欲しいんだ」
は?ぱーどぅん?ふぁみりー?意味ワケわかめだよリボーンくん。家族になれってか?どれともアッチ系のファミリー?前者はありえない。じゃあ、後者しかなくなる。嫌な予感しかしない。黒いスーツと銃と、おまけにファミリー。私には、重すぎる話題だ。
ああ、どうしてこんなに平凡をのぞむのに、平凡は訪れないのだ。苦しげに眉を寄せるわたしを嘲うかのように、リボーンくんが、ニヤリと笑った。
「ボンゴレのマフィアになれ。…ユウ」
自慢ではないが私の祖父はイタリアに住んでいたことがあるのだ。故に、ボンゴレファミリーの名も、祖父から通して聞いている。
マフィアになれ、とリボーンくんは言った。がらがらと崩壊する世界の中、私だけが取り残されて、そして虚無に襲われる。どうして、平凡を望んではいけないのだろうか。どうして、平凡は訪れないのだろうか。そんなの決まっている。平凡など、此の世にはゼロに等しいほどにしか、存在しないからだ。けれど、平凡をどうしても手に入れたかった。普通に暮らすことができれば、それでよかった。平凡で、普通の、人間になりたかった。こんな運命望んでいなかった。
残酷に無情に、彼は言う。私に人殺しになれ、と。
「…いや、だ」
その言葉に、リボーンくんが「拒否権はねえぞ」と言った。あなたは人権という言葉を知っていますか。苦笑いしながら、踵を返して一気に走り出す。逃走。
人殺しなど、そんなこと。私には重過ぎる。結局わたしは、幸せな物語のヒロインなどにはなれないのだ。
- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.9 )
- 日時: 2012/09/05 16:48
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
「東城さん、次移動教室だよ。一緒に行こう?」
「……、……(ぼーっ)」
「東城さん?どうしたの?」
「…え。…あ、う、…うん。ごめんね、行こうか」
笹川さんの声で、一気に覚醒する脳の中。可愛い子は偉大だとチンプンカンプンなことを思いながら、席を立つ。笹川さんは「変な東城さん」とふふっと笑いながら私の横に並んだ。…訂正。可愛い子は神だ。
私が先程ぼーっとしていた理由。もうお分かりだろう(分からない人は前話へGO!)。それは、リボーンくんのことであった。リボーンくんの言葉を簡潔にまとめるとこうだ。「ファミリーに入れ。拒否権はない。」彼は私が何よりも平凡を望んでいることを知った上でそう言ったらしい。ならばなおさら困る。マフィアなんて、非凡といわずして何というのだ。そんな非凡な日常、お呼びではない。私にとって非凡な生活とは、「沢田くんが実は優秀でした」ということくらいありえないことだ。
今まで普通にそこそこ良い生活をしていた、ただの凡人に、人殺しになれと?涙が込み上げる。非凡なんて、望んじゃいなかった。イヤだ。イヤだイヤだイヤだ。ファミリーになんて入らない。そのファミリーが、普通の家族という意味だったならどんなによかったか(まあ家族になれといわれても吃驚だが)。けれど現実は違う。ファミリーとは無論、マフィアのことなのだ。
「?なんか東城さん、元気ないね。何かあったの?」
「…心配してくれてありがとう、笹川さん。けど、大丈夫。ちょっと考えことしてただけさ」
笹川さんが、純粋で穢れを知らない笑顔を見せる。私には、無理なこと。随分昔から穢れを知っていた私には、そんな笑顔つくれない。引きつる頬を強制的につりあげて、苦笑い。どうして、うまくいかないのだろうか。努力は実る?そんなこと誰が言ったのだ。ソイツぶっ殺してやる。どれほど努力をしても実らないことなどたくさんある。
例えば、その純粋な笑顔とか。私にはどんな努力をしてもつくれない。例えば、平凡な日常とか。私にはどんな努力をしても平凡には暮らせない。
私は、平凡に〝なりたい〟けど〝なれない〟哀れなピエロだ。平凡の仮面を被った道化師同然の人間。
人はそんな私を嘲うだろう。けれどどうしても手放せないというものが私にはある。だから今だけは悲劇のヒロインを気取らせてはくれないか。
- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.10 )
- 日時: 2012/09/05 16:51
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
今日は家庭科でおにぎり実習をする予定らしい。教科書はすべて置き勉してるから時間割を見ないので今朝初めて知った。てかこの学校大丈夫か。中1にして家庭科の授業がおにぎり実習とかクオリティ低くないか。そう思いながらもおにぎり実習を楽しみにしている笹川さんが可愛すぎるのであえてスルー。家庭科のセンセーもなぜおにぎり実習なのか聞いてほしくなさそうな顔してたし優しい私は聞かないでおくよ。
しかし。しかしだ。そのおにぎり実習にはいくつか問題点がある。一つ目は出来たおにぎりを男子共にあげなきゃならないこと。二つ目は、ただの勘だが、嫌な予感がすること。とりあえず、周りには気をつけよう。そう思いながら調理室への階段を1つ飛ばししながら駆け下りた。
「あ、東城さん!一緒におにぎりつくらない?」
「…いいの?じゃあ、一緒につくろう。」
「ちっす東城さん!おにぎり何いれるか決めたの?」
「うん。シャケと、ウメと…あと、昆布。」
「あ、私もー。定番だけど、美味しいわよねー」と初めて事務的なこと以外で喋った黒川さんがにっこり笑う。黒川さんも意外と可愛いな。とにかく調理室に入れば、すでにおにぎりを作り始めていたので、いそいで手を洗ってほかほかとしたご飯を握る。あつい。えと、塩加減はこれくらいでいっかな…といろいろ頭の中で考えをめぐらせながら、ぎゅっと手に力を込めた。すると、急に笹川さんが私に向き直る。
「…ねえ、東城さん。東城さんのこと、名前で呼んでいいかな?」
「勿論いいさ!じゃあ、私も京子ちゃんって呼びたいんだけど」
「うんいいよ!これからもよろしくね、ユウちゃん!」
「何あんたら。東城さん、私のことも花でいいわよ。私もユウって呼ぶからさ」
「…!う、うん!京子ちゃん、花ちゃん!」
おふたりに可愛いスマイルをプレゼントされました。ずっきゅんずっきゅん心臓に矢がささってます。うれしいな。何だか、友達みたいで。そう言ったら二人に「もう友達でしょ!」って怒られるんだろうな。ふっと思わず笑う。二人は優しい。優しすぎる。なんか、おにぎり実習、結構楽しいな。二人のおかげだ。
「よおし、できた!さ、男子共に渡してこよ!」
花ちゃんに手をひかれて、外にでる。教室に行くと、男子がそわそわとおにぎりを待っていた。きもい。私はとりあえず、沢田とごっきゅんと、山本の3人組の元へいく。けど、ごっきゅんは女子に囲まれてて、沢田は、京子ちゃんの前でもじもじしてた。恋する乙女か!まあ実際そうなのだが。けど京子ちゃんは渡しません。
(…、!)すると、そこに殺気。あわてて京子ちゃんの方を見ると。
「…、え」
かなりの美人さんが、京子ちゃんのおにぎりと自らのおにぎりを入れ替えていた。そのおにぎりからは何か虫がウヨウヨしていて、見るからに身体に悪そうだった。うそん。毒?沢田があわあわしているのが見えた。もしかして…沢田関係なのかな。とりあえず私は、京子ちゃんのほうへ近づいた。いつのまにか来た、ごっきゅんと山本が今にも口にいれそうだ。沢田がますます顔を真っ青に染めた。助けなければ。いくら面倒事には関わらないと決めたとはいえ、人の命がかかっている。そんなこと、いってられない!
私の蹴りが、残りの毒おにぎりを弾くのと、沢田が「食べたら死ぬんだぞー—っ!!!!」と叫びながら山本たちの手の中にある毒おにぎりを弾くのは、ほぼ同時だった。
ズガガン!と銃撃音に似た音が響いて、私は足をおろす。
「死ぬ気でおにぎりを食う!!!」
見れば、沢田が目を鬼の如く吊り上げて、毒おにぎりをもしゃもしゃむさぼっている(しかも上半身裸)。…大丈夫なのか?それどころか彼は、「たりねー!」と叫ぶと他の人のおにぎりまで食べだした。私はとっさにおにぎりを隠す。せっかくつくったおにぎりを沢田にとられたら困る。私はこれをごっきゅんと山本にあげようと思っていたのだ。もちろん沢田にも。けど、あんなご乱心な沢田にあげてもな。と、沢田が元に戻るのを待った。
気づけばいつのまにかあの美人な毒お姉さんは、消えていた。
そして、このおにぎりの一件は意外な波紋を呼んだ。
「そんなことないよ〜」と京子ちゃんが苦笑いする。それを花ちゃんが否定。いや、花ちゃん間違えてるよ。なぜか沢田の「食べたら死ぬんだぞ」という言葉を、皆、「オレが京子からもらったおにぎりを食った奴はぶっ殺すぞゴラァ!!」という言葉にとっていた。なんてことだ。そもそも沢田はそんなこというキャラじゃないし、京子ちゃんを呼び捨てにはしない。皆の頭は春満開だな。いいこと…なのか?
沢田はクエスチョンマークを浮かべているだろう頭を傾げながら、ただ立ち尽くしていた。
ちなみに、おにぎりは無事だった。もちろん3人組にあげた。おいしいと言ってくれたので、まあよしとしよう。
(しかし…東城夕。まさかビアンキに気づくとはな…。ビアンキは気配を抹消していたというのにな。やっぱりあの力はボンゴレに必要だぞ。なんとしてでも入れさせてやる…)
その頃、リボーンがこんなことを思ってるとは知らずに、私は大きな欠伸をした。
————
ヒロインちゃんが並盛3人組におにぎりをあげた理由は、ちょうどおにぎりが3個あったからと、最近よく事件を起こしているので興味があったからです。
- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.11 )
- 日時: 2012/09/05 16:54
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
夏休み。「今からツナん家来い」と非通知のメールを私のクソ携帯は受信しやがった。何処からどう見てもあの黒い赤ん坊の書いた文章としか思えない命令形のメールにはご丁寧に沢田の家の住所と地図が添付されている。P.S.と書かれた言葉の次には「俺の番号登録しとけよ。あと着拒にしやがったらぶっ殺す」という文章付き。もう泣いていいですか。あの人権ガン無視な理不尽野郎を誰か殺してください。切実に。いやまじで。メールを見ながら辿り着いた先には普通の民家があった。沢田と書かれた表札を3度ほどちら見してから、インターホンを力いっぱい押す。ぴんぽーん。するとあわてたようにぱたぱたと走る音と共に、ドアが勢いよく開け放たれる。そこには、美人な女性(おそらく沢田の母)がにっこり笑いながら立っていた。
「あらぁ?可愛い子ねー。ツっ君のお友達かしら?」
「いえそんな。お母様の方が可愛らしいお顔立ちをしていらっしゃいますよ。あ、私の名前は東城夕です。ところで沢田…いえ、綱吉くんとリボーンくんはいらっしゃいますか?」
「まあ!嬉しいわ〜♪ツっ君とリボーン君は、多分2階にいるわ。あがって、ユウちゃん!」
美人な沢田母が、沢田の部屋へと案内してくれた。てかリボーンくんが呼んだのになぜ迎えに来ない。非常識なやつめ…。と思いながら2階への階段を軽快に上っていく。ツナと書かれた札のぶら下がるドアの前で立ち止まると、沢田母はコンコンとドアを叩きつつ、「お友達がいらっしゃったわよー」と一言。友達!?と中から声が聞こえて、私はドアを開けて中にいる人物を見下ろした。
…沢田、とごっきゅんと、山本と、見知らぬ女の子(かなり可愛い)。
「あっ…!東城さん…!?」
「はろー。沢田、ごっきゅん、山本。」
「ごっきゅんじゃねーって言ってんだろーが!それに10代目を呼び捨てにすんじゃねー!」
「東城じゃねーか!小僧に呼ばれてきたのか?」
「はひー!このビューティフルなレディはどなたですかー!」
…一気に離しかけられても困るんですけど。てか何してるんだこの人たち。何気なく目をうつしたプリントには補習という文字が。成程。こいつ等(獄寺と女の子のぞく)は補習で宿題を配られたけど問題が解けないから私が呼び出されたってわけね。私の状況判断力パネェ。けど、獄寺にわかんない問題が私にわかるわけねーじゃん。と思いながら、床に腰掛けて沢田の手から乱暴にプリントをかっぱらう。
「こんなの私にわかるわけないじゃないか。ナメてんのかコラ」
「逆ギレーっ!?」
「てめえこそナメてんのか!10代目に暴言使うんじゃねー!」
「だってこれ意味わかめ。」
「古ーっ!?」
沢田ってばツッコミ激しいなあ。正直引くわー。若干哀れむような視線で沢田を見れば、沢田はあわてたように「なんだよ!」と叫んだ。いやあなんでも、と意味ありげに答えつつ、目の前の難攻不落の問題とにらめっこ。意味わかんない…。これあれじゃないか?ネコなんたらの公式使うんじゃなかったっけ。まあどうでもいいけど。途端にめんどくさくなった私はそのまま机に突っ伏した。ねむい。てか何のために私ここに来たんだ。ハンモックの上で寝ているリボーンくんに軽く殺意を覚えながら、自らも瞼をおろす。おやすみー。
「…あれ?東城さん寝ちゃった?」
「このクソ女!10代目の机で寝やがって…!今すぐ叩き起こしましょうか!?」
「いや、いいんじゃね?だってさ、」
「はひ!気持ちよさそうに寝てますしね!キュートな寝顔です!」
***
「ん…お母さんそのたい焼き私の……。…?んん、あれ。ここどこだ。」
起きたらいつのまにか布団の上に寝かされてた。…?辺りは暗く没していて、数人の寝息が聞こえる。沢田とリボーンくんだ。まさか、あのまま寝過ごしたかんじ?ふと見た机の上には、解き終えたプリント。問7のところには4と書かれてある。…途中式、なくていいのかな。そう思いながらも、私にはさっぱりわからないのでスルーの方向で。なんとなくまぬけな顔して眠る沢田のほっぺたをひっぱって、目を開けたまま寝るという器用なことを成し遂げるリボーンくんを若干の殺気をこめて睨んだ。すると、その殺気に気づいたのか、リボーンくんが私に銃を突きつけた。とくにそのことに驚きもせず、銃口を手で覆う。
「あぶないなあ、リボーンくんてば。」
「……お前か。殺気こめて睨むんじゃねーぞ。せっかく気持ちよく寝てたってのに。殺されてーのか?」
「そんな馬鹿な。殺されたい奴なんてどれほどいるのかね。私がその中に入ってないのは確かさ。」
おちゃらけたように笑っても、リボーンくんは無表情のままだった。私も笑うのをやめて、リボーンくんを無表情で見つめ返す。リボーンくんが、全てを諭したような口調で言った。
「お前、そんなにマフィアになりたくないのか。」
「何いってんの。あったりまえだろーが。私はただの平凡な並中生。私の学力でいけるようなフツーな高校はいって、アルバイトして、できるなら大学入って、就職して。それなりのお金がたまったら収入もそれなりに悪くない人と結婚して寿退職。子供は2人くらい。ごくごくフツーの人生を歩むはずだった。…どうしてこうなったんだろうか。いつから道を間違えたんだろうか。」
「オレはファミリーに入れると決めたらマジで入れるぞ。もうそんな人生は歩めねえ。諦めろ。お前はマフィアになって非凡な人生を歩むんだ。それがお前の運命ってモンだぞ。」
「…こんな、はずじゃなかったんだ。どうして、平凡に生きさせてくれないんだ…。どうして、」
——私なんだ。その声は、あまりにも小さすぎて、誰にも拾われることは無かった。ただ、これからの人生に絶望を感じた。それだけ。リボーンくんに聞けば獄寺も山本(本人は遊びだと思ってるらしいが)も、望んでファミリーになったそうじゃないか。ご苦労なこって。けど、私はイヤだ。無理だ。望んでファミリーになるなんて。
「…ユウ。オレが、憎いか?」
「憎くは、ない。けど、嫌いだよ。お前なんて。」
「……そうか。オレは結構お前のこと好きだけどな」
「………嬉しいよ。ありがと。」
そう笑うと、リボーンくんはだんまりと口を閉じた。それでいいと思う。これ以上話せば、私はリボーンくんを責めてしまいそうだから。どうして私をマフィアになんかしようとするのって。
——憎んではない。けど、嫌い。あまりに不完全で一方的。それが、私たちの関係。
「どうしてこうもうまくいかないんだろ」
こんな理不尽な世界など、消えてしまえ。
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