二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

イナクロ〜なくしたくない物〜参照23,000突破感謝!!〜
日時: 2016/02/10 23:59
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: JuyJRz6j)

どうも。
イナGOの「なくしたくない物」がイナクロなるってことで、続編つくりました←
いちおう、>>1にキャラ紹介をのせときます。オリキャラも。


   ※注意事項※

・キャラ崩壊のおそれあり
・なんかいろいろ意味不
・更新おそい(中学生だもん、部活入ってるもん←)
・絶叫多しww
・荒し、パクリは厳禁
・ひとの目によって、駄作に見え……いや、駄作
・なんかシリアスでもコメディでもなし(←わかんねえよ、あいまいで)
・「駄作お断り!」のかたはさよならです(二度目)

注意事項はどんどん追加されていきます←
もしこれのうちひとつでも「守れるわけねえだろ!」という人は、そよかぜステップで退散!
「いいよ^^」という神様は、どうぞおとおりください!



オリキャラ募集のお知らせです
>>95

《更新再開の大号令》
>>342



〜もくじ〜

ストーリー説明〜第2章まで
>>230
第3章〜第5章まで
>>328
第6章まで
>>345



☆番外編☆     また会う日まで
第1話〜第10話まで
>>317
第11話〜第20話まで
>>329
第21話〜第30話まで
>>344
第31話
>>346
第32話
>>347
第33話
>>349

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Re: イナクロ〜なくしたくない物〜6000越え!? ( No.316 )
日時: 2014/01/08 18:44
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第十七話   「ぬいぐるみ」



「ただい……。」

玄関の戸を開けると、くつはひとつもなかった。
友撫は幼稚園、母は仕事か、友撫を迎えに行っているのだ。

(誰も……いないんだ。)

目を伏せ、玄関の鍵をしっかりしめると、くつをぬぐ。
そして、すぐにベランダに出られる窓まで行くと、鍵がしっかり閉まっていることを確認する。自室の窓、両親の寝室の窓、トイレの窓。風花は、すべて確認した。
いじめられるようになってから、戸締まりだけはしっかりするようになっていた。さすがにそこまではしないと思うが、念のためだ。
トイレから出ると、リビングに置いておいたランドセルから、今日の宿題をはじめる。
カレンダーを見ると、べつに仕事があるとは書いていない。仕事がある日は、カレンダーに書く約束だったのに。

「ママのばか……。」

つぶやくと、むなしくリビングに響いた。それが、ますます風花を孤独感に追いこむ。
鉛筆が紙の上を走る音。時計の秒針の動く音。窓を越えて聞こえる、外の音。
すべてが、リビングに響いて、すぐに消えていく。風花は漢字を終わらせると、ランドセルにワークとノートをつっこんで、網戸を開ける。
もうすぐ夏だ。
それを感じさせるようなリビングだった。すべての窓を閉め切り、数十分漢字を書いていると、少しずつではあったが、暑くなっていた。
涼しい風が入りこみ、風花の体を冷ます。

「涼しい……。」

言葉に出すと、ますます涼しく感じられた。
それと、ほぼ同時だった。

「風花、ただいま。」

母の声が、玄関から聞こえたのは、
はっとしてふり返ると、母が立っていた。片手を友撫とつないでいて、最近の張り詰めたような、厳し顔でないことに、風花は思わず安心してしまう。
だが、母はいきなり切り出した。

「家庭教師の先生に、これから教わりなさい。」

風花はその言葉の意味が、理解できなかった。

「え、と……?」
「友撫が教えてくれたのよ。」
「友撫?」

風花が視線をうつすと、友撫はこくりとうなずき、「ちょっとまってて。」と舌足らずにいうと、パタパタと部屋に駆けていった。
そして、なにかを持ってもどってくる。

「これ、あなたのお友だちにやられたんでしょう? いいえ、お友だちとは呼べないわね。」

友撫から受け取って、風花に見せつけられたのは、風花も友撫もお気に入りだった、可愛らしいウサギのぬいぐるみ。
しかし、いまとなってはズタズタに引き裂かれ、原型をほとんどとどめていなかった。

「そうでしょう?」
「……なんで友撫が?」
「友撫は、あなたがこのぬいぐるみをお気に入りだってことくらい、知ってるのよ。だから、それがひどいメにあったから、ママに見せてくれたのよ。」
「だって、おねえちゃん、悲しいお顔してたから……。」

友撫のセリフに、風花はがっくりとひざをついた。
そうか。隠しておかなかった自分がばかだったんだ。ズタズタにされたのを、押し入れの奥に隠さなかったから。
友撫をナメていたのかもしれない。

「もうなにもいえないと思うわ。」
「いえるわけないよ……。」

フローリングの床に、小さなしずくが落ちる。

「……いいわね? 家庭教師の先生にお願いして。」

もう、どういうことかは、分かっていた。

「…………………………………うん。」

学校には行かせてもらえないのだ。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜 ( No.317 )
日時: 2013/11/16 08:41
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆第1話〜第10話  まとめ☆


第1話「赤ちゃん」
>>69
第2話「この子を守るおねえちゃん」
>>70
第3話「約束」
>>74
第4話「輝登場!?」
>>81
第5話「不法侵入者」
>>84
第6話「父の刃物」
>>85
第7話「不満」
>>86
第8話「くもり空」
>>92
第9話「心から」
>>96
第10話「さびしすぎる」
>>103

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜 ( No.318 )
日時: 2014/01/08 18:44
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第十八話   「家庭教師」



「ここを……風花ちゃん?」

ぼーっとしていた風花に、家庭教師の先生は優しく声をかけた。風花ははっと我に返り。

「ごっ、ごめんなさい。」
「いいのよ。まだ慣れないわよね。」

家庭教師の先生——陽子(ようこ)先生は、風花の頭をなでながら、彼女にいいきかせるようにいった。風花はそうではないのだが、小さくうなずく。

「風花ちゃん、なにか分からないこと、ある?」

優しいほほ笑みをたたえ、風花の目線に合わせて聞いてきた。
素直に首を振る。勉強は、教科書を読んだり、解き方さえ教えてもらえれば、難なく解くことができる。
陽子先生はうんうんとうなずき、授業を続けた。

「じゃあ、この問題を解いてみて。」
「はい。」

返事をしながら、すでに頭の中に答えはでていた。だが、わざと考えるふりをする。
クラスの女子に、こういわれたことがあった。

『あんたさぁ、自分が天才だってこと、じまんしたいわけ? 考えもせずに答え書いてさぁ。ムカつくんだよね。』

いわれたことがまだ振り切れず、風花は考えるふりをするくせがついていた。
風花が三十秒ほどかけて解くと、陽子先生はにこりと笑った。

「正解よ。風花ちゃんはのみこみがはやいから、先生も助かるわ。」
「ありがとうございます。」

頭を下げた風花を見ながら、陽子先生はそっと問う。

「風花ちゃん、もしかして……まだ、学校でのこと、引きずってる?」

びくっと肩を跳ねさせて、ゆっくり顔を上げた。その顔には、恐怖の色がありありと浮かんでいる。陽子先生は、風花の表情を見て、ゆるゆると首を振った。

「引きずらなくてもいいのよ。わたしは、風花ちゃんの味方だもの。」

にっこり、太陽みたいに暖かい笑みを浮かべ、陽子先生は風花の短くなった髪を、なでた。
これが、陽子先生と出会って、一週間後の話。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜 ( No.319 )
日時: 2014/01/08 18:45
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第十九話   「独り」



「陽子先生、あの、これ……。」

教科書とプリントを見比べながら、陽子先生を見上げる。プリントに書かれているのは、小学四年生の問題。
先生は風花の肩をそっとつかみ。

「あなた、もっと難しい問題も解けるのでしょう?」

小さく、こっくりうなずいた。小学三年生レベルの問題まで生ぬるいくらいだ。
陽子先生は続ける。

「なら、もっと解かなきゃ。チャレンジしていきましょうよ。」

出会ったときと変わらぬ、太陽のようなあたたかい笑みで、陽子先生はいった。

     ☆

「もうむりです。」

リビングから、厳しい声が聞こえた。
リビングに入ろうとして、ドアノブにかけていた風花の手が止まる。
いまの……陽子先生?

「あの子の相手なんか、もうできませんわ。」
「そうなんですの? そんなに、駄目なんですか?」

駄目、ということばに、風花の肩が跳ねた。感情のこもっていない声で母がきくと、陽子先生らしきため息。

「頭が良すぎるんですの。」
「あらまあ。」
「あそこまでとなると、わたしも限界ですわ。わたしは小学生相手なんですもの。中学生レベルなんて……むりですわ。」
「そんなことしていいんですの?」
「かまいませんわよ、口実をつくればいいだけですから。」
「そうなんですか、よかったですわね。」
「まったく……奥さまと話していても、腹が立ちますわね。」
「あら、そうですか? それはすみません。あの子にも、謝らせましょうか?」

笑いがこもっていく、母の声。舌打ちがきこえ、布ずれの音が、静かな家に響いた。

「失礼します。」
「またの機会がありましたら。」
「お会いするのも、もうごめんですわ。」

足音がした瞬間、風花は反射的に階段の影に隠れた。こっそり顔を出し、廊下のようすをうかがう。
ちょうど、陽子先生がリビングの扉を開け、出てきた。そして、ぺこりと頭を下げる。

「短い間、ありがとうございました。」
「こちらこそ。」

母のことばが終わらぬうちに、陽子先生は歩き出し、靴を履いて出て行った。
母の小さなため息とともに、リビングの扉が閉まる。
物陰に隠れる風花は、小学生になって何度目か分からないほど、同じことを考えた。
けっきょく、みんなにとって、私はいらないの?
みんな、私を嫌う。離れていくんだもの……。

「風花は……。」


風花、は……。





























































































































独りぼっち、なの……?

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜 ( No.320 )
日時: 2014/01/08 18:45
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: J69v0mbP)

☆番外編☆第二十話   「アメリカ」



あのあと、風花と母は、なんだか気まずくなってしまった。
友撫がいるときは、彼女を心配させまいと、風花なりの姉としての気づかいをして、母とは会話をしていた。風花の気持ちに、良いのか悪いのか、気づいていないようすの友撫は、ふたりの会話に割って入るように、いつも楽しげなのはいいのだが。
風花としては、精神的にキツい状況下にあった。

「おはよう、友撫。」

声をかけると、友撫はうれしそうにこっちを向いて、ぎゅっと抱きついてきた。
最近、風花はいわゆる、「しすこん」というやつなのだと気づいた。母に教えられてパソコンをいじくっていたら、「姉妹が可愛すぎて……」という旨の文章を見つけ、自分もいくつかそれに当てはまった。
でも、友撫が可愛すぎて、かわいがってしまうのは、べつに「しすこん」と関係ないと思っているのだが……どうなのだろうか。
友撫の頭をよしよし、となでながら、キッチンにいる母を見た。

(また、ひとりだ。)

まだ小学生低学年という、幼いながらも、風花にはなんとなく分かっていた。
母と父が一緒にいない。つまりそれは、離婚もあり得たりするわけだ。
そんなに簡単に、夫婦の関係がくずれるわけではないと信じているが、うちの場合はいろいろと例外だ。
例外——ではなく、ある一部の家庭には、ある話なのかもしれないが。
風花が学校に行くのをやめて以来、風花は父を見ていない。
恐くて外は出歩けないから、見ていない。でも、家に帰ってきて、母と楽しそうに話しているのも、見ていない。

「にいにー。」

友撫の呼ぶ声で、風花は我に返った。すぐににこっと笑い。

「よし、友撫ちゃん、お着替えするよ。こっち、こっち。」

比較的キッチンに近い、たたみの部屋に行き、友撫を着替えさせる。幼稚園児なので、遊んでいるつもりなのか、あちこち走り回ったり、ごろごろしたりする。

「もう、駄目じゃん、友撫ってばっ。」

笑いながらさけび、友撫をひっ捕まえて、着替えに連れもどす。あるていど風花が油断したら、友撫がまた暴れ出す。それが、平日の毎朝のことだった。

「にいに、こっちだよー!」

楽しそうに走り回る友撫を見ていると、なんだか捕まえたくなくなってしまうが、捕まえないと幼稚園に行けない。
友撫の腰に腕を回し、ぐいっと自分に引き寄せると、すっぽりひざのなかにおさまった。

「もう、友撫。いい? お着替えするときは、じっとしてなきゃ駄目だよ?」
「うー……にいに、おもしろいのに……。」

じっくり言い聞かせようとすると、友撫はこういいながら、うるうるした瞳をこちらに向けてくる。
シスコンとしては、もう限界。

「ううっ……。よ、よし。五回だけなら、おふざけしてもよし。」
「やったぁ! にいに、だいすきぃ!」

自分の胸に飛びこんでくる、自分より幼い子ども。
この子には、まだ家のことまで考えさせるのは、むりだ、やっぱり。

     ☆

コンコン、とノックの音が響き、次いでがちゃりと扉を開ける音がした。ふりかえると、母がおだやかな笑みを浮かべている。

「風花、いま、いい?」
「あ……。」

母から話しかけてくれたのは、陽子先生と話していた日以来、はじめてだ。
つまり……。

(もう二週間も……。)

はやいものだ。
特に断る理由もないので、先を歩く母の後ろにつき、リビングに向かう。
風花がいすに座ると、母はすぐそばの棚から一冊の本を取り出し、あるページを開くと、つくえの上に置いた。
それは、アメリカだった。

「お、お母さん?」
「行こうと思うの。」

とっぴょうしがなさすぎて、何秒間かかたまってしまう風花。
だが、理解できてくると、疑問がうかんだ。

「いつ? どうやって? あと、あと……誰と?」

誰と、というのが、いちばんききたかった。
母は、アメリカの地図をじっとながめながら。

「二週間後くらい。飛行機で行くわ。もちろん、家族全員で行くのよ。」
「家族……全員? お父さんも?」
「ええ。」

予想以上に、母はあっさり肯定した。


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