二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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イナクロ〜なくしたくない物〜参照23,000突破感謝!!〜
日時: 2016/02/10 23:59
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: JuyJRz6j)

どうも。
イナGOの「なくしたくない物」がイナクロなるってことで、続編つくりました←
いちおう、>>1にキャラ紹介をのせときます。オリキャラも。


   ※注意事項※

・キャラ崩壊のおそれあり
・なんかいろいろ意味不
・更新おそい(中学生だもん、部活入ってるもん←)
・絶叫多しww
・荒し、パクリは厳禁
・ひとの目によって、駄作に見え……いや、駄作
・なんかシリアスでもコメディでもなし(←わかんねえよ、あいまいで)
・「駄作お断り!」のかたはさよならです(二度目)

注意事項はどんどん追加されていきます←
もしこれのうちひとつでも「守れるわけねえだろ!」という人は、そよかぜステップで退散!
「いいよ^^」という神様は、どうぞおとおりください!



オリキャラ募集のお知らせです
>>95

《更新再開の大号令》
>>342



〜もくじ〜

ストーリー説明〜第2章まで
>>230
第3章〜第5章まで
>>328
第6章まで
>>345



☆番外編☆     また会う日まで
第1話〜第10話まで
>>317
第11話〜第20話まで
>>329
第21話〜第30話まで
>>344
第31話
>>346
第32話
>>347
第33話
>>349

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Re: イナクロ〜なくしたくない物〜3000越え ( No.240 )
日時: 2013/03/08 10:24
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: 6sz9.CTE)

だんだんかわりはじめる設定(←オイ)




風丸 風花(月流 ユエ・星)

12歳(本来は小6)  中1

女(いちおう)

心のなかは男(←おい by風花)。≪半個半幽≫であり、間もなく消えてしまう。雷門にくるよりまえに、サッカー部の者たちとは、面識があるが、雷門側は、記憶を消されている。その事情は、のちにわかる。
恋愛関係に鈍感で、自分が輝に好意を抱いているということに気づいていない。
ひと思いではあるが、他人を優先するあまり、自分が傷つくこともすくなくない。アスペルガー症候群が原因で、いじめられたトラウマがあり、すこし人間に対する恐怖心がある(≪半個半幽≫時は、あまり感じることはない)。
セカンドステージチルドレン第一号。風と守り(シールドとか)の力を持ち合わせており、その力は強力。力が目覚める代わりに、なにか、大きな代償がはらわれたというが、それは——!?




月流 友撫

8歳(本来は小4) 中1



楽しいことが大好き。両親が亡くなっており、引き取ってくれた風花を本物の兄、風花の両親を、本物の両親のように思っている。シスコンの風花に、たまに(←けっこうしょっちゅう?)蹴りや殴りをかます。はっきりいって、かわいい顔をしているものの、蹴りはかなりいたい。
サッカーはかなりの実力の持ち主。サッカーをはじめると、ひとがかわったかのように暴れだす。
















設定がかわってきたのは、このへんですかねぇ……。
ほかにも、「かわってんじゃね?」と思う人物がいるかたは、いってください。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜4000越え ( No.241 )
日時: 2013/03/17 20:27
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)

視覚がくるってる……気がする。


いつの間に4000にまでもなってんの、参照が——ッ!!

風花「とうとう、目が腐ったか。」

違うよ。腐ったら、BのLとか、そっち系ばっかりに見えちゃうじゃーん。

風花「いーやいやいや、そういう意味じゃなく……。」


それよか、ほんとうにありがとうございます!
こんな駄作を、よくみなさまは耐えて読んでくださっているなぁと、つくづく思っています((←

『なくしたくない物』をはじめて、だいたい一年が経った、または経とうとしております。
一作目と合計すると、7000参照もいただけて、とても光栄なことだと思っております!


これからも、精一杯頑張るつもりなので、どうかお付き合いをおねがいします!!

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜4000越え ( No.242 )
日時: 2013/03/17 20:28
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)

7話   「かくさないで」



「おつかれさま、ユエ!」

うしろから、いきなりフェイに声をかけられ、俺はおどろきながらもふり返り、

「おつかれ。」

と声をかけた。
練習もおわり。とりあえず、休憩しなきゃってことで、フェイと一緒に、部屋に帰ることに。なんでフェイと一緒かっていうと、フェイと同じチームだから。輝と別々とは……って、ちょっと悲しいかも。

「そういえば、ぼくらの部屋って、となりどうしなんだね。」

そうなのです。
なぜか……ね。部屋割りが、

  フェイ 俺 輝 友撫

っていう部屋割りで。ふつう、そこは、チームどうしでかためたりするもんじゃねーの? って思うんだけど……まあ、親しいひとが近くにいるってのは、また安心でして……。いや、ガンマとかじゃなくて、よかったなって。
なんか、よく知らんし。友撫がナンパされるのは、許せないし。

(そうだ。友撫をナンパしたら、俺が潰してやる……!)
「——でさー。……って、ユエ、全然聞いてないね;」
「あっ、ご、ごめん。色々考えてて……;」
フェ(黒いオーラ出てたよ、なんていえない……。なんか、こわい……;)
「じゃあな〜。また明日♪」
「また明日。」

フェイはニコッとわらって、部屋のなかに入っていった。

「また明日、か……。」

そうつぶやき、部屋の中に入る。中は、俺の趣味で、ひどくこざっぱりしてる。あるのは、モノクロのタンスと、シルエットネコ柄のベッド。それから、小物入れとクーラーボックス(←ぇ)。むかしは、ぬいぐるみとかで埋め尽くしてたけど、最近、あんまり興味なくなってきてな。

「また明日、ねぇ……。」

同じ言葉をくりかえす。なんとなくだけど。
また明日。また明日。
そういって、ずっと似たような毎日をくりかえすんだ。明日も、あさっても。これから、ずっと。
こんな《半個半幽》の体じゃないひとは。
《半個半幽》は、いっつもビクビクしてるんだって。いつ消えるかとか、分かんないし。
俺も、じつは、そうだったりするのかもね……。
ちょっと、そうやって思いはじめてる。
いつ消えるか分からないなんて、たしかにこわいしな。もしかしたら、最悪の場合、試合中に消えるかも。とかね。

コンコン

いきなり、うしろの戸がノックされた。

「はい、どうぞ。」

それを合図に入ってきたのは、輝。いつもどおり、なんかニコニーコしてる。

「どうしたんだよ? 輝。なんか、用事?」
「ううん。べつに。ちょっと、ふーちゃんのところ、遊びに来ただけ。」
「……へ?」

待って。
いま、「ふーちゃん」って呼びました!? 俺のこと、「ふーちゃん」っておっしゃいました!?
な、なんできゅうに、そんななつかしい名まえを!

「わー、ひどくこざっぱりしてるねぇ……。」

輝、さっそくコメント。でも、俺にとっては、そんな言葉、いまは雑音に等しい。頭の中で、グルグルと様々な疑問が浮かびまくっている。
そもそも、なぜ俺の部屋に遊びに来た!? てか、なんで俺のこと、「ふーちゃん」とかって呼ぶ!? イマサラすぎるだろ!

(うーん、うーん……?)
「ふーちゃん、聞いてる? いまから、フェイも来るよ?」
「え? なに? あっ、それより、輝、ちょっと出て! 私服に着替えようと思ってたのに!」

俺はそういい、輝の背をグイグイおして、部屋から追い出した。
い、いや、事実なんだよ!? 事実なんだけど、うーん、なんかちょっとした罪悪感を……ちょっとどころじゃなく感じます……。
ばたんっととびらを閉め、そのとびらに寄りかかる。
輝も私服だったし。なんか、緑のパーカー着てたし。どーでもいいけど。

「なに着よ……。」

めんどくせーな。ふつーに、オーバーオールでイクか。
……いや、持ってくるのわすれてる。よく着るくせに……。
うーん。じゃあ、なんかダサいので……。
って、これもなし。
ったく、友撫の奴、なに持ってきてるんだよ? やっぱり、友撫に服担当をさせたのは、まちがいだったか……。
俺の望むものは一切なく、なんかかわいいの多い。男子ものは一切ない。なんか、短パンまで女子っぽいのばっかだし……。
よし、もうてきとーにこれでいいわ。
なったかっこうは、淡い水色のTシャツに、黒いショートパンツ。Tシャツは、なんかサイズ大きくて、ふともものギリギリ上のところでとまってる。ショートパンツとか、はっきりいって、見えかくれするていど。髪が短くなったから、なんかやんちゃな小学生みたいなカッコ。……実際、小学生だけど。
いや、べつに、ファッションとか興味なさすぎて、勉強してないから、他人からするとダサいのかも……。
いーや! んもう、考えるだけで頭がいたい!

「あのー、ふーちゃん、まだ?」
「あっ、悪い!」

俺があわててとびらにかけ寄って開けると、輝。……と、フェイ。

「えっ、なんでフェイ!?」
「さっき、いったじゃん。フェイも来るよって。聞いてないね;」
「聞いてねー……;」
「ユエ、私服なんだね。」
「あ、うん。雷門のユニフォームのまんまじゃ、すごしづらいかなーと思って。テキトーに物をそろえてきたんだ。」
「あー、そういう手もアリか……。」

フェイ、そこ、真剣に考えなくてもいいとこだから。

「輝も、私服だな。」
「あっ、うん。たしかに、ユニフォームって引き締まるんだけど、なんか緊張しちゃうっていうか……。」
「なるほど。緊張状態がつづくのは、あんまり体に良くないよなー。」
「うん。」
「部屋、入ってもいい?」
「ああ、もちろん!」

俺は、フェイと輝を、部屋の中に入れた。フェイは「ほえー、シンプル。」とつぶやいて、それで終わり。

「シンプル・イズ・ベストってやつだ。」
「なるほど〜。でも、シンプルすぎる気が……。サッカーボールとか置けば、たしょう良くなると思うんだけど。」
「そうかな……。あんまりそういうの、置かないし。むかしは、ぬいぐるみとか、そういうの、置いてたんだけどね。めっきり興味がなくなったんだよ。小学校転校した後。」

そういったとたん、輝の顔がかげり、次の瞬間には、そむけられていた。
……気にしてるのかな、あのこと。

「ったく、輝も過去をズルズル引きずる男だなぁ。」
「ッ! でもッ!」
「は〜い、シリアスタイム終わり! フェイもいるんだよ? そういうの、話さないの。なんか食べるか?」

俺はふたりにそういい、べつの話題を投げかけた。フェイはすこし戸惑い気味に「う、うん。」といい、輝は沈んだ顔で「ごめん……。」といったまま。こういうの見ると、ちょっとした罪悪感が……。
クーラーボックスから、とりあえず適当に生クリームのホイップ済みのやつと、ぷっ○んプリンを取りだし、プリンを皿に三つ、プッチンしてから、生クリームを添えるていどでムニュ〜ッと。
が、しかし。とうぜん、あんな話してたから、空気が最悪のどん底にあることは、いわなくても分かるだろう……。

「えっと……。」

なんとなく声を出すが、むなしくも空振り。再び沈黙。

(やーめーてーくーれー! こういう辛気くさいの一番嫌い! 誰かしゃべれ!)
「ねえ、ユエ。」
「なんだい、フェイくんっ。」
「フェイ『くん』?」

し、しまった……。ノリでつい、フェイに『くん』つけちまった……。

「さっきの話……なに?」
「……えっとぉ……?」

なに、いまのフェイの質問。

「あそこで止められたら、気になってしかたないよ。それに……いいかげん、そういうのかくすの、やめて。」

フェイ……。過去にまで首をつっこんでくるようになったか……。
なんなら、おまえの過去も、ここだけといわず、練習中にさけんだろうか。……っと、これはあかんね。

「……分かったよ。あ、輝、なんか間違ってたら、修正よろしくね。」
「うん。でも、ふーちゃん、いいの? あの話しでしょ?」
「いいよ、べつに。もうけじめはついてるし♪」

俺は、輝にウインクをして、話をはじめた。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜4000越え ( No.243 )
日時: 2013/03/27 17:49
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)

8話   「消滅」



色々な理由があり、俺は、輝と同じ学校を、誰にも言わず、友撫とふたりだけで旅立とうとした。そのとき、輝がそれを聞きつけて、俺たちの家に来た。たくさん質問されたけど、なにも答えはしない俺に、ずいぶんいらだっていたように見えたよ、輝は。
けっきょく、俺と友撫は、トラックの中に乗りこんで、泣いている輝をひとり、その場に残して出発。それから、ずっと連絡もなにもとらなかった。

転校した先は、元いた学校から、かなり離れた学校。県を十個くらいまたがないと、いけないところだった。べつに、良い思い出をその学校で作れるだろうとか、そんなあまいことは、考えていなかったよ。嫌われ者は、どこにいっても、嫌われ者になるだけだからね。
でも、思った通りだった。すこしして、すぐに嫌われ、友だちも、ひとりたりともいなかった。ひとりだけ、優しくしてくれる子はいたけれど。
たったひとりで、静かに、さびしく過ごす。慣れきった日々。まえの学校でも、似たような感じだった。
だけど、こんなところまでいっしょになるとは、思ってもいなかった。

ある日、仲よくしてくれていた女の子・真理が、体調不良をうったえ、学校を早退した。
六時間授業を終え、家に帰ると、友撫がひとり、泣きじゃくっていた。
どうしたのか聞いたら、知らない人がいきなり入ってきて、俺の部屋にあったぬいぐるみを、片っぱしからとっていったのだという。兄さんの家に引っ越したんだけど、その日は、ちょっとした用事で、その日から三日間、家に居なかった。たぶん、そこをねらわれたんだろうけど。

その時点で、誰なのかまったく分からなかった俺は、次の日も学校にいった。友撫をひとりにしておきたくはなかったけど、休む理由も思いつかなかったし。
だけど、教室について、扉を開けた状態で、かたまってしまった。
ぬいぐるみを持ったクラスメートの女子が、こちらを睨みつけていたんだ。でも、俺が驚いていたのは、牛耳を執るように、先頭にいた女の子。

真理だったんだ——……。


「えっ、仲よくしてくれてたのにっ?」

ここまで話して、だまって聞いていたフェイが声をあげた。

「あー……うん。ハナから、ああするつもりだったんだ、真理は。真理にだけは、家庭内の話も、バカみたいにしてたし。いま思えば、お人好しだったと思うよ。」

そういい、俺はうすく笑んだ。フェイと輝は、おたがいの顔を見あわせて、黙りこむ。

「だいじょうぶだよ。慣れてたしね。……話、つづけるよ。」


真理は、俺が一番気に入ってるっていった、猫のぬいぐるみを持っていた。反対の手には、カッターナイフ。
真理は、俺が入ってきたのを確認すると、いやらしく、悪者らしく、ほほえんだ。そして、「バイバイ。」といってから、ためらいもなく、ぬいぐるみをズタズタに切り裂いて——まわりの女子もそうした。まだ担任の先生は来ていない時間帯だった。男子はいたけれど、すくんでいたようで、こちらを見ているだけだった。

べつに、助けを求めようとか、そんなふうには思わなかった。一言で、やっぱり、慣れてしまったからだと思う。
でも、このとき、同時に思った。
きっと、ぬいぐるみを盗みにきたのは、真理なんだって。
いや、ほかに、誰も居ないと思うんだけどね。仲よくしてたってことが、どうしても頭から離れなくて……。
このときは、どうしても信じられなかったし、信じたくなかった。だから、「きっと」って、いってたんだと思う。

俺はたまらなくなって、教室を飛び出した。教室どころか、学校の校門すらも、飛び出した。
道を曲がり、信号まで無視して。けっきょく、自分に、家族のもとと、あと一つ以外には、行き場はないってことを、実感させられた。
行き着いたのは、家。幼稚園に行っている友撫。用事でいない兄さん。
誰もいない家は、空っぽになりかけている、俺の心を見ているように感じた。
自室に飛びこんで、その場にへたりこみ、ボーッとしていた。だいたい、二時間くらい。

玄関のほうで、ガチャッと音がして、やっと我に返った。友撫が、帰宅してきたんだ。幼稚園にむかえにいくことは、学校の都合上、無理だから、カギを持たせてたんだ。それで、ガキを開けて入ってきたってわけさ。


「……うん。まあ、関わりがあるのは、こんな感じかな。」
「そういうことか……。」

すごくね、俺? みごと間違いなく、説明し切れたよ。
……でも、不安だなぁ、どうしても。『あのこと』が。
晄とフェイが話しているあいま、俺は心の中で、アクアに語りかけた。

(なあ、アクア。)

……しーん……

(えっ……?)

あ、れ……? 返事が、ない……?
ま、待って。もう一度だけ……。

(ア、アクア?)

また、返事がない。
なんで……どういうこと? 俺の声が聞こえないとか? それとも、それとも……?

「ごめん、ふたりとも! 勝手にくつろいでおいて!」
「えっ、風花!?」

俺は、部屋を飛び出した。
おかしい。ここまでアクアの声が聞こえないわけ、ない。
まさか、まさか……!













アクアが、




















































































消えた……?

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜4000越え ( No.244 )
日時: 2013/03/27 18:17
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)

9話   「自嘲」



建物を無断で飛び出し、そこらへんにあった、適当な木に、一気に登りつめる。息は完全に上がっていて、呼吸をするのも苦しいほどになっているのに、いまはまったく気にならない。
信じたくはないけど……あり得ないけど……! 分からない……!
アクアが、自分からなんて、そんな……。
でも、あいつならやりかねないよ……。
どうしよう。もし、ファイアリも消えてたら……!!

(どうしよう……!)
『風花さん、聞こえていますか?』
(ファ、ファイアリッ?)

良かった。ファイアリは消えてなかった……。

(ファイアリ、アクアは? アクアはどこなの?)
『アクアさんは……消えてしまいました。』
(え……そ、そんな。まさかとは思うけど、自分から……?)
『まさか、そんなことは! アクアさんは……耐えきれなくなってしまったんです。《半個半幽》のせいで、アクアさんに負荷がかかりすぎてしまって……。』

つまり……俺のせい、ってこと……だよね……?

(お、俺のせい……なんだよね?)
『なにいってるんですか! しかたないことです! 《半個半幽》になってしまったことも、それで、アクアさんが消える運命になってしまったことも!』
(だったら!)

そういって、思わず取り乱してしまったとき。
すわっていた枝から、ずり落ちてしまった。

「きゃっ——!」

自分でも、「うわ、女々しい。」とか思ってしまうような、短い悲鳴を上げて、アスファルトの地面に落ちていく。
絶対もうダメ——! そう思って、目をつむった。
でも、ぜんぜん痛みなんて感じない。これといった衝撃も感じていない。
ゆっくり目を開けてみて……絶句した。

「こ、これ……!」

浮いていた。
あおむけの状態で、アスファルトから数センチほど、浮かんでいた。しかも、地面が見えるくらいに、透けて。

「な、え、これ……え……?」

混乱して、言葉が出てこない。
ゆっくりと、体がアスファルトに降りた。かたく冷たい、夕焼け色に染まったアスファルトが、はっきりと実感できる。
なのに、体はまだ透けている。
俺が、ゆっくり体を起こそうとしたとき、やっとその透明度は、数値を落としていき、はっきりと、体の色を取り戻した。それでも、俺のくちびるは、わなないている。

「バ、バカ……だな。」

うつむいて、自嘲する。
あーあ。こうなること、分かってたじゃん。
やっぱり、怖かったんだよ、こうなるのが。

「あは、は……。」

もう、笑いしかこぼれてこない。
逆にいえば、もう笑うほか、なにもできなかった。
泣くこともできない。くやしがることもできない。
全部、自業自得のような気がしてきてしまって。

「まあ、いいや……。もう、戻ろうかな。夜練、あるだろうし……。」

力なく立ちあがり、ヨロヨロしながら、建物にもどった。

     ☆

練習が終わって、もう三十分はたっただろう。はやいことに、みんなもう、寝付いていた。
……ちょうど、いいな。

「ファイアリ、いくぞ。」

静かに現れたファイアリに、俺は語りかけた。

『で、でも、風花さん。試合までに、間に合いますか……?』
「いいさ、間に合わなくても。……大事は、ないと信じてるから。」
『フェイさんのことですね。あの、こんなこと、首を突っ込むべきじゃないと思うんですが、聞かせてください。
 ……いつになったら、フェイさんにお話しするつもりなんです?』

無駄なこと聞くな。

「いつかだよ。……ていうか、きっと、今回の試合で、全部分かるさ、フェイ自身がな。俺が説明するより、からだで実感するさ。」
『イヤな、方ですね。』

なんとなく、ファイアリの声は、笑っているように聞こえた。

「……うん、かもね。まあ、いくっていっても、ちょっと風にあたるだけだけどね。」

俺はほほえみ、ファイアリをふり返った。ファイアリも、苦笑いしていた。

「じゃあ、いってくるね。」
『あっ、で、でもっ……。』
「俺ひとりでいかせて。ひとりになりたい気分なんだ。」

ファイアリが止めるのも聞かず、俺は、出口に向かった。


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短いな、おい。


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