二次創作小説(紙ほか)
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- 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方
- 日時: 2013/05/31 22:38
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=10082
【読者の皆様へ レッドからの挨拶】
ダンボール戦機Wの小説でお馴染みのレッドです。
第2部の第1作【バン×ハルと失われた過去】の小説が終わった時点で新たに第2作を描くことになりました。
上記の参照に【バン×ハルと失われた過去(改)】のアドレスを載せておきます。興味のある方はクリックして読んでみて下さい♪
タイトルは【バン×ハルと忘却の彼方】です。
このようなタイトルに決まったのは、ハルの過去に繋がる記憶に出てくるオリキャラが1人くらい出ることを意味しています。
アメリカにいた時の記憶を中心に語られるオリジナルストーリーになります。
ミステリー×LBXを交えた謎解きアドベンチャーは今後も継続して描いていきます。
この小説はハルの兄・人見光一が登場します。
今回は大学4年生になる前のオリジナルストーリーになる予定です。
【原作:完結した作品】
第1作:バン×ヒロと黒影の亡霊
本編は全20章で完結、番外編は全16章で完結しているぞ!
ダンボール戦機Wの小説を描くにあたり、記念すべき第1作はホラー×ミステリーを交えた本格的な謎解きアクションアドベンチャー!!
第2作:バン×ヒロと過去の追憶
前作の【黒影の亡霊】の続編となった待望の第2作!
本編は全30章で完結、番外編は第25章で完結しました。
全30章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:ナオが記憶喪失していることだけではなく、ハルの過去に隠されたエピソードも収録している。
番外編では初登場した聴覚障害を持つ少年・船津直紀を取り巻く展開を中心にストーリーを進めていく。
これまでにないオリジナルストーリーを展開させることで前にも増して、文章力を上げることでクオリティをパワーアップさせた。
第3作:バン×ヒロと怨炎の幻想(ミラージュ)
前作の【過去の追憶】の続編となった待望の新作!
本編は第40章で完結しました。番外編は第4章まで進んだが、完結できませんでした。
なので、番外編は新シリーズの小説でリニューアルに伴い、執筆させることにいたしました。
全40章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:バンの弟・山野健太&直太の兄弟が初登場していることだけではなく、2人の過去に共通点を持つところがある。
バンが兄としての役割を担うことで、2人の弟をどうやってサポートしていくかというところも見逃せない!!
バンを支える仲間たちとの絆を深めながら、友情と感動を送るという感じになるストーリーも手掛ける。
健太と直太に対するバンの強い思いにも注目してください!!
第4作:バン×ハルと失われた過去
第1部の3作に代わる新シリーズ。第2部の第1作となった作品。
本編は全60章で完結しました。今までにない長編ミステリー小説。
全60章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:バンの妹となる山野リンが登場。リンの過去に隠された壮絶な記憶だけではない。
健太と直太の2人と共通点を持つことが判明。姉弟ということもあり、ある出来事をきっかけに絆を深めていく。
バンが兄としての役割を担うことで、リン・健太・直太をどうやってサポートしていくかというところも見逃せない!!
バンを支える仲間たちとの絆を深めながら、友情と感動を送るという感じになるストーリーも手掛ける。
リンに対するバンの強い思いにも注目してください!
【お客様】
シグレ:この小説に初コメしてくれた人です。友達だけど、ダン戦好きな人で気が合う! 2次(映像)でポケモン小説を描いておりますぜ♪ キョウヘイ君とヒュウさん、カッコイイ!! そして、メイちゃんもかわいい!!
たま:この小説に初めて来た人ですが、ダン戦好きで気が合います。映像の方でイナイレの小説を描いております。ロコちゃん、可愛すぎる!
タク:私の小説に初コメしてくれた人です。ダン戦シリーズの小説を読んでいて、凄く面白いと言ってくれました。本当にありがたいです♪ ポケモンの小説を描いておりますぜ♪
姫佳:2次(紙ほか)でイナイレの小説を描いてます。仲良くさせていただいてるので、たまにコメントをくれる親友です。輝姫・ティアラ・ここちゃんが可愛すぎる!!
雪桜奇:元は凛々でしたが、改名しました。この小説にコメントをくれる親友ですが…亞夢さまと和輝君をオリキャラとして使わせていただきます。亜夢さまと和輝の幼馴染コンビ、最高!!
【オリキャラ募集のお知らせ】
オリキャラの応募方法 >>34
この度、今作から応募方法を入れて募集することに致しました。
前作までは自らオリキャラを出してくださった方がいたので、今作から募集を行うことになりました。
読者の皆様のオリキャラ投稿、待っています!
【本編:キャラクター原案・構成】
本編の登場人物設定 >>1
バンたちの登場人物が設定されているぞ!
この小説に初めて来た人は読む前に目を通しておいてください。
健太&直太、姉のリン、イナイレの登場人物設定も収録されているので、それも含めて確認しておいてください。
この小説はハルの兄・人見光一も登場します。光一の活躍もお見逃しなく!
竜胆イブキ&桜崎トモミの登場人物設定 >>49
タクが出してくれたオリキャラです。この小説に出すということで応募して下さいました。
2人は幼馴染という設定で登場しますが、ハルの知り合いということもあり、LBXも載せております。
読む前に確認して、クリックしてください。登場予定は第9章〜第10章の予定です。
夢ノ崎亞夢&光ヶ丘和輝の登場人物設定 >>58
雪桜奇(凛々)が出してくれたオリキャラです。どうしても出したいということで応募して下さいました。
亞夢たんと和輝の幼馴染コンビがどうやって活躍するのか、そこを見逃すな!
登場予定はまだ未定ですが、10章以降の可能性あり。もう少しストーリーを進めた時にタイミングを計った上で考えて決めます。
【本編:ストーリー原案・構成】
第1章〜第4章:ミソラタウン編
第5章〜第7章:アメリカ(予定:ルークたちとの再会)
第8章〜 :謎かけ編(ハルの記憶喪失に関する謎など)
【本編:目次(ストーリー進行具合)】
第1部:ミソラタウン編
序章(プロローグ) >>6
第1章 7年が経過したミソラタウンでの日常…ハルの様子に異変を察したバンの違和感とは? >>10 >>16
第2章 7年前の事件に隠された謎とは? >>20 >>23
第3章 ヒロ&ナオの幼馴染コンビ登場!(前編)…バンからの大事な話とは? >>29
第4章 ヒロ&ナオの幼馴染コンビ登場!(後編)…2人が下した決断とは? >>33
第2部:アメリカ編(ルークとの再会、過去の出来事)
第5章 7年ぶりのアメリカ…そこで待ち受ける展開とは? >>39 >>42
第6章 7年ぶりの再会Ⅰ 幼馴染のルークに対するハルの思い >>43 >>60
第7章 7年ぶりの再会Ⅱ ルークの壮絶な過去…いったい、何が? >>69 >>72 >>86
第3部:謎かけ編(ハルの記憶喪失、事件に関する謎など)
第8章 ハルに忍び寄る影(前編)…その背景には、何が? >>91 >>93
第9章 ハルに忍び寄る影(後編)…ハルが記憶喪失!? >>95 >>100
第10章 桜崎トモミ&竜胆イブキの幼馴染コンビ登場! >>103-104
第11章 もう1人の幼馴染・高橋輝美との再会(前編) ハルに対するテルの思いとは? >>105
第12章 もう1人の幼馴染・高橋輝美との再会(後編) ハルは犯人を目撃していた? >>113
第13章 ロサンゼルス市警・捜査一課(前編) サイモン・マックロン登場! >>116
これからも応援よろしくお願いします!
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.68 )
- 日時: 2013/04/23 09:11
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
yumi
おはよう!
さて、今日は第7章に入ります。どうなるかは読んでみてからのお楽しみに!!
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.69 )
- 日時: 2013/04/23 13:52
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第7章 7年ぶりの再会Ⅱ ルークの壮絶な過去…いったい、何が?
(ルーク視点)
僕はルーク・タイロン、ハルの幼馴染だ。アメリカにいた時、ハルと仲が良かった。
7年前に引っ越した後、日本に住んでいたハルとは連絡を取り合っていなかった。
もう1人の幼馴染であるケイティ・ライトが僕を気遣って、ハルと連絡を取り合っていた。
「あれから7年経つのかぁ…」
「え、どういうこと…?」
ベッドに横たわったまま、ハルを見つめる眼差しは真剣そのもの。僕にとって、ハルは大切な存在。
ハルだけは信頼できるし、誰よりも好かれる印象を持っていた…7年経った今、こうして再会できたことが嬉しかった。
「お前と連絡を取り合ってなかったから、話す暇がなくて…ごめんな」
「ううん、気にしてない。でも、過去に何かあったということは間違いないの?」
「…ああ、そうだよ。ハルは知らないと思うけど…話してもいいかい?」
「うん、良いよ。さっき言ってた過去って…何年前のこと?」
ハルに質問され、顔を伏せていたが…ようやく、本当のことを話さなければならない時が来た。
僕はハルを見て、過去の記憶を思い出しながら、ゆっくり語り始める。
「ああ、今から話すよ。そう急かすなよ…」
聞きたがっていたハルを見て思わず苦笑しながら、溜息をついて思い出す。
今から1年前…ロザンゼルスの大学に進学して、大学2年になった時のことだった。
いつものように、授業を受けて帰ろうとしていた矢先だった。大学を出ようとした時、図書館の近くで何か騒ぎが起きているようだ。
そこに行ってみると、1人の女性が数人の男子に囲まれていた。女性は顔を顰めながら、後ろに退いた。
「なっ…何か用ですか?」
「ウヘヘ…リーザ、そんなこと言わないで付き合えよ」
「嫌です。っていうか、私に構わないで下さい!」
リーザと呼ばれた女性は首を振りながら、怯えきったようなしぐさを見せた。
その様子を見た僕はすかさず、歩み寄った後に声をかけて怒るような感じで言う。
「おい、その女の子…嫌がってるじゃないか」
「…あぁ? 誰かと思ったら…ルークじゃねえか」
その青年は振り返るなり、僕を見た。目の前に居たのは、ジョゼフ・イルーダという青年。
大学に入ってから、同級生として付き合いがあった。ジョゼフは高校の時、札付きの不良として知られていたことで有名だった。
「ジョゼフ、いい加減に悪さをするのは止せ。じゃないと、僕が叩き潰すぞ?」
「ひっ…それは勘弁してくれよォ、ルーク」
「今回は見逃してやるけど、その女の子に手を出すな」
そう言うなり、ジョゼフは怯えながら逃げ出した。相変わらず、懲りていないみたいだ。
だるそうに溜息をついて、振り返ると…リーザと呼ばれた女性が歩み寄る。
「あの…さっき、助けてくれてありがとう。私はリザルダ・ホールドって言うの、よろしくね」
「どういたしまして…。僕はルーク・タイロン、よろしくな」
お互いに挨拶しながら話した後、場所を移動してリザルダに連れられたところに向かう。
そこに向かったのは、『Dark Crown』というところだった。中に入ると、居酒屋のような感じになっていた。
「ここ…居酒屋だぞ、こんなところに行っていいのかぁ?」
「まぁ、そんなことはいいから。隣に座ってよ」
カウンターの席に設置されていた椅子に座り、メニューを見た。リーザは僕を見て質問した。
「ルーク、何か飲む?」
「いや…まだ良いよ。リーザはここで飲むことが多いの?」
「ええ、ここで食べることが多いけど…たまには飲むこともありだよ」
リーザはマスターに言いながら、メニューを注文した。僕はカルピスサワー、リーザはアップルサワーを頼んだ。
カルピスくらいなら、大丈夫だと思う。リーザは豪快に飲みながら笑った。
「ルークったら、可愛いじゃないの!」
「…は? リーザ、何を言って…」
「まぁ、いいから…私、ルークのことが好き!」
「何言ってんだか…ったく、酔い潰れたら介抱してやらないぞ」
「あら、好き放題言ってくれるじゃない…誰かさんに助けてもらったのに、その言葉はないんじゃない?」
リーザに諭され、顔を顰めながら溜息をつく。まぁ、20歳になったから飲める方だった。
カルピスサワーの入った酒を飲みながら、リーザといろんなことを語り合った。
「へぇ、ルークには日本人の子がいたの?」
「…ああ。リーザに似てるよ、顔がね…何か君と気が合うなって」
「フフッ、そんなに体が逞しい子だったら嬉しいのにね…」
リーザは生まれつき、体が弱かったという。それでも遊びまくって、体力を身につけたことで逞しく成長した。
社交的で天真爛漫なケイティとは大違いだが、ケイティも幼馴染の1人で仲良くしていた。
「まぁ、良いんじゃないかな…」
「ふふっ…」
僕はリーザと楽しく語り合いながら、少しずつ飲んでいた。だいぶ、時間が経過した頃には眠ってしまった。
気持ち良さそうに寝ていた僕の肩を揺り起こす、誰かの声が聞こえた。
「…ク、ルーク起きて!」
「…んー……ぅん…?」
目を覚ますと、見覚えのある幼馴染・ケイティが心配そうに顔を覗き込んでいた。
ふと、リーザが居ないことに気付いて起きた後に大きく欠伸する。ケイティが僕を見かねて気遣った。
「随分探したよ、リーザに聞いたら…ここに居るって言うからさ」
「ケイティ、リーザと知り合いだったのかぁ?」
「知り合いって言うか、友達よ…まぁ、リーザは先に帰ったけどね」
「そっかぁ…っていうか、何時…?」
「もう12時よ。夜遅くまで飲んでたなんてね…あんた、リーザに何したの?」
ケイティに突っ込まれて、思わず苦笑するしかなかった。僕の幼馴染はケイティしか居ないのだから…。
事情を説明するより、家に帰ってからの方が良さそうなので話しやすい。
「事情は…僕の家で話すから、良いよな?」
「ったく、しょうがないなぁ…いいよ。ルークの家でたっぷり聞かせてもらうから!」
ケイティは腕を組みながら、眠そうに欠伸した僕を見て睨みつけた。
その睨み方が怖すぎて、ビクってなってしまうのは気のせいか…しょうがないので、気を取り直して話すことだけしかなかった。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.70 )
- 日時: 2013/04/23 18:59
- 名前: 雪桜奇 ◆6lIu8UWfps (ID: GIGCA8D2)
お任せで構いません!
うわぁー外人さんすげぇー。
よく告白できるなー。
私には絶対できないね!
亞「普段の暴走は?」
それはそれ、これはこれ
確かにき身長高いほうだけど昔から高いほうだったから私成長期っていう成長期なかったんだけどね←
でも成長期はなめちゃいかん!小学校のころ自分より低い男子がいつの間にか私を抜いていたし、自分より5cmほど低い子がいつの間にやらほぼ160にいってたし、何かさみしい←
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.71 )
- 日時: 2013/04/23 19:24
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
>>70 雪桜奇
うん、私もあんな風にはできないね!
外人は意外とストレートなんですよー!!
あー私の時もそうだったなぁー
何か男子に抜かされてるみたいで悔しかったのは覚えてるわ(−−;
でも、男の子は意外と伸びるもんなんだなぁってつくづく思ってしまった(^q^)
こちらで服装を出すので、イメージに合うかどうかはストーリーを読めば分かると思います((エ
そろそろ、第7章の続きを更新しちゃいますか!!
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.72 )
- 日時: 2013/04/23 23:23
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第7章の続き(ルーク視点)
自宅に到着した頃、僕は玄関のドアを開けて入った。そこで迎えてくれた双子の兄・リーフが待っていた。
リーフは心配そうに僕とケイティを見つめていたが、思わず苦笑しながら溜息をつく。
「お帰り。随分と遅かったじゃないか、何してたんだ?」
「リーザと酒飲んでて…って、それ言っていいのかな…」
「リーザって…確か、ケイティの友達だったリザルダ・ホールド?」
「うん、そうだけど…兄貴が何で知ってんの?」
リーフもリーザのことは知っていたらしく、高校時代にケイティを通じて仲良くなったらしい。
ケイティは僕を見て、2階に行こうと促す。リーフに挨拶してから、2階にある部屋に向かった。
部屋に入ったのと同時にフラフラしながら、ベッドに倒れ伏した。ケイティは溜息をついて、隣に座る。
「ルーク、飲み過ぎ!」
「リーザに誘われたんだから、しょうがないだろォ…」
「そりゃ、飲みすぎてしまうのもいかがなものかね…」
「なんだよ、ケイティ…僕のこと気遣ってくれてんのかぁー?」
ヒックと呻きながら、仰向けに横たわったままでケイティを見た。ケイティは思わず首を傾げた。
「気遣うどころか、あんたはいつもそうでしょうが…」
「…あ?」
「いつも寝ると起きないのがルークらしいよねー」
「なんだよォ…ケイティに起こされても、絶対に起きるよー」
「フッ…そうね。ルークは私の声だけ反応するくせに、リーフたちの声を聞いても起きないんだよねェ…」
図星を突かれ、ケイティに何も言えなかった。ケイティは幼馴染なのに、僕のことは何でも分かっている。
そういうところがあって、面倒見が良くてしっかりしている…彼女の明るさが僕の心を癒してくれた。
「うるせぇ…そんなのどうだって良いだろォ…」
「あら、よく言うじゃない…そういえば、リーザからお礼のものを渡してって言われた」
ケイティはガザガザとバッグの中を漁り出して、僕にあるものを渡す。
それは、僕の大好きな推理小説の本だった…どうして、彼女がその事を知っていたのか。
「これ、僕の好きな推理小説じゃないか…」
「リーザがね、ルークのこと気に入ったらしいのよ。だから、お礼としてくれるってさ」
「なんだよ、それ…まぁ、有り難く受け取っておこうかな」
推理小説はシャーロック・ホームズが好きでよく読んだものだ。幼い頃からずっと育んできたケイティとの絆を失いたくない。
幼馴染と言う存在があってこそ、大切なものができた…これはリーザのプレゼントだと思って、大切にしようと思った。
「フフッ…そうね、ルークらしくていいと思う」
ケイティの笑顔を見て、僕は本を持ったまま頷く。彼女にリーザのことが好きだということを言えないで居た。
だから、大切なものを守りたい…そう思ったのは、リーザとの出会いがあってこそ。
(傍にはリーザが居る…僕には、彼女を守る役目があるんだ)
ケイティには打ち明けられない思いを胸に込めて、言わないでおこうと思って考えた。
しかし、1年も続いた後に僕たちを襲う悲劇が待つことになろうとは想像していなかった。
1年後、大学3年生になった。僕は学校が終わって、リーザと一緒に酒を飲みながら過ごす日々を送っていた。
酒浸りというわけではないが、たまに誘われては遊ぶようになった。ケイティも事情を把握していたので、何も言わなかった。
いつものように、『Dark Crown』という居酒屋で酒を飲んだ。リーザとふざけあって話していた僕はかなり酔っ払っていた。
「リーザ…僕と付き合って、1年になるけどさぁー」
「うん、ルークは良いヤツだから大丈夫よ。でも、近くで通り魔事件が起きてるなんて…」
最近になって、通り魔による殺人事件が相次いでいた。噂では、赤い瞳をした男に刺されたということが話題になっている。
赤い瞳と言うのは、両目につけられていたものなのか…それとも、生まれついての目だということも考えられるのではないか。
「そんなこと気にしてんならさぁ…今日はお前の家まで送ってやるよ」
「いいの、ルーク?」
「いいって…送っていくだけだぞー?」
酒を煽りながら飲んでいた時、CCMが鳴った。眠そうにズボンのポケットから取り出して開く。
着信の差出人は、ケイティ・ライトだった。折り返しで電話して、耳に当てた。
「…もしもし?」
『あっ、ルーク…帰り、遅くなるようだったら…迎えに行ってもいいよ」
「ごめん、リーザの家まで送ることになった…後で迎えに来てもらっていいかな?」
『うん、いいよ…最近、通り魔が起きてるから気をつけて…』
「うん、分かってる…ケイティ、僕は大丈夫だから心配するな。じゃあ、また後でな」
電話を切り終えた後、リーザは不安そうに外を見つめていた。首にかけているペンダントを手に取りながら、気にしている様子だった。
「…リーザ、どうしたぁ?」
「ルーク、何か嫌な予感がするの…」
「バーカ…なーに言ってんだぁ、酒を飲んで帰ろうぜ」
冗談っぽく言ってやると、リーザはあまり乗り気ではない様子で不安そうな表情を醸し出していた。
仕方なく、グラスに残っていた酒を飲み干したのと同時にヒックと呻いてから立ち上がる。
会計で飲み代を払って、外に出る。真っ暗になっていたので、2人で手を繋いで帰ることにした。
「ったく、しょうがねぇな…送ってやるから、気をつけていくんだぞ」
「うん、分かってるよ…」
歩きながら帰ろうとした矢先、風のざわめぎが聞こえた。どこからか、強い風がヒューヒューと吹いている。
その時、ザッザッと何かが歩く音が…リーザは不安そうに僕を見てしがみつく。
「ルーク、何かが来る…」
「やべぇな…これ、本当に例のヤツが来る…その合図と言うわけか?」
その瞬間、何かがリーザの背中に刺さる音がした。振り返ると、リーザの背中にはナイフが突き刺さっていた。
目の前にスウッと影が現れ、顔を上げると…不気味に赤い瞳をした男が立っている。
「お前…リーザに何した!?」
そう言ったその時、男は無言でリーザの背中に刺さったナイフを抜いた。すると、ナイフを持って襲い掛かった。
男はリーザに向かって、何度も執拗に刺すように苛立った様子を見せる。
僕はそいつに向かって、ドンと押して胸倉を掴んだ。怒りを膨らませ、最高潮に達した。
「リーザになんて酷いことするんだ!?」
「ククク……君は絶望の淵に陥れてもらおうか…」
「何だとォ…!?」
赤い瞳をした男の両目から眩い光が放たれたのと同時に意識が途切れた。
意識が戻った頃には、病院のベッドに寝かされていた…目の前にケイティとリーフが心配そうに覗き込んでいる。
「ルーク、大丈夫?」
「……ぅん…、それより…リーザは?」
ケイティとリーフに問いかけると、無言で俯くように顔を伏せた。どうやら、その様子だと…嫌な予感がした。
リーフの口から告げられた言葉…それは僕を絶望に陥れようとしているように伺えた。
「リーザは…死んだ。あれだけ執拗にナイフで刺された痕が多かったからな」
「うっ…嘘だろ、そんな…リーザ、何で…」
ショックを受けて、動揺を隠せなかった。その時、ケイティがポケットからあるものを取り出す。
それはリーザが身につけていたペンダント…ケイティは無言で僕の首にかけてくれた。
「リーザの形見となってしまったようね…」
「…僕、どうすりゃ良いんだよ……」
「ルーク…」
リーザを亡くし、孤独に陥ってしまう。退院後、僕は再び学校に通い始めた。
授業が終わると、いつものように通っていた『Dark Crown』に入り浸って飲むようになった。
カウンター席に座って、1人で飲んでいると…心配そうに見つめた日本人のオーナーが気にかけて話す。
「ルーク、飲みすぎちゃいかんぞ。彼女を亡くしたくらいで落ち込まない方がいい…」
「うるせぇ…どうだっていいんだよ、そんなこと。リーザがいない酒場で飲んでもしょうがねぇだろ…」
夜遅くまで飲んで、かなり酔っ払った頃には深夜1時を回っていた。店を出ると、見覚えのある女性が腕を組んで待っていた。
「ケイ…ティ…?」
「…やっぱり、そこにいたのね」
「なんだよ…酒飲んで気が済めばいいじゃねーかぁ」
「ルーク、飲み過ぎ! とりあえず、今日は私んちに泊まって…」
ケイティは僕の様子を見て、気遣っているようだ。寂しげに溜息をついているのが気になった。
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