二次創作小説(紙ほか)
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- 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方
- 日時: 2013/05/31 22:38
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=10082
【読者の皆様へ レッドからの挨拶】
ダンボール戦機Wの小説でお馴染みのレッドです。
第2部の第1作【バン×ハルと失われた過去】の小説が終わった時点で新たに第2作を描くことになりました。
上記の参照に【バン×ハルと失われた過去(改)】のアドレスを載せておきます。興味のある方はクリックして読んでみて下さい♪
タイトルは【バン×ハルと忘却の彼方】です。
このようなタイトルに決まったのは、ハルの過去に繋がる記憶に出てくるオリキャラが1人くらい出ることを意味しています。
アメリカにいた時の記憶を中心に語られるオリジナルストーリーになります。
ミステリー×LBXを交えた謎解きアドベンチャーは今後も継続して描いていきます。
この小説はハルの兄・人見光一が登場します。
今回は大学4年生になる前のオリジナルストーリーになる予定です。
【原作:完結した作品】
第1作:バン×ヒロと黒影の亡霊
本編は全20章で完結、番外編は全16章で完結しているぞ!
ダンボール戦機Wの小説を描くにあたり、記念すべき第1作はホラー×ミステリーを交えた本格的な謎解きアクションアドベンチャー!!
第2作:バン×ヒロと過去の追憶
前作の【黒影の亡霊】の続編となった待望の第2作!
本編は全30章で完結、番外編は第25章で完結しました。
全30章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:ナオが記憶喪失していることだけではなく、ハルの過去に隠されたエピソードも収録している。
番外編では初登場した聴覚障害を持つ少年・船津直紀を取り巻く展開を中心にストーリーを進めていく。
これまでにないオリジナルストーリーを展開させることで前にも増して、文章力を上げることでクオリティをパワーアップさせた。
第3作:バン×ヒロと怨炎の幻想(ミラージュ)
前作の【過去の追憶】の続編となった待望の新作!
本編は第40章で完結しました。番外編は第4章まで進んだが、完結できませんでした。
なので、番外編は新シリーズの小説でリニューアルに伴い、執筆させることにいたしました。
全40章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:バンの弟・山野健太&直太の兄弟が初登場していることだけではなく、2人の過去に共通点を持つところがある。
バンが兄としての役割を担うことで、2人の弟をどうやってサポートしていくかというところも見逃せない!!
バンを支える仲間たちとの絆を深めながら、友情と感動を送るという感じになるストーリーも手掛ける。
健太と直太に対するバンの強い思いにも注目してください!!
第4作:バン×ハルと失われた過去
第1部の3作に代わる新シリーズ。第2部の第1作となった作品。
本編は全60章で完結しました。今までにない長編ミステリー小説。
全60章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。
ポイント:バンの妹となる山野リンが登場。リンの過去に隠された壮絶な記憶だけではない。
健太と直太の2人と共通点を持つことが判明。姉弟ということもあり、ある出来事をきっかけに絆を深めていく。
バンが兄としての役割を担うことで、リン・健太・直太をどうやってサポートしていくかというところも見逃せない!!
バンを支える仲間たちとの絆を深めながら、友情と感動を送るという感じになるストーリーも手掛ける。
リンに対するバンの強い思いにも注目してください!
【お客様】
シグレ:この小説に初コメしてくれた人です。友達だけど、ダン戦好きな人で気が合う! 2次(映像)でポケモン小説を描いておりますぜ♪ キョウヘイ君とヒュウさん、カッコイイ!! そして、メイちゃんもかわいい!!
たま:この小説に初めて来た人ですが、ダン戦好きで気が合います。映像の方でイナイレの小説を描いております。ロコちゃん、可愛すぎる!
タク:私の小説に初コメしてくれた人です。ダン戦シリーズの小説を読んでいて、凄く面白いと言ってくれました。本当にありがたいです♪ ポケモンの小説を描いておりますぜ♪
姫佳:2次(紙ほか)でイナイレの小説を描いてます。仲良くさせていただいてるので、たまにコメントをくれる親友です。輝姫・ティアラ・ここちゃんが可愛すぎる!!
雪桜奇:元は凛々でしたが、改名しました。この小説にコメントをくれる親友ですが…亞夢さまと和輝君をオリキャラとして使わせていただきます。亜夢さまと和輝の幼馴染コンビ、最高!!
【オリキャラ募集のお知らせ】
オリキャラの応募方法 >>34
この度、今作から応募方法を入れて募集することに致しました。
前作までは自らオリキャラを出してくださった方がいたので、今作から募集を行うことになりました。
読者の皆様のオリキャラ投稿、待っています!
【本編:キャラクター原案・構成】
本編の登場人物設定 >>1
バンたちの登場人物が設定されているぞ!
この小説に初めて来た人は読む前に目を通しておいてください。
健太&直太、姉のリン、イナイレの登場人物設定も収録されているので、それも含めて確認しておいてください。
この小説はハルの兄・人見光一も登場します。光一の活躍もお見逃しなく!
竜胆イブキ&桜崎トモミの登場人物設定 >>49
タクが出してくれたオリキャラです。この小説に出すということで応募して下さいました。
2人は幼馴染という設定で登場しますが、ハルの知り合いということもあり、LBXも載せております。
読む前に確認して、クリックしてください。登場予定は第9章〜第10章の予定です。
夢ノ崎亞夢&光ヶ丘和輝の登場人物設定 >>58
雪桜奇(凛々)が出してくれたオリキャラです。どうしても出したいということで応募して下さいました。
亞夢たんと和輝の幼馴染コンビがどうやって活躍するのか、そこを見逃すな!
登場予定はまだ未定ですが、10章以降の可能性あり。もう少しストーリーを進めた時にタイミングを計った上で考えて決めます。
【本編:ストーリー原案・構成】
第1章〜第4章:ミソラタウン編
第5章〜第7章:アメリカ(予定:ルークたちとの再会)
第8章〜 :謎かけ編(ハルの記憶喪失に関する謎など)
【本編:目次(ストーリー進行具合)】
第1部:ミソラタウン編
序章(プロローグ) >>6
第1章 7年が経過したミソラタウンでの日常…ハルの様子に異変を察したバンの違和感とは? >>10 >>16
第2章 7年前の事件に隠された謎とは? >>20 >>23
第3章 ヒロ&ナオの幼馴染コンビ登場!(前編)…バンからの大事な話とは? >>29
第4章 ヒロ&ナオの幼馴染コンビ登場!(後編)…2人が下した決断とは? >>33
第2部:アメリカ編(ルークとの再会、過去の出来事)
第5章 7年ぶりのアメリカ…そこで待ち受ける展開とは? >>39 >>42
第6章 7年ぶりの再会Ⅰ 幼馴染のルークに対するハルの思い >>43 >>60
第7章 7年ぶりの再会Ⅱ ルークの壮絶な過去…いったい、何が? >>69 >>72 >>86
第3部:謎かけ編(ハルの記憶喪失、事件に関する謎など)
第8章 ハルに忍び寄る影(前編)…その背景には、何が? >>91 >>93
第9章 ハルに忍び寄る影(後編)…ハルが記憶喪失!? >>95 >>100
第10章 桜崎トモミ&竜胆イブキの幼馴染コンビ登場! >>103-104
第11章 もう1人の幼馴染・高橋輝美との再会(前編) ハルに対するテルの思いとは? >>105
第12章 もう1人の幼馴染・高橋輝美との再会(後編) ハルは犯人を目撃していた? >>113
第13章 ロサンゼルス市警・捜査一課(前編) サイモン・マックロン登場! >>116
これからも応援よろしくお願いします!
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.103 )
- 日時: 2013/05/20 07:26
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第10章 桜崎トモミ&竜胆イブキの幼馴染コンビ登場!
(ストーリーモード:バン)
ここ最近、酒を飲んで帰るようになった。ハルが記憶喪失になったこともあり、それに悩まされてしまう日々を送っていた。
いつものように、酒場で酒を飲んでいた。ベロベロになるまで飲み、泥酔状態になる頃には午前2時を回っていたのだ。
「うーい…っく、ヒロたちに咎められちゃあ、しょうがねぇなぁ…」
フラフラと千鳥足で歩きながら、酒場近くの公園に向かった。そこに辿り着くと、ベンチが設置されている。
そのベンチに座るなり、眠そうに欠伸する。飲みすぎたせいで寝こけてしまうのもいかがなものか。
ふと、CCMに着信が来た。どうせ、ルークからだろう…って思いながら、眠そうに開けると、後輩の大空ヒロだった。
(…ヒロ?)
珍しいな、こんな時間に電話してくるなんてさぁ…ちょうど良いや、迎えに来てもらうか。
眠そうに通信を繋げると、テレビ電話のようだった。画面にヒロの顔が映る。
『あっ、やっと繋がった…っていうか、帰るの遅いですよ!』
「あーはいはい…遅くて悪かったなぁ、今から迎えに来てくれねぇ?」
『はぁ…ったく、しょうがないなぁ…迎えに行きますから、寝ないで下さいよ』
ヒロは呆れながら、溜息をつく。しょうがないから、迎えに来てくれるということが有り難かった。
酒を飲み、酒場で遊びながら寝る…という生活もあって、ヒロやハルに注意されることが多い。
「ぅん…そうするよ、ハルはどうしてる?」
『あぁ、彼女は珍しく起きてますよ。バンさんのことが心配だからって…』
俺が帰ってくるまで待っててくれている…記憶喪失になっても変わらない。
ハルの気持ちは分かるが、記憶喪失になっても変わらない心配性が出ているとは想像していなかった。
「あぁ、そっかぁ…」
電話していたら、ヌウッとハルの顔が出た。ヒロはビックリしたが、すぐに渡してくれた。
ハルはムスッとした顔をしながら、俺の顔を見て顰めた。そんなことで怒るなよ。
『バン君、帰ってくるの遅いっ!』
「しょうがねぇだろォ、酒飲んでんだからぁ…」
『はぁ…ヒロ君と一緒に行くから、大人しくしててよ』
ハルの声を聞いたヒロが目を見張る。本気で迎えに行く気満々か…しょうがないから認めてやることにした。
「ったく、しょうがねぇな…分かったよ、待ってるからさ」
『今、どこにいるの?』
「酒場近くの公園…」
ヒック、と呻きながら唸った後に大きな欠伸をして、眠いのを堪えた。
ハルは溜息をついて、思わず苦笑した。しょうがないから、ヒロと一緒に迎えに行くことにしたらしい。
命を狙われてんのに…なーに、のん気なこと言ってんだか。彼女の気持ちは分からないまでもなかった。
『分かったわ、ヒロ君と一緒に行くから待ってて』
そう言って、テレビ電話を終えた。本当に相変わらず、強引なヤツだと思いながら苦笑するしかない。
流石に凄く眠い…ズボンのポケットにCCMを入れたのと同時に目を閉じた。
****
数分経って、気持ち良さそうに寝ていた俺の肩を揺り起こすのと同時に聞きなれた声が聞こえる。
「…ん、バンさんっ!」
「ん…ぅん……」
目を覚ますと、ハルとヒロが心配そうに覗き込んでいた。ボンヤリとした視界が晴れて、眠そうに起き上がった。
ヒロが俺を見て溜息をつき、肩を貸すからと言ってくれた。フラフラと立ち上がり、ハルを見る。
「全く…どれだけ飲んでんの、バン君」
「うるせぇ…飲んだっていいだろォ…」
不満そうに言いながら、眠そうに欠伸する。その時、向こう側が騒がしいことに気付く。
そこに向けると、2人の男女ペアが不良グループに囲まれていた。どうりで騒がしいと思ったわけだ。
「へっへっへっ、お譲ちゃん…俺らと遊ぼうぜェ?」
「嫌ですっ!」
その女の子はキッパリ言い放った。黒くて長い髪…頭に黄色のカチューシャを付けている。
ピンクのシャツに白いパーカーを着ているが…水色のスカートを履いており、タイツも履いていた。
女の子の様子を見ていたが、どう見てもヤバい感じがした。俺はヒロから離れて、フラフラと千鳥足で歩きながら言う。
「ちょっと待てよ、お前らぁ…」
4人の不良グループに突っかかって言う言葉がそれだった。そいつらは俺に顔を向ける。
何か気に食わないというような顔をして、リーダー格の少年が俺に突っかかりながら話しかけて来た。
「なんだぁ、酔っ払いは引っ込んでろィ!」
「うっせーな、その女の子に手を出すんじゃねえ…そうしないと俺が相手になってやらぁ」
売られたケンカは必ず買う主義なので、不良グループの4人組を叩きのめすことができる。
その女の子の隣に居た青年は俺の隣に立ち、溜息をつきながら睨みつけた。
「何か面倒くせぇけど、俺も相手してやるぜ」
「お前、名前はなんて言うんだぁ?」
「竜胆イブキっす、よろしくな」
ヘッドフォンを付けており、ボイスレコーダーを首からぶら下げている。
黄色のフードが付いた、灰色のトレーナーを着ている。また、青のジーンズをはいている。
不良っぽい、逆立った茶髪も特徴の1つだ。こいつ、やる気ありそうだな。
「何だとォ、テメェら…ちょうどいい、叩きのめすかっ!」
4人で一斉に襲い掛かってきた。イブキと俺は2人ずつ、相手にして殴ったり蹴ったりした。
その様子を見ていたヒロとハル、女の子は呆然と見つめていた。ハルは溜息をつくばかりだった。
「バン君って…なんで、ケンカしやすいの?」
「いや、ケンカしやすい方じゃないはずなんですけど…」
「そうなんだ…」
ハルがそれを言い終えた頃、ケンカは終わっていた。パンパンと手を叩きながら、溜息をついた。
こいつら、本当に不良かよ…どうりで弱いわけだ、いい加減に突っかかってくるの止めてほしい。
3人のところまでやってきたのと同時に女の子がイブキに向かって話しかける。
「イブキ、あんた…ホントに怪我してない?」
「…あぁ、怪我してねぇよ。トモミを巻き込ませたら、確実に死んでたとこだったぜ」
「良かった…あの、ホントに助けてくれてありがとうございました」
俺の方に向かって、女の子はペコリとおじきをして挨拶した。彼女を見て頷いた俺は苦笑した。
「いや、別に大したことしてねぇから…とにかく、無事でよかった」
「ありがとうございます。あれ、そこにいるの…ハルさんですよね?」
ハルの存在に気付いた彼女は目を見張った。彼女がハルを知っていると言うことは知り合いか?
「あぁ、そうだけど…君、名前はなんて言うの?」
「私は桜崎トモミです。よろしくお願いします」
「俺は山野バン、よろしくな」
「僕は大空ヒロです。よろしくお願いします」
俺とヒロはお互いに挨拶してから、ハルを見やった。彼女の顔を見ると、不安そうな表情をしている。
トモミがハルを見て、訝しげに首を傾げる。その時、イブキがハルを見て気付く。
「なぁ、もしかして…ハルさん、記憶喪失ですか?」
その台詞を聞いたトモミは目を見張り、『嘘でしょ…』というような顔をしていた。
まさか、ハルが記憶喪失に陥っていたとは想像していなかったのだろう…それは俺らも同感だった。
「えぇ、ハルさん…記憶喪失なんですか?」
「そうだよ。この前の事件で巻き込まれて、そのショックで記憶を失ったんだ…」
「なるほど、どうりで思い出せないというわけなんですね。何かあったんですか?」
トモミは腕を組みながら、ハルを見て気遣う。記憶が戻るまでの間、力になってあげられたら…という想いが強くなった。
イブキは溜息をつき、面倒くさいことに巻き込まれたというような顔を見せた。
「ここで話すのは…ちょっとな、明日か明後日の午後はどう?」
「あっ、明日なら大丈夫です。イブキ、あんたも平気だよね?」
トモミは即答しながら頷き、イブキに話を吹っかけた。イブキは肩を叩きながら溜息をつく。
「面倒くせぇけど…まぁ、俺も明日は空いてるから行きますよ」
「イブキも一緒に行くんだね。あっ、私たち…実は幼馴染なんです」
トモミとイブキは幼馴染らしく、アメリカに留学しているということだった。
なぜ、2人がハルのことを知っていたのか…その事については、明日になってみないと分からない。
「じゃあ、俺らは帰るからな…」
「はーい、気をつけて帰ってくださいね!」
トモミとイブキに見送られながら、公園を出た。ルークの運転する車に乗り、俺たちは帰路についたのだった。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.104 )
- 日時: 2013/05/28 22:55
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
ルークの家に着くなり、3階にある4人部屋に向かう。ドアを開け、フラフラと歩きながら顰めた。
その様子を見たハルが気付いて、その先にあるソファに目を向けた。広も首を傾げて、気にかける。
「バンさん、ソファで寝るんですか?」
ヒロの声を聞きながら、ソファに寝転がった。ベッドじゃなくてもいいから、どうしても寝たい。
その気持ちは分からなくもなかったが、ソファで寝るよりベッドの方が良いだろう。
「うっせ、そこで寝ちゃいけないって言いたいのかぁ?」
「いや、そこまで言ってないですよ?」
「だよなぁ…っていうか、ヒロ」
「はい?」
ヒロを促して、その前まで来させる。首を傾げながら、歩み寄ってくるヒロを見て頷く。
やっぱり、ハルを放っておけないか…そうだとしても、記憶がいつ戻るか分からないのに、落ち着いていられない。
「ハルの記憶がいつ戻るか分かんねぇ…その時は俺たちが守るしかないんだ」
「はい…そうですね、ハルさんの記憶がいつ戻ってもおかしくないはずなのに-------------------」
ヒロはベッドの上に座りながら、心配そうに俺を見ているハルに気付いて、チラッと見やる。
彼女の記憶が戻ったら、何かしてあげたい…というのもある。幼馴染だからこそ、分かる気持ち。
それに気付いて、優しく接してやらないと気が済まない…ハルのことだから、記憶が戻れば呼び捨てで呼んでくれるはずだ。
「あぁ、そうだよな。記憶が戻らないわけにはいかないな…だったら、俺らでハルのためにできるだけのことを尽くすしかない」
俺たちができることはハルのために何か思い出させること…無理に思い出させない程度まで至れば大丈夫だ。
そうでもしない限り、ハルの記憶はきっと戻らないだろう。俺たちもそれを承知して覚悟するしかない。
「そうですね、僕たちもやるだけのことを尽くします…それだけしかありませんね」
「あぁ、そうだなぁ…っく」
ベッドに座っているハルを見て、フラッと立ち上がる。その様子を見たヒロは俺を見て、首を傾げた。
「…バンさん?」
「ヒロ、お前はもう寝ろ…俺は寝る前にハルと話したいことがあるからよ」
「分かりました。じゃ、おやすみなさい」
ヒロは2段ベッドの上に上って、中に入る。ふと、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
その隙に俺はハルのベッドの上に乗って、呻くように突っ伏す。それを見て、ハルは心配そうに声をかける。
「バン君…」
「俺のことは呼び捨てでいいよ…記憶をなくす前はそうしてたんだからさぁ…」
「そっか…バン、何でこんなになるまで飲んだの?」
「飲み過ぎて、何が悪いんだぁ…ったく、ホントにそういうところは変わってねぇな」
記憶がなくても、俺に突っ込んでくれる…ハルのそういうところが好きだった。
俺の大切な存在…それが幼馴染の人見晴香だ。記憶がないなんて聞いた時は信じられなかった。
というより、信じたくない…夢であってほしいと思っていたが、現実を受け入れるしかなかったのだ。
「え、どういうこと?」
「まぁ、記憶をなくす前のお前はそんな感じで突っ込んでた」
「そうなんだ…でも、何で夜遅くまで飲んでくれて…飲み過ぎだよ」
「…しょうがねぇだろ、酒を飲むのが好きだから良いじゃんかぁー」
そう言ってやると、ハルは俺を見て顰めた。酒を飲むのは良くない…と言うような顔をしている。
彼女の気持ちは分かるけど、どうしても飲みたくなる性分なのだ。居酒屋で飲まない限り、飲みすぎは良くない。
「だって、バン…夜遅くまで飲んで、何がしたいのよ」
「何って…別に遊んでるだけじゃんかぁ、英語で喋れるんだからな」
「バンって、英語…喋れんの?」
「喋れるよ。日本で授業受けて習ってたくらいだ、あれだけ喋れて当然だろォ?」
「あ、そうだね…ねぇ、アメリカだよね?」
アメリカだということが分からないで居たのか、記憶喪失しているのも頷けた。
しょうがないから、アメリカのことを話した方がいいのかもしれない。彼女が記憶を取り戻すきっかけになれれば、と思っている。
「あぁ、そうだ。ここはアメリカのロサンゼルスだ…お前の第2故郷さ」
「もしかして、私が住んでいた場所…だよね?」
「うん。お前は小学校の時に親父さんの都合でアメリカに引っ越していったんだ…中3になって、日本に戻ったけどな」
小学校の時に父親の仕事の都合でアメリカに引っ越していった。中3になって、日本に戻った。
その時の記憶は鮮明に覚えている…中2の時にベクターによるゴーストジャック事件で再会したのがきっかけだ。
ハルと別れる前、アメリカのロスにある遊園地で遊んだりしたことが懐かしい。
「そうなんだ…」
「あぁ、お前の生まれ故郷は日本だ。東京のミソラタウンっていうところだぞ」
俺のことは誰よりも知っている…それがハルだった、その記憶がないのを受け入れたくない。
やっぱり、ハルを守るべきなんだ…それが記憶を取り戻すことができるきっかけだとしたら、助かる可能性はあったはずだ。
(ホント、正直に言って信じたくねぇ…)
記憶を取り戻すしか方法はない…それを何とかしてあげたい、その気持ちがますます強くなった。
その時、ハルがベッドの上に置かれている毛布の中に潜り込んだ。もう遅いから、そろそろ寝ようか。
「…んー?」
ギュッと裾を掴まれたので、振り返ると不安そうなハルの姿が…彼女の気持ちは分からないまでもない。
仕方がないので、一緒に寝た方が楽になるだろう。それがいいと思って、ベッドの中に潜った。
「しょうがねぇな、怖がりなところは変わらないなぁ」
「一緒に寝てよ、バン…」
「あぁ、いいぜ…2人で寝よう。安心して、目を瞑ってな?」
ハルを促すと、素直に頷いた後は気持ち良さそうに寝息を立てていた。ふと、睡魔が襲ってきた…だんだん、深い眠りに落ちていった。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.105 )
- 日時: 2013/05/29 14:33
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第11章 もう1人の幼馴染・高橋輝美との再会(前編) ハルに対するテルの思いとは?
ハルが記憶喪失してから、数日経ったある日…1人の女性がダウンタウンにやってきた。
その女性は頭にカチューシャのようなものをつけ、肩にスポーツバックをかけている。服装はカジュアル系で、動きやすいタイプ。
下にはズボンも履いており、サングラスをかけていた。ロス市内の大学に進学している。
「くぅーっ、ルークの家に来たのはいいけど…」
背伸びしてから溜息をつく女性の名は高橋輝美。日本人だけど、バンとハルの幼馴染。
通称テル…もう1人の幼馴染といえば、分かるだろう。日本に居た頃の記憶は今でも思い出せるが、アメリカに留学したいと言った時の反応は意外だった。
(今、思えば…懐かしいねぇ、バンとハルはどうしているのかしら)
ふと思っていた矢先、インターホンを押そうとした。その時、玄関のドアが開く。
目の前に現れた青年はルーク・タイロン。ハルがアメリカにいたときの幼馴染で、大学進学したのを機に知り合った。
「ルーク、久しぶりね!」
日本語で喋りながら話すテルの様子を見たルークはコクリと頷く。とりあえず、中に入るように促す。
テルはルークに従い、家の中に入る。ソファに座りながら、テレビを見ている女性に気付く。
「ハル?」
「そうだよ…」
ルークが肩を落としているのを見て、何があったのかというようなしぐさを見せる。
ハルの記憶が戻らないようでは、話すべきこともできない…それを承知で分かりきろうとしていた。
テルは訝しげに首を傾げていたが、何かあったということだけは何となく察することができた。
「ハル、何か様子がおかしいけど…何かあった?」
テルの様子を見て、話すべきか迷っていたルークは溜息をつく。少し息を整え、話す体勢に入る。
「ハルは…記憶喪失になったんだ」
「…えっ、ハルが記憶…喪失!?」
ルークから告げられた瞬間、記憶喪失であることを知らずにいた。テルはマジかというような顔をして驚く。
まさか、あのハルが記憶喪失…そんなことは有り得ない。本当に夢であってほしいと思っていた。
何もかも信じたくない…ハルはいつだって、優しくしてくれた。親友であり、幼馴染でもあるハルのことは忘れることができない。
「あぁ、この前の事件がきっかけでな…記憶喪失になったのは、病院に運ばれた時さ」
「それで、ハルの様子がおかしかったのは…記憶喪失していたから、何も思い出せないで居た…ということ?」
勘が鋭いテルはハルのことで思い当たる節があった。両目に赤い瞳をした男の正体は未だ分からない。
記憶をなくしてしまうのも、事件が起きたことによるショック…それが原因で記憶を失ったことも有り得る。
ただし、少しずつ取り戻しかけているとも聞いていたが…ルークとは連絡を取り合っていたので、ハルに会うことも目的の1つだ。
「そういえば、バンは?」
「バンなら、上の4人部屋でゆっくり寛いでるぞ」
「あ、そう…バンに会ってもいいかな、あいつに言いたいこともあるしね」
幼い頃、保育園で一緒だった山野バンとは幼馴染の1人だった。基本的には仲が良い方だ。
今ではイケメンになり、酒を飲む機会が増えたとも聞いている。
大学留学するようになってから、しばらく会っていないというのが現状だ。日本に帰国する機会は何回かある。
「そうか…バンに会うなら、飲み過ぎないようにって言っとけ」
ルークの言っていることが分からなかったが、バンは酒を飲むことがよくあるとか聞いていたような気がする。
それは差し置いて、上に通じる階段を上って4人部屋のある階に向かった。
「へぇ…ここが4人部屋のある階かぁ…」
テルはそう言いながら、4人部屋の前まで来た。久しぶりの再会に胸を躍らせて、ドアに手をかける。
その時、タイミングよくドアが開かれる。目の前に現れたのは、アホ毛の青年だった。
「…ヒロ?」
「テルさん…?」
大空ヒロを見て、呆然とする…なぜ、ここにいるのかということを知らなかった。
突然の再会に驚いていたが、ヒロは苦笑しながら溜息をついて頷く。何でここやってきたのか。
「テルさん、久しぶりですね。何でここにいるんですか?」
「大学の授業が休講になってね、こっちに来たってわけよ」
「そうなんですかぁ…っていうか、バンさんに会いに来たんですか?」
バンに会いに来たのは言うまでもない。ヒロは苦笑しつつ、無言で顎をしゃくりながら見るように促す。
首を傾げつつ、ヒロの視線を追って見ると…ソファに横たわりながら、気持ち良さそうに寝ているバンの姿。
ソファの下には、缶ビールらしきものが8本くらい転がっていた。酒を飲み過ぎて寝ているということか?
「飲み過ぎでしょ…どんだけ飲んだのよ、もう!」
「まぁまぁ、怒らないであげてください。バンさん、かなり悩んでましたからねぇ…」
「あいつが悩んでた…それって、ハルのこと?」
「えぇ、それもあります。詳しいことは分かりませんが、本人に問い詰めた方がいいと思います」
バンに何かあることは気付いていた…記憶喪失になったことが原因で、未だショックを受けているのか。
仕方ないので、ヒロと別れたテルは4人部屋のドアを閉めて、中に入る。
(ったく…どれだけ飲んだのよ、ハルの苦労も分かりなさい!)
ソファに寝転がって、気持ち良さそうに寝ていたバンの肩を揺り起こして、声をかける。
「バン起きて、ちょっと聞きたいことがあるんだけど!」
肩を揺さぶりかけて起こそうと試みるも、気持ち良さそうに爆睡していた。
かなり飲んだのか、ベロベロになりかけているようだ…仕方がなく、もう1度強く起こす。
「いい加減に起きてよ、バンってば------------------」
右手で拳を握って、思いっきり殴ろうとしたその時…ギュッと右手を掴まれる音がした。
「…っ!?」
気付けば、バンの左手に掴まれていた…眠そうに目を開けているバンを見て驚く。
だるそうに握ったまま、上半身を起こして姿勢を正すようにして座る。隣が空いたので、そこに座った。
「久しぶりだなぁ、テル…俺に突っかかって殴るとは良い度胸じゃないかぁー」
「久しぶり、バン…だって、飲みすぎるのもいい加減にしないとダメでしょうが!」
幼馴染のだらしない姿を見て呆れた。アメリカに来たらしいことは聞いていた。
ハルが記憶喪失していたとは…信じたくないが、バンに聞くのもありではないか。
「うっせ、飲み過ぎて何が悪い…っく、ハルのヤツが記憶喪失になったこと知ってた?」
「さっき、ルークから聞いたわ。どういうことなの、その事件が原因で?」
「あぁ、そうみたいだな…記憶を失ったのは間違いないさ。あの日、俺はヒロと一緒に酒を飲んでた」
事件があったその日は、女子と男子に別れて行動することになっていた。
その時、バンとヒロは居酒屋で酒を飲みながら語り合っていたという…結局、夜遅くまで続いたらしい。
一方、ハルたち女子は思いっきり遊びまくっていたらしい。
深夜1時ちょうど、飲んだ帰りに酔いを覚ましていた矢先…ルークから緊急連絡が入り、ハルとナオが病院に運び込まれたとのことだった。
「えっ…ナオも運び込まれたって---------------」
「その時に起きた事件で、赤い瞳の男に拳銃で撃たれてやられたらしい」
「そんな…じゃあ、ナオは助かるかどうか分からないってこと?」
「ああ…記憶を失ったのなら、俺が責任とるべきだったかな…」
バンは顔を顰めながらうなだれたまま、ハルの記憶喪失について考えられなくなっていた。
その気持ちは、テルも分かっていた…幼馴染だからこそ、自分が何をするべきか-------------------
(できることは、私もバンの推理を手伝うことしかない)
その事件の謎を解き明かすしかない…しかし、その謎が深まりつつあることが分かった。
ただ、それだけは言える…バンなら、事件の謎を解き明かしてくれるのだということを-----------------
「バン、私も事件の謎を解きたい!」
「…え、何言って…」
「いつものバンらしくないよ、事件の謎を解き明かすとか考えたことないの?」
テルの言葉に揺さぶりかけられ、黙りこくっていたバンは溜息をついた。
相手は、赤い瞳の男…カラコンしている可能性もあるので、それも含めて考えられる。
そろそろ、謎解きをしてやるしかない。テルの思いも入れて、事件の謎を解き明かしてやらなければ気が済まない。
「そうだな…やってやるか!」
事件の謎を解き明かすべく、いつまでも落ち込んでいられない。テルとバンは力を合わせて、事件解決に向けた。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.106 )
- 日時: 2013/05/29 14:56
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
【今後の予定】
第12章は後編が描かれます。なので、第13章〜は新展開にしちゃいます!
謎かけ編ですけど、今後のストーリーに注目してください。ハルがどのように記憶を取り戻していくのか----------------
第13章〜のストーリーは亞夢と和輝が出ます。凛々にはオリキャラを出させていただき、感謝しています。
なので、トモミとイブキも同時に出す予定ですので、4人が謎解きに協力してくれることになる予定です!
私も頑張って描いていくので、これからも応援よろしくお願いします!
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.107 )
- 日時: 2013/05/29 19:59
- 名前: 剣 (ID: z2eVRrJA)
ギャーーーーーーーーー!!><
ハルちゃんが記憶喪失にいいいいいいいいいいい!!!
これからどうなるのおおおおおおおお!!??(黙れ
水燈籠「……なんとかなるであろう。そう騒がしくするでない。」
黙ってなんかいられるか!!
これは一大事(黙れ×2
水燈籠「……レッド殿、久しぶりであるというのに騒がしい奴で済まぬ。許してあげてください。」
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