二次創作小説(紙ほか)
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- ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜
- 日時: 2015/02/21 19:37
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
二次創作は初です、Va*Chuです( ´ ▽ ` )ノ
私は、「ツバサ -RESERVoir CHRoNiCLE-」及び「ツバサ -WoRLD CHRoNiCLE-」の二次創作を書かせていただきます。どうかよろしくお願いしますo(^▽^)o
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.16 )
- 日時: 2015/03/08 16:04
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.9 解決へのイトグチ
ものすごい音が、窓の外からした。驚いた黒鋼は、ハッとして振り向いた。なんだ、と思ったのも束の間、窓を突き破ったのは大きな手だった。
『非常事態!! 街中に魔神出現!! 住民は郊外に避難せよ!!』
そんな放送が外から聞こえてきた。つまり、この手は魔神である、とそういうことか。黒鋼は手から銀竜を出し、小狼を抱きかかえて戦闘態勢をとった。襲ってくる巨大な手から逃げ、必要以上の戦闘は避ける。小狼を守りながらの戦闘なので、かなり不利である。
「チッ」
舌打ちをし、魔神によって倒壊寸前になった建物からどうにか抜けだした。そのとき、自分の衣服が濡れる感覚があり、見てみると、血に濡れていた。怪我をしたわけではない。———その血は、小狼のもので、腕ではなく頬から流れていた。
「増えて…っ、っく」
魔神は容赦ない。小狼の傷はどんどん増えていた。魔神にやられたわけでもないのに。そして、その血は止まらない。なんでだ、と悪態をつきながら、魔神を切り倒していく。しかし、その数は一向に減らない。それどころか、どんどん増えているように思える。
「くっそ、なんなんだ!」
そのとき、目の前を影が横切った。———ローゼンだった。
「何をしている! 早く逃げんか…ってお前か、何をしていたんだ!」
「今は怒鳴ってるひまはねえだろう! 倒すのが先だ!」
黒鋼が叫ぶ。舌打ちをし、ローゼンは魔神に立ち向かった。
小狼は苦しい息の中で、力の入らない手で剣を握っていた。
「一回…一回でいい…」
もう、うまく力も入らない、呼吸もままならない、それなら。一回だけチャンスがあれば———それで、仕留める。
そのときだった。桜の大木、その中央に亀裂が入ったのは。ハッと意識が覚醒し、視えた、そう思った。
「雷帝招来!!」
その亀裂に、直撃した。
「さくらちゃんっ!」
ハッとサクラは目を開けた。四月一日が、自分の手を握ってくれている。サクラは、ほっと息をついた。
「干渉、できたんだね」
「…うん。できる範囲でしかないんだけど…」
「それでも、少しでも衝撃があれば、それがきっかけになる」
四月一日がにこりと笑った。サクラも、ふ、と笑みをこぼし、そうだといいんだけど、と言う。
「あとはもう、彼ら次第だけど。———信じよう」
「はい」
サクラの強い意志を持った瞳が、力強く頷いた。
魔神を倒すのは、思った以上に骨が折れた。とりあえず郊外にさえ出られればいいのだが。
「おい君、どこへ向かっている!!」
「郊外だ! こいつ連れたまんま戦えるか!」
ローゼンの叫びに、黒鋼は叫び返した。そして郊外の方を向いたときだった。
「な、なんだあれは!!」
ローゼンが叫ぶのも無理はなかった。なぜなら、郊外の森から、空に向けて一筋の強い光が走っていたのだから。
それと同時に、小狼の躯が光りだした。ぎょっとした黒鋼だったが、そのとき、小狼の躯は———消えた。
ファイたちは、大木の中で何かが起こったのを感じ取った。そのとき、亀裂から勢いよく闇が飛び出てきた。驚くひまもなく、ファイとモコナは吹き飛ばされてしまう。
「モコナ、大丈夫!?」
「うん!」
闇は、嫌というほど体に纏わりついてくる。そして、大木からはだいぶ離れてしまい、近づけない。その大木の根元に———
「小狼!!」
傷だらけの小狼が倒れていた。
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.17 )
- 日時: 2015/03/13 19:02
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.10 夢と望み
空へ伸びる一筋の光。黒鋼とローゼンは、唖然としてそれを見ていた。しかし黒鋼はキッと目をきつくし、そちらへ走っていく。
「おい、まさか君、あそこに向かっているとでも言うまいな!?」
「向かってんだよ、悪いか」
「止まれ!! さもなくば、クビにするぞ!!」
クビ、という単語に黒鋼は足を止めた。なぜだ? なぜクビにされねばならないのだ?
「はぁ?」
「前から気になっていたのだよ、君たちの言動はね」
黒鋼が止まったことで焦りが消えたのか、ローゼンの口調が余裕のあるものに変わる。黒鋼は眉を顰め、俺たちが何かしたか、と尋ねた。
「誰とも協力しようとせず、誰かに何か頼まれたらそれを快く承るが何か誘われたら穏便に断る」
「それがどうした」
「さらには、今朝のように隠し事、無断欠席」
「ああ、それは悪かったな」
「協力社会である『魔神狩り』において、それはあってはならないことだ」
黒鋼の言うことを無視して、ローゼンは続ける。黒鋼は急ぎたいのにローゼンに足止めを喰らったので、イライラして貧乏ゆすりをしている。
「しかし、君たちは戦闘能力はそれなりに高い。魔術師が二人もいるし、必要な人材ではある」
「…お前、何が言いたい?」
「上は何も言えないが、私たちは——消したい、ということだよ」
何、と思ったのも束の間、ローゼンの後ろから、仲間たちが出てきた。どうして、と黒鋼は息を呑んだが、ローゼンはにやりと不敵な笑みを浮かべている。
「今回のような、混乱を待っていたんだ。君たちを消すために」
「てめぇ…」
「君たちのせいで、私たちの仕事は激減した。その代償を、ここで受けてもらおう」
要するに、逆恨みか。そう思って、後々やっかいになるだろうからと黒鋼は銀竜を握りしめて言った。
「受けてたとうじゃねえか」
にやり、と笑って。
ゴオオオ、と強い風が吹いている。ファイはモコナを吹き飛ばされないように肩に押さえつけ、前を見やる。桜の花びらが吹雪になって舞い、その中に、小狼が倒れている。気を失っているようで、微動だにしない。
「小狼っ、ファイ、小狼が!」
「うん、わかってる! でも、これじゃあっ…!」
闇に足をとられ、思うように動けない。ファイは指を立て、魔法で障壁のような強い風を破ろうと試みる。
しかし。
「——っ!!」
弾かれた。指先からつ、と血が流れ落ちる。モコナが息を呑む音が耳元で聞こえたが、大丈夫、と静かに返した。何もできなかったと思われたが、今の衝撃で、ゴ、と桜の大木に入った亀裂が深くなった。
「亀裂が…っ」
それと同時に、亀裂からさらに闇が飛び出してきた。吹き飛ばされそうになるのをなんとか踏ん張り、そのとき深くなったと思われた闇が、さあ、と開けた。なんだ、と思い、ファイとモコナは顔を上げた。桜の花びらが、ぶわっと舞い、視界が明るくなる。世界から、全ての音が無くなったかのように、そのときファイの、そしてモコナの耳には何も入ってこなくなった。ただその瞳には、信じられないモノが映っていたのだ。そこに視えたのは———
消えたはずの、『もう一人の小狼』がいたのだった。
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.18 )
- 日時: 2015/03/13 21:19
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
この章が終わりましたら、新章を始めようと思っております。
そこで、誰か出してほしいキャラクター、やってほしい展開を募集したいと思います!
まだ構想の段階ですので、いくらでも受け付けいたします。
どうぞよろしくお願いいたします!!
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.19 )
- 日時: 2015/03/22 20:31
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.11 夢見の視たモノ
黒鋼の表情は固い。相手が多いだけにとどまらず、先輩というだけあってそれなりの実力があるのだ。苦戦しているわけではないが、殺しをすれば他の2人に色々言われることがわかっているので、殺さないように相手をせねばならない。それが黒鋼を悩ませているのである。
「俺たちが消えればいいのだろう。それなら濡れ衣でも着せたらどうだったんだ」
「君たちは口も達者なようなのでね。そんなやり方では通じないと思ったのだよ」
「…なんでそう思う」
黒鋼が応戦をしながら、顔をしかめてそう尋ねた。すると、その一瞬の怯みを見逃さなかったローゼンが、一気に力をかけた。そのせいで黒鋼の体が吹っ飛ぶ。
「なぜって、その私の仲間は夢で全てを視ることができてね。君たちの嘘が全て視えているからだよ」
その言葉に、ハッと黒鋼は振り向いた。吹き飛ばされたせいで、相手は静止しているにも関わらず迫ってくるように見える。その相手の女が、ローゼンの言う仲間のようだ。
(こいつ、夢見か…!)
くそ、と悪態をついて刀を振るい、女の攻撃を防ぎながら体勢を立て直した。まわりを見ると、完全に囲まれてしまっていた。急ぎたいが、受けて立つと言ったのは自分、どうにか昏倒させねばならない。
「嘘、ってなんだ」
「君たちがこの国の住民ではなく、旅人であること。君たちがただの同行者ではなく、仕組まれて出逢ったこと」
全て、視られていた。まさかそんなことまで、と黒鋼は眉を顰めた。ローゼンは勝ち誇ったように嗤う。
「ここまで知られて、これ以上知らぬことなどないのは当然だなぁ?」
「…ここでお前が負けてもいつでも蹴落とせるってか」
「そういうことになるな。もう君に勝ち目はない」
「…ふん、そういうことぬかすってこたぁ、まだ俺の何もわかっちゃいねえな」
黒鋼はふん、と鼻を鳴らした。思ったよりも底は浅そうだ。結局、核心を突かれたわけではない。
「来いよ、続けるんじゃねえのか」
黒鋼は刀を肩に乗せて小さく手招きをし、にやりと嗤った。
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.20 )
- 日時: 2015/03/30 00:22
- 名前: 杏奈 (ID: 0M.9FvYj)
こんばんは!!杏奈です。
実は、どうしようかかなり迷ったのですが、せっかくご連絡いただきましたし、何よりも本当にとても素敵なお話だったので、こちらに足跡を残させていただくことを決めました;;
もう、続きが気になって気になって、仕方がないです!!
小狼がっ!黒さまがっ!!そしてファイさんとモコナがっ!!!と、ハラハラドキドキさせていただいております!!
話の流れや描写など、本当にすごく素敵で、お話に引きこまれながらも、私も一から学び直さねばっ、と勉強させていただいております(^^;)
そして、新章について案募集中とのこと!!
恐れ多いので、多くは望みません;;とりあえず、小狼(本体)が愛されているようなお話を、どうか、どうか私に恵んでくださいませ!!
Va*Chuさまがお書きになられる素敵なお話を、これからも密やかに楽しみにしております。
春先で朝晩と気温の低い日が続くようですので、お体にお気をつけてお過ごしくださいませ。
長文・乱文にて、また突然の書き込みを失礼いたしました。
Va*Chuさまの今後のご活躍を心よりお祈り申し上げております!!