二次創作小説(紙ほか)
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- ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜
- 日時: 2015/02/21 19:37
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
二次創作は初です、Va*Chuです( ´ ▽ ` )ノ
私は、「ツバサ -RESERVoir CHRoNiCLE-」及び「ツバサ -WoRLD CHRoNiCLE-」の二次創作を書かせていただきます。どうかよろしくお願いしますo(^▽^)o
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.1 )
- 日時: 2015/02/22 15:29
- 名前: ゆーみん ◆okR9D5EASs (ID: pYUVIoar)
ツバサだ!
はじめまして〜!ゆーみんでっす!
楽しみにしています!頑張ってください!
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.2 )
- 日時: 2015/02/22 18:47
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.1 夢の中で
———はらりと、桜が舞う。
手を伸ばした。しかし、花びらは、手をするりと抜けて、下に消えた。床は、水面のようにゆらゆらと揺らめいている。
彼は、そのまま歩きだした。行先なんてわからない。けれど、己の向かう先に"すべて"があるという確信があった。———"誰か"の呼ぶ声が聞こえたから。
その"誰か"に応えたかったから———
「小狼っ!」
ハッと、小狼は目を覚ました。目の前に白いものがあると思ったら、よく知る仲間であるモコナだった。
「大丈夫? もうお昼だよ。さすがに遅いからって、ファイが呼んできてって」
「ああ、すまない、大丈夫だから」
小狼は起き上がり、ほ、と息をついた。あれは夢だったのか。しかし、あの"声"は、頭の中に焼き付いている。そうだ、夢もまたひとつの世界なのだ。でも、確信がないな——
そう思いながら、急いで着替えて寝室を出た。
「すまない! 寝坊して」
「おはよー、と言うには遅いかな。いいよ、大丈夫? 具合悪いとかだったらすぐ言ってね」
ファイがにこにこしてそう言った。彼は洗物をしている。小狼以外の全員の朝ごはんの片づけらしい。
「黒様は買い出しに行ってるよ。戻ってきたら、鍛錬の相手、してもらいなよ」
「そうか、ありがとう」
言って、小狼はベランダに出た。今日は天気がいい。
今、彼らがいる国の名は、テルモンド王国。テルモンド家が治めている国で、比較的平和だ。しかし脅威もあって、それを排除するのが、この国での小狼たちの仕事だ。ファイは、それでも十分な資金は集まらないだろうと言って、カフェも経営している。
「そうだ、今日は定休日なのか?」
「違うよー、今日は午後だけ」
髪の毛を結び直しながらファイは答えた。小狼は、じゃあそろそろ出るんだな、と微笑んだ。
———小狼…
『…誰…?』
———一緒に…連れてって…
『どこに…?』
「どこに?」
この国の脅威———魔神と呼ばれる怪物が、街に現れたのだという。しかし街と言っても広い、どこに現れたというのだろうか。
魔神は夜に現れる、人間を襲う怪物だ。これの存在で、人々は安心して夜は眠れない。そのため、「魔神狩り」という職業がある。桜都国の「鬼児狩り」のようなもので、危険なためか、給料も高い。戦闘系な小狼たちにとって、もってこいな職業だ。
そして、現在は仕事中。「魔神狩り」は大きな会社のような構成をしており、上からの命令があってはじめて動ける。今日は、小狼たちと、彼らの先輩のグループが指名され、魔神がどこに現れたのか、説明を受けている。
「この範囲にいることはわかっているらしい。しかし、今回のは魔力が強いとも聞いている」
「気配を消せるぐらいってことですかぁ」
この世界には魔法が存在している。とはいっても魔法が使えるのはごく一部で、「魔神狩り」の中でもそれは少ない。小狼たちの先輩のグループも魔力を持つ者はいないそうで、小狼たちのようにひとつのグループに二人も魔法が使えるのは大変稀な例だ。
「下手には動けんかもな」
先輩グループの長、ローゼンが呟いたが、黒鋼は何言ってんだ、と反論した。
「そういうのは行かねえとわかんねえだろ」
「そうかもしれんが、上からの情報を待った方が早い可能性もある」
「ねえだろ、俺は行く」
「黒たん強引だねぇ。まあ、オレも黒ぷに賛成しますけど」
情報を待ってる間に誰か襲われたらたまったもんじゃないですから。ファイはそう言ってにこにこと笑いながら立ち上がった。そして振り返って、
「小狼君も、行くよね?」
「ああ、もちろんだ」
聞かれ、小狼は頷いた。ここにいる中で最年少の彼だが、意志は誰よりも強い。断るわけがなかった。
「なっ…最年少の君まで…危険かもしれんぞ」
「それでも。おれは行く」
「じゃあ決まりだね。オレたちはお先させてもらいまぁす」
止める声も聞かず、小狼たちは、夜空を飛び立った。そんなまだ新参者の彼らを心配して、ローゼンたちも、あとを追ったのだった。
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.3 )
- 日時: 2015/02/22 20:19
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
ゆーみんさんへ
コメントありがとうございます!! 楽しみにしていただけて光栄です! 文章力は本当にありまぜんが、どうぞよろしくお願いいたしますね♪
ゆーみんさんの作品も探して読んでみたいと思います!
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.4 )
- 日時: 2015/02/22 22:06
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.2 脅威との戦い
夜空、ものすごい速さで建物の上を飛ぶ3つの影。そう、小狼たちだ。まだ彼らは他のグループと一緒に行ったことはないからか、彼らがここまで速いことを知らず、先輩であるはずのローゼンのグループは追いつくことができずにいた。
「あれか」
黒鋼が止まり、呟いた。他2人も立ち止まって前方を見つめる。その視線の先には、大きくて黒い怪物が暴れているのが見えた。——そう、魔神だ。
「あれだけ暴れて見つからねえとか、どんな魔力だよ」
「本当にねぇ。まぁ、あの程度なら大丈夫だろうけど」
「ああ、そんなに強敵じゃない」
3人がそのように話しているところに、ローゼンたちは追いついてきた。ローゼンは、魔神を見つけるとあれか、と叫んで飛びかかっていく。
「何をしている、君たちも来んか!」
ローゼンが小狼たちに声をかける。しかし、小狼たちは答えず、その場所に佇んだままだ。
「何をして、」
「ローゼンさん、危ないですよー。うちの黒たん、やる気みたいなんで」
轟音が、ローゼンの耳に響いた。ハッとして振り向いたとき、黒鋼が左手から銘刀『銀竜』を取り出しているのが目に映った。
「どかねえと、粉々になるぞ」
続いて、ファイの方から、小狼の方からも轟音。そちらにも目を向けると、突風が巻き上がっている。何、と思わず声を上げたが、危ないと判断し、いったん身を引いた。
それと同時のことだった。
「破魔・龍王陣!!」
「——っ!!」
「雷帝招来!!」
黒鋼とファイと小狼の技が放たれた。それらは凄まじく絡み合い、魔神を直撃した。魔神は二つに引き裂かれ、闇夜に消えた。
一瞬だった。
ローゼンたちが唖然としているのをよそに、小狼たちは本部への帰途をたどっていた。魔神を倒し、それなりに気分もいい黒鋼とファイだったが、小狼だけは不安げな顔つきだった。
「どうしたの、小狼?」
小狼のフードの中にいたモコナが気づいて声をかける。しかし、小狼は答えない。気づいてないようだ。
「小狼?」
「え? ああ、すまない、よく聞いてなかった」
そんな小狼の様子を見て、ファイが怪訝な顔をしながら黒鋼に耳打ちした。
「最近、小狼君あんなこと多いよね」
「んああ、そうだな。なんかあったか」
「んー、オレは心当たりないかも。黒様は?」
「俺もねえ」
小狼は最近そうやってぼうっとしていることが多い。それは日に日に回数が増していっている気がする。
「それに、起きてくるのが遅いしね」
「疲れてんじゃねえのか」
「本当にそれだけだといいんだけど…ちょっと心配になるね」
「ふん」
ファイも黒鋼も小狼の異変には気付き始め、心配していた。今はモコナと笑顔で話しているが、最近は誰とも話さず、部屋にひとりのことも多くなってきている。何かあったのかもしれない。
「とりあえず、もう少し様子をみようか」
「おう」
事件が起こるまで、あと少し。
- Re: ツバサ -DReaM CHRoNiCLE- 〜夢に導かれて〜 ( No.5 )
- 日時: 2015/02/23 22:21
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
Chapitre.3 ユメノソコ
黒鋼は、外にいた。買い出し中で、市街地に出ているのである。普段は一人のことが多いのだが、今日は小狼が一緒であった。
このところ、部屋にこもりがちになっていた小狼を心配して、ファイが連れだしてくれと黒鋼にお願いしたのだ。黒鋼も少し気にはなっていたし、断る理由などなかったので承諾した。
「どれを買えばいいのか聞いてくるの忘れたな」
「どれでもいいだろ、別に」
言いながら、黒鋼は適当に商品を手にする。見たところ、小狼に変なところは見当たらない。いつも通りに話している。これかなー、なんて独り言を言う姿はむしろ普段よりも年相応に思える。
「どうした?」
「ん? いや、なんでもねえ」
「そうか? じゃあ、会計に行ってくる」
小狼はそう告げて、パタパタと勘定場に駆けていく。特におかしなことは…
「なかったな」
小狼もモコナも寝てから、大人二人で酒を飲みながらそんな報告をする。ファイは、そっかぁ、と首を傾げながら、盃をくいっと傾けた。
「んー、じゃあ最近どうしたんだろうねぇ」
「俺たちの考えすぎにしてはあいつ、おかしいときがあるしな」
「うん…でも具合悪いわけじゃないみたいだし…」
酒を飲みながら、うんうんと二人は唸っている。小狼に夢見の力はないので、未来が視えて悩んでいるとかそういうのではないのだろうし、サクラ関係のことということも4月1日はだいぶ遠いうえ、しばらく会ってないからその可能性もなさそうだ。
「どうするんだ」
「今度はオレが一緒にいてみる」
「常時と変わらねえじゃねえか」
「いつもより気を付けてみるって言ってんの」
ファイがあくびをしながら言った。もう寝る、と盃をシンクに持っていく。
そして、事件は起こるのだ。
———抗わなくていい…
———何も考えなくていい…
———すべて、委ねてしまえばいい…
『…誰…なんだ…』
———もう苦しむ必要はないんだ…——小狼
『…でも、なんか…』
『心地が、いい、な』
翌朝。いつものように、ファイは起きて朝ごはんの用意をしている。今日も小狼が起きてくるのは遅いんだろうなと危惧し、早めに起こしにいってみることにした。
「小狼くーん、朝でっすよー」
そう言って、部屋に訪れてみる。カーテンをとりあえず開けて、少し鼻歌を歌っていると、ピクっと動く気配がした。起きたか、と思ったが、そうではないらしかった。というか———何か、おかしい。
「…小狼、君?」
そっと近くに寄ってみる。しかし、何も反応がない。さすがにおかしい、と思って手に触れてみたとき、ファイはさあっと顔から血の気が引くのを感じた。
生気が、感じられない。
「小狼君!? しっかりして、小狼君!!」
驚いて、思わず叫んだ。それなのに、小狼は目を覚まさない。そのとき、その声に気づいた黒鋼とモコナが飛び込んできた。
「どうした、何があった!?」
「小狼がどうしたの!?」
ファイは、二人に気づいて状況を説明する。すると、黒鋼は何か思いついたようにバッと小狼の前に動いた。そして、彼の口元に手をかざすと、は、と息をついて首を横に振った。
「——息、してねぇぞ」
沈黙が、朝の部屋を支配したのだった。