二次創作小説(紙ほか)
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- 自己満足で書く
- 日時: 2017/03/19 00:00
- 名前: ぜんざい (ID: KEu3oUUg)
どうもおはこんばんにちはぜんざいです。
ここではぜんざいが自己満足で二次創作やら歌い手様やら夢やら書き殴って行きます。感想コメント大歓迎です。
ぜんざいは基本自己満足で書くだけですので、不快に思われたらすみません。荒らし様等は潔くUターンしてください。
アドバイス、コメント大歓迎です、画面の前で小躍りします。なつきます。
しょっぱなからこんなにぐだぐだでどうしようもないぜんざいですが暖かく見守っていただければ幸いです。
では。☆(∀´)ゝシ
- Re: 自己満足で書く ( No.1 )
- 日時: 2017/03/19 09:20
- 名前: ぜんざい (ID: KEu3oUUg)
銀魂の夢です。長いかも。高杉夢。女主。関西弁。
名前は【榊原 いおり】。眼鏡。肩につくかつかないかぐらいの髪で毛先が跳ねてる。前髪少し長い。少し赤っぽい黒髪。目は黒色。極度のめんどくさがり。
榊原伊織は実在しないようですが、それのもじりになるのかな……? と思っています。松下村塾から開始。
**
とある緑に生い茂った、きちんと整備された神社に一人の少年がやって来た。顔の整った幼い少年で、黒い髪を存分に伸ばし高いところで一括りにしている。少年は境内を見て呟いた。
「やはりここにいたか」
その台詞は今、境内に腰を下ろす二つの人影に投げられたものだ。一人は紫の髪、一人はホンの少し赤の掛かった黒髪。少年__桂小太郎は呆れたような声で「また塾で大暴れしたらしいな」と歩みを進める。
「これで何度目だ。国の未来を担う俊英が集う名門講武館も、貴様たちと言う器をおさめるには足らんと?
高杉、榊原」
名前を呼ばれてようやく、紫髪は顔を、黒髪は読んでいた本から視線をそちらへと向ける。紫髪__高杉晋助は「俊英が集う名門? 笑わせるな桂」と凡そ子供とは思えない大人びた言葉で返した。黒髪__榊原いおりは眼鏡の奥からそれを眺めるだけで口出しはしない。
「あそこに居んのは親の金だのコネだの引き出す才覚しかねぇ坊どもだ。大暴れした? 俺たちは真面目に稽古しろっつーから本気出しただけだよ。だろ、いおり」
『……ん』
同意を求められた榊原は短い返事と共に頭を微かに縦に振り、『喧嘩の仕方も知らん連中がこの国をどんな未来に導くんか、楽しみやな』と低く告げる。高杉も同意見だったらしく、「まぁな」と笑みを浮かべた。それを見た桂は目を伏せ、告げた。
「……二人とも、それでもお前たちは幸せなのだぞ。世には貧しさゆえに文字も読めぬものもいる、なりたくとも侍になれぬものもいるのだ」
そんな言葉に二人は胸打たれるでもなく、榊原は視線を再び本へ、高杉は「流石才覚だけで特別入門が許された神童は言うことが違う、お前ならあそこで立派な侍になれるさ」と皮肉をしゃくしゃくと言ってのけ、境内から立ち上がり、歩き出す。
「お家だお国だのの為に働き死んでいく、そんな侍にな」
悪いが俺はそんな侍になる気はねェよ。とすれ違い様にそう告げた高杉に桂は「ならばお前は一体どんな武士になりたいと言うのだ、高杉」と振り向いて問い掛ける。
ただ、榊原は違った。彼女は基本、物事で波風を立てることを嫌う。めんどうなことも嫌う。高杉と仲が良くなければ今ごろは塾にも行かず家で引き込もって本を読むか、剣の練習をするかだ。そんな彼女はわかっていた。いくら剣の練習をしようと、いくら高杉より強かろうと、自分は女で侍にはなれない。武士にはなれない。だからだろうか、彼女は今、とてつもなく桂と高杉が羨ましかった。武士になりたい云々侍になれるさ云々、自分では手の届かない話題だ。周囲は自分は女だからと言う理由で嘲り、笑い、同情する。それが凄く悔しいのだ。それでもそんな気持ちは表には出さなかった。だって、めんどくさいから。
高杉と桂は榊原のそんな羨望の視線には気付かない。
高杉は桂の問いかけに「さぁな」と曖昧に返し、自分の目の前で囲むように現れた子供の群れの前に立つ。
「そんなもん、分かったら苦労しねェさ」
その言葉と同時に高杉が目を見開いた。目の前の高杉を取り囲む武士の小倅たちに、こんな侍とはかけ離れた行動をするのかと。
取り囲む少年たちのリーダー格がいやらしい顔をして笑う。
「高杉、うちの弟が世話になったらしいな。下級武士の小倅の分際で身の程をわきまえろ、お前には特別授業が必要のようだ」
「今度は少しはましな稽古が出来るんだろうな」
高杉は地面に落ちていた太い木の枝を拾い、笑みを浮かべながら肩にポンと乗せる。桂はそれを見て「待て! 稽古上での遺恨を私闘ではらそうとは、それでも武士を目指すものか。それも他勢に無勢で……!」と憤りを露にする。
それを聞いた連中は「桂か、ちょうどいい。特待生だか知らんが、ロクに金も納めん貧乏人と机を並べるのも我慢の限界が来ていたところだ」とあまつさえ桂を巻き込んだ。
そこへこれはめんどくさいことになる、と立ち上がった榊原が高杉の隣に並んだ。
『……なら、中級武士の小倅程度の分際で身の程をわきまえろや』
榊原は高杉の隣で腕を組んで眼鏡の奥から鋭い視線を連中に突き刺す。榊原は恐らくこの中で最も級位が高いお家だろう。この地で診療所を開いている家だ、もちろん権力など比べれば天と地ほどの差がある。
そんな榊原の一人娘の登場に「う、」と気圧されて後退る彼らに榊原はよし、と思ったのも束の間、リーダー格が「榊原ァ、女のクセにでしゃばんな。ムカつくんだよ、女が高位にいるのは」と呟く。
「まとめてたたんでしまええええええ!」
そんな怒鳴り声に高杉は「見たかよ桂」と呟く。後続を続けるように『ここには侍なんか、居らん』となにかを押し殺した声色の榊原が告げる。
襲い掛かってきた連中に、三人が構えた時だった。
- Re: 自己満足で書く ( No.2 )
- 日時: 2017/03/20 09:55
- 名前: ぜんざい (ID: KEu3oUUg)
刀が襲い掛かってくる連中の手前の石畳にズドンと垂直に落ちてきて突き刺さった。真剣だ。
みんなが一様に刀が落ちてきた方向、即ち木の上を見上げる。そこには、銀髪の天然パーマの子供が枝の上にいた。
「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー、やかましいんだよ、発情期かてめぇら」
そう呟いた黒い着流し姿の少年は続けて「稽古なら寺子屋でやんな。学校のサボり方も習ってねぇのかゆとり共」と悪態をつく。
連中に倣い、上を見て目を見開く高杉と桂の横で榊原は「寺子屋でサボり方なんか教えるわけないやろ」と検討違いの異論を脳内で唱えた。
天パは「知らねぇなら教えてやろうか」と幹の上で立ち上がり、視線を「誰だ貴様は!」と喚くリーダー格に向ける。そのままそこから飛び降りた銀髪の少年はリーダー格の顔面に両足で着地し、倒れたソイツの背中に立つ。短く一言「寝ろ」とだけ呟いて。これには高杉ら三人も引き気味である。
「侍がハンパやってんな。やる時は思いきりやる、サボる時は思いきりサボる。俺が付き合ってやるよ、みんなで一緒に寝ようぜ」
鼻を右手の小指でほじる銀髪の少年の態度はそれはもう憎らしくて、相手を予想通り挑発する。逆上した彼らは「誰が寝るかぁ!」「許さんぞ貴様!」と竹刀を抱えて襲い掛かってくる。だがそれも少しの間で、次の瞬間にはぽかぽかぽかぽかぽかぽか、と可愛らしい音が六つ、連中の分だけ響く。そしてそのあと、その六人は頭にたんこぶを生やしてずしゃっと地面に倒れ込む。音のわりに威力はかなり強いらしい。
その光景に三人は目を見開いて、銀髪の、銀時と呼ばれた少年は頬をひくつかせる。気のせいか冷や汗も見えた。
「よくぞ言いました。そう……侍たるものハンパはいけない。他勢で少数をいじめるなどもっての外、ですが銀時」
突然現れた色素の薄い髪の長髪の男は銀時の前まで歩みを進め、ピタリと止まる。榊原達三人はなぜだか銀時によくないことがふりかかる気がした。
「君達ハンパ者がサボりを覚えるなんて100年早い」
「ぶべら!!!」
彼は銀時の頭をコツンと拳で叩けば、銀時は変な叫びをあげてズドンと地面に、と言うか石畳を破壊して埋まった。完全に拳の威力と音が合っていない。そのまま彼の首根っこを掴んで引き摺り、去り際「喧嘩両成敗です、君達も早く彼らを連れて学校へお帰んなさい、小さなお侍さん」と告げる。
だが、ふと思い出したように彼は振り返り、笑顔で榊原を見た。
「そうそう、侍なんて己がそうだと思えば侍なのです。それは誰にも邪魔されません。女だからと言って気に病む必要はありませんよ」
ヒュッと榊原が小さく素早く息を呑んだのを、高杉は視界の端で見た。だが何も言わず、彼のことを話出した桂の声に意識を向ける。彼は銀髪の子供をつれて、近頃貧しい子供から金も取らず、私塾を開いていると言う。桂の情報だが。
一方の榊原はどうして、だとかなんで、だとかいろいろ聞きたい事もあったが、それ以上に頭を占めていたのは先程の男の言葉と、異常な強さだった。
侍なんて自分がそうだと思えば侍で、それは誰にも邪魔されない。女だからと言って気に病む必要はない。
自分は女でも侍になれる。自分がそうだと思えばそうなのだ。邪魔なんて誰にも出来ないしさせはしない。
それとは別に……なんだろうか、耐えがたいものが心の奥で渦巻き、彼を酷く欲している。ああ、そうか、あの人だ。自分が仰ぐべき師匠は、あの人だ。この胸が焼け焦げそうなぐらいの憧れに、自分はこんな感情を持ち合わせていたのかと、新たな自分を見た気がした。足の先から肺になりそうなほどに体が熱い。そんなものはただの気のせいに過ぎなくて、表面上彼女は唖然としているだけなのだが。彼女は彼のその異常な強さに酷く強く憧れた。
最後の最後で耳に入ってきた桂の「あれが松下村塾の、吉田松陽」と言う言葉を、微かに復唱する。
『……吉田、松陽』
**
とある寺子屋の道場にて、晋助は先日の銀髪__坂田銀時に勝負を挑んでいた。それを端から何も言わず眺めるのは榊原、道場の外から様子を伺うのは桂だ。
只今銀時と晋助はし合い、機を伺うにらみ合いをしていたのだが、晋助が動く。次の瞬間にはパン、と清々しい音が道場に響いた。
「まったく、寺子屋に道場破りなんて聞いたことがありませんよ。怪我がこれぐらいで済んでよかった」
布団で横になっていた晋助が目を覚ましたとき、松陽が呆れたように彼に告げる。
結局は晋助が負けたのである。気まずそうな顔をして彼から目を逸らした晋助の視線の先にいたのは、部屋の隅で頭の後ろで手を組んで、ぐうすかと寝ている榊原。アイツなにしてんだと内心思いながら「俺より弱いやつと試合うのはもう飽きただけだ」とぽつりとぶすくれながら口にする。
榊原は実は晋助より実力を持つのだが如何せん、めんどくさがって滅多に竹刀を握らない。竹刀を竹刀袋に入れて肩から下げているのに、おかしなやつだ。
「本当はアンタとやりたかった。まさか、あんなやつに……」
晋助がそう呟けば松陽は「あなたは充分強いですよ、あの銀時とまともにやりあったんですから」と微笑む。
負けたからもっと強くなる。勝者が得るのは自己満足と慢心ぐらい。そう続けた松陽は恥じることはない。と告げた。
「あの子はちょっと特殊ですから。生きるために……生き残るために強くならざるを得なかった子です」
それを聞いた晋助は「あれもあんたが拾ったのか」と疑問を直ぐ様投げ掛けた。確かに、他人から見たらそうなるのだろう、ただ、松陽は私が彼を拾ったのか彼が私を拾ったのか、今じゃよくわからないと本心を吐露する。
「氏も素性も知れないガキを集めて手習いだの剣だの教えてどうなる。あんな連中が侍になれるとでも?」
「さあ、どうなるんでしょう、私も楽しみです」
「こっちが聞いてんだよ!」
「私も聞いているんです。侍ってなんですか、教えてもらえます?」
「アンタ侍じゃねェのかよ!!!!?」
松陽という男は少々抜けているというか、天然というか、まあそんな男のようだ。片目を開けてそれを聞いていたいおりは思った。実は最初から起きていたのである。
さあ、少なくとも君が思うような侍ではない。そう言う松陽は晋助といおりに背を向けて続けた。
- Re: 自己満足で書く ( No.3 )
- 日時: 2017/03/20 18:00
- 名前: ぜんざい (ID: KEu3oUUg)
「君は侍になるには何か資格でもいると。護るお家がなければ、尽くす主君がいなければ侍になれないと思っているんですか。
私はそうは思いません、武士道とは、何も国や主君に忠節を尽くす道だけさすのではない。
弱き己を律し、強き己に近づこうとする意思。自分なりの美意識に沿い精進するその志をさすのです。
だから勉学に励み少しでも真っ当な人間になろうとする彼らも、少しでも強くなりたいとこんなところに道場破りに来た、君も。
私にとっても立派な侍なのです」
そういった松陽は「たとえ氏も素性も知れなくとも、たとえ護る主君も戦う剣も持たなくとも」と紡ぎ、外を見つめる。それを高杉と、完全に起きて高杉の側へ移動して聞くいおり。
「それぞれの武士道を胸に掲げ、それぞれの侍になることはできる」
振り返った松陽の表情は限りなく穏やかだった。松陽はそんな彼らを一人でも多く見届けるのが自分の武士道なのかもしれないと呟いた。外でそれを聞いている銀時や桂も、それを自然と受け止める。
「君たちも迷ってここに流れついたんでしょう。私もそうです、未だに迷っている」
告げる松陽は高杉、そしていおりと目を合わせ、「それでいい」と告げる。
「悩んで迷って、君たちは君たちの思う侍になればいい」
その翌日も、高杉はいおりと共に道場破りに向かった。
「……なんだてめぇ、昨日の今日で性懲りもなく」
「もう一度俺と勝負しろ」
その翌日も。
「オイ、いい加減にしやがれ。何回道場破りに来れば気がすむんだてめェはコノヤロー」
「……俺が勝つまで」
どれだけ銀時にぼこぼこにされて、その怪我を講武館の奴等にどんなに後ろ指を指されても通い続けた。勝つまで、勝てるまで、一本取るまで。そんな日々が続いた。
いつも、見る日も見る日も怪我だらけの親が痺れを切らし、次に問題を起こせば勘当だ、飯抜きだ、と言われ、高杉は最初の神社の境内でぼうとする。その側にいつもいるのは決まっていおりだった。例に漏れず、そのときもいおりは側にいた。
夕日に照らされるなか、桂が梅とツナマヨ間違えただのなんだのと言っておにぎりを置いていった。本当に、不器用な奴である。いつから聞いていたのか。確か桂の婆さんは既に亡くなっていた筈だが。
「……高杉、見つかったか、何か……」
「……何も。ただ俺が弱いことはわかった。俺より強いやつが山程いるのはわかった。ならせめて、あいつらより強い侍になりてェ……俺の大事なもん、害の全てから自分で護れるぐらいにな」
ちらりと高杉は視線を隣で体重を柱に預け、頭の後ろで手を組んでぐうすかと眠るいおりへやる。桂はそれを見てやれやれと言ったようにかぶりを振った。
その翌日、ようやく高杉が銀時から一本を取ったのだった。竹刀で胴を突かれた銀時は勢いで後ろへ飛ばされ、一本、と言う声が道場に響く。その声と同時に高杉が毎日毎日挑んでくるのを見ていた寺子屋の生徒たちはワッと高杉の周りに集まった。囲まれた高杉は焦って「馴れ馴れしくすんじゃねえ! 俺とお前らは同門か!?」と怒鳴り散らした。それに待ったを掛けたのが松陽である。
「アラ、そうだったんですか? てっきりもううちに入ったと思ってました。だって誰より熱心に毎日稽古に……いや、道場破りに来てたから」
その言葉に高杉は苦虫を噛み潰したような顔をして、周囲は声をあげて笑う。いおりはちゃっかりと松陽の横で『晋助入ってへんかったん?』とにやりと笑って見せた。晋助がそこまで歩いて頭をはたいたのはすぐのことである。
そこで異論を唱えたのが銀時だ。
「おいいいいいい! 何アットホームな雰囲気に包まれてんだ! ソイツ道場破り!! 道場破られてんの! 俺の無敗伝説ぶち破られてんのおおおお!」
『おい女居るんやぞ』
「あ、そうだわ女いたわ」
ドゴッと銀時の額に竹刀を投げ付けたのはご愛嬌。尚も「少しは負けた味方を労る気持ちはねぇっ」とそこまで叫んだ銀時だが、それは肩を叩かれたことにより遮られた。もちろんそれはおにぎりを片手に持った桂である。顔がとんでもなく憎たらしい桂である。大事なことなので二回言いました。
そこから「みんなでおにぎり握ろう」、「得たいの知れねぇやつの作ったおにぎりなんか食えるか!」「誰が食べていいと言った、握るだけだ!」「なんの儀式だ!」と言う桂と銀時のコントのようなやり取りを、相変わらず笑う周囲。それへ拍車をかけるように松陽が「すみませんもう食べてしまいました」と混ざり、「はやっ!」と言うみんなの突っ込み。
大勢が笑い合う中、戸惑い気味だった高杉といおりはお互いに顔をして、見合わせ、そして全て吹っ切れたように笑うのだった。

