BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

シンタロー総受け(リク受付)
日時: 2013/12/08 11:06
名前: ミク@ (ID: 6xakilB1)


初めまして。ミク@と言います。
中二(いろんな意味で)の腐女子です。
主にシンタロー総受けのBL小説を書いていきたいと思います。
初めてなので、リクエストやアドバイス等貰えると嬉しいです。
よろしくお願いします。

ミク@

Re: シンタロー総受け(リク受付) ( No.14 )
日時: 2014/03/29 14:55
名前: ミク@ (ID: .0wZXXt6)

なおさん、とっても遅れてすいません!!

【カノコノ】

お願い。
カノ。
笑って?

 ————————————————————————

-1時間前-

「コノハくーん、キド知らない??」

「………知らないよ?」

「んもっー!また勝手に出掛けたー!!」

僕はコノハ。
ここはメカクシ団アジト。
僕の隣にはカノ。
僕はカノの事、よく解らないんだ。

「ねえ。」

「んー?なーにー!?コノハくーん?」

「どうしていつも欺いてるの?」

「え?」

僕はいつも思ってた。
目が赤い。
他の人には目が赤くなっていることも、欺いてる。
でも、僕は知ってる。
それは、カノは僕はそんなの事気に留めないと思ってるから?
よく、解らない。

「な、なんで?僕はいっつもフリーだよ!?」

「無理して笑ってる。」

「無理なんかしてないよ?」

「してる。」

「してないって言ってるだろ!?」

カノが怒った。
僕に飛びかかる。
カノは頭が良い。
喉を標的に爪をやる。

「なんだっていうんだよ!?お前に僕の何が分かるんだよ!?途中参加してきたくせに!!!!」

「カノ。」

僕はカノより強い。
腕など簡単に振りほどけられる。

「なんだよ!?」

「カノ。」

だけど、振りほどけ無かった。

「ど、どうして振りほどけない?お前の……コノハ君の力だったら、簡単なんじゃないの?」

カノは力を弱める。
外れたところがジンジン疼いた。

「ねえ、カノ。どうして、欺くの?」

「どうして君に教えないといけないんだ?そもそも君はお節介なんだ。落ちたシンタロー君を庇って君落ちたんだって聞いたよ。」

「友達だから。」

「そこまでする?」

「うん。」

「君……だって、思ってるんでしょ。」

「何を?」

「僕の事、気持ち悪いって。」

「思ってない。」

「嘘。」

「君より、嘘つきじゃない。」

「……言ってくれるね。」

カノは嗚咽混じりに話す。
昔虐待を受けてた事。
母親を殺された事。
自分も死んだ事。

「突飛でしょ?」

「うん。」

「気持ち悪いでしょ?」

「ううん。」

「なんで。そんな、優しくしないでしょ。」

「優しくないけど、嘘ついてない。」

そのままカノはよりかかる。
やがて力が抜ける。
僕たちは床に寝転ぶ。

「僕は、昔、弱かった。」

「コノハ君が?」

「うん。」

「嘘だ。」

「本当。」

「聞かせて?」

「………覚えてないんだ。」

僕は、抽象的にしか覚えてない。
ノロマな僕。
病弱な僕。
そして、そんな僕を叩いてくれた、『あの子』。

「コノハ君も、辛いんだね。」

「カノよりましだよ。」

「弱いね。」

「……うん。」

僕は強くなった。
体だけ。心はそのまま。
だから時々泣きたくなるんだ。

ぽろぽろ、ぽろぽろ。

「……泣かないでよ。」

「ごめん。」

カノは僕の上に寝た。
そして、優しく、花びらが落ちるようなキスをした。

「カノ。」

「だめ?」

「そんなことない。」

カノは優しく微笑む。
ああ、この顔とても素敵だ。
何処かで見たことがあるような気がする。
カノは、僕の脇の隙間から、服を脱がした。
僕の体はきゃしゃだ。

「乳首、ピンク。可愛いね。」

カノは笑いながら言う。
顔が紅く染まっていくのが、自分でもわかった。
それでも、愛おしいと感じてしまう。

「コノハ君……」

カノは僕の凹凸部分を舌で擦った。

「ん……」

ぴくっ…
そんな刺激だったと思う。
それでも、カノは器用で。
僕の感じるポイントを正確につついてくる。

「んっ……はぁ……カノ……」

カノは空いている右手でズボンを下ろした。

「ね、これ、何処に売ってるの…?珍しいよね?」

「知らない……ん……」

「気付かない内に着てたんだ。」

もうガチガチに立っているソコをぎゅ、と握る。
さっきまですごく優しくしてたのに、いきなり強くされて僕は戸惑った。

「んん……だ、だめ!ぁ……!」

「だめじゃない。」

カノは更に強く握る。
強くしたり、弱くしたり……。
上下に擦ったりして、僕は快感に溺れそうになった。
カノは僕のソコをくわえて、

「ねえ、初めて?」

と聞いた。

「うん。」

と答えた。
カノは、初めてじゃないらしい。
……男の子と、ヤるのも。

「誰が初めてだった?」

「セトかな。」

「そっか……。」

セトは、とてもかっこいい。
バイトをこなしていて、誰よりも努力してると思う。
……だけど。

「カノ……」

「ん?」

「これからは……僕としか、しないで……?」

僕は嫌だった。
これからもセトに犯されていくカノなんか、見たくない。
これは……独占欲だと思う。

「………約束は、出来ないかな……」

「どうして?」

「僕の意思じゃない。セトがしたいときに、僕は受け入れる。別にそれは嫌じゃないし、セトも嫌と言えば止めてくれる。……でも。」

「……でも?」

「僕はセトに、依存してるんだ。」

………セトに、依存してる。
カノは、セト無しでは生きていけないんだ。

「僕じゃ……だめってこと?」

「ん……まあ。」

「そっか……。」

カノが、セトを選ぶ事は、僕が決めることじゃない。
僕は……カノが、自分らしく生きられるなら、それでいい。

「ごめん。変なこと言って。続き……しよう?」

僕は出来るだけ優しい声で言った。
本当は、嫉妬でめちゃくちゃなくせに。

—————————————————————————

コノハ君とセックスした後、僕はセトに呼ばれた。
僕は、行きたくなかった。
コノハ君に「セトに依存している」と言ったくせに。
セトとセックスしたくなかった。
……それは、きっと僕がコノハ君を……。

「カノ?」

「っ!?あ、なに〜?」

「……もう、やめるっす。」

「え?」

いきなりセトがそんな事を言うもんだから、僕は硬直した。
そんな僕にお構いなしに、セトは続ける。

「前から、思ってたんす。カノは、俺とヤればヤるほど、窶れてくって。」

淡々と続けるセトに、それを受け止められない僕。
僕の心の中には、そうなったらいいな、という気持ちと……

「やだ……」

僕は無意識に言っていた。
僕はやっぱりセトに依存してるんだ。
セトがいないと生きていけない。

「だめっすよ……カノは…コノハとすればいいっす。」

「な、なんで!?確かに、コノハ君とセックスするのは気持ちいいよ……だけど、セトにされるのとは別だもん!!」

「いいっす……気付いてたっす。カノ、俺に依存してるっすよね?」

「!?」

「だめっす。もう。……ほら、王子様が来てるっすよ?」

振り向くとそこには、白髪にピンクの瞳、黒い首輪をした、美少年がいた。

「コノハ君……。」

「……ごめん。」

「コノハ、カノを頼んだっす。」

「…わかってる。」

「せ、セト……」

セトは気付いてたんだ。
僕の心が揺らいでいる事。
気持ちが削れていってること。

……ありがとう、セト。

「コノハ君……よろしくね?」

そういって僕は笑った。
たぶん、今までで一番優しい笑顔だったと思う。

【終わり】

Re: シンタロー総受け(リク受付) ( No.15 )
日時: 2014/01/18 13:10
名前: ミク@ (ID: Coc0ZMxQ)

学園パロです。
全員同い年設定、シンタローとモモは双子です。
判りづらいので名前書きます。

【学園パロ】

俺は如月伸太郎。
高校二年生だ。
ああ、まあ彼女もいなけりゃ友達もいねぇ、いわゆるぼっちだ。

カ「伸太郎君ーーー♪」

シ「何だよ鹿野。」

こいつは鹿野修哉。
何て言うか……つかみどころの無い奴。
俺なんてつまんねぇのに、何で俺に話しかけるんだよ。

カ「えー?だって次僕当たるんだもんー、ノート見せて?」

シ「俺ノート取ってねぇよ。」

カ「え!?それであの点数!!?すっごいね!」

シ「大して難解じゃないだろ……」

ペラペラと教科書を捲る。
………全く、難しく無いじゃないか。
これの何処が難しいんだ。

セ「余裕っすね!伸太郎さん!」

シ「さん付け止めろって言ってんだろ、瀬戸。」

こいつは瀬戸幸助。バイトホリックで、よく遅刻ギリギリだ。
でも、遅刻はしたことない。
いい奴だ、と思う、が。

セ「伸太郎さんは本当に可愛いっすね!!」

シ「男に可愛い言うなよ……。」

これが本当に迷惑だ。
瀬戸はいわゆるホモだろう。
でも俺はホモじゃねぇ。
瀬戸は俺にスリスリしてる。
否定するのはもう疲れた。
好きにしろ。

カ「あっれー?木戸はー?」

セ「居ないっすね?遅刻っすか?」

後ろから気配。
そして何もない空間から声が聞こえた。

キ「俺はずっとここに居たぞ?」

カ「ヒィッ……!!」

何故か木戸は消える(?)。
いや、俺は科学で証明出来ないことは信じない、が…。
こいつ、本当に消えて……?

モ「ギリギリセーーーーーーッフ!!!」

カ「おー、今日はセーフだね、如月ちゃん♪w」

シ「桃遅い」

モ「お兄ちゃん!なんで起こしてくれないのっ!!?」

シ「ネットしてた」

モ「最低!!!!」

シ「お前起こそうとしても無駄。テコでも起きねぇ。」

こいつは如月桃。
俺の双子の妹だ。

モ「もーっ!今日補習なのにっ!」

こいつは俺の妹のくせに馬鹿だ。
昨日も……理科のテストで2点取りやがった。
俺?俺は……三桁満点だが。

シ「お前馬鹿すぎ。」

モ「お兄ちゃんが頭良すぎなのっ!!!!」

ケ「うーっす。HL始めるぞーっ。」

あ。先生。

ケ「あれ?貴音は遅刻か?」

遥「違うよ先生、貴音は保健室ー。」

このおとっりした口調の奴は遥。
貴音っつーんのは……。

貴「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!やばっ!寝過ごしたっ!」

ケ「寝過ごした?」

貴「あっ……おはようおざいまーす、先生?」

ケ「お前、またか。いいかげんにしろよー、俺が理事長に怒られるんだよ……」

こいつ、榎本貴音。
まあ、寝過ごした、ってことは、大方保健室で仮病してたんだろう。
この学校の保険の先生はぬるいからな。

ケ「っつーことでー、今日はテストだぞー、がんばれー。」

なんだ、この手の抜きよう。
まあ、俺には関係ないが。
今日は数学と国語、日本史Ⅱのテストだ。
……桃の点数が見物だな……。
そう思い桃を見ると、案の定憂鬱そうな顔をしている。
ふ、馬鹿は可哀想だなw

—————————————————————————

テスト返しの日。
桃はオール一桁だった。
俺からしてみれば、有り得ない。
馬鹿すぎて信じられない点数だった。

キ「伸太郎は今回も三桁か。凄いな。」

シ「そうでもねえよ。」

セ「さすが俺の伸太郎さんっす!!」

何時俺がお前の物になったんだ。
と、何時ものように賑やかで、当たり障りのない毎日。
こんな平和な時ばかり過ごしてしちまうと、『あいつ』の事を忘れてしまいそうになる。

……一年前、突然居なくなってしまった。
あの日の前日は、今日みたいにテスト返しの日で。
あいつも桃のように頭が悪くて。
でも、俺なんかより遥かに、いつも楽しそうだった。
飛び降りでこの世を去ってしまった、『楯山文乃』。

なあ、お前は俺を憎んでいるのだろうか。
いくら思っても、もう遅い。

こんな俺達の平和な毎日は、とある転校生によって、大きく揺さぶられる事になろうとは、その時の俺は、夢にまで思ってもみなかったのである。

【続く】

P.S. 長編になりそうですが、リクエストはどんどん受け付けてます!

Re: シンタロー総受け(リク受付) ( No.16 )
日時: 2014/03/29 12:54
名前: ミク@ (ID: BrB.2c4K)

遅くなってしまい申し訳ありません…………

【続き】

ケ「あー……今日はな、転校生が来てんだよな。」

全「え!!?」

ケ「おーい、入ってこーい。」

ガラリと、ドアの開けられる音がする。
と、そこから黒髪の少年が入ってきた。

ク「……………」

ケ「あー、こいつは黒羽だ。まーいろいろあるがー、仲良くやってくれ。」

シ「適当………」

ク「あー、まあよろしく。」

黒羽は無愛想だった。
笑わない。
必要最低限にしか話さない。
……なんだか、過去の俺を見ているようだった。

セ「黒羽さんは、どーしてこの学校に来たんすか?」

ク「………親の、離婚。」

セ「そ、そーなんすか……大変っすね……………」

瀬戸がぎこちない笑顔を繕って話している。
見るからに気まずそうで、見てられなかった。
俺は、人と話すのが大の苦手だ。
俺はそうやってコミュニケーションを取ろうとするやつらを尻目に、教室から出ていこうとしたー………その時だった。

ク「………待てよ。」

シ「はい?」

いきなり声をかけられ、腕を握られた。
俺はどぎまぎしながら答える。
正直、昔の俺の鏡のようなこいつとは、なるべく関わりたくなかったんだが………

ク「ああ、ちょっと話がある。人気のねえ所とか知ってるか?」

シ「ひ、ひと、け?あ、ああ、分かったが……」

黒羽は俺の腕を握ったまま、教室を出た。
教室から、ざわざわと騒ぐ五月蝿い声が聞こえたが、俺にはただの雑音に聞こえた。
どうして俺なんかと絡むんだろう……
そんなことを思考回路にぐるぐると回しながら、俺は黒羽を屋上に連れていった。

シ「な、なあ、俺に何の用だ?」

尚続いている苦笑いを更に引きつらせながら、俺は言った。

ク「お前、楯山の知り合いだろ」

シ「は?」

驚きで、思わずそんな間の抜けた声が出てしまった。

シ「あ……先生の事か?」

ク「冗談はよせ。文乃だ。」

シ「……ッ!!?」

なんでだ。
なんで、こいつが、文乃の事を知ってるんだ。
仮に、あの稚拙極まりない先生が、娘の事を喋ったとしても、
俺があいつと関わってた事なんて解らないはず。
なのに、どうして。

ク「どうして……か。お前、今そう思っただろ。」

黒羽の突然の言葉に、俺は絶句した。

シ「心が……読めるのか?」

そんな事ある筈ない。
でも、俺は思ってる事を口に出すような阿保ではない。
なのに、こいつは俺が思ってる事を、一字一句間違えず、言った。

ク「さぁな。」

シ「さぁな。って……んな、信じられるかよッ!」

ク「じゃあお前は、俺が心が読めると言えば、信じるのか?」

息が詰まる。
そうだ、俺は信じる事は出来ない。
俺のその心は、とっくの昔から決まってた事だ。
あいつが死んでしまった事で、俺は人を信じる事が出来なくなっている。

ク「そうだろう?伸太郎…………いや、我が主よ。」

シ「我が……ある、じ?」

なんだそれは。
俺はこいつに「主」と呼ばれるような覚えは無い。
それでも、なんだか、そのまま受け入れてしまいそうになるから不思議だ。

ク「そう。我が主。私は貴方の為にここまで来たのです。」

シ「俺の為?」

ク「ええ、主、私を呼んだのですから、叶えたい願いがあるのでしょう?」

突然、黒羽の口調が変わり、俺は戸惑った。
「叶えたい願い」。

シ「俺に……願いがあるというのか?残念だが、俺には……」

ク「何を言ってるのですか、主。私は貴方、貴方は私なのですから、分からない事などある筈ないではありませんか。」

シ「は……?」

俺は黒羽、黒羽は俺…………?
有り得ない。
こいつは何を言ってるんだ。

シ「おい、黒羽。お前が何をしたいのか俺には分かんねえが、人をからかうのはやめろ。それに、お前はお前だろ。俺じゃねえ。」

そう言うと黒羽は、はぁ、と大袈裟な溜め息をついた。

ク「まったく……主程のお方ならば、理解して頂けると思ったのですが…………仕方の無い事ですね、なんていったってこの話は「突飛」なのですから…………。」

と、意味深な御託を並べながら一人手に理解をした。

ク「ならば、主、この私が貴方の本当の「叶えたい願い」を見つけて差し上げましょう!!物解りの優れた主ならば、きっとこれで理解して頂ける筈ですから!!」

【続く】

P.S.長編になりそうです………………

Re: シンタロー総受け(リク受付) ( No.17 )
日時: 2014/07/15 21:03
名前: ミク@ (ID: tMBSASgt)

【続き】

こいつが、俺の本当の「叶えたい願い」を、見つける………………?
何訳の分からない事を言っているのだろう。

ク「あらら、主、信用しておりませんね?大丈夫です。すぐに信じさせてあげますから。…………ほうほう。これはまた珍妙な!あ、いえ、独り言でございます。」

黒羽はブツブツと小言を漏らしていた。
そしてひとしきり呟いた後、くるりと踵を返してこう言った。

ク「全く、主、さっき私が言った事をまるっきり無視しておりますね?楯山文乃を知っていないなどと言っていたのに、本当は誰よりも知ってはいませんか。」

シ「…………は?」

ク「主の叶えたい願い……それは、「楯山文乃を生き返らせる事」でございますよ。主、楯山文乃に何か言い残した事でもあるのですか?」

俺は、絶句した。
何故、俺の本当の「叶えたい願い」を、こいつは見つけたのだろう。
だって、俺さえも、そんな事解らなかったのに。

シ「何言ってんだよ、俺はそんな事……」

ク「主……、楯山文乃を生き返らせたくないのですか?」

俺の言葉を被せるかの様に、俺に問いかけた。
それは…………、と、心中で呟く。
そうだ。俺は、あいつに伝えないといけない事があるんだ。
でも…………

ク「会うのが怖いのですか、主?」

突然発せられた黒羽の言葉に、俺は肩を揺らした。

シ「お前……何者なんだ?」

ク「まずは私の質問に答えてください。主、貴方は「楯山文乃」に会うのが怖いのですか?」

俺は…………

シ「お前が何を思ってるのかは解らねえ。でも……」

ク「でも?」

シ「俺はあいつに……拒否されるのが嫌なんだ。」

そう言うと黒羽は、面食らったかの様に驚き、そして微笑んでこう言った。

ク「大丈夫です、我が主。そこはこの私が保証致します。」

シ「どこを根拠に保証するんだよ…………あいつはもう死んだんだぞ?」

そうだ。
あいつは死んだんだ。
そう改めて思った瞬間、心に穴が空いた様な気がした。

ク「いえ、我が主。楯山文乃は生きているのです。思い出してもおくれませんか。楯山文乃が死んだという事実は、確かに存在いたします。ですが彼女の遺体を見た者は居ないのではありませんか?」

黒羽はただ淡々と、俺を引き込ませる様に告げる。

シ「…………あ……。」

黒と白の垂れ幕。立ち揺らめく線香。泣きじゃくる人達。
真新しい棺の中の、文乃……。

シ「あれ……どうして……思い出せない…………?」

有り得ない。
忘れる筈がない。
あの日、鮮明に焼き付けた筈だったのに。

ク「ほら、主。思い出せないでしょう?それが楯山文乃が生きているという、確かな証拠となるのです。」

シ「証拠には…………なんねえよ。あいつは死んだ。見た物が居なくても、文乃は死んでんだ。変わんねえよ…………。」

黒羽は面食らったように驚き、俯いた。

ク「会いたくないのですか、楯山文乃に。」

シ「そういう訳じゃねえよ。ただな…………」

ク「ただ…………?」

シ「ただ、あいつが生きていたとして、俺に何が出来るんだ?そんなの、ただの俺の自己満足じゃねえか。エゴだよ、そんなもんは。」

ク「…………」

黒羽はただ俯く。
その瞬間だった。

シ「……ッ!?」

大気が揺らめく。
切り裂くように姿を現した「それ」は、あまりにも信じがたい物だった。


艶やかなセミロングの黒髪。
目も焼ける様な赤いマフラー。
全てを惹き付ける漆黒の瞳。

×「ねえ伸太郎、私の事、覚えててくれた?」

見間違える筈がない。
「楯山文乃」だった。

シ「ど、して…………?」

ア「伸太郎、私と逢うのは、伸太郎にとってはエゴなの?」

文乃の透き通った瞳が俺を捉える。
息が詰まる。
呼吸は出来る筈なのに、酸素が喉を通る感覚が無い。

シ「あや、の…………」

ア「伸太郎、ねえ、伸太郎?」

シ「あ…………」

文乃の声。姿。
その全てが、俺を「否定する」。

ク「主。」

黒羽の声が聴こえる。
いや、その声は、耳に張り付いてる様。

ク「何か、言う事は無いのですか?折角…………私が、主の為に連れて来たと云うのに…………。」

シ「連れて来た…………?」

ア「伸太郎。私ね、今違う世界に居るんだ。伸太郎の知らない、不思議な世界。一日だけ、黒羽に頼んで来たんだー…………、伸太郎の為に。」

俺の為に…………?

ア「伸太郎、私ね。伸太郎に、お願いがあったんだ。」

シ「…………?」

ア「私のね。弟達。みんな、置いて逝っちゃった。みんなの記憶、消してね。私、いない事になってるの。それがみんなを悲しませないって。」

シ「お、とう、と…………記憶…………?」

ア「うん。でもね、それは…………私が悲しいの。だからせめて、伸太郎だけには覚えててもらってた。ごめんね、伸太郎。」

俺はただ相打ちを打つ。

ア「みんなの記憶、戻すの。全部。だから…………せめて、この事、伝えたかったんだ。黒羽頼んで、ね。」

シ「…………文乃……。」

ズキリ、と頭が鳴る。
脳の内側から、打ち付けられている様な感覚。

ア「ねえ伸太郎。お願い。」

文乃は、くるりと俺に背を向ける。
二、三歩歩いて、首を向ける。
真っ黒な、笑顔で。

ア「私の代わりに…………向こうに行って?」

俺の記憶は、そこで途絶えた。

【続く】

すこし息抜きでヤンデレセトマリ書きます…………。

Re: シンタロー総受け(リク受付) ( No.18 )
日時: 2014/07/16 16:30
名前: ミク@ (ID: tMBSASgt)

【ヤンデレセトマリ】

事の始まりは3時間前に遡る。

私がただカノと喋ってただけだったのに。
セトはカノから私を奪い去って、こう言った。

「マリー。」

声は、とても低かった。
いつもなら、私もセトの名前を呼んで、笑っただろう。
だけど、今回は違った。
私は震え声で、セトの名前を呟いた。
するとセトは微笑んで、

「マリー、マリーは俺だけの……」

と、後を濁して言った。
セトが手を差し伸べた時、私はとっさに後ずさりして、

「い……いやっ!」

と、叫んでしまった。
言った瞬間後悔が募る。
恐る恐るセトの顔を見ると、セトは無表情で。
逆にそれがとても怖かった。

「マリー?マリーが独りぼっちだったのを、見つけたのは、一体誰だったんすか?」

体中に悪寒が走った。

「セト……だよ?」

「そうっすよね……俺っすよね?」

セトが何を言いたいのか、私には理解できない。
だけど、それでも、セトは明らかに「怒って」いた。
尚震えている私をおかまいなしに、セトは続けた。

「じゃあ、マリー、マリーは誰のモノなんすかね?」

「モノ」。
セトは今、私を「モノ」と言った。
私は「私」なのに……。

「私は……誰のモノでも……」

「ない、なんて、言わないっすよね?」

セトは私の言葉を被せる様に、私が言おうとしていた事を言った。
どうしてそんな事言うのだろう。
セトは、何がしたいのだろう。
そんな私の思考も、「恐怖」によって薄れかけていた。

「マリー、俺がマリーを見つけなかったら、きっと今も、独りぼっちだったはずなんすよ?」

刹那、ゾクッという感覚。
この感覚は、前にも体験したことがある。
あの時だ。
いいつけを破って外に出てしまった時の。

「いや、だ……」

零れた言葉は、きっと独り言だったのだろう。
でも、セトには聴こえていたみたいで。

「そうっすよね?いやっすよね?だったら……マリーは、俺のモノなんじゃないんすか?」

意味が、解らない。

「セ、セトには、ありがとうって、思ってるよ?だけど、私が 、どうしてセトのモノ、に……?」

「マリー?どうしたんすか?もしかして、忘れちゃったんすか?今、こうやって幸せに暮らせてる事。誰のおかげなんすかね?」

その言葉を聴いた時、私は1つ、理解した。
セトは元から、私の言い分なんて、聴く気が無いんだ。

「セトは、私が、セトのモノだって、思ってるの?」

恐怖で震える体を必死に抑え込んで、ようやく出した言葉は、簡単に潰された。

「そうじゃないんすか?」

まるでそれは、常識なのではないかと、同意を求められてる様で。
……いや、「そう」なのだろう。

「ちがう…………」

違う。
私は……セトのモノなんかじゃ、ない。


「マリー?何言ってんすか?マリーは……マリーはっ……俺のモノなんすよ?解ってないんすか?マリー、うんって言ってくださいっすよ……。」

「解ってないのはセト……だって……私は……」

「マリー……いい加減にしないと、怒るっすよ?」

もう既に怒ってるじゃん……
ただセトが怖くて、恐怖しかなくて、それでも、私は首を振り続ける。
その時、一瞬体がグラりとして、視界が閉ざされたと思った瞬間、背中に強い衝撃が走った。

ズキッとした、独特の感覚。
この感覚も、あの時に感じた事がある。

「セ……ト……」

痛くて、呼吸がまともに出来ない。
音を耳で感じる様な、ほんの小さな刺激すらも、体中が拒絶する。
ただただ、「痛い」。

「マリーが、俺のモノだって言わないからっすよ?」

私が?
私が、全部、悪いの?
思考が上手く回らない。
胎内に取り入れられる酸素とのバランスが、上手く取れなくて、次第に朦朧としてきた。
今まで、セトはこんな事、しなかったのに。

「ど……し……て……?」

振り絞る様に出した声は、空気にかき消された。
セトは、今何を考えているのだろう。
空気にかき消された「どうして」は、セトに届いたのだろうか。
それとも、そのまま溶け込んでしまったのだろうか。
今の私には、それを確認する術も無くなっていた。

—————————————————————————

ーー目が覚めると朝だった。
目の前には、見慣れたコンクリートの壁。
眩しいばかりの、降り注ぐ太陽。
どれも、「いつも通り」だった。

「昨日のは……夢?」

ベットから起き上がろうとした時。
背中にズキッという鈍痛が走った。
その瞬間に、昨日の事は現実だと痛感した。

「セト…………」

今まで、「癒し」であった筈のセトに、今こんなにも「恐怖」を感じている。
それは、これから払拭出来るのだろうか。
思えば思うほど、気が重くなってきた。

コンコン

ドアをノックする音が聞こえる。
この時間に私の部屋を訪れる人物は、一人しかいない。

「マリー?開けるっすよ?」

その声。
独特の口調。
昨日私に恐怖を植え込んだ人物。

「マリー?」

「セト……うん、大丈夫。」

ガチャリと、ドアの開ける音が、殺風景のこの部屋に、不必要なくらい響いた。

「マリー……抱き締めてもいいっすか?」

部屋に入ってきて一番に、セトはそう言った。
いきなりの発言に、私は硬直する。
セトに抱き締められる事なんて、今までにもたくさんあった。
だけど、こうやって前触れに「抱き締めていい?」と尋ねられる事はまず無かった。
それなのに………………

「マリー?」

「あっ…………うん」

私がそう会釈すると、セトはホッとしたように顔を緩ませる。
そして私に近づき、優しく抱き締める………………
はずだった。

ガチャリ

固くて、冷たくて、角張ったその感触は、いつものセトの手とは明らかに違った。
手を動かそうとする度、チャラチャラという冷たい音。
拘束される腕。
そこまで理解した瞬間、私の思考は昨日の「恐怖」で埋め尽くされた。
それと同時に、頬に激しい痛みが走る。

「マリー、ずっと、愛してるっすよ………………♡」

もはやセトの顔を確認する事も出来ず、私はただただ自分に与えられた痛みに耐えることしか出来なかった。
私はセトに頬を殴られたのか、と理解したのはその後だった。
痛かった。
それは、この「暴力」での痛みだけでは無かった。
今までセトは、どんな感情を持って私に接してきたんだろう。
だったら何故あの時、私を外に連れ出したのだろう。
どうせなら、独りぼっちにしてくれた方が、ずっとマシだったのに…………
痛みで埋め尽くされた脳裏に、微かにセトの屈託の無い笑顔が浮かんだ。

—————————————————————————

台所では美味しそうな匂いが漂っている。
ああ、今日はカレーかな、とセトはバイトから帰ってきた瞬間に思った。

「ああ、セト、お帰り。」

「ただいまっすー、キド、今日はカレーっすかー?」

「ああ。鼻がいいな…………マリーの調子はまだよくならないのか?」

セトはニッコリと微笑む。

「そうなんすよー…………薬もあんまり効かないみたいで。心配っすよねー…………でも大丈夫っす!俺が付いてるっすから!!!」

「そうだよな……それじゃセト、これをマリーに食わしてやってくれ。」

セトはキドからお粥を受け取ると、

「了解っす!」

と気持ちのいい返事をした。
それからマリーの部屋を開ける。

「マリー、ご飯っすよ。」

マリーはセトを「警戒」しながら頷いた。
「痣だらけの」顔をセトは撫でながら、笑顔で呟いた。

「マリー、マリーは一生俺のモノっすよ…………。」

【終わり】

セト君こんな悪い子じゃないです…………すいません…………(´・ω・`)


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。