BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】
- 日時: 2016/06/19 07:20
- 名前: ハフェズ (ID: 9KS5hO21)
注意
太宰×中也書こうと思います
(思ったよりシリアス展開です。太宰さんが病んでます)
太中(中太)嫌いと言う方は御遠慮下さい
全て自己責任でお願い致します
初投稿になりますので、誤字脱字、その他色々な
御迷惑をお掛けするやもしれません。御了承下さい
評価に限らずコメントなど頂けると嬉しいです
太宰・中也について共感し合いましょう!
多分ですが、数ヶ月の間更新することができません
できるだけ早くここに来て、続きを書けるようにがんばります
【2016.1/31 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.3/14 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.4/14 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
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- Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.31 )
- 日時: 2016/02/07 00:52
- 名前: ハフェズ (ID: nyr1MBL9)
心安らぐ静けさ。流れる時間の、緩やかなこと…。
だが其れも、五年前のあの日迄の事であった。
静けさと、生い茂る木々によって作り出された見通しの悪さとが、彼の様な事件を引き起こすなどとは…其の様な事、露程も考えはしなかった。
「…昔、塀近くの木に登り、此の屋敷からの脱出を試みた者等が居ってのう…。塀の高さを超える木は皆、其の後に斬り落として仕舞うたのじゃ」
大切な〝家族〟を失った。心に深く刻まれた傷は未だ癒えぬ。
何故彼の子等は、彼の様な真似を。
何か苦悶するところのものがあったならば、気付いて遣れなかった義親の悔悟がある。ーー解って居るのは、此奴が何かしらの関わりを持って居たと言う事だけであった。
「それで設備も最新のものを完備されているんですね」
通りで、見張られている様な感じがした訳だ、と、太宰はおくびれもせず言う。それから又茶を啜る太宰を、紅葉は殆ど呪う様な目付きで見て居た。
本当に、此奴は、何がしたいのだ。今になって急に姿を現した理由は、一体。
長く苦しんで来た、此方の気も知らずに…
「…此の荘に、何の用があって来た」
怒り、怨み、悲しみ、悔い…様々な感情に押し潰されそうになり乍ら、声音が震えそうになるのを何とか抑えて、紅葉は問うた。
…カチャ、
太宰がそっと、ティーカップをソーサーに置く音が響いた。
「卒直に言うと…」俯いた侭の太宰が、話し出す。
「一番の理由は、中也の事についてです」
- Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.32 )
- 日時: 2016/02/11 17:49
- 名前: ハフェズ (ID: nyr1MBL9)
「中也…?真逆彼奴、学校で何か不仕末でも…」
「いえ、そんな事はありませんよ、寧ろ彼は真面目過ぎる位です」
ならば何じゃ?と怪しみて問う紅葉に、太宰は、
「中也の外出を、許可して頂けませんか?」
「…はーーー?」
外で小鳥が囀っている。十二分に間を取って、紅葉は再度、確かめる様に訊いた。
「……何と?」
(切ります。短くてすみません…)
- Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.33 )
- 日時: 2016/04/23 01:44
- 名前: ハフェズ (ID: APISeyc9)
*オリジナル story『本当は、君からの』*
(今年のヴァレンタインは日曜日。休みでしたね。私は友人に会えませんでした…泣)
注 : 短い・粗雑・稚拙・何これなお話です。自己満足にしか見えないかもしれません。設定は本編と同じです。ちょっと、と言うかかなり太宰が語ってます。暗めのお話になってしまったかも…?ギリギリ14日に間に合いませんでした…
*****
「「 ごめん 」」
覚悟はしていたであろうが、突き付けられた現実に女子生徒は崩れる様に泣き始めた。
また、この季節がやって来た。
何故だか、半端無い罪悪感に襲われるーーー聖なるヴァレンタインデーが。
「ねえ、靴箱にチョコの箱を押し込むのって、どう思う?」
溢れんばかりの小箱を掻き分け、埋もれて見えなくなった己の靴を探りながら太宰が言った。
本来靴箱は靴を入れる場所だよね。そこに何の躊躇いも無く菓子を入れるなんてさ、一寸非常識だとは思わない?
「お前女子に殺されンぞ」
それ去年も一昨年も聴いたし。自身の靴箱に詰められた箱を袋に移し終わって、やっとひと息吐いた中也が応えた。
太宰の靴箱から零れ出た箱を拾い上げて渡して遣ると、彼は気怠そうに受け取って「あぁーあ、」と漏らした。中也は、此奴も大概人の苦労を容赦無く水の泡へと変えて呉れる、と、柄にも無く女子達を憐れむ気持ちになった。報われないなァ…可哀相に。
ふと、今日の昼休憩の事を思い出して、俺の取った対応も此奴と同じ、相手の想いを踏み躙る様なものかと思い直した。相手の方は随分と覚悟したんだろうな。ごめんの一言じゃあ余りにも酷かったか。でも、此方には付き合う気などこれっぽっちも無かったし、余計な事を言ったが為に相手に気を持たせては後々が面倒だ。…流石に、泣かれると心が痛んだが。
何時からか、二人は、毎年、そんな大変な事を繰り返していた。まあ二人も男だ。女子からチョコを貰って、嬉しくない訳が無かった。だが、いくらチョコでも貰う量が度を超すと処理に困るのは当然の事で。思い遣りも数で割れば、一つ当たりに込めて遣れる良心も少なくなる。これは仕方の無い事だ。その上、そんな気など全くない二人には、汗水垂らし気合を入れて作ったチョコは酷く〝重〟かった。それ故チョコを見る眼も、必然的に冷めたものになる。
「知ってる?中也。身長はチョコの量に比例するんだよ」
「うっせ。そのフレーズもう一回口にしたらぶっ」
「殺して呉れるの…!?」
「…やっぱ辞めた」
「ちぇっ、詰まんなーい」
それから二人は顔を見合わせ、共に、くすりと笑みを零した。
今日は気が合う日かも知れない。
太宰の家に行き、一緒にチョコを浴びる様に食べ散らかした。
もとよりさほど甘いものに強くなかった中也は、割と序盤にダウンして、その後は太宰が箱を空にしていくのをテーブルに伏して見て居た。太宰もその内、変化の無い砂糖の味に舌が飽きて来て、中也と並んでテーブルに伏すと、丁度中也の目と太宰の目がかちあった。太宰が微笑む。ふわりと空気も緩んだ。
「モテる男も大変だね」
「俺は別にモテてる訳じゃねえよ。あれは義理だろ、義理。向こうも付き合いで配ってんだろ」
「うっわ中也、何その頭の固い冴えない上司みたいな言い方!最低だな、中也にチョコ渡した女子が可哀相だ」
「ンだと?外面だけの中身空っぽ野郎に眼を輝かせる奴等の方が、よっぽど不憫だろうが」
「鈍感と無知は罪だよ、中也。君なんかチョコの呪いにかかって一生背が伸びなくなれば良いのに」
「不吉な事を言うな!マジで伸びなくなったらどうして呉れんだ」
「まだ伸びると思ってたんだ…かあいそうにねぇ」
「太宰手前ェ…」
愉快な語らいもそこそこに、二人は何時の間にか眠りに落ちていた。
一つのテーブルに幸せそうな顔が、向かい合って。
ハッピーヴァレンタイン 大切な君
起きたら既に日は暮れて仕舞っていて、慌てて太宰の家を飛び出したのは…内緒です。
*****
お・ま・け☆(暗いよ!)
本当は中也からの贈り物が欲しかった。そんなの、夢のまた夢でしか、ないのだけど。
私は中也が大嫌いだ。ああ言えばこう言って来るし、直ぐに干渉して来るから。あちこちにお節介を振り撒く所も嫌い。口が悪くて、実は誰よりも優しい所も嫌い。尊敬する人、信頼する人が居て、その人達にやたら従順な所なんて、最悪だ。他人の事を酷く気にする彼が嫌い。私が首を吊ろうとすると木の枝ごと切り落として、入水すれば河に身を投げて私を掴んで土手に引き揚げて、死にたい、と言えばそんな莫迦な事言うんじゃねえよ、ときつく叱る中也が大っ嫌いなんだ。そんな事したって、この世に生きているのが厭で、厭で、もう、どうしようもなくなって、さらに死にたいと思う様になるだけなのに。助けようとするから、私は今日もまた自殺に失敗する。
…でも。どうでもいいや、って思った筈なのに、中也が助けに来て呉れると、心の奥深くの部分が熱くなるのは何故だろう。君が側に居ると落ち着くのは何故?私、中也の事、嫌いな筈なんだけどなぁ…
もやもやとした自分の気持ちが一体何と言うものなのか、その正体を知ったのは中学生の頃。
嗚呼、私、中也の事〝 好き〟なんだなぁ、と。気付いたけれど、同時に絶望した気持ちだった。
叶わない。報われない。きっと、理解してもらえない息苦しさ…。
一気に世界が白く見えて、楽になる方法はないかと考えた。その度に、自殺に辿り着くのだが、どれも未遂に終わった。
学校では笑うし、怒りもする。時には親友も支えとなった。
駄目だなあ、ひとりは苦しい。ある日弱音を吐いたら、中也は、
我慢すんな。素直になれ。死ぬのは、一番、苦しい。絶対死ぬな、太宰。
私、死んじゃ駄目なのだって。生きている意味も思い付かないのに、生きろ、と。
つらい言葉。でも、初めて聴けた彼の本音の様な気がしてならなかった。
…生きてみようか。直ぐに辛くなるのはわかっているけど…ね。
それから、月日は流れ、現在に至る。一応まだ生きてはいるみたいだ。
隣には中也が居る。想いはまだ、伝えていない。来年は三年生になって、そうしたら直ぐに卒業だ。今の所進路も違うから、その後は二度と会えなくなるかも知れない。それまでに、何かしら伝えておきたい。
ヴァレンタイン。私にとっては息苦しさを思い知る一日だけれど、来年は何か私からも贈り物が出来れば良いな、と。君は全く気付く素振りが無いけどね…中也。
でもね、私が本当に望むのは。…欲を言えば、君からも贈り物が欲しいなぁ。
今迄散々心を折られて来たから、これが最後なのだと思えば、期待する事も出来る気がするんだ。
一年と言うのは、長い様に見えて実は凄く短いのだろう。
願いが叶う、その日まで。
……なんて、らしくなかったね…?
お・わ・り☆
*****
以降、作者の感想です。
勢いで書き上げました。私自身訳がわかりません。何これ、とお思いになるでしょうが、どうか温かい目でお見守りください。完全に深夜のテンションです。病んでますね。
→少々書き足したりしました。恥ずかし過ぎて消そうかとも思ったのですが笑 せっかくですしね!慣れない事に迂闊に手を出すと痛い目をみる、と言う良い経験になりました。これはこれで満足です。より一層精進して行きたいと感じました。
本編の続きもちゃんと書きますので、今後ともよろしくお願いいたします!ハフェズでした!
- Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.34 )
- 日時: 2016/02/23 01:03
- 名前: ハフェズ (ID: WVWOtXoZ)
「彼ももう高校生ですよ、それを考えると今の規則は、少し厳し過ぎやしませんか?」
最早〝こども〟ではないのですから。そう聴こえた気がして、直ぐに己の錯覚であったと悟った。紅葉は震える手を強く握り締め、ソファに座る男を見据えた。
「…此の屋敷の規則が何の様なものであれ、お主には関係あるまい」
「確かに、私には関係無い話だ」
太宰はあっさりとそれを認めた。しかし、何も引き下がった訳ではないのであった。
男は顔を上げると、ゆっくりと紅葉の方に振り向いて彼女を呼んだ。
座って話しましょう、と誘う太宰の眼が、きらりと奥で光る。其の眼が思い起こさせるのは、矢張り彼の人で。
紅葉は少しも太宰から視線を逸らさずにソファへと近付き、腰を下ろした。
細めていた眼を元に戻すと、今度は黒い瞳に動きを封じられた。
紅葉は太宰が口を開くのを、只黙って見て居る事しか出来なかった。
「それでも許可して頂きたいんです。もう少し中也を自由にして下さい」
「私は彼の子に、規則を守る事の大切さを教えて遣りたいのじゃ。社会に出てからも、苦労する事の無い様に、と」
「姐さんの考えも解ります。ですが、矢張り厳し過ぎる」
太宰はそう言って一歩も譲らなかった。其の為話は一向に進まず、平行に伸びて行くばかりだ。
「もう良い、お主の要求の内容は理解した。…じゃがのう、小僧。其の要求を呑んで、一体私に何の利があると言うのじゃ?真逆、無条件に受け入れろなどは言うまいな?」
紅葉の言葉に、太宰は怯むどころか、さらに得意になった様にも見えた。
「ええ。勿論です」
ふっと笑みを零す太宰に、怯んだのは紅葉の方であった。
若し、姐さんが許可して下さったなら。
男は、代わりとしてある一つの覚悟を口にした。
私は先生に会いに行きましょう
- Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.35 )
- 日時: 2016/02/29 01:36
- 名前: ハフェズ (ID: WVWOtXoZ)
先生……。
目の前の男の言う先生とは矢張り…彼の人で間違い無いのであろうか。
「何故じゃ…」
紅葉は肩の力を抜き、酷く茫然とした様子で言った。
「何故、今になって突然、其の様な事を言い出す……?
…何故、此の時期だったのじゃ…」
「ーーそれは、願いを聞き入れて下さったと言う事で良いのですね?」
向かい合わせに座る男は、最早交渉は上手く行ったと言う風に満足そうに此方を見て居た。
嗚呼、…此奴は最初から解っていたのだ。紅葉が仕舞いにはうん、と首を縦に振り肯んずる事迄も皆、全て。
何と末恐ろしい…。紅葉は瞳を閉じた。
自分には太宰に勝つ術は無かったのだ。
もう紅葉には、うんと応える他に手段は残されていない。
喩え何の様な術を以てしても、勝てた相手ではなかったのだ、と。
紅葉は薄らと瞼を持ち上げた。
「…一つ訊く。お主はそう迄して何故、中也に拘るのかのう…」
その言葉に唯一太宰は反応した。…反応と言っても、紅葉では気付かない程度の太宰自身の感覚でしかないのだが。
「さあ?それは私にも解りません。ですが、そう言う紅葉姐さんも…私と変わらない位に彼の事を意識しているんじゃないですか?」
そうだとは思われませんか?その時の太宰の表情は、紅葉にそう語り掛けていた。
他の子供達よりもーーそれは芥川よりも、彼の子の事が心配で。
離れて行って呉れるな、何時かは避けられぬ運命だと解っては居るけれど。
お前を見ていると、不安になるのだ。
ならば、太宰も同じだったのか。
それは、詰まり……如何言う事であろう。
「それじゃあ、私はこれで」
太宰が立ち上がる。紅葉もその後に続いた。
洋間を出て、紅葉は玄関まで案内すると言ったのだが、太宰は丁重に断った。一人で行けるから、と言うのである。太宰は中也と話してから帰ろうと思っていた。屋敷の主人はそれを察しては居たが、彼を止める事はしなかった。暫くの間様子を窺ってみようと思い至ったのだ。そして彼女の大切な〝家族〟に危害を加えようものならば、即座に男を此の屋敷から引き剥がす覚悟でいた。
紅葉は縁側で茶啜っていた。隣には鏡花が可愛らしく座っている。
今はもう斬って仕舞った為其処には無いが、曾ては立派な松の木があった処をぼんやり眺めていた。
…随分とさっぱりしたものじゃの。
その想いがひしりと身に沁みた。
其処には五年前の様に、太くて大きな松の木は無いのだ。