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文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】
日時: 2016/06/19 07:20
名前: ハフェズ (ID: 9KS5hO21)

注意

太宰×中也書こうと思います
(思ったよりシリアス展開です。太宰さんが病んでます)

太中(中太)嫌いと言う方は御遠慮下さい
全て自己責任でお願い致します

初投稿になりますので、誤字脱字、その他色々な
御迷惑をお掛けするやもしれません。御了承下さい

評価に限らずコメントなど頂けると嬉しいです
太宰・中也について共感し合いましょう!

多分ですが、数ヶ月の間更新することができません
できるだけ早くここに来て、続きを書けるようにがんばります



【2016.1/31 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.3/14 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.4/14 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.4/23 参照4000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/1 参照5000突破致しました!ありがとうございます!】
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【2016.6/19 参照10000突破致しました!ありがとうございます!】

Re: 文スト 太中 ( No.20 )
日時: 2015/12/19 00:39
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)




朝の食卓に、二人分の皿と箸が並ぶ。今日は、何だかとても楽しい。こんな日が長く続けば良いのに。ずっと二人で居れたら、どれ程幸せか…。
牛乳をパックの侭差し出すと、流石に殴られて仕舞った。普段とは違う、騒がしくて賑やかな朝食の時間。彼はブツブツ言いながらも、結局牛乳を全て飲み干した。良い飲みっぷりだねぇとか、けど野菜も摂らないとカルシウムって吸収されないんだよ、だから私の分のサラダもお食べ、などと言うと、「煩ぇ」と怒られて仕舞った。彼は、己の躰の面に於いて何かしら劣等感を抱いている様だが、私は彼を揶揄する事はあっても心から劣っていると思った事など一度も無く、こんな事を言えば本人に蹴り上げられるかも知れないが、逆に中也の愛嬌でもあると思う。まあ、確かに背は私よりも一回りか二回り程小さいのだが、其れでも女子達には、他の人気のある男子に引けを取らない位〝モテる〟のだから、中々侮れぬ人物であると言えよう。

朝は時間が速く流れる様で、然う斯うして居る内に家を出る時刻となった。
昨日の夜、帰り道で拾った鞄を肩に担ぐ中也と、部屋を後にする。同じマンションから一緒に登校と言うのは、少し憧れていた事もあって、私の足取りは軽やかだった。何時もなら詰まらないと感じる英語や古典の問題集も、不思議と楽しく問題を出したり答えたり出来て、二人の朝の風物詩となっていた口喧嘩も無く、中也の苛々も今朝は見られなかった。其れ程私は浮かれていたのだ。中也も何処か愉しげであった。が、其れも学校に着く迄の事だった。
二年生の下駄箱で靴を履き替えて居る時、背後からすっと何者かが近付き、話し掛けて来た。

「お早う御座います、太宰さん、中原さん」

黒のセーターに躰を包んだ、細身の青年。
それは、芥川だった。

「おや、お早う」

「…おはよう」

中也が表情を硬くして応えた。芥川の方は、私に挨拶を返されたのが嬉しかったのか、表情を明るくして此方を見て居る。それから、思い直した様に中也の方に向き直ると、手にしていた手紙らしき紙を差し出しながら言った。

「これは、紅葉さんからの、御文です」

「御文…」

「必ず読むように、と」

白無地の和紙の手紙の表面には、只〝中也〟とだけ書かれていた。

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.22 )
日時: 2015/12/20 16:35
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)
プロフ: http://www.shochian.com/bunhan.htm




『中也』

その二文字から始まる、俺宛ての手紙。その後にもつらつらと、姐さんの字が並べられている。多分、いや絶対に、叱責の言葉か咎める言葉だろう。何と言う事だ。

「ねぇ、何て書いてあるの?」

太宰がひょこっと顔を出して文面を覗いて来た。

「『向寒の候 実は昨夜御前の帰り之無しにより御前が身を案じ申せし次第也。』……」

俺は手紙に書かれている事を、ゆっくりと読み上げていった。文体が古く少し読み難い。

「…心配しているのかな、紅葉の姐さんは。続きは?」

「ええと…『日頃より勉学に励まれしに、何ぞや荘の定事破り、私が傍より姿晦ます所となる。甚だ心配の念尽きぬ哉。然れば速やかに引返し具に事実を語るべしーーー』…詰まり、早く帰って来いって事か?」

「恐らくは」

「面倒な事になったね」

「誰れの所為だと…」

その先を言おうとして、俺は口を閉じた。別に太宰が全て悪い訳ではない。そう、自分自身を納得させたのは昨日の晩だ。


(また更新します。上記のサイトは姐さんの手紙の参考にさせていただいたサイトです
[芳賀矢一・杉谷代水合編「書翰文講話及び文範」より]
もしかしたら参照の使い方間違ってるかもしれません。参照ってどのような時に使うのでしょう…)

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.23 )
日時: 2015/12/27 17:28
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)





「で?帰るの?」

手紙を折り畳む中也に問う。

「今からは無理だろ」

「良いなぁー早退かぁ…」

「だから帰んのは学校終わってからだって」

それに早退したら姐さんを余計怒らせちまう、と言う中也に、今度は芥川が訊ねた。

「あの…中原さんは、昨晩何方に行かれて居たのですか?」

「あぁ、それは…」

何の躊躇いも無く打ち明けようとする中也に、太宰が気持ち動揺して意味有りげな視線を投げ掛けた。しかし中也は睨まれたとしか思ってなく、「何だよ」と言う様な眼で睨み返しただけで、全く相手にしなかった。

「太宰ン家で勉強してた」

「一寸、中也?」

「だ、太宰さんの御家で、ですか…!?」

思って居たのよりも大袈裟な芥川の反応に、中也は若干愕きつつもおう、と答えた。ほら、もう直ぐ試験じゃん?と彼は続ける。
否、愕いたのは、其の点ではなく…。
芥川の頭は混乱して居た。まあ、百歩譲り、中原が太宰の家に行った事は理解出来るだろう。だが規則は必ず守る中原の事。確りと門限の事を考え、行動する筈…。
しかし芥川以上に混乱して居たのが太宰だった。
口許を奇妙に歪めている。笑みにも見えない事はないが、其れにしては少々不自然であった。

「其れで、其の侭…太宰さん宅に泊まられたので?」

混乱の余りつい訊ねる口が止まらなくなった芥川が言った。

「芥川君もうその辺で」

「太宰、さっきから何だよ。何か不満か?」

「別にそんなんじゃないけど…中也ってほんと、繊細さに欠けるよね」

「はぁぁ!?」

中也が苛ついた声をあげた。
ああ又、怒鳴らせちゃった。今日は良い雰囲気かなぁと思ったのに…。
そんな事を思いながらも、何時もの調子で中也の言葉による殴り合いに応じる太宰であるので、芥川も中也も彼が落ち込んでいる事になど気付ける筈も無かった。

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.24 )
日時: 2015/12/30 00:52
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)





朝の一件で、何だかお互いに気まずくなって、学校が始まると殆ど口を利かなかった。
何であんなにも平然とした態度で昨日の事を語れるわけ?そこはもっとドキドキしても良い場面だろ?だのに、ねぇ、如何して…?
中也は私と一つ屋根の下で過ごす事に関して、そこ迄意識して居なかったのだろうか。
結局、私だけが振り回されて居たのかな。

其れって、何か一寸、淋しい…かも

嗚呼…どうしよう、泣きそうだよ。
彼は私から右横に二列、前に二つの席に座って居る。
今は授業中だけれど、先生の話は全く頭に入って来ない。
ふと左に顔を向ければ、窓と其の向こう側には校庭が見えて…。
どっと笑い声が起こったので教壇の方を見てみると、運悪く先生と視線がかち合って仕舞い、慌てて視線を逸らした。

「太宰、この問題お前なら解るだろうーーー」

そう先生が問うたので、生徒の視線が自然と自分に集まった。其の中には、彼も居て。
あ…
見まいとしても矢張り見て仕舞う己を憎んだ。
興味無さそうな顔。
チクリ。
何かが突き刺さった様な痛みを感じた。

「答えはーーーです」

座った侭で答えた。生徒が前を向く。先生は嬉しそうに正解、と笑った。
今日は〝いい日〟の筈なのに。
私は又窓の外へと眼を遣った。


今凄く…死にたい。


(切りが良いので切ります。
暫くは更新出来ませんのでご了承下さい。次の更新は年明けになります。多分。
ここまで見て下さり、有難うございました。また来年もよろしくお願い申し上げます)

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.25 )
日時: 2016/01/03 12:47
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)





太宰が何故急に機嫌を損ねたかが解らなかった。何か奴の不興を買う様な真似をしただろうか?思い当たるのは、朝の芥川との話だけだ。

俺が目覚めてからと言うもの、太宰は至極ご機嫌な様子だった。奴にしては珍しく、此方が気を緩めて仕舞う程にこにことして居り、どこか楽し気な雰囲気を漂わせて居た。文句の一つも言わないで朝の勉強に付き合って呉れた辺りなど、機嫌が良過ぎて逆に引く位だ。まぁそのお蔭で俺も、何時になく良い気分で居られたと思う。それ位互いにルンルンだった。

だのに、俺が芥川に昨日の話をしようとすると、変な眼で俺を睨んで来るのだから気に入らない。丸で俺を非難するかの様に双眸を少し細めて。何だよ。芥川も芥川ですげぇ動揺するし。太宰には繊細さに欠けると言われるし。それから何時もみたいに、下らない口喧嘩が始まった。

不貞腐れて居るのか、一度授業が始まるとそれ以降は何を言っても無視、無視、無視。完全スルーだった。仕舞いには此方も頭に来てお互いに口を閉ざす始末。今日の此奴のテンションの上下には付いて行けない、と思いつつも頭の中を占領するのは奴の事ばかりで。全く…。溜め息が出る。

ある授業中に、全然意識を向けて居なかったのだが、黒板の前に立つ男教師がお決まりのギャグを披露し始めた。と言うのも隣の男子生徒のバカ笑いが耳に届いて初めて気が付いたのであり、それまでは周りの音など意識外だった。何が起こったのかと思い、隣で笑う男子をまじまじと見詰めていると、男教師が「太宰、」と語り掛ける声が妙にはっきりと聴こえた。

皆がほぼ一斉に窓側の席を振り向いた。
あ…
気付けば自分も首を回していて。
見まいとしても矢張り見て仕舞う己を憎んだ。
何人かの生徒の間に見える、彼の顔。
窓の外が明るいからなのか、瞳の色がひどく光を失って見えた。

「答えはーーーです」

太宰が答えると周りの者達は前に向き直った。正解、と男教師が笑った。
太宰はフイと窓の外に眼を向けた。
何方が悪い?
謝るべきか?
幾つか疑問を浮かべた所で、授業の終わりを告げる鐘が鳴った。

結局その侭時間ばかりが流れて行き、帰り支度をする時間になった。
はっと姐さんからの手紙を思い出して、鞄を掴み、急いで教室を後にした。
階段を駆け下り、靴を履き替え、校門に向かって走り出した時だった。
彼奴が、慌てた様子で俺を呼び止めたのだ。

「待って!一緒に行かせて!」

駆け寄って来る太宰。
その太宰の後ろの校舎の辺りに、もう一人黒い影が走って来るのが見えた。


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