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文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】
日時: 2016/06/19 07:20
名前: ハフェズ (ID: 9KS5hO21)

注意

太宰×中也書こうと思います
(思ったよりシリアス展開です。太宰さんが病んでます)

太中(中太)嫌いと言う方は御遠慮下さい
全て自己責任でお願い致します

初投稿になりますので、誤字脱字、その他色々な
御迷惑をお掛けするやもしれません。御了承下さい

評価に限らずコメントなど頂けると嬉しいです
太宰・中也について共感し合いましょう!

多分ですが、数ヶ月の間更新することができません
できるだけ早くここに来て、続きを書けるようにがんばります



【2016.1/31 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.3/14 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.4/14 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.4/23 参照4000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/1 参照5000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/8 参照6000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/20 参照7000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/30 参照8000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/10 参照9000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/19 参照10000突破致しました!ありがとうございます!】

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.26 )
日時: 2016/01/05 02:04
名前: ハフェズ (ID: Zxn9v51j)





「ーー太宰?」

「太宰治も、一緒に行かせて、呉れないか」

息を切らした太宰が俺の近くまで来て言った。相当走った様だ。
ついさっきまで口を利こうともしなかった状態が続いていたのもあり、太宰の行動には愕かされたが、何となくここは「いいよ」と言って遣る場面の様な気がしたので、そう言って遣った。

「はぁ、良かった、」

未だ息は整って居ないが、薄く微笑んで彼が言った。

それより、後ろから此方に向かって走って来る黒ーー多分あれは芥川ーーが気になるンだが。
そして近付いて来る人影は、矢張り芥川だった。

「今度は芥川か。どうした?」

「どっ、どうか、僕も…」

「あァ!?お前もかよ!?」

何なんだ、一体、どうしたってンだよ!このメンバーで帰ったら、気まずくなるのは間違いねぇだろッ!?

「なに、君もかい?……良いだろう。特別に許してあげよう」

「何故お前が許可を出す?」

「有り難う御座います、丁度僕も帰校する処でしたので」

「但し、今日だけだからね」

「だから、何で手前が決めるンだよ!」

はっ、てかこんな所で油売ってる暇は無ェ!早く帰らねば!

「ッおい手前等、付いて来るのは構わねえが俺は急いでンだ、走るぞ」

「えぇー、ゆっくり行こうよ、疲れるじゃない」

「煩ぇ。文句があるなら置いて行く。じゃあな」

「あ、待ってと言ってるのに!」

「中原さんっ!」

本当に、何なんだこいつらは?後から追いかけて来る。執拗いし、その上少し気色悪い。太宰も芥川も、なんか変だ。


それから三人で、丸で鬼ごっこでもして居るかの如く、仲良く市街地を駆け抜けた。

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.27 )
日時: 2016/01/17 01:24
名前: ハフェズ (ID: LHB2R4qF)





人で賑わう通りから少し離れた、落ち着いた雰囲気の場所に佇む、古風で豪壮な造りの邸宅。その周りを囲む土塀や立派な門からは、一見老舗旅館の様にも見えるが、勿論旅館などではない。
『舞姫荘』と、知る者は呼ぶ。ある者にとっては、小さな頃から住む馴れ親しんだ〝家族が居る家〟の様なものであり、ある者にとってはその荘の全てが全世界であったりする。皆から愛される屋敷だ。中也と芥川は、この荘の住人であった。
そしてこの屋敷には、屋敷の全てを管理する一人の女主人が居た。名を尾崎紅葉と言い、皆からは「姐さん」と言う呼び名で親しまれている。すらりとした背格好に和装、それから、切れ長の目の美しい美貌を持つ彼女は、しかし怒らせると取り返しの付かぬ事になる、と屋敷の住人から恐れられる存在だ。

以前何度も紅葉の雷を経験した事がある中也は、今回ばかりはもう半分諦めかけて居た。矢張りあの侭門の前で待って居るんだった、と後悔してももう遅い。これ迄に幾度となく姐さんを激怒させて来たが、手紙を貰う(しかも姐さん直筆)なんて事は一度も無かった為、かなり恐い。どんな罰が待っているのかと考えると眩暈がする様な心地だった。


「ここが舞姫荘かぁ……」

中也よりも少し遅れて屋敷の門に到着した太宰は、その門に使われている立派な柱を見て「丈夫そうな柱だね、首を吊るのに持って来いだ」と感心した。対して中也は、縁起でもない、と早々に呆れる羽目になった。芥川は太宰の後ろで息を切らして居た。
それから三人で門を潜った。敷地内に入ったとは言え、そこから屋敷の玄関迄は十数米距離があり、中也達が歩くと砂利を踏みしめる音がした。太宰はそれとなく庭を見渡してみた。随分と手入れが行き届いており、美しい庭である。が、何かおかしいと思った。ガラ、と音が聴こえて、振り向くと中也が扉を引いた所だった。

『ドスッ』

「いてっ」

「うっ」

急に中也が立ち止まるので、太宰は彼の背中にぶつかって仕舞った。太宰の後から入って来た芥川も太宰にぶつかり、芥川は慌てて謝罪の言葉を口にしたが、太宰はそんな事無視して中也に文句を言うのだった。

「ちょっと中也、行き成り止まったら危ないじゃーー」

しかしその言葉は、中也の向こう側から発せられた声に掻き消された。

「中也っ!!」

「っ、」

そう叫ぶなり、声の主はぎゅうっと中也に抱き付いた。
突然の事に、太宰と芥川は口をぽかんと開けるばかりだった。

「あ、姐さん…」

「おお中也や、無事じゃったか?心配したのじゃぞ…!!」

「しん、ぱい…?」


(また更新します)

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.28 )
日時: 2016/01/17 01:29
名前: ハフェズ (ID: LHB2R4qF)


かなり更新が遅れてしまいました…すみません
上の記事に書き足しました↑
区切りは悪いですが、また更新しますのでどうかお待ち下さい

あ、あと、参照の数が増えていたので嬉しいです!
バグでなければ良いのですが…(笑)
少しでも楽しんでいただければ良いなぁと思います

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.29 )
日時: 2016/01/31 16:29
名前: ハフェズ (ID: LHB2R4qF)




腕の中の中也が、訊き返した。

「済まぬ。昨夜は言い過ぎてしもうた。お主が約束事を破るのは久しかった故…」

帰って来ぬかと思うた…。もう一度中也を抱き締める。中也が深く反省して居る事など解って居った。済まなかった。重ねて口にした。
大袈裟だよ…と、安堵の混じった声が言った。姐さん、苦しい、とも。
私は腕を緩め、改めて頭を上げた。
すると其処には芥川ともう一人、男が此方を見てにっこり微笑んで居た。

「…見慣れぬ顔じゃの…小僧」

「お邪魔して居ます、姐さん」

其の男を見据え乍ら、ゆっくりと中也を解放した。

ーーー忘れるものか。

何故…、と言い掛けて目を細めた。此奴の意図が、視えない。
解らぬと言う事程、恐いものは無い。
然れば、余分な口を利かぬのが一番。
くいっと口の端を持ち上げ、隣の芥川に一言入れと言った。
男は表情一つ変えない。と思うて居ったら、薄く、眼を開いた。
一瞬、ぞわりと背中が粟立つ感覚を覚える。

…此の眼。誰かを彷彿とさせる。

「あ…姐さん、此奴は太宰っつって…」

場の空気の悪さに耐え兼ねて中也が話し出す。其れを見て男はくすりと笑った。

「急で申し訳ありません。
ーーー二人で話がしたいのですが」

上がっても?と言う其奴に、中也が透かさず言い返す。

「はァ?何で、お前が姐さんと話す事になンだよ!」

「善いじゃないか、話したって。君だけのものではないだろ」

「っンだとッ!?」

「善い、中也」

は…、と中也は意表を突かれた様な顔をした。

「善いのじゃ。何やら其奴には、話がある様でのう」

とは言うたものの、「わぁい、旅館だぁー!」と燥ぐ男に自信が無くなる。
「でも、」と未だ納得の行って居らぬ中也と、訳の解らぬ顔をした芥川を宥め、玄関に佇む客人ーー名は、太宰治ーーを招き入れた。


…何を企んで居るかのう、小童?

Re: 文スト 太中 【文豪ストレイドッグス】 ( No.30 )
日時: 2016/02/06 23:38
名前: ハフェズ (ID: nyr1MBL9)



通されたのは大きな洋間だった。過度に飾り過ぎない上品な部屋の造りは、この荘の雰囲気に合っている。太宰は一通り部屋を見回した。暫くそうして居ると、紅葉が先に話し出した。

「…中也から話は聴いて居った。あの子等とは親しくして居るそうな」

太宰は無言の侭、部屋の中央の辺りに鎮座するソファに腰を下ろした。紅葉は少し離れた処を歩いていたが、やがて足を止めて太宰の方に顔を向けた。

「…じゃが…真逆、お主自ら此の屋敷を訪れて来るとはのう。己が眼を疑う様な事じゃ」

聴いて太宰はふふ、と笑んだだけで紅葉の言葉には応えなかった。中々思い通りに言葉を吐かない男をじっと見詰めて居ると、コンコンと扉が叩かれる音がして、続いて「失礼します」と言う声が聴こえた。
太宰が見守る中、がちゃりと開かれた扉から一人の少女が、手に盆を抱えて入って来た。少女は扉近くのテーブルの上に一旦盆を預け、扉を閉めると、盆を持ち直して太宰の座るソファの横まで近付き、慣れた手つきでティーカップを置いた。

「よろしければ、どうぞ」

「ありがとう。いただくよ」

ニコリと微笑んでそう言うと、少女も僅かに表情を緩めた気がした。

彼女は泉鏡花。紅葉の姐さんが特別可愛がって居る少女だ。見ない内に大きくなったなぁ、と感心した。最後に見た時には、未だ随分と幼かった筈。これが時の流れと言うものであろうか。

ぺこりと可愛らしくお辞儀をして、鏡花は空の盆を手に部屋を出て行った。
扉が閉まるのを見届けてから、ティーカップを持ち上げて、啜る。ほんのりと甘い香りが口に広がった。相変わらず姐さんの視線が痛い。

「話があるのではなかったかえ?」

「ええ…。あ、そう言えば、庭の景色が随分と変わりましたね」

漸く口を開いたかと思えば…庭、じゃと?

「庭…」

「何かこう、すっきりした感じがして。前はもっと草木が生い茂っていたのに。…高い木、切り落とされたんじゃあありませんか?」

「……ふむ」

自ら〝その話〟を振って来るとは。恐ろしい迄に度胸のある小僧よ。

曽て、此の庭には今よりもっと多くの緑が鮮やかに茂っていた。屋敷を囲むように造られた塀が隠れて見えぬ程、高めの木なども植わっていたのだ。


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