BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- プリキュアのGL小説。(あきいち多め)
- 日時: 2017/08/17 20:32
- 名前: シーチキン (ID: TeXDu9yk)
初めまして、魚が大好きなシーチキンと申します。
今回、気分転換という理由でこちらの方に百合、すなわちGLを書くことにしました。
基本的にはプリキュアを書こうと思っております(というかプリキュアの百合書くために来た)。
創作や他アニメも書くかもしれません。
〜書く予定のもの〜
キラキラ☆プリキュアアラモードより
あきら×いちか(あきいち)
ゆかり×いちか(ゆかいち)
あきら×いちか×ゆかり(あきいちゆか)
魔法つかいプリキュア!より
みらい×リコ(みらリコ)
創作も書く予定。
などなど、プリキュア中心でいく予定です。それにしてもプリアラ、一貫しすぎてない?いちかちゃん受けで。趣味バレバレやん。
リクエストは創作のみ受け付けております。よろしくお願いします。m(_ _)m
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.20 )
- 日時: 2017/10/11 10:13
- 名前: シーチキン (ID: tdVIpBZU)
***
あきら達が着いたのは、キラパティ。どうやらいちかのチョコレートで作り直すらしい。あきらが止めても、いちかは聞かずにチョコレートケーキの作り方をひまりに教えてもらっていた。
「はい、あきらさん。みくちゃんへの気持ちを込めて」
あきらはゴムベラを受け取ると、湯煎にかけたチョコレートを混ぜ始めた。
一通り作業を行うと、どうやらあきらも楽しんでいるようだった。冷えて固まったチョコレートを取り出す。
「出来た?」
「まだ仕上げが残ってますよ!」
「剣城さんはどんな動物なんでしょう?」
「動物?」
いちかは生クリームやいちごを使い、デコレーションしていく。
「出来た!」
あきらはそのスイーツを手に取る。
「これは、オオカミか」
「はい! あきらさんをイメージして、デコレーションしてみました!」
月に向かって吠えるオオカミに、へぇ、と声を零した。
「ありがとう、これでみくのところへ行けるよ」
オオカミチョコレートを袋に入れ、あきらは走っていく。そこで、いちか達は飛んでくるビタードの姿を見た。
「みんな、行くよ!」
ビタードは手に入れたキラキラルで、以前より大きくなっていた。
「またお前か……!」
あきらはチョコレートを守るように警戒する。
「はああああ!」
ホイップはあきらの前に立ち、ビタードを遠ざける。
「あきらさんのチョコは、絶対に守るんだから!」
三対一になったが、巨大化したビタードも決して弱いわけではない。苦戦する三人のところへ、マカロンが現れた。
「私もいるわよ!」
マカロン含め四人になったが、ビタードは素早く避けて攻撃をしてくる。翼を仰ぐと、ホイップは強風に飛ばされた。
「おい、大丈夫か!?」
近くにいたあきらが駆け寄ると、ホイップの変身が解け、いちかの姿へと戻る。
「いちかちゃん、君だったのか!?」
いちかはよろよろと起き上がる。
「に、逃げてください、あきらさん……じゃないと、大事なチョコが」
一体何故、この子はこんなに傷ついてまで、自分を、他人を守ろうとするのだろうか。分からない。だが、一つだけ分かったことがある。
いちかは、このチョコレートを、思いの詰まったスイーツを、大事にしているのだと。
目に溜まった涙をそっと拭い、あきらは微笑んだ。初めての笑顔だった。
「置いていけると思うか?」
立ち上がり、ビタードの方を向く。ビタードは構わず翼を仰ぐと、あきらはいちかを守るように、生身の体で攻撃を受け止める。
「ぐっ……このチョコは、いちかちゃんが俺のために、一生懸命作ってくれた、大事なものなんだ……!」
すると、紙袋の中のオオカミチョコレートがそれに反応するように輝いた。同時に降りてくるスイーツパクトを手に取り、あきらは言った。
「これは……! この力で、皆を守る!」
あきらは、チョコレートのプリキュア、キュアショコラに変身した。ピンと生えた狼の耳、ふさ、と伸ばした尻尾。そして赤を基調とした紳士的な服装。女性とも男性とも言い難いその姿に、一同は驚く。
「行くぞ!」
ショコラはキラキラルの力でビタードヘ攻撃する。負けじと風の攻撃で返すと、風はいちかの方へ飛んだ。そこへショコラは向かうと、いちかを横に抱いて跳ぶ。いわゆるお姫様抱っこだ。
安全な場所へ跳ぶと、ショコラは言った。
「いちかちゃんも、みくへのチョコも、必ず守る」
そう言って、またビタードの方へと向かう。
「あきらさん……キュアショコラ……かっこいい〜!」
そう呟いたいちかの声を聞かずに。
素早いビタードの動きを予測しているかのように、ショコラは余裕でついていく。
「な、何故ついてこれる!?」
「鼻が利くのさ」
ショコラはチョコ型のキラキラルを空へ飛ばすと、それに飛び移っていく。次にビタードが現れる場所へ来ると、言った。
「オオカミだからな」
ショコラはスイーツパクトを構えた。
「キラキラキラルン、キラキラル!」
すると、ビタードは体に貯めていたキラキラルを放出し、飛んでいった。
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.21 )
- 日時: 2017/10/11 10:40
- 名前: シーチキン (ID: tdVIpBZU)
いちかはノートに書いた『あきら(ハート)』の文字を見て、ため息をつく。
「結局、あきらさんに気持ちを伝えられなかったですぞ……」
ガックリと項垂れると、隣の家から名を呼ぶ声が聞こえた。その声が恋をしている相手だと気付き、いちかは急いでバルコニーへ飛び出した。
「あきらさん! ななな、何でしょうか!」
「みく、チョコ喜んでくれたよ。なんだかチョコのオオカミが、俺に似てるってさ」
「良かったです!」
以前よりも表情豊かになったあきらに、いちかの鼓動は速くなる。伝えるなら、今だ。
「あの、あきらさん! 今度二人きりでデー」
「おお! 早速仲良くなったのか!」
「お父さん!?」
いちかの声を遮ったのは、いちかの父だった。
「お姉さんが出来たみたいで良かったじゃないか」
「え? お姉さんじゃなくて、お兄さんでしょ!」
「何を言っとるんだ?」
お姉さん。その言葉を聞き、いちかは固まる。恐る恐るあきらの方を向くと、頭の後ろに手を置き、またか、というような顔をしている。
「あー……よく、間違えられるから……」
いちかは、引きつった顔で叫んだ。
「お、おお、女の人ーーーー!?」
***
今日も、王子様は大きな木の下で休んでいました。そよそよと流れる風に、気持ちよさそうに目を閉じます。
でも、一人ではありません。
王子様のそばで、ウサギもすやすやと、眠りについていました。
END
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.22 )
- 日時: 2017/10/22 12:05
- 名前: シーチキン (ID: b1TZiT7s)
獣人パロ、全く書いていませんが、先程プロット(とも言い切れない長い文章)を書き終えたので、プリアラハロウィンパロ書きます。今度こそ、ちゃんと最後まで書き終えようと思います。当然あきいち要素あります((
設定
いちか
完全なる見習い魔女。シエルの弟子として修業をしているが未だに上手く魔法を使えず、威力が自分の気持ちに左右されやすい。あきらが大好き。
ひまり
カボチャを愛するオバケ。最近はカボチャプリンにハマっている模様。真夜中に村へ行ってはカボチャを盗む代わりに美味しいカボチャが作れるよう呪いをかける(いい子)。
あおい
人間要素が強い人狼。族長の娘だが、沢山の決まりに嫌になり逃げ出した。今はひまりと行動を共にしている。以前は動物の肉が好物だったのに、ひまりの影響でカボチャも大好きになってきている。
ゆかり
城に住む吸血鬼。魔力が高く、魔法を多く使えるが、使えすぎるあまり何でも出来るので、毎日暇な様子。時々遊びに来るいちかが大好きで、血を吸う代わりに魔法も教えてる。あきらには敵対心バリバリ抱いてる。
あきら
人間だった元海賊。航海中に左手を巨大海洋生物に持っていかれてから海賊を辞めた。今は果てしない海を一人で航海しているだけだが、孤島なんかを見つけては冒険心が湧いてくる。いちか大好き。普通の人間よりも力持ちで、いちか達は軽々と持てる。
シエル
まさにパルフェな魔女。いちかの師匠。元は妖精で、魔法を習得し人間の姿になることが出来た。弟のことで深く傷ついているが、それを表に出していない。
こんな感じです。よろしくお願いいたします。
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.23 )
- 日時: 2017/10/22 14:55
- 名前: シーチキン (ID: NhgkHXib)
「魔女見習い、現在迷子中」
杖から水が放たれると、それは空へ浮き、文字を成していく。『いちか』という文字を空へ浮かべると、水を放った本人であるいちかは笑いかける。
「師匠! どうですか?」
「ん〜初めてにしてはパルフェな出来ね」
「ありがとうございます! ってうわっ」
ウサギのようにピョンピョン跳ねて喜ぶと、集中力が途切れたせいか、文字を成していた水が崩れ、いちかにかかった。
「まったく。そういうところも直していかないとね」
「えへへ……」
頭を掻きながら笑うと、いちかの師匠であるシエルもつられて笑う。
「今日の修業はここまで。テレポートして村に帰るわよ」
テレポーテーション! そう言うと、シエルは先に村へ戻っていった。
見習い魔女であるいちかは、毎日村の中心から少し離れた平野で、天才魔女であるシエルの弟子として修業を行っている。元々妖精という身でありながら魔法をいくつも使う姿に、いちかは何度も魅了されてきた。
しかし、修行を積んで早一年。未だに、完全に使える魔法が無い。「最初は皆そういうものよ」とシエルは励ますが、いちか自身かなり悩んでいるようで、頑張らなきゃと思って魔法を発動し失敗する。それを何回もやってきた。
だから最近は焦らずゆっくりと習得しようと心掛けているが、修行終わりに自分の手を見ては、まだまだだと強く握る。自分の為に、毎日魔法を教えてくれるシエルの為に。もっと頑張ろう。
「テレポーテーション!」
杖を振り、そう叫ぶと、いちかの体は一瞬にしてそこから消えた。
***
「どこ、ここ……」
波が規則正しく揺れ動く音、楽しそうに鳴くカモメの声。どこまでも続く、広く青い海。
いちかは、テレポートで別の場所へ飛ばされてしまったのだ。
「どどど、どうしよう……て、テレポーテーション!」
慌ててそう叫ぶも、飛ばされたのは同じ場所。両目にいっぱい涙を溜め、いちかは何度も叫ぶ。だが結果は変わらない。気持ちが威力に左右されやすいいちかには、今の状態でテレポートを使うことは無理に等しかった。
魔力が多いほうのいちかも流石に魔力が切れかけているのか、疲れて声を止める。偶然にも後ろにある洞穴へ歩を進め、中で誰かが来るのを待つことにした。
***
今日の海は静かだ。空は綺麗に晴れていて、潮の香りが程よく風に流れている。眠るのにうってつけだが、以前もつい眠りすぎて流されかけたので、やめておく。
「……お、島がある」
前を見ると、少し先に孤島を見つけた。どうしても心の奥底にしまっておいた冒険欲が暴れだし、元海賊であるあきらは帽子を被りなおした。ついでに少し早いが赤い仮面を被ると、なんとか近くまで辿り着き、舟を止める。
小さい孤島だが、こういう所ほど、凄い財宝が眠っているものだ。見つけたら生活の足しにしようと、溢れ出る好奇心からあきらの口角が上がった。
中へ入ると、見た目に反してかなり広かった。薄暗くとても静かで、先ほどまで聞こえていた波の音、空を飛ぶカモメの声も聞こえない。聞こえるのは、歩く度に壁に反響する、足音だけ。
(どこかに財宝が隠れてたりしないかな……)
コロコロ、と地面に落ちている小石を蹴る。すると。
「きゃあああ!」
人の悲鳴が聞こえた。声からして、女の子だろう。こんなところで何をしているのか。あきらは声の元へ走っていった。
「誰かいるのか!」
声を上げて少女を探すと、前方に人影が見えた。
「君は……?」
「きゃあああ!」
「お、落ち着いて! 怪しい奴じゃないから!」
あきらは仮面を取り、ねっ? と少女に笑いかける。すると、少女は上げていた悲鳴を止め、涙を溜めた目であきらを見た。
「大丈夫、私はただの人間だよ」
「えっ、人間……!?」
少女はまた震える。そういえば、黒い三角帽子を被っているなど、見慣れない服装をしている。
「師匠が言ってました……人間は、魔女を捕まえて火炙りにするって……」
「魔女? まさか、君は」
孤島の中に隠れていたのは、小さな魔女だった。
「私はあきら。元々海賊だったんだ」
「私はいちかです。魔女の見習いです」
一旦外へ出て、自己紹介をする。中は薄暗く見えにくかったが、こうして見ると、とても可愛らしい。
「いちかちゃんはどうしてこんな所に?」
「村に帰ろうとテレポートしたらこんな所に来ちゃって、それで……」
「ご、ごめん、聞いたのが悪かった。だから泣かないで」
だんだんと涙が溢れてくるのが見え、いちかの頭を撫でながらどうしようかと悩む。
「……そうだ、なら私の舟に乗って。村はどこ?」
そう言うと、いちかの顔はパッと明るくなる。のは一瞬で、眉が下がった。
「えっと、私の住んでる魔女の村は人間には見えなくて……」
その言葉を聞き、あきらの顔は曇った。だが、いちかに知られないようすぐに切り替わる。
「ゆかりさん……吸血鬼の住んでるお城まで行けば、何とかなりそうです!」
「分かった。ちょっと遠いけど、道は分かるから。行こうか」
そう言って船に乗るあきらの左手を見て、いちかは驚いた。鉤爪になっていたのだ。
「? ああ、これは海の怪物に持ってかれちゃってね。鉤爪で代用してるんだ」
「そう、ですか」
いちかが驚いたのはそこだけではない。一瞬、だが確実に見たのだ。鉤爪がひとりでに炎を出したのを。何故だか、あきらにその事を言おうとは思えなかった。
ほら、と手を差し伸べるあきらの右手に、いちかは笑顔で手を重ねた。
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.24 )
- 日時: 2017/10/22 16:04
- 名前: シーチキン (ID: NhgkHXib)
「カボチャは化学です」
村から盗んだカボチャを、慣れた手つきで切っていく。他の具材と共にじっくり煮込めば、簡単かつ美味しいカボチャの煮物が出来上がる。深い皿に盛りつけると、いただきますという一言を発してから、小さなオバケ、ひまりはモグモグと食べ始めた。
カボチャの甘みが口の中いっぱいに広がる。やはりあの村で作るカボチャは絶品だ。長年使っているノートをめくり、村の位置や作った料理を細かく書き込んだ。
「おい、またあいつ何かやってるぞ」
「カボチャの料理を作ってるんだとよ」
他のオバケの声が聞こえ、ひまりはびくりと肩が上がる。
「へぇ。カボチャってなんだ?」
「お前知らねぇのかよ。カボチャってのはな……」
その言葉を耳にし、ひまりはバンッと扉を開けて興奮気味に話し始めた。
「説明します! カボチャというのはですね、ウリ科カボチャ属に属していて、ビタミン等を多く含んだ美味しい野菜で……」
そこまで言ってハッとする。恐る恐るオバケ達を見れば、引いているような、或いは気味悪いものを見ているかのような、そんな目をしていた。
「な、なんだよこいつ」
「い、行こうぜ」
オバケ達は逃げるようにその場を去っていく。胸に抱いたノートを見て、涙を零す。
「何で、誰も分かってくれないの……」
そう呟いた声は、誰にも届かず消えていった。
逃げ出した先は、小さな村。まだ来たことがないので、一応ノートに書いておく。以前言った村は村人達が騒ぎを起こしていたので行かないことにした。
十分に熟しているカボチャを盗むと、ひまりは呪文を唱える。するとキラキラとした光が畑に降り注ぐ。
「また、美味しいカボチャを作ってくださいね」
悲しげにそう言うと、ひまりは村を見渡す。真夜中だからなのか、村人の姿は見えない。安堵の息を吐く。
こうしてカボチャを盗んでは、代わりに美味しいカボチャが作れるよう呪いをかけているが、村人達からは悪いように思われていた。それも当然だろう。村人達には更に美味しくなった変化なんて見えない。見えるのは、カボチャを盗まれたという、表向きの変化だけ。一度村人に見つかったときは、大粒の涙を流しながら死に物狂いで逃げたものだ。
オバケ達といい、村人達といい。
「何で、誰も私の気持ちを分かってくれないんですか……」
すると、何かを食べているような音が、ひまりの耳に届いた。
骨を砕くような音も聞こえる。ひまりは震えながら反対側の畑を見に行くと、大きな尻尾らしきものが見えた。ほっとしたのも束の間。その全貌を見て、ひまりはゾッとした。
狼らしきものが、狸のような動物を食べていたのだ。噛むごとに狸の血が地面へと零れる。
怖くなり、一歩ずつ後ろに下がる。と、パキッと小枝を踏んでしまった。するとその音に気付いたのか、狼らしき影はひまりのところを見ると、食べる気なのか襲い掛かってきた。
「ひっ! わ、私はオバケなので、食べれません!」
そう言うと、狼らしきものはなんだ、と手を下げる。
「村人じゃなくて良かったよ。見つかったら殺されちゃうからな」
(良かった、食べられなくて……って、ん?)
ひまりは狼をまじまじと見つめてから話す。
「……狼が喋った!?」
「いやいや、惜しいけどあたしは人狼だよ」
えっ、と驚く。人狼は、優しく笑っていた。
「ひまりも逃げ出してきたのか。あたしと一緒だな!」
「あおいちゃんもなんですか?」
自己紹介を終えた二人は、塀に座って話していた。
「色んな決まりがあってさ、もっと自由に生きたい! って思って逃げちゃった。ひまりは?」
「わ、私は、みんな私の気持ちを理解してくれなくて……変な目で見られるのが嫌で、逃げてきちゃいました」
もじもじと話す。あの時のお化け達の目。関わりにくくなり、もう帰れなくなってしまった。
「どんな気持ち?」
「……カボチャが大好きな、気持ちです」
「カボチャ? 食べ物なのか、それ?」
どうやらカボチャを知らないあおいに、ひまりのスイッチが入る。グイッと詰め寄り、話し始めた。
「説明します! カボチャは野菜の一種で、栄養いっぱいの美味しい食べ物なんです! 煮物にしたりスイーツを作るともっと美味しくなって……あ」
しまった。また熱弁してしまい、冷や汗をかく。また、変に思われる。塀を降り、すみませんと謝る。
「こ、こんなに喋って、気持ち悪いですよね、すみません、も、もう会わないので」
「大好きなんだ、カボチャのこと」
あおいも塀を降り、ひまりに近付く。顔を上げると、あおいはにっこりと笑っていた。
「ひまりは凄いな。そんなに熱心になれるものがあって。もっと自信持ちなよ」
「あ。あおいちゃん……」
ひまりの目から、涙が流れる。初めて、自分の気持ちを理解してくれる人がいた。分かって、それで凄いね、と。
「ひ、ひまり!? ごめん、あたし悪いこと言っちゃったかな!?」
あたふたとするあおいに、ひまりは涙を拭いながら話す。
「ち、違います。初めてそんなこと言われたので、嬉しくて……」
ひまりは満面の笑みで言った。
「ありがとうございます。あおいちゃん」
その笑みに内心キュンとしながら、あおいも笑った。
「おい、何かいるぞ、捕まえろ!」
話していたからか、村人が二人を指さす。
「やべっ! とりあえず、逃げるぞひまり!」
「はい!」
伸ばされた手をギュッと掴み、二人は村を出た。