複雑・ファジー小説
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- あやかしの花嫁【更新&オリキャラ・コメ求む!!】
- 日時: 2012/03/26 18:51
- 名前: 刹那 (ID: vWRv9TUU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=6178
初めまして。刹那と申します。
小説初心者ですが、努力していきます
†参照のリク板でオリキャラ募集してます。是非御参加をお願いします!†
†ご一読願います†
・ 亀よりも遅いスピード更新となります。おまけに駄文です。
・ 荒らしは禁止です。
・ コメント、アドバイスはどうぞよろしくお願い致します。
その壱 あやかしの都へおいでませ
第壱話>>00>>03>>06>>07>>10
第弐話>>12>>13>>15>>17>>20>>23
第参話>>26>>27>>28>>33>>34>>41>>42>>44>>45(間話)>>46
用語集>>30
†御客様†
風猫(元:風様
kokoro様
翡翠様
龍空様
柚子様
あんず様
恋苺様
梨花様
愛河 姫奈様
月読愛様
コメントを残してくださった皆様です。本当にありがとうございます!
†声を付けて下さった方†
月読愛様>>40
†感想・鑑定してくださった方†
紫様>>43
†れきし†
2012/01/07 スレ立て
†登場人物†
霜月神流(しもつき・かんな) 主人公。中学三年生。
南真樹(みなみ・まき) 神流の友達。春に転校してきた。男っぽい、サバサバした性格。
皇(すめらぎ)あやかしの世界の帝。
李王(りおう)皇の部下。自由奔放気味の皇に振り回される、超現実主義者。
†
鴉が大きく一鳴きし、羽を翻らせた。
(うー……怖いよぉ……)
目の前にはたくさんの鳥居。
神流は大きな溜息を吐いた。
(全く、ウチの学校はっ……)
修学旅行先で行われた肝試し。
それぞれの班から一人代表を選出して、宿の近くにある古い神社の賽銭箱の近くに設置したスタンプをもらってくるというものだ。
だが先生達がオバケ役に扮して、賽銭箱までの道中、脅かすのだ。
不幸なことに、神流はその代表の役を「班長なんだから」というよく分からない理由から押しつけられてしまった。
『よろしく頼んだよ!!』
と同じ班の親友真樹にもそう言われてしまい、もう頷くことしかできなくなってしまった。
頼まれたら断れない性分なのかもしれない。
(どうしよ…)
賽銭箱へ向かうには、この鳥居を抜けて行かなくてはならない。
けど、オバケは苦手だ。遊園地のオバケ屋敷だって怖くて行けないのに。
(えーい!ダッシュで駆け抜けよう!!)
神流は心にそう言い聞かせる。
何も見えないように目を瞑って、全力疾走。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……
神流は血のように紅い鳥居の間を走り抜ける。
とお、じゅういち、じゅうに……。
じゅうさん。
「神流ッ……!!」
すると、周囲が突如歪み、すぐ明るくなった。
「え……?」
神流が思わずその灯りの眩しさに瞳を開けると。
そこには、街があった。
瓦屋根の家が建ち並ぶ街。
教科書や資料集でしか見たことのない街並みだ。
「ここは……?」
賽銭箱は見えない。
いったいどういうこと?
神流が途方に暮れていると、
「神流ッ」
背後から声がした。
その声に振り向く。
「真樹!!」
宿にいる筈の真樹がそこにいた。
「どうしたの?」
「これ」
真樹はぺらりと紙を神流に渡してきた。
「パンフレット。ここにスタンプ押してもらうのに、忘れてたから」
「あ、ありがと……」
しっかり者の真樹には、いつもこうして助けてもらっている。
「どういたしまして。でも、スタンプ押すって場合じゃないよな。ここ……」
真樹がぐるりと周囲を見回す。
「神社の境内じゃ……ないよな?」
「ここはどこなの……?」
二人はただ、そこに立ち尽くすことしかできずにいた。
『神社の十二の鳥居を抜けると、賽銭箱があります。』
—パンフレットより
- Re: あやかしの花嫁 》2 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/11 14:56
- 名前: 刹那 (ID: vWRv9TUU)
†
「何?」
彼は訝しげに眉を上げた。
「嘘は申しておりませんよ。巽の方の時空が歪められて異世界の者が迷い込んだ模様。ちなみに残念ながら、時空の歪みは既に修復されてしまったようです」
部下は先程報告した言葉を反復する。
「そうか……と待て。巽の方角と言えば、鴉の集い場ではないか」
「そうですね」
「フ、ハハハハハ!面白い」
彼は高笑いをすると、フードを翻した。
暗闇に黄金の瞳が光った。
「どちらへ行かれるのですか」
「巽の地区に決まってるだろう!」
†
「お嬢ちゃん、迷ってるのかい?」
目の前に、数人の男達が現れた。
皆揃って背に黒い羽があり、左目には深く刀傷が刻まれている。
—優しい人じゃない。
脳内が警鐘をを鳴らし始める。
ヤンキー達とは桁違いの迫力が、男達にはあった。
なぜ羽があるのだろうなどという考えは、わき上がってくる恐怖感にかき消される。
真樹も気配を察したのか後ずさりする。
「—でも、残念だったなぁ!」
男達の手が一気に鋭い爪を持つ手に変わる。
思わず喉の奥から「ひっ」っていう声が漏れた。
「おまえら、ここで死ぬんだから、家には帰れねぇな!」
爪が振り下ろされる。
(私、ここで死ぬの?)
嫌だ。
「……止めろ」
背後から冷たい声がした。
「あぁん?」
男達の視線が声の方に向く。
神流と真樹が背後を振り向くと、そこには目尻に朱を刻んだ、着物のような衣装の上に、金色の椿が描かれた黒いフードを被った青年が不敵な笑みを浮かべて立っていた。
何故だか、そこだけ空気が違うように感じられた。
「なんだよ、テメェ」
「鴉の雑魚に名乗る名はない」
スッと彼は掌を男達の方へ向ける。
一瞬、鋭い閃光が走った。
その次の瞬間。
「グァッ」
そんな声を上げ、男達が倒れた。
空気が一瞬にして冷えた。
(一体、どういうことなの……?)
隣を見ると、真樹も混乱している様子だった。
でも、ひとつだけ理解できることがある。
「大丈夫だったか?」
何事もなかったかのように微笑む、この青年が一人で—しかも一瞬であの男達を倒したのだ。
- Re: あやかしの花嫁 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/09 12:04
- 名前: kokoro (ID: tuHQgCts)
kokoroです!!コメントありがとうございました!!
ちょっと覗いて見たんですけど…… ヤバいですね!!めっちゃ、面白いです!!
私とは違い、文が達者で……(ー~ー)まぁkokoroを、これからもよろしくお願いします!!&続き気になります!!
- Re: あやかしの花嫁 ( No.5 )
- 日時: 2012/01/09 19:47
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: SqbaeWwr)
刹那様へ
あぁ、人違いでしたか?
此方こそ面目ない。
鴉というのが何なのかも分らず物語が進んでいる感じですな。
多くの謎を孕みながら進んで行く感じが悶々としていて続きが気になります!
- Re: あやかしの花嫁 ( No.6 )
- 日時: 2012/01/11 14:57
- 名前: 刹那 (ID: vWRv9TUU)
†
「あっ、あなたは誰っ……?」
青年は驚きに満ちた表情をして言った。
「貴様等、この俺を知らないと?……あぁそうか。人間の世界から来たのだからな。来い!!俺様が案内してやる!!この世界のことが知りたければな!!」
かと思うと次の瞬間には満面の笑みになっていたり。
くるくると表情がよく変わることだ。
「乗れ」
と青年が指さしたのは、馬車のような御輿のような—。どちらにしろ現代では滅多に見ない乗り物であった。
『私達が乗るの?』
『きっとそうよね』
目線で神流と真樹は会話をしあう。
「さっさと乗らなくては、置いていくぞー」
「はいッ!」
「わ、分かりました」
今は何者か分からなくても、自分達にこの青年を頼る以外の選択肢は残されていない。この青年は神流や真樹に危害を加えようとは今のところはしていないのだから。
危ない橋を渡っていると分かっていても、渡らずにはいられなかった。そんな感覚だろうか。
†
その変な物体に揺られること、小時間。
「あの……どうしてあなたは、私達の味方をしてくれるんですか?」
神流はおずおずと尋ねた。青年は〝鴉〟と呼ばれていた不良のような人達を倒してくれたり、私達をこうして案内してくれたりと……。おかしなくらいに優しい。
「それと……人間の世界って仰っていましたけど……。ここはどこなんですか?」
疑問点は挙げれば尽きない。
「まぁ落ち着きなって。ゆっくり話すさ。ひとつだけ言うと、ここは人間の住んでいるー御前とかが住んでいた世界とは違う世界だ。異世界って言うのか?」
「異世界……」
そう呟いてみても、全く実感がわかない。
本当に……?
だが、〝鴉〟という物体は産まれてから十五年、見たことがない形をしていたし、あんな和風な世界は見たことがなかった。
それが異世界だからというなら納得できる。
(でも異世界なんて、本当に……)
悩み込んだ神流を見やり、青年がぼそりと呟いた。
「そういえば御前、外見てみろよ。もしかしたら面白いものが見られるかもな」
くつくつと笑いながら、青年は扉の方を指差す。そう言えば乗る時先程窓があったっけ。今は布で遮られているが。
「なにが……ッ」
挑発に乗るよう神流が布を取ると。
「き……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
神流達が乗っていた乗り物は、宙に浮いていたのだ。
†
「おーい、おーい」
暗い闇の中、声だけが響いてくる。
「う……ん?」
「お、やっと起きたか。高所恐怖症なんて情けねぇな」
目を開けると眼前にあったのは青年の顔だった。
(……はっ)
青年に外を見てみろと言われて見、空中を走っていたことに気絶してしまったのだっけ。
「ま、鴉に襲われたんだ。疲れていたっていうのもあるだろうけどな」
「神流、大丈夫!?無事でよかった……」
真樹が駆け寄ってきて、神流に問いかけてくる。
「熱はない?どこも痛くない?」
「だ、大丈夫だって……。真樹が心配症なだけだって」
「だって突然失神したんだよ!?心配するのも当然じゃない。ところでっ……」
と真樹は青年を睨む。
「そろそろ、ここがどこで、あんたが誰で、何で私達がここにいるのか教えてくれない?」
「ここはあやかしの世界。御前達の住む人間世界とは違う世界だ。私は皇。この世界の帝だ。御前達が何故ここに来たのかは知らん。恐らく、時空変動で迷い込んだのだろう」
「は……?」
淡々と話す皇に、神流はついて行けなかった。
「ハァ……あのですね。皇様。何も知らないこの者達に突然そう言っても分かる訳がないでしょう。もっと分かりやすく教えないと」
背後から片眼鏡の、緩やかな小麦色の髪を背で結った皇と同年代位と思われる青年が現れた。
「初めまして。皇様からお話は伺いました。神流様と真樹様ですね?私は八咫烏(やたがらす)の李王。皇様の側近を務めております。先程は一族の末端者がご迷惑をおかけしました」
「八咫烏で一族って……」
「私は鳥の一族の者ですので。さて……先程のお話ですが。ここは間違いなくあやかしの世界です。何故あなた達がここへいらしたのか。それは少々ややこしいのですが……。ご説明してもよろしいでしょうか」
「はい」
それを知らなければ、神流が住んでいた世界に戻ることもできない。
そう思ったからだ。
更新できてよかった……笑
kokoro様、風猫(元:風 様本当にコメント有り難うございました!
- Re: あやかしの花嫁 ( No.7 )
- 日時: 2012/01/15 14:50
- 名前: 刹那 (ID: vWRv9TUU)
†
「さて……まずですが、あなたは何をしてこの世界に来ましたか?」
李王の物腰はとても柔らかかった。
「神社に肝試しに行ったら、そこで何か強い引力に引かれたような……。それでこの世界に……」
「あやかしはその昔、人間と共に生活していました。ですが、人間達には自分達にない力を持つあやかしは害をなす者にしか見えなかったのでしょう。人間達はあやかしを殲滅しようとした。それにいち早く気付いたあやかし達は自分達で新たな世界を切り開いたのです。それがこの世界です。その時先陣を切ったのが〝鵺(ぬえ)〟と呼ばれる一族です。そして鵺がこのあやかしの世界の支配者となったのです。皇様はその鵺の末裔で御座います。先程あなたがたを襲った〝鴉〟も鵺の親族。私達〝八咫烏〟もそうです」
「〝鴉〟は気が荒い。数年前に権勢を失ってからは迷い人を襲い、私腹を肥やしていると聞く。いつか
は仕留めなくてはと思っていたのだが……」
迷惑を被るのはいつも私だ、と皇は大きな溜息を吐いていた。
「この世界は人間界とは時空が違うんですね……」
「はい。ですが……」
そこで李王は言葉を濁した。
「時空には必ず亀裂が生じます。それが何故かは分かりませんが……。その亀裂を封印した地をいくつか人間界に存在します。そして、その封印が何らかによって解けた。そしてあなたが神社に迷い込んだ時、亀裂があなたを迷い込ませたのでしょう」
神流にはよく分からなかった。
だけど、神流がここに来たのは事故だということは確実だった。
「じゃぁ、戻る方法はないんですか?」
「残念ながら、亀裂はもう修復されてしまっています。次の亀裂が生じるのを待つしかないでしょう」
「封印を解くことはできないんですか?」
「私達の力ではなんともなりませんね。申し訳ありませんが……」
「そんな……」
神流は絶望に打ちのめされた。
(私は、もうここから戻ることはできないんだ……)