複雑・ファジー小説
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- (リメ)陰陽呪黎キリカ
- 日時: 2013/02/12 12:20
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
- 参照: 修復断念(オイ……
「第一章 序幕」(エロ描写注意)
時は平安。策謀渦巻き、人々の感情が絡み合う時代。京の都には多くの妖怪が百鬼夜行をなし、跋扈していた。
妖怪とは、人間達のが持つ不の感情と恐怖が、形を成した者達。
人々に不幸と災いをもたらし、時には命を奪う。人間達にとって、害悪でしかない輩だ。
文官として、天候を読み取り未来を占うかたわら、そんな人智を超えた神妙不可視の徒輩を、日夜調伏する影の英雄たちがいた。
その者達の名は陰陽師。力にて陰を打ち破り、聖なる光を都に注ぐことを職務とする、文武両道の者達だ。
——今宵、丑三つ時を過ぎたころ。貴族の男を連れた牛車が、不可視の化け物すなわち妖怪に襲われた。
恐らくは深夜に姫君と、逢瀬を楽しんでいたのだろう。
慌てふためく男の前に、地味な濃紺の狩衣を着た人物が舞い降りる。
髭面で筋骨隆々とした大男だ。彼が現れた瞬間に、貴族は慌てふためくのをやめた。目の前の男の実力を知るがゆえだ。
「この程度の妖に、私が負けるはずがあるまい!」
目の前にいる妖怪を雑魚と断じた巨漢は、奇怪な術を発動させ、一瞬にして土の蛇を作り、標的を滅ぼす。
「うっうむ、芦屋道満よ大儀で……って、これいくでない!」
貴族の男の謝礼など聞きもせず、道満と呼ばれた男は駆け抜けて行く。
彼こそが稀代の大陰陽師と謳われる、都最強の官人陰陽師安倍清明最大の好敵手。
民間陰陽師の雄、芦屋道満(あしやどうまん)だ。
今日もどうやら清明と妖怪退治で、競っているらしい。
「おらおらぁ、私の前に立つ妖怪共は、全て排除するぞぉ! これで二十体ぃ!」
風を足に纏(まと)わせ、韋駄天(いだてん)の如く速度で夜の平安京を走る。
術の効力を高める符(ふ)を使い、大量のカマイタチを発しながら、妖怪の群れを蹴散らしていく。
そのさま正に一騎当千。
彼以外に清明の相手は務まらないだろうと言わしめるほどの、苛烈(かれつ)な霊力を道満はみなぎらせていた。
貴公子を助けてから数十分、目的の場所へと向って、彼は都を疾走し続ける。
疲れて足を止めると、生活感を微塵(みじん)も感じさせない廃墟(はいきょ)が、視界に広がっていた。
道満は、ここで安倍清明と落ち合い、勝負の結果を言い合う約束をしている。
彼が居ないか、周りを見回す。
清明は勝負事に余り興味がなく、適当に煙(けむ)に巻くことが有るのだ。
幾ら探しても、清明の姿が見当たらず、忌々しげに道満は舌を打つ。
「逃げたか」
対戦相手が居なくなったのでは、勝負は成り立たない。
道満はこれ以上粘っても意味がないと、踵(きびす)を返す。
夜も遅い。そろそろ寝ないと、明日の業務に支障が出るだろう。
今回の勝負は水入りとなった。良くある事だ。
そう、己の心に言い聞かせ、清明等という適当で身勝手な男を、好敵手と認めた自分を責める。
道満が歩き出して、数秒後。突然、強大な気配を背後に感じたのは。
「相変わらず、あつっくるしいのぉ道満よ?」
「清明? お前は相変わらず、透かした腹立たしい顔だな?」
道満が振り返ると。崩れ落ち、蜘蛛の巣掛かった家屋の屋根上に。紫色の着物を着た男が立っている。
切れ長で、異性を誘うような優しげな瞳。理知的な雰囲気をかもし出す甘いマスク。非の打ち所のない、絵に描いたような美男子だ。
彼こそが安倍清明。道満が、唯一の好敵手と認めた男だ。
清明は暑苦しい道満に、冷やかな視線を送りながら、あくびをする。
そんな彼の態度に、業を煮やした道満がいきり立つ。
「まぁまぁ、夜も遅いし、勝負の結果を発表しないか? 私はここに到着するまでに、四十三体滅ぼした」
道満と清明が行った勝負。
それは、目的の場所まで到達するのに、何体の妖怪を討伐したかという、単純明快なものだ。
清明の提示した数に、道満は押し黙る。
力を押し隠し潜んでいただけで、本当は自分より速く目的地に到着した居たのだろう。
霊気の出現の仕方から、容易く推測できることだ。だというのに、自分より十体近くも多く滅している。
彼自身は、清明とさして実力差がないと思っていたのだから、愕然とするのも当然だろう。
「くくっ、はっはっはっはっは! それでこそ超え甲斐があるというものよ清明!」
「私も、お前のような強者がいないと詰まらないからな。お前が播磨(はりま)の国から上京してきたこと嬉しく思うよ?」
道満は怒鳴っても仕方ない事と心を律し、鬱屈した感情を吹き飛ばすように、大声で笑った。
そんな盟友を見て、清明もまた嬉しそうな表情で、彼を賞賛した。
清明と彼以外の陰陽師との実力の壁は、当時果てしなく大きかったのだ。
これは清明と道満の馴れ初めの頃である。
それから数年間、彼等は常に研鑽し賞賛しあい、高めあった。しかし、その関係は次第に悪化していく。
いくら修行しても、全く清明に追いつくことができないという、道満の焦り。
常に二位というのは、気持ちの良くないものだ。
次第に成長が遅くなっていき、彼は悶々とした日々を送るようになる。
彼自身も、清明に劣らぬほどの華々しい経歴をいくつもうちたてたが、実力ではいまだに全く及ばない。そんなある日だった。
"安倍清明は妖怪の血を引いているから、人間離れした霊力を持っているのだ”
という推論が、都内に伝播したのは。それが道満には許し難かった。
話によれば、金だけの大した才能も無い父親が、圧倒的な妖力(ようりょく)を誇る妖狐を、優秀な陰陽師を何人も雇い、捕縛したそうだ。そして、その妖狐に子種を植えつけたのだという。
その事を耳にしてから更に月日は経過し、彼の中の嫉妬心や憎悪は育っていった。
そして、ある時清明に道満で会う。
「清明、私はお前を見損なったぞ」
「何を言っている道満!? お前、あんな戯言を信じているのか!?」
道満は自分の思いのたけを、憤懣やるかたなし、といった風情で語り、清明に背を向けた。
清明は止めようとしたが、二度と彼の言葉に道満が答えることはしなかったという。
長年の友を、些細ないさかいで失った道満は、嘆き続けた。
自分の愚かさと、そんな清明に勝ちたいという、愚劣な情念を捨てきれない弱さを——
「清明! 清明ぃ!」
「まるで、呪うような口調だな。その怨嗟、凄まじい強さだ。知っているか、それが魔道の入り口ぞ、陰陽師?」
十年前に娶(めと)った妻はすでに家を出て、道満は一人空しく泣き続けた。
そんな日夜悲嘆に泣き暮れる彼に、掛けられる綺麗だが感情の無い空虚な声。道満は振り向く。
そこには当時大妖怪として、都内に名を轟かせる大物が立っていた。
茨木童子。半分に割れた仮面で、左顔面を覆った、鋭い目付きの男だ。
魔道か、それも良いと思いながらも、道満は陰陽師の理念に従い、茨木を滅そうと、印を結ぶ。
「何用だ!? 貴様知っているぞ、確か茨木童子といったな! 私の家に土足で踏み入るとは、自殺志願者か!?」
だが、すぐに術を発動させることは無く、用件を道満は問う。
茨木童子ほどの大物が、こうやって一人で赴(おもむ)くのだから、それなりの理由があると思ったのだ。
「げーんげん! そんなことないよぉ? 茨木童子は強いんだぞぉ優秀な陰陽師さん?」
強い声で恫喝(どうかつ)する道満の言葉に、妙な挨拶とともに現れた女が答える。
女の服装は露出度が高く、そこから覗く透き通るような白い肌は、挑発的な色香をかもし出す。
更に唇の下にあるほくろが、性欲をそそる。顔は少し幼いが、間違いなく美人だ。
聞き慣れない名前と、妖気の高さに、何者だと道満はいぶかしむ。
実力のある妖怪は、大半把握しているはずなのに、と。
「彼女の名は言々(げんげん)。強き渇望(かつぼう)に囚われし者よ。お前は正しい。安倍清明など妖狐の霊力が無ければ、何もできぬ平凡な術者に過ぎないはずだ。そんな邪道の輩がのさばり、人の身でここまで至ったお前がが日陰者とは、何と悲しいことだ?」
女の紹介を簡潔に済ませ、茨木童子が流れるような口調で話し出す。
言葉を切り出す場所が無く、道満は黙り込む。
そして、彼の言葉を聞いているうちに、清明への怒りが、再び沸々(ふつふつ)と湧き上がってくる。
彼の言っていることは、今の道満の心の全てに当てはまり、道満はそれが正しいことだと思い込む。
清明は、朝廷に恩を売り、全幅の信頼を得ることにより、裏から平安京を掌握せんとする悪逆の徒だと、自分に言い聞かせる。
“滅ぼさねばならない。友だなどと、最大の悪を見逃していた自分の罪滅ぼしのためにも”
彼はそう心に誓った。
その心情の変化、いや正確には覚悟の芽生えを敏感に察した茨木が、更に言葉を続ける。
「安倍清明は、帝を甘言でおだて、君等の愛する平安京を手中にせんとす悪逆非道の輩だ。正義を信奉(しんぽう)し、世界を光に満たさんとする、お前なら許すべからずはずだ。強くならねばならん。芦屋道満よ、お前は今までより、遥かに高みに至れる」
「それはっ! それは一体、どうすれば叶うのだ!?」
道満が掛けてもらいたかった言葉の数々が、茨木の口から、吐き出されていく。
すべてを見透かしているような態度に、本来の彼なら絶句し、疑念を抱くはずだが。
今の彼に、そんな余裕は無い。
ただ強くなれるという望みが目の前にあることを、疑いもせず手を伸ばす。
どこまでも暗い絶望の海で、初めて見付けた光明に。
「簡単だ。言々と性をまじわすだけでいい」
「えっ、そんな馬鹿な! 私に安倍清明の父親と同じ業に、手を染めろと言っているようなものではないか!?」
方法を問う道満に、言々と秘め事をしろと茨木は躊躇(ちゅうちょ)なく言い放つ。
それに彼は驚く。
いかに美女とはいえ、妖怪に手を出すなど、陰陽の者として有ってはならぬことだ。
そして、清明を超えた力を手にするために、その父と同じ罪を背負うなど、言語道断だ。
「断じて違うぞ、芦屋道満よ? 言々との間に、子を成すのではない。彼女は交わった相手に、妖力を受け渡す力を持っているのだ」
「なーに、迷ってるの素敵な叔父様? あ・た・し、もうアソコずぶ濡れだよぉ?」
逡巡する道満に、先程の覚悟に満ちた目はどうしたと、言外に口にしながら、茨木童子は本旨を説明した。その説明を聞いて道満は思い直す。
妖怪と交わること自体、陰陽師としては業深きことだが、今の彼にはそれはどうでも良かった。
安倍清明の父親と同じにさえならなければ良いと、思ったのだ。
なおも悩む彼を見て、一応の申し訳のために迷っているふりをしているだけだと、見抜いた言々が歩み寄る。
そして、彼女はピンク色の着物の上着を脱ぎ、上半身をさらけ出す。
大き目ながら綺麗な形をした乳房。桜色をした綺麗な乳首。
言々はそれをひけらかせながら、扇情的(せんじょうてき)な仕草で道満に絡みつく。
「あぁ、綺麗だ。もう、どうでも良い。力が欲しい」
道満は男の本能をあらわにして、獣のように言々を押し倒す。
強く胸を揉みながら、言々の小振りな桜色をした唇をむさぼる。
「あっ、あぁん。うっ、はぁはぁ。道満様ったら、野性的な容姿通り激しい人っ」
「言々よ。入れるぞ? 良いか? 良いと言わずとも、お前は濡れているといっていたではないか!」
猛々しく女の体などお構いなしに、道満は言々を犯し続けた。
下の履物を破りさり、一物を彼女の恥部にねじり込む。
そして、野獣のように激しく、後ろから彼女を突く。
十数分間の行為の末、彼は彼女の中に射精し儀式は終わった——
「はぁはぁ、道満様、素敵ぃ」
「堕ちたな。ふっ、我々はお前を歓迎するよ芦屋道満」
疲れきって倒れこむ道満を見下ろし、茨木は無感動な声で告げる。
息は荒く、立ち上がることもできない道満だが、確かに霊力の総量は言々を抱く前より、大きく上昇していた。
「これにて新たなる同士、芦屋道満の“呪黎(じゅれい)”の儀を終了する。言々、行くぞ」
「はぁはぁ、駄目、腰が抜けて……道満様本当に激しすぎて。凄い」
力無く倒れる裸の二人を背負って、茨木童子は闇の中に消える。
そして、物語は現代へと移ろう。
————————————————
「お終い」
次は、「第一章 第一話、幼き刃達 第一節」です
〜作者状況〜
執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。
題名、読み方は「オンミョウジュレイ キリカ」です。前スレで発言した通りリメイクします。
始めましての方は、初めまして。
いつも来てくださっている方々は有難う御座います^^
グロ要素やエロ要素は、ふんだんに入ると思います。
苦手な方や不快に思う方は、見ない事を推奨します。
最後に、更新速度は、亀以下になると思いますがお許しを。
お客様
旬様(雑談の方でお世話になってます! お客様第一号♪)
Walker様(まだまだ、小説の実力は高くないですが順調に成長しそうな人です^^楽しみ!)
羽風様(黒白円舞曲の方にもコメントくださって感謝です!)
白波様(凄く上手な文章を書くお方です! Fateシリーズは私も好きだぜ!)
いちご牛乳。様(自分の事を変体と評す辺り親近感を感じます! ビバ変態★)
檜原武甲様(格好良い名前ですな^^ 最近結構見かけるお方ですね)
火矢 八重様(ファジーの銀賞だか銅賞を取ったお方です! パチパチパチパチィ★)
月那様(プロローグに力を入れると言うのはいいことだと思いますよ!)
紫様(文才に秀でた真摯なお方です!)
猫飼あや様(一芸に秀でるものは多芸に秀でる……朔様と言い適用される言葉なのでしょうなぁ)
日向様(えっと、軍事系の小説を書いていられる珍しいお方です^^中々文章もお上手ですよ!)
トレモロ様(我が心の兄弟にして変態紳士です! 結構な有名人さんなので知ってる人居るかも?)
陽様(私の大事な友達です! いつも嬉しいコメントくれて有難う!)
朝倉疾風様(有名な方ですので知っている人も多いのでは? 凄く真面目なコメントを書いてくれます)
葵様(様を付け辛いよ……僕のストーカーさん★)
茜崎あんず様(陰陽師物書くんですか? 私も暇が有ったら覗いて見ますね?)
狒牙様(BLEACH仲間です! そして、同士です!)
汽水様(結構良く見かけますよね? 主戦場はコメディ?)
柚子様(柑橘系男子。長らく女だと思っていたと言ったら長らく男だと思ってたと意趣返しされた)
ゆぅ様(白黒円舞曲も読んでくださった方です!)
凛様(鑑定してくださいました!)
琥珀様(奇抜なキャラクタを主人公に面白い物語を展開しています★)
藤田光規様(同じく陰陽師系の小説書いてます!)
バンビ様(更新速度が速くて一話一話が短くて簡潔で憧れます!)
白月様(素敵で綺麗な文章をお持ちのお方です♪)
野宮詩織様(絵も上手で小説も上手で、趣味のよろしい楽しいお方です!)
世移様(パラノイアのほうはいつも感想ありがとうございます! 最近は更新滞ってましてすみません)
葉月涼花様(色々な漫画など知っている人です。コメントが何だか雰囲気あります)
黒雪様(私の企画板でお世話になっている人です。なかなかに素敵な小説を書いていますよ!)
柴犬様(ファジー版で書いていた作品は中々に奥深く共感できる良い作品でした!)
デミグラス様(久方ぶりの新規のお客様です! 軍記物を書いたいらっしゃるそうです!)
伯方の塩様(真面目な鑑定有難うございました! 大変ためになりました)
ルリ様(ずいぶん遅くなってしまい申し訳ありません。鑑定士さんです)
冬ノ華 神ノ音様(BLEACHを知っている友人として……お世話になりました!)
34名様
閲覧して下さったお客様方! 真に感謝です!
目次
第一章
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第一節】 >>1
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第二節】 >>5
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第三節】 >>9
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第四節】 >>13
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第五節】 >>23
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第六節】 >>29
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第七節】 >>33
【第一章 第一話 愛せ愛せ 第八節】 >>46
第一章第一話 終了
第一章第二話 開幕
【第一章 第二話、迷え迷え 第一節】 >>53
【第一章 第二話、迷え迷え 第二節】 >>62
【第一章 第二話 迷え迷え 第三節】 >>73
設定資料及び小休止及び貰い物等
キネリ様作 キリカ絵 >>36
魔ん堂様作 蘭樹絵 >>42
キャラクタプロフィール >>52 随時更新
羽月リリ様作 言々絵 >>54
読者様投稿オリキャラプロフィール >>63 随時更新
月森和葉様作 魅剣クラン&夢氷絵 >>66
風マ様作 天月絵 >>67
月森和葉様作 天月絵 >>76
- Re: (リメ)陰陽呪黎キリカ 一章 一ノ四更新 6/12 ( No.25 )
- 日時: 2012/06/15 20:06
- 名前: 朝倉疾風 (ID: GYxyzZq9)
- 参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/
人を妖怪と同等に……。
これを聞くとまだアレですが、
人を式にして言う事をきかせる
という言葉に、朝倉は思わず
調教プレイか何かを浮かべてしまい、
本当に自分の頭はどうなっている
のかと思ってしまいました。
蘭樹は…本当に頭のいい子だけれど、
考えてることは純粋さ故の歪みなのか…。
ん、矛盾してますな。 おおふ。
これが向こうにバレたら、恐ろしや…
と朝倉はふたりを温かく見守ります。
カルマ…彼女はなんというか
けっこう好きなキャラなんですけれど、
んー蘭樹のことを考えると
どうしても朝倉は複雑ですね○。
こういう、人間の感情をコントロール
して操るようなキャラは割と好きだけれど。
蘭樹溺愛の朝倉からしてみると
敵も同然……。 うぬぬぬぬ。
- Re: (リメ)陰陽呪黎 ( No.27 )
- 日時: 2012/06/16 20:31
- 名前: バンビ ◆D8kH/LdNHs (ID: uUM3T3.W)
すごいですねー。読んでいる内の文の世界に入っていましたよ。
文に吸い込まれるとは、この事ですね。
まだ初心者の自分には教科書みたいな作品です。
これからも頑張って下さい。
(もし、タイミングが悪ければお知らせください。消去しますので。)
- Re: (リメ)陰陽呪黎キリカ 一章 一ノ四更新 6/12 ( No.28 )
- 日時: 2012/06/17 10:49
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: fr2jnXWa)
朝倉疾風様へ
調教プレイ、ところで君はどこまで経験してるの? 処女じゃないとは思うけど(あぁ、答えなくても良いよ?
まぁ、それに近いかもしれないですね。父親の調教とか萌えない。
蘭樹は頭は切れますがまだまだ、子供です。リメ前ででた蘭樹よりこの蘭樹はずいぶんこどもなんですよ♪
当然、幹也んも上やんもまだまだ子供っぽいところがあるです★ ご賞味を!
って、二人って誰?? 蘭樹意外とするとアザリ様? カルマ……それとも幹也ん?? あれ……
蘭樹のことをたぶらかそうとしているわけじゃないですよ彼女は。
ただたんに知的好奇心が強いだけで。
結果…ですけどね。
カルマさんはまぁ、ヒールなんで(笑
でも、家族を純粋に愛していたりはするのですよ!
バンビ様へ
ご足労有難うございます。
まだまだ、稚拙な文章ですがそのように褒められると嬉しいです。
これからもっと上進してそのコメントを受け止められるような実力になりたいです!
そちらこそ頑張って下さいね!
- Re: (リメ)陰陽呪黎キリカ 一章 一ノ六執筆中 ( No.29 )
- 日時: 2012/06/25 22:42
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: fr2jnXWa)
宵も更け爽やかな風が、熱気に満ちていた祝賀室に注がれる。家族達も騒ぎ疲れたのだろう。一時間程度前までの大騒ぎはなりを潜め、今では僅かな者達だけが酒を酌み交わしている。そんな祝賀室の一角。現当主アザリと彼の父、先代当主が語り合っていた。
「やはり、義務とはいえ呪黎を行うのは抵抗があるかの?」
父のしわがれた声には責務を押し付けるような厳しさはなく、アザリは自然な口調で答える。
「それは当然ですよ。呪黎の痛みは知っていますし……あれは正しく呪いで永遠に傷口は残りますから」
語調はいつものようにさざなみ一つ立たないような、ささやかな落ち着いた響きだが、表情には大きな不安や罪悪感が滲み出ていた。呪黎とは、人という枠を度外視した自己再生能力を皆が備える魅剣家の中で、最強の細胞再構築力を手に入れるための儀式だ。
陰陽の一族の成り立ちは、文官である以上に武官だ。実力が物をいう。当然、当主は最強の力を有していることが望まれる。元来備わっている回復能力を薄める特殊な結界が多重に張られた空間で、あらゆる痛みに耐えるというのが呪黎の内容だ。それはどのような傷を負っても痛みに怯えず戦える、強靭な精神力を手に入れるための一種の修行と言っても良い。次期当主になる者は十年に及ぶ時間をそれに割く。
どんな戦場でも止らず、肉片を撒き散らしながら戦うバーサーカーを産出すに他ならない行為だと、他の名家からは差別されることも有るが一族が存在したときから行われているゆえそう簡単に廃止することも出来ない。
なお受けた損傷は完全には再生せず痛みの記憶を忘れさせないために傷口は残るようになっている。もしかしたら綺麗な肌も武器にする女性としては、表面的な苦痛以上に精神的に辛いかもしれない。
「分るぞい。じゃがの、世界は感情や道徳観で割り切れんものもあるのが現実じゃ。
ワシも真の息子たるお前を傷つけねばならぬと思ったときは気が引けて散々抜け道を考えたが……」
長い付き合いでアザリの感情など手にとるのだろう。様に分る先代当主は儚げな面差しで話す。今でこそ傲然としていて、何事も迷わず即断即決に見えるが、昔は若い感性をちゃんと持っていたようだ。アザリは自分のために目の前の男が、奔走してくれたという事実に、双眸を潤ませながら感謝した。
「ワシ等一人だけの問題じゃないんじゃ。上に立つものは身内じゃなくて周囲を見ねばならん。呪黎を悪く言うものも多いが、彼等はそれを止めればすぐにワシ等を糾弾するだろう。何を今更とな。広い視野を持て。世の中息苦しいことばかりじゃ」
“分っている”強く心の中で言う。アザリも理解しているのだ。自分は一族の長として、個を優先してはいけない。もし、キリカに呪黎を行使しなければ、父の言うとおりの罵倒を受けるだろう。当然、外にもそれは波紋していき、魅剣家の信頼や権力は失墜。一族郎党路傍に迷うことになるだろう。
だが呪黎を行うに足る超然たる霊能者がいることを証明した上でなら、救いの道はないだろうかと彼は考える。力とは抑止としても作用するのは世の理だ。キリカという兵器をちらつかせておけば、彼女を当主として束縛するまでせずとも良いのではないか。それを実現するには今の陰陽の世の理の一つ。霊力が最も高い者に当主となる権利を与えるというルールを、崩さなければならないだろうが。それなら自分の権力で何とかできなくも無いと思う。
「でも、私はできるなら自由を与えたいです」
「痛みを与え自由を奪う。不当も良いところじゃのう。そりゃぁ、分る……今の世の中、昔よりはるかに旅行とかも活発だしの」
親身になって聞いてくれる父にアザリは敬意を評し頭を下げる。
「こんなことは本来自分で解決すべきことなのですがね」
自嘲気味にアザリはつぶやく。
「なに言っておるんじゃ? お主は何事も自分で解決しようとしすぎじゃ。
もっと肩の力抜いて他人に預けろ。例えばカルマとかのう? そうじゃないと押し潰されてしまうぞ?
そしていつか無限回廊に入り込んで迷走してしまう。お主は気負い過ぎなのじゃよ」
妻の名が父の口から出たことに、アザリは苦笑する。彼の言いたいことを理解した上でアザリは頷く。その通りだ。焦燥は視野を狭め、本来ならみえるはずの打開策に目隠しをしてしまう。
元々父は改革を願っていた人物だ。おそらくは今のルールを打開することに慎重でこそあれ、それを否定するようなことは無いだろう。彼はそう結論付け改めて会釈する。
「有難うございました父上!」
「のぉ、ワシの名前なんじゃったかのう? いつも父上とか長老様とか言われておるから、何だか不安なんじゃよ」
深々と頭を下げる息子を見て、不安げな眼差しで老父は問う。礼を言われたことに気づいていないわけではない。だがそれ以上による年波が、彼に小さな恐怖を覚えさせていたのだ。自分の名前を久しく耳にしていない。記憶がおぼろげで怖いのだ。
「先代当主アイゼン様にございます——」
アザリは怪訝に眉根をよせるが、表情に出したのは短い間で冷静に答えを返す。アイゼンは「そうじゃったな」と、満足げに言い疲れたのか横になった。彼もそろそろ限界がまわってきたことを理解して、自室に行こうと立ち上がる。
陰陽呪黎キリカ【第一章 第一話、愛せ愛せ 第六節】
アザリと戦う覚悟を確固たるものとした蘭樹は、彼の私室の近くに潜伏していた。ちょうど彼の自室の入り口から死角になるような、位置取りに隠れ彼が来るのを、蘭樹は息を潜め待つ。
「…………」
アザリは中央の庭園近くに有る自室へと向って千鳥足で歩く。普段なら気付けただろうが、酒が大量に入っている今の状態では気付けなかったのだろう。苛烈な殺気が含まれた霊力が、空に充満していることに。
「オンキリキリ」
アザリの姿を視認すると同時に蘭樹は霊力を練り術式を唱える。風に流されて消えてしまいそうな小さな声でささやく声で。護符を持てる限りの取り力を篭め投げる。
「葉刀発現!」
彼の得意属性である木属性の霊力をまとった符が標的目掛けて高速で飛ぶ。緑色の燐光を撒き散らし鋭い刃となってアザリへと吸い寄せられていく。
「くっ!」
反応が遅れたアザリは避けることもできず、蘭樹の放った全ての攻撃を受け吹き飛ぶ。鋭い刃と化した護符は、吹き飛ぶ彼の体を貫通し、後ろにある建物に着弾する。重要な柱を切断したのだろうか、轟音を上げてアザリの後ろに位置して居た部屋が崩れ落ちた。
普通の人間ならまず即死だろう。手足が切断され体中いたるところから血が流れている。しかし蘭樹は油断はしない。なぜなら相手は筆舌に尽くしがたいほどの再生力を誇る化物だからだ。
「全弾命中たぁ温いなぁ」
「…………」
挑発するように蘭樹は言う。それに呼応するように、空気中に充満している霊力がアザリに吸収されていく。一秒足らずで体中の傷は無かったことになり手足も生え変わった。
服の傷はそのままなため、手足の袖がなくなり随分とスマートな軽装になったように見える。むしろ今の時期だと寒いだろうと思えるくらいだ。切断された四肢は煙を出しながら、ボロボロと崩れていく。
「蘭樹。これはどういうことかな?」
「相変わらず化物染みた回復力やなぁ、どうしたら死ぬんや父さん?」
アザリは何事も無かったかのような様子で立ち上がり、手の感触を確かめながら問う。それに対してさすがに回復速度が計算を超えていたのか、蘭樹は顔を引き攣らせる。答えてくれるはずも無いと分りながらも、思わず吐露する疑問。それにたいしてアザリは頭をかきながら、質問に答えなかったことを咎めるでもなく答えた。
「分らないな私自身。ところでなんで私を殺そうとするのかな?」
「殺す気はあらへんよ?」
陰陽師の中には利権争いや些細な衝突で、争いあい身内同士で血みどろの争いをした者たちも少なくない。力がある者なら、理由を作ってそれを行使したいものだと理解しているアザリは、普通の人間なら死ぬほどの術を使用したこと自体は、叱らずなぜこんな行動に出たかを問う。再度の質問に対し蘭樹は答えない。
「成程、仕方ないな……父と子はいつかぶつかり合う物なのかな?」
アンニュイな口調でアザリはつぶやき、手刀を造り呪力を集中させる。少しすると空間が鳴動し中空が切裂かれていく。式神を召還したのだ。彼の式神は十二神将と呼ばれ文字通り十二体いる。最初に彼等を使役した阿部清明の血族である、魅剣家当主だからこそなせることだ。一体一体が妖怪として最上級の第十位の力を有している。その内の一つが現れようとしている。
『本気や。父さんは本気で僕と戦う気なんや』
蘭樹とアザリの差は決して小さくはない。むしろ尋常ではないほどの差がある。勝てる可能性が風前の灯になったということだ。だが、彼は父に才能を認められた気がして歓喜していた。実際はこんな茶番はさっさと終らせて、腹を割って話さなければとアザリが判断しただけなのだが。
「十二神将が一人、火将の騰蛇(とうだ)はせ参じた。何用かアザリよ?」
「すこし教育さ。そう簡単に死ぬことはないから手加減はしないで良いよ」
現れた華美ながら、露出度の多い衣装を着た長身痩躯。筋骨隆々で浅黒い肌をしている。ザンバラの紫掛かった頭髪が、気の荒さを表しているようで蘭樹は身震いした。騰蛇と名乗った男は慇懃な口調で召還主のアザリに自分を呼んだ理由を問う。
彼は騰蛇の性格を理解しているのか短く答える。騰蛇は本気で存分に力を震えることに、満足げな様子だ。超越者と呼ぶに相応しい霊力が降り注ぐ。針の筵に投げ出されたような傷みが、蘭樹の体を襲う。“勝てるはずが無い”体が警鐘を鳴らす。だが、もう逃げられないことは欄樹は理解していた。
「樹海降誕!」
蘭樹は意を決してアザリと喋りながらずっと溜めてた力を、一気に放出し地面に手を当てる。彼の周りに一メートル半径程度の円が現れ、そこを中心に巨大な樹木が出現していく。樹海降誕は木属性の技で最高峰に位置する技だ。
「見事なものだな」
その壮健さに騰蛇は感嘆する。十二神将の中でも最も戦闘に長けた男に賞賛され蘭樹は顔を染めた。だが、相手は木に強い火。しかも最強の神将だ。恐らくは無策で行けば樹海降誕といえど完敗だろう。蘭樹は油断することなく、次の術の準備をする。
巨木の大群がうねり建物を壊していく。百の巨木の蔓が騰蛇とアザリにまきつく。蘭樹は樹海降誕によりできた大樹に手をやり、祝詞を唱え始める。
「オンバサラウンハッタ、ワレヨヘケイムカンベリア、発!」
大音響で発せられた「発」の言葉とともに樹海が紅の燐光を放ち大爆発を起す。その一撃は天高く火柱を上げ雲すら焼いた。
「…………」
『まだ、まだや。次は』
アザリがこの程度で倒れないことを知っている蘭樹は、次の力を発動させようと符を蘭樹は取り出す。その瞬間だった。護符ごと炎の槍が蘭樹の手を吹飛ばしたのは。蘭樹は走る激痛に悶絶するも、すぐに魅剣家特有の再生力をもって腕を再構築する。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁっ! はぁはぁ」
「なるほど、本気でやって良いわけだな」
大量の汗を流し痛みに耐えながらも、闘志を失わない蘭樹を賞賛するような口調で騰蛇はささやいた。
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【お終い】
次は、【第一章 第一話、愛せ愛せ 第七節】です
- Re: (リメ)陰陽呪黎キリカ 一章 一ノ六更新 6/18 ( No.30 )
- 日時: 2012/06/18 23:23
- 名前: 白月 (ID: P6IPfdWt)
- 参照: 奇跡は起こるもんじゃない。 起こすものだ!
こんばんは。風猫さんのスレに来るのは久しぶりですね。
というか、いつも来てもらってばかりで申し訳ないです(汗)
そして、リメイク前も読んでいましたが……。
やっぱりリメイクしても面白いです!
いや、逆にリメイクしたのに面白くないという方がおかしいですね。
陰陽師とかそういうのは大好物です^^
しかし、そう言うの何故か書けないんですよね。好きなのに。
ちなみに個人的に蘭樹とカルマさんが好きですね。
なんかこう、ビビっときました。
ではオチがなんだかよく分からなくなったところで失礼します。
応援しております!