複雑・ファジー小説
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 日常における超能力の影響(不定期更新)
- 日時: 2016/10/24 18:21
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第0話 ゼロ・リアクション(無反応)
スーツを着た男性は、公園のベンチで座っていた
「貴方は超能力を手にした時、何をしますか?世界征服。正義の味方。私利私欲に走る。後は……世界を良い方向に変えるとか?とはいえ、全てフィクションです。超能力の実例はほぼ無く、超能力があってもマジックの様なインチキでしょう。必ず何故か金儲けが重なります。それでも楽しませれば良いのかも知れませんが。……私も超能力系の漫画、ラノベ、アニメ等は好きです。厨二病って言われますけど、それで片づける奴が馬鹿って思うくらい。まあ、一人でこんな事を語ってる時点で私の方がおかしいのかもしれませんが。
……現実で超能力を手に入れてしまったら私の様な順風な人生を送っていた者には大迷惑です。超能力を隠して生きていないと駄目ですからね。現実は超能力者同士のバトルなんて起こりませんし、ロマンティックな展開はありません。つまり、超能力なんて現実にはいらないんです。あー……何でそんな非現実的な話をしてるのかはすぐに分かりますよ。
だって私、超能力者ですから」
男性は拳を公園の木に向かって何十発も殴る。拳には血が滲んでいる。
「私の能力は自分の身体の場合のみ作用・反作用の、反作用を作動させない能力。……人間社会に影響は出ないですね。この能力により、私の拳は全く痛くありません。血は出てるので止血が必要ですけど。そういえば、自己紹介が遅れました。私の名前は空木(うつぎ)。30歳。ただの独身正社員サラリーマン。平凡な人生をこのくだらない超能力により一時期、考え怯えてしまった小心者です」
時は戻り、三日前。
空木は残業をせずすぐに帰宅を始める。
「空木君。もう帰るのか?」
「……申し訳ありません。失礼します」
空木はその場を去り会社を出る。
「ウチの会社は残業が当たり前と言う風潮。こんな古汚い風潮が残るから過労死が増えるんですね。まあお陰で人間関係はボロボロです。友達30歳で一人もいません」
空木は書店に行き、漫画を買う。
「私はとにかく漫画が好き。一時期、不良漫画にハマって髪型を変える程に。今の髪型はツーブロックのショート、黒。気に入っています。今買ったのは超能力者が集まる高校で何か超能力バトルすると言う物語。良いですね〜」
空木は漫画をビニール袋に入れる。
「私はこの時、まだ超能力に目覚めてません。いつ目覚めたかと言うと……」
空木はシャドーボクシングをし始める。
「そう、私は漫画に出てくるキャラクターの真似を暗いトンネルでノリノリでしていた時に超能力に目覚めました」
空木は気合いを入れ過ぎて、トンネルの壁に拳をぶつける。しかし拳は全く痛く無かった。
「そう、この時に私は疑問を感じたんです。この時は超能力なんて分かりません。と言うか、漫画とかでそうですけど何で自分の能力を理解出来てるんですかね。物語だから、で済みそうな馬鹿な質問ですけどね。
私は今起こった現象を確かめる為、もう一度壁に殴りました。
結果は拳を痛める事はありませんでした。これで偶然により起こった現象と言う候補は無くなります。と言うか、正直何か神経の病気かと思いました。神経が死んで、感覚が無くなったと。しかし、握った時やその他の場合では感覚や痛みがありましたのでそれは違うと判断しました。まあ、病院は金かかるんでいかないですが。
今度は逆に特定の壁を殴ると痛くないと考えました。つまり他の壁で殴れば普通に痛いと。
結果は他の壁でも痛くありませんでした。私は拳で殴った場合のみ痛みが消えると考えました。その為今度は足のつま先で壁を蹴りました。結果、痛みは感じませんでした。つまり、拳限定の能力では無い。そう言った感じですね。
こうして自分の身体を調べて、超能力の内容に辿り着く事が出来ました。結論は結局、何も役に立たない能力です。人殴って拳の痛みを感じずに殴れるとかしか役に立ちません。まあ、マイナス効果をもたらす超能力よりはマシですね」
空木は公園を去る。
「これが電気を操る等の強力な超能力なら私の人生はもう、テロリストくらいしか道は残されていなかったでしょうね……。と言うか超能力に自覚出来ただけマシですか。超能力は日常にいらないですね……。日常で役に立つ能力なら良いんでしょうけど。浮遊能力でゴミを浮かせゴミ箱に入れられるとか」
第0話 ゼロ・リアクション(無反応)完
日常における超能力の影響は、あまり無い者から大きく関係する者まであまたあります。それをひたすら書き込みます。
思いついた超能力をただ書くだけなので不定期更新です。そんなに力入れてません。なので軽ーく見て頂ければ幸いです。
また一話ごとに、主人公違います。世界観は共通してますけど。
書き込む予定の超能力。
コントロール不可の自然発火。
鎖と呼べる物を操れる。
インクで書かれた記号等を取り出す。貼りつける事が出来る。
自分のみ、時の速さを速める事が出来る。
- Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.39 )
- 日時: 2017/01/26 15:33
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第零章 無反応(ゼロリアクション)
空木(うつぎ)はある女性の前に来ていた。
「……今までの超能力事件はお前が起こしていたんだろ?」
空木。自分限定で作用反作用の反作用を発動を抑える能力を持つ。
女性は艶めかしく動き空木に呟く。
「私は、壊れた人間が大好きなのよ。それを邪魔するなら君にも攻撃しないと駄目だよね?」
「この世界はいつから壊れていた?」
「下槌(したつち)が刹那と永遠を操る始めてからよ。
そして人類は奇妙な進化をした。
世界に一握りしかいなかった超能力者が急激に増えたの。
星屑程度の人々が起こした奇跡ね」
空木と女性がいた所は公園だった。
「お前は何を企んでいる……俺や下槌、お前の能力は偶然発現したと考えられる。
しかし他の者の超能力は全て下槌とお前の仕業だ。
理由なら此処にある」
空木は下槌がミイラ化になっている映像を撮っていた。
「……下槌は自分以外に在る能力をかけていた。
それが刹那と永遠の時を操る能力。
全人類は下槌により自分の過ごす人生を変えられ、奇妙な進化を遂げた。
下槌は超能力だけを残して死んでいる。
いや、もう超能力すら残っていない。
だが刹那と永遠が今も他の人々を襲っている。
刹那の様に過ぎる自分と永遠に続く時間。
……何でこんな事をした。オーディン……」
オーディンと呼ばれた女性は叫ぶ。
「全ては踏み台……。
この世界を楽園にする為のね。
私の目的は支配。
この世界を良くしようとかそんなモノじゃない。世界のキングになるつもりも無い。
貧弱な人類に用は無いのよ。
私はただ自分に相応しい世界を支配したいだけ。
バークリーの認識論を知っているかな?
誰もいない森で倒れる木は音をたてない。
ハッキリ言えば量子学の分野だけどそれとは違ってこの言葉の意味に私は興味をそそられたのよ。
誰も見ていなければ存在は無いのと同じ。
まあそんな事はあり得ないけど、表面的には誰も聞く事は出来ない。
確かにそこにはあるが、見つける事は出来ない。
それを人は幸せと呼ぶのだろうか。不幸と呼ぶのだろうか。
私は箱の中でこう呼んでいるでしょう。
楽園と。
無反応世界(ゼロリアクションワールド)!」
空木は止まる。
オーディン。能力は無反応世界(ゼロリアクションワールド)。
静止した時の中を動く事が出来る。と言う能力。
この能力により結果的に時を止める事が出来る。
静止した時がこの世に存在すると言う認識があれば時は止まり、オーディンは動ける。
誰も何も存在に気付けない。全て無反応。確かに其処にはあるが見つける事は出来ない。
誰もいない森で倒れる木は音をたてない。
オーディンはナイフを持ち空木の前に向ける。
「さよなら」
オーディンは空木の頭を刺す。
「そして世界は動き出す」
時は動き空木は倒れる。
「これは復讐でも逆襲でも無い。
無駄な蠅を潰しただけの事よ」
すると、空木は動きだし所持していたスタンガンでオーディンを襲う。
「空木……!」
「……」
空木はもう能力を発動しており、自分がどこかにナイフが刺さると言う認識で時は止まっていた。
つまりナイフが作用では無く頭が作用となりナイフは反作用となっていた。
反作用の痛みは消える為ナイフに刺された痛みは無くなる。よって血が吹き出ても直ぐに行動出来る。
さらに空木は時限爆弾と無味無臭の毒ガス、液体窒素を用意していた。
空木は下槌から対策を考え、時が止まってもオーディンが苦しむ状況を考える。
簡単に言えば不老不死でさえ苦しむ状況を創ってしまえば対策は出来てしまう。
「自分から反作用にさえしてしまえば全ての攻撃は無力化される」
「そんなの無茶苦茶な解釈よ……」
「そういう認識にすれば超能力は応えるんだよ」
「……私は勝利する……」
空木はオーディンに絡みつきながらスタンガンを押さえつける。
「時が止まっても簡単に動けると思うなよ」
「……」
オーディンはようやく倒れる。
「……」
空木は誰かに連絡する。
すると、もう一度時が止まる。
オーディンは意識が朦朧としながら逃げる。
「……私は勝つのよ。何が起ころうが必ず勝つ!私は世界を支配する!」
オーディンは何故か空木にトドメは差さなかった。
そして時が動くと空木は倒れていた。
「……毒ガス……」
空木のカバンからは無味無臭の毒ガスが吹き出ていた。
「最初に会った時から時を止めて毒ガスを噴出させていたわ。
いかに長く吸わないかがポイントだったけどね。時を止めた分、毒ガスの摂取量が多かったから。スタンガンにどれだけ息を吸わずに耐えたか。
時間稼ぎも大変ね。
それにしても超能力者も組織化してきてるわ。
空木も誰かの差し金で私を殺しに来たはず」
空木は何も反応しなかった。
第零章 無反応世界(ゼロリアクションワールド) 完
世界は続きますが、一旦あとがき。
一回、こんな戦いを書いて見たかったので書きました。
オーディン(Odin)が誰かと似ているのはリスペクトです(笑)
他にもリスペクトが大きくにじみ出てる所がありますね……。飽く迄も参考程度ですがね。もう、思いっきり二次創作書きたい。埋もれそうだけど。
ハッキリ言ってこの小説は自分の好きなのを殴り書きしてるだけですからね。見て貰おうなんて気は無いです。悪く言えば自己満足です。
ただ、自分らしく書ける小説を持てて私は満足しています。私は(笑)
こんな自己満足小説に付き合ってくれてありがとうございます。
これからも頑張ります。
- Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.40 )
- 日時: 2017/01/28 14:48
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第三十一章 愛と希望を知らない修復者(コンティニューライフ)
一人の男性は海外の飛行機のビジネスクラスで居眠りをしていた。
名前は東切(あずまぎ)。
東切は起き出す。
「俺の名前は東切。さっきまで海外で生活していた。んで、俺は殺し屋だ。
世界中に依頼と金があれば何処へでも飛ぶ。
奴等は蜜。俺は蜂。
昆虫の様な心でターゲットである密を邪魔する寄生虫を暗殺する。
だが、勿論ノーリスクと言う訳じゃない。
密が寄生虫扱いされ殺されるって事もある。
それを防ぐ為に俺は殺し屋を殺す。
それに俺は超能力者だ。生まれた時からな。
能力はコンティニューライフ。
自分も含めて全てを修復する能力だ。
思っただけで壊れたモノが治る。
だが、俺は生まれて来た時からこんな人生。
他人にこの能力を言った事が無い。
言ったとしても、利用するに決まってる。
拷問とか……。俺が言ってもしょうがないんだけど」
手が汚れた殺し屋に、足を洗うと言う選択は無い。
それを良く知っているのは生まれた時から人を殺す為に生きて来た東切だった。だが同時に生まれた時から修復する能力も持っていた。
東切は日本へ辿り着く。
「……」
東切は現地で武器を調達する。税関対策である。だから愛用の武器を持っていない。
そして彼は依頼された場所へ着く。
遠くにはターゲットが潜伏していた。
「射程距離内。一気に撃ち込むか」
東切はあえて遠くから暗殺をする。
東切はターゲットに銃を乱射する。
ターゲットは避ける。
「……何故命中率の低い所から狙ってきやがる……」
するといくつかの流れ弾がターゲットと拳銃に当たり出血し拳銃が壊れてしまう。
東切は能力を発動しターゲットのみを治す。
「俺は……愛を知らない。
愛を知りたい。
無理だと分かっていてもこの仕事を辞めたい」
東切は今まで人を殺した事は無い。
「良い人になろうとか哲学者になろうとかそんな綺麗事じゃない。この能力には愛がある。だが俺はそれを感じ取る事は出来ない。
それを知りたいんだ。今の俺では何も出来ないし分からない。
普通に生きたい」
そして東切はあるアイデアを思いつく。
自分を死んだ事にすれば良いと。
後日、東切は遺体で発見される。
死因は毒殺。
遺体は公にされず、山の中に埋められそうになる。
「殺し屋から警察に嗅ぎ付かれても困るからな」
「この野郎、自殺しやがって」
すると東切は自分の身体を修復する。毒を中和させる人体に無害な成分が身体に流れる。
東切の能力は修復であるが、原理は元に戻すのでは無く、壊れた状態を再生してくれる成分を出すと言う事。
成分は未知なるモノまであり精密機械を即座に直すモノや病気を完治する事も出来る。
つまり全てに対して即座に直せる特効薬や物質を再生する成分を創れると言う科学的にも医学的にもかなり貢献出来る能力。
これこそ、コンティニューライフ。
人生をやり直せる能力。希望を生み出す。
だがこれ程の愛は彼には無い。
東切は自分を埋めようとした同僚にナイフを刺す。
「人生をやり直せ」
東切は再生と希望を与える。
「あ……」
東切はこの神にも等しい能力を悪用する事も利用する事も無く人々を救って行く。
東切が貢献しなかった未来はそのままだったが、人々は希望を持っていた。
第三十一章 愛と希望を知らない修復者(コンティニューライフ) 完
- Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.41 )
- 日時: 2017/01/30 18:33
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第三十二章 言葉は人を変える(チェンジスピーチ)
汚い部屋の中、一人の女性は怯えていた。
女性の名前は南泣多(ななきた)。能力はチェンジスピーチ。
「貴方はどれ程言葉が恐ろしいのか知らない。
言葉は人を殺すのよ」
南泣多の能力は発した言葉が現実になる能力。
厳密に言うと衝撃と感覚と重みを言葉により操る事が出来る能力。
彼女がこの能力に気付くのはあまりに遅かった。
南泣多は友達と喧嘩をしていた。ただ、仲直りがしたかった。しかし友達は叫ぶ。
「絶交よ!もう会いたくない……」
南泣多は叫ぶ。
「私も貴方なんてもういらないわよ!」
衝撃と感覚と重みは友達を襲う。
言われた言葉の衝撃。
言われた言葉の感覚。
言われた言葉の重み。
南泣多はそれを無意識に操り、感じ取った言葉を最大限に心に刻まれる様に操る。
友達はいらないと言う言葉が何度も幻聴の様に聞こえ、止まらない。
そして友達は自殺する。
南泣多は超能力に気付く事は無く、最後の言葉を思い出す。
「私も貴方なんてもういらないわよ!」
まさか、最後の言葉はこんな言葉でまさか、最後の言葉により友達が死んだ事。
彼女は無意識に言葉を乗せる。
それが周りの人々に刺さり何らかの変化が起こる。
たった一言の愚痴だけで欝になったり。人生の全てを否定されたかのように一言の言葉に心に縛られたり。
彼女はそれを遂に知る事になる。
自分の言葉で人を殺している。
信じたくないがそうであると。
彼女は閉じこもる。
「私が皆の人生を変えたんだ。私が皆の……うああああああああああああああああああ……・」
彼女は何回も泣く。今まで言った言葉を後悔する。
言葉は人を変えてしまう。
彼女は叫ぶ。
「助けて!助けて!助けて!」
衝撃と感覚と重みが彼女にのしかかる。
言った事は現実になるが、彼女自身は例外。
彼女は自分の言葉では変わらない。変えられない。
意思は変わるが運命は変わらない。
其処に母親がやってくる。
「……私といると不幸になるよ?ほら、もう……どうして……そんな事……うああああああああ……もう死にたい……」
母親は彼女を抱きしめる。
「二度と死にたいなんて言わないで。私は助けるよ。貴方の事を」
言葉は人を変える。
たった一言で人の世界は変えられる。
超能力が無くても。
人は変われる。
その後、南泣多は悩みを相談する仕事に就く。
彼女の言葉は素敵で、希望が溢れていた。
「え?超能力?違いますよ。
私の意思で私の声で……元気になって欲しいんですよ。
超能力を使う時はありません」
そう言って彼女は今まで傷付けた人に祈りを捧げる。
許してくれないと分かっているが、救われる様な人生を送れる様に。
「君に幸あれ!」
第三十二章 言葉は人を変える(チェンジスピーチ) 完
- Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.42 )
- 日時: 2017/02/02 15:30
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第三十三章 独裁者は呼んでいる(シークレット・キャンセル)
初老の男性が喫茶店でコーヒーを飲む。
「私の名前は田端……。能力は空間をどこかに追放する事。ええ、あくまでも空間だけ。空間だけを世界から追放する」
田端は喫茶店の中の空間の一部を無かった事にする。すると、喫茶店の空間が狭くなり喫茶店の中が狭くなる。喫茶店のマスターは気付かない。
「……私の能力の特徴は空間を消した事に誰も気づかない事。勿論、私も。詳しい構造は分からないけど。
ただ能力は発動したと言う事実は私だけ頭の中に残る。それゆえに記憶の差異に気付ける。ただ普通の人間はどうやら空間を追い出した時に記憶も同時に追い出しているらしい」
彼の能力は空間を孤立される事。孤立した空間はその空間から出る事は出来ないし孤立した空間自体がどこへ行くのかは不明。記憶が無くなる因果関係も不明。忘れられている事と存在しない事は同じ事なのか。
田端は店を出る。消えた空間は戻らない。
「……それゆえかなり使いどきが重要。何故なら世界から記憶を無くして永遠にその空間を切り離すのだから」
田端は兄から電話がかかる。
「はい……」
「……すまない。金を貸してくれ」
「もう無理だ。金を返してくれる保障はない。どうせパチンコで擦ったんだろ」
「……頼む、お願いだから」
田端の兄は昔から金を借りていた。
「お前と言う有害物質が消えて悲しむ人間はいないだろうな。さらばだ」
田端は兄を追放する。
「……ただいまおかけになった電話番号は使われておりません……」
世界は都合よく空間をしわ寄せする。
「大事なのはいかに敵を排除する事だ。では敵を排除するにはどうしたらいいか。人殺しは自分が捕まってしまう。
一番は追放だ。金でも戦略でも何でもいい。
敵を追放させれば我々の勝ちだ。犯罪の濡れ衣を背負わせたりすれば敵は少なくとも評価が下がる。
自分に地位が無くても信用を得ていなくても叫び続けるんだ。
そうすれば邪魔な有害物質は消える。
皆幸せで平和な世界が訪れる」
田端は国会議員だった。人々は称賛する。
「まず記憶から上っ面の偽善を外す。空間を追放する応用で記憶を追放させ偽善の認識を消した」
偽善の消す方法は偽善のシンボルを消したり、偽善であるから悲劇が起こる様に空間を消し偽善である必要が無いと言う認識にさせる。
「そうすれば多少強引な公約でも無責任で政治の勉強すらしないでプライドだけは一人前の権利を持つ素晴らしい有権者が私を指示する。
地位がある犬は金で買う。
そして敵と言う目標を創らせ、そいつ等の疎外、差別をする事で士気を高める」
田端は人々から支持される。
「この国は私が動かす。この国は私によって支えられている。
立派な国家にしてやるよ。
ハハハ。国に乗ってると思い込んでいる犬共を見るのは楽しいな」
田端は反対する偽善者達を見る。
「バカな奴等め。こいつ等こそ口だけの偽善者だ。口は達者だが他に何が出来る。私を支持する者が多い。
数が多い方が正義。常識だろ?私が正義だ」
田端はそして国を支配する。
正義の行いとして反対する者を追放する。
彼は立派な独裁者になる。
しかしある一人の革命家は叫ぶ。
「こいつはバカ丸出しだ。だってさっきから言っている事が中身が空っぽなんだから。同じ事とでかい声しか出ないんだ。何でみんな分からない!」
田端は後先の事を考えていない革命家を追放する。
すると、少しだけ認識が変わる。
だが何も変わらない。
田端は自分に都合が悪い全てを追放する。
「……ほら見ろ。私のお陰で平和になったじゃないか」
そこには田端と言う名のシンボルの元に独裁国家が誕生した瞬間だった。
「誰も害はない。ただ私に従えば良いだけのバカしかいない。でもバカだから本人達は従っている事に気付かない。いや、それを国民は望んでいるんだ。望んだ結果だ。さあ、国民共。俺に拍手しろ。私を呼べ」
そして世界はガタガタに崩れる。
犬と指示待ち人間だけでは長く国は続かない。地球にとっては短い栄光だった。
田端は責任を取らされる。
「破滅は我々が望んだ事だ。もうどうやっても助からないんだ。私はお前達の為に……」
「自分の事だけしか考えてないだろ!あんたが神なら助けてくれよ!」
「そうだ!助けろ!」
「この場に及んでも無責任……」
そう、彼が首輪に繋いでいるのは権利を持つ政治を知らない無責任の集合体。
これが国である。
そして彼等は新たな独裁者を望む声を呼ぶ。
これが国民である。
これ以下でもこれ以上でも無い。
第三十三章 独裁者は呼んでいる(シークレット・キャンセル) 完
- Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.43 )
- 日時: 2017/02/07 16:14
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
第三十四章 動かずとも響き渡れよ、我が人生
まるで図書館の様な大量の本棚に囲まれた女性がいた。
「私の能力は自分の記憶を本と言う物質にする事」
女性の名前は岸屋。ちなみに能力は細かく言うと現実を本と言う物質に具現化出来る事。
岸屋は自分の人生を見る。
・独身、20歳、B型。職業は小説家。あの玩具よ、もう一度と言う処女作を書き込み中。
・性格は女王。自分が正しいと思うが間違えている場合は見栄を張らない。が曲げない。誰も見た事が無い物語を書き続ける事は私の幸せである。此処には自分の生涯の全てが詰まっている。そう、人生は一つの物語。そしてその一つの物語を削って生まれるのが小説。その命を懸けた小説を読んでもらえる程、素敵な事はない。と非常に重い。
・人間関係が大嫌いだが、建前で笑ったり話すのが得意。そんな自分も嫌い。
・何かにハマる時は大体、否定的から始める。例:この小説、何か好きじゃないんだよな〜→面白っ!逆に否定的に終わる時もある。
・20歳。能力に目覚め、自分の人生の本を記録する。
・正直、他の小説や漫画を読んでも何が伝えたいのかが分からない等、否定的になってしまうので避けている。
・そのくせ、面白い漫画になると徹底的な信者になる。悪い意見は排除排除。崇めます。
・自分、才能あります感ある奴を心底見下している。中途半端に優しい奴も見下している。どっちも自分に酔ってるだけじゃないか。気持ち悪い。
・自己満足が好き。ただし他人のは嫌い。
岸屋はパソコンで文字を打ちながら本を読む。
「小説に必要なのはやはり現実との駆け引き。
現実と離れ過ぎても近すぎても、個人的に好きなモノは書けない。
その為に、自分や他者の体験と実際に舞台の場に行く事が大事。
そしてそのノンフィクションをどうやってフィクションギリギリの所へ置き、現実とは違う世界だけどどこか共感が持てる世界を創り出す。
勿論それだけが全てでは無い。
ガラリと変えたフィクションの中でこれまたフィクションなキャラ達が世界を創る時もある。
物語を創るのは素晴らしい事だ。
今まで見た素晴らしい物語を踏まえてそれを書いていきたい。
動かずとも響き渡れよ、我が人生。
私がクズで変わらずとも、私の物語を読んでくれた読者に響き渡ればそれで良い。
私はここにいる。
私はそういう小説家になりたい」
岸屋は小説を書く。
そして岸屋はイラつきながら電話に出て愛想笑いをする。
結局何を書いても何も変わらない。過ぎるのは時間だけ。
第三十四章 動かずとも響き渡れよ、我が人生 完