複雑・ファジー小説

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日常における超能力の影響(不定期更新)
日時: 2016/10/24 18:21
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第0話 ゼロ・リアクション(無反応)


スーツを着た男性は、公園のベンチで座っていた

「貴方は超能力を手にした時、何をしますか?世界征服。正義の味方。私利私欲に走る。後は……世界を良い方向に変えるとか?とはいえ、全てフィクションです。超能力の実例はほぼ無く、超能力があってもマジックの様なインチキでしょう。必ず何故か金儲けが重なります。それでも楽しませれば良いのかも知れませんが。……私も超能力系の漫画、ラノベ、アニメ等は好きです。厨二病って言われますけど、それで片づける奴が馬鹿って思うくらい。まあ、一人でこんな事を語ってる時点で私の方がおかしいのかもしれませんが。
……現実で超能力を手に入れてしまったら私の様な順風な人生を送っていた者には大迷惑です。超能力を隠して生きていないと駄目ですからね。現実は超能力者同士のバトルなんて起こりませんし、ロマンティックな展開はありません。つまり、超能力なんて現実にはいらないんです。あー……何でそんな非現実的な話をしてるのかはすぐに分かりますよ。

だって私、超能力者ですから」

男性は拳を公園の木に向かって何十発も殴る。拳には血が滲んでいる。

「私の能力は自分の身体の場合のみ作用・反作用の、反作用を作動させない能力。……人間社会に影響は出ないですね。この能力により、私の拳は全く痛くありません。血は出てるので止血が必要ですけど。そういえば、自己紹介が遅れました。私の名前は空木(うつぎ)。30歳。ただの独身正社員サラリーマン。平凡な人生をこのくだらない超能力により一時期、考え怯えてしまった小心者です」

時は戻り、三日前。

空木は残業をせずすぐに帰宅を始める。

「空木君。もう帰るのか?」

「……申し訳ありません。失礼します」

空木はその場を去り会社を出る。

「ウチの会社は残業が当たり前と言う風潮。こんな古汚い風潮が残るから過労死が増えるんですね。まあお陰で人間関係はボロボロです。友達30歳で一人もいません」

空木は書店に行き、漫画を買う。

「私はとにかく漫画が好き。一時期、不良漫画にハマって髪型を変える程に。今の髪型はツーブロックのショート、黒。気に入っています。今買ったのは超能力者が集まる高校で何か超能力バトルすると言う物語。良いですね〜」

空木は漫画をビニール袋に入れる。

「私はこの時、まだ超能力に目覚めてません。いつ目覚めたかと言うと……」

空木はシャドーボクシングをし始める。

「そう、私は漫画に出てくるキャラクターの真似を暗いトンネルでノリノリでしていた時に超能力に目覚めました」

空木は気合いを入れ過ぎて、トンネルの壁に拳をぶつける。しかし拳は全く痛く無かった。

「そう、この時に私は疑問を感じたんです。この時は超能力なんて分かりません。と言うか、漫画とかでそうですけど何で自分の能力を理解出来てるんですかね。物語だから、で済みそうな馬鹿な質問ですけどね。
私は今起こった現象を確かめる為、もう一度壁に殴りました。
結果は拳を痛める事はありませんでした。これで偶然により起こった現象と言う候補は無くなります。と言うか、正直何か神経の病気かと思いました。神経が死んで、感覚が無くなったと。しかし、握った時やその他の場合では感覚や痛みがありましたのでそれは違うと判断しました。まあ、病院は金かかるんでいかないですが。
今度は逆に特定の壁を殴ると痛くないと考えました。つまり他の壁で殴れば普通に痛いと。
結果は他の壁でも痛くありませんでした。私は拳で殴った場合のみ痛みが消えると考えました。その為今度は足のつま先で壁を蹴りました。結果、痛みは感じませんでした。つまり、拳限定の能力では無い。そう言った感じですね。
こうして自分の身体を調べて、超能力の内容に辿り着く事が出来ました。結論は結局、何も役に立たない能力です。人殴って拳の痛みを感じずに殴れるとかしか役に立ちません。まあ、マイナス効果をもたらす超能力よりはマシですね」

空木は公園を去る。

「これが電気を操る等の強力な超能力なら私の人生はもう、テロリストくらいしか道は残されていなかったでしょうね……。と言うか超能力に自覚出来ただけマシですか。超能力は日常にいらないですね……。日常で役に立つ能力なら良いんでしょうけど。浮遊能力でゴミを浮かせゴミ箱に入れられるとか」


第0話 ゼロ・リアクション(無反応)完



日常における超能力の影響は、あまり無い者から大きく関係する者まであまたあります。それをひたすら書き込みます。
思いついた超能力をただ書くだけなので不定期更新です。そんなに力入れてません。なので軽ーく見て頂ければ幸いです。
また一話ごとに、主人公違います。世界観は共通してますけど。



書き込む予定の超能力。

コントロール不可の自然発火。

鎖と呼べる物を操れる。

インクで書かれた記号等を取り出す。貼りつける事が出来る。

自分のみ、時の速さを速める事が出来る。

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.9 )
日時: 2016/11/10 22:58
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第七話 ウォーターリトログレッション(水生逆行)

電車の中に二人の美少女がいた。

「どうも、私の名前は鼓舞川(こぶかわ)。私の能力は泳ぎが速くなる事。……それで?」

「私は古井毛(ふるいけ)。私は彼女の友人」

鼓舞川は電車で友人に話す。

「ねぇねぇ、私泳ぎが速くなる超能力手に入れたんだけど」

「鼓舞川、どうした?え、何?怖いんだけど!」

「いや、マジで」

「水かきとか、ヒレとか出て来たの?」

「ううん、泳ぎが速くなったの」

「それ、超能力……?」

「そうだよ。え?超能力って強力じゃないと駄目なの?」

「んー、なんかさ、日常系アニメに憧れて変な話題を上げようとしてる痛い人にしか見えない」

「日常系!?どっからそんなのが湧いて出てしまったの!?」

「湧いて出たって私、結構好きだよ。ギャグとかじゃないけど和むじゃん」

「時間と労力と金と人生の無駄ね。濃厚ラブストーリーが一番よ。メインヒロインが実は三股してたとか?」

「何その救いが無さそうな奴……。てか、日常系を無駄って……ふざけるな!最強の日常系、サザ○さんに謝れ!」

「フーンだ。私の超能力を認めないからよ。ってサザ○さん……それは何か毛色が違うよ……何かまでは明確には言えないし分からないけど、土俵を上げるアニメが違う気が……」

「そんな事より、泳ぎが速くなるってどれくらい速くなるのよ」

「2秒速くなる。でも、これ凄い事だよ。私が全力で泳いだ2秒速くなるんだよ。オリンピック出場選手ならかなり重要だよ」

「……オリンピックと言うか競泳選手以外メリット無いじゃん」

「だから私、競泳選手になる!」

「ちょっと……陸上選手になるって決めたんじゃないの?」

「でも陸上選手になるとこの超能力役に立たない……」

「超能力で人生棒に振っちゃ駄目ー!」

「え〜本当?」

「てか、何でその超能力知ったの?」

「そんなの愚問だね。感じ取れるのよ!」

「説得力が無いよ……」

「本当に夢が無いなー。駄目駄目だよ」

「何か私達ってさ……」

周りの人達の目線が気になる。

「痛い人達って思われてるよね」

「どうして?」

「お前の超能力の話題のせいだろうがー!」

「ふう……」

「まあ……昨日の日常系アニメをアレンジした台詞を覚えて実際にやってみたけど……正直、辛いね」

「……濃厚ラブストーリーやりてぇ」

「男いないでしょ。いや、リアルに」

「……リアルに男いないとか……」

「アレンジ無ければ面白かったのかな?」

「同じっしょ。周りから痛い人だって思われるくらい」

「リアル日常ってきついね……」

「まあ、うちら演劇部だから……演技力の勉強になったと思えば……」

「いや、まずアニメと現実の区別つけよ……。ヤバい、二次元しか愛せる気しねーよ」

「少女漫画に出てくる皆の理想のイケメンに三次元が勝てるかよ……」

「……あ〜」

すると、一人の男性が叫ぶ。

「カット!」

すると、大勢の男女が現れる。

「一カット撮影お疲れ様でした」

「あ、はーい」

鼓舞川は台本を読む。

「日常系を演じる少女達ってタイトルか……このドラマ大丈夫?」

「大丈夫です。視聴率取ります」

「あー……そう」

「やっぱ、日常系アニメって言うのは僕の中ではそのテレビに出てる30分だけなんですよね。だけど、リアルな人間を使って日常系を24時間見るって言うのがやりたくて〜……」

古井毛は呟く。

「お前、ただのスタッフだろ。何言ってんだよ、バーカ」

「はい、それじゃ次は駅のシーンです!」

するとライトが暗転する。そして、鼓舞川にライトが当たる。

「この時、私はまだ分かっていませんでした。まさか、あんな事が起こるなんて」

すると、アナウンスが流れる。

「これから10分の休憩をします。トイレに行きたいお客様はトイレに……」

舞台の幕は下りる。客は呟く。

「何か微妙だな。この、日常における超絶不可思議対話って奴」

「今、人気のアイドルえ〜と鼓舞川役の相田哀(あいだあい)を見たかっただけだからそんなに期待はしてなかったよ」

すると、幕から悲鳴声が聞こえる。

「きゃあああああああああああ!!!!」

眠っていた客が起きる。

「おおっ……まだ映画やってんの?」

「今、丁度、事件が起こったのよ」

「やっとかよ……何だよ、この映画……。現実だったり撮影だったり……何なんだよ……」

「と、客は呟きギトギトの手でポップコーンを手にする」

隣にいたのは、鼓舞川だった。しかし大きく老けていた。

「でも、映画って言うのは全部嘘で実は映画と同じタイトルの舞台の映像を流していただけだった。でも、舞台って言うのも嘘で全部ドラマの撮影だと思い込まされていた。でも、ドラマって言うのも嘘であれは全部現実だった」

映画の中で鼓舞川は泳ぐ。

「全部現実だった」

泳いでいる鼓舞川は老けている鼓舞川に問う。

「貴方は誰?相田哀?鼓舞川?」

「そんな事を聞かれても私には何も分からないと私は思った」

鼓舞川は話す。

「鼓舞川も相田も全部私。私なのよ。全部、ノンフィクションなのよ!」

映画の中で泳いでいる鼓舞川は笑う。

「違うわ、全部フィクションよ」

「映像の中にいる貴方がフィクションよ。黙りなさい」

泳いでいる鼓舞川は笑う。

「貴方の人生はまるで水ね。場所で名前が変わるんだから。汚水、湧き水、下水、水道水、ミネラルウォーター、泥水等」

「……」

「まるで実在していないみたい」

「私は此処にいるのよ!いるのよ!」

「其処はフィククションの中よ」

「は?」

「全てフィクション。貴方はただの操り人形なのよ!」












第七話 ヒューマンリトログレッション(人生逆行) 完





私は今日も古井毛と幸せな日々を送った。

私は売れない女優。だけど必ず売れるわ。

私は舞台役者。やりがいを感じている。

私は映画のエキストラ。こんな仕事でも頑張る。

私は観客にいる……。どうして?

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.10 )
日時: 2016/11/12 17:48
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第八話 ゴールデンソウルギア(神)

雨の中、駅の前、段ボールで出来た何かの前に一人の中年が傘も刺さずに立つ。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。通りゆく人々は気にせず歩く。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は笑いながら正面を向く。

「私はある日超能力に目覚めた。私に触れると、生命が無い物に対して……」

神は捨てられたペットボトルに触れる。すると、ペットボトルが動き出す。

「この様に生命を吹き込む事が出来る。つまり、私の身体は魂を生み出す能力を持っている!!」

神は高層ビルの屋上の淵に立っていた。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。下にいる人々は気にせず歩く。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神はビルに触れる。ビルは意思を持ち、窓が勝手に割れたり、ドアが勝手に動いたりする。

「物と捕える範囲は無制限!私の身体は無限大の可能性と魂を秘めている!」

神は洪水で溢れそうな川の中にいた。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。周りにいる人々は気にせず歩く。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は水に触れる。すると水の流れが変わり明らかに意思を持った動きをし始める。

「形を持たないモノにも触れれば私から出る清き魂を与える事が出来る!」

ただ、水を支配は出来ない。

「お前が会社の金を横領したんだろ!」

「してません!」

「おい!ふざけんな!」

「うあああああああああ!!!」


「おい死ねよ。消えろ。目に汚物が入る」

「……」

「聞こえねえのか?ははっ」

「うあああああああああ!!!」


神はゴミの山の上に立つ。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。会社員は気にせず働く。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神はゴミの中に入る。神に触れ大量のゴミは動き出す。

「私の能力に上限は無い!触れば誰でも命を宿す!」

だが、廃棄物は廃棄物。


「うわ、痴漢ですよね?」

「違う!私は違う!」

「良いから、ちょっと来てくれません?」

「うあああああああああ!!!」

神は逆さまに上空で浮いていた。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。パイロットは気にせず飛行機で通り過ぎる。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は空気に触れる。

「私の能力は制御不可!常に触れた物に魂を与える事が出来る!空気も生きているが私の目からは見えない!」

神は交差点の真ん中にいた。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。歩行者や車等は気にせず通り過ぎる。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は道路に手を当てる。

「道路も私によって魂を与えられる!だが道路が生きていても何も出来ない!」

神は意思を持つ服と共に車の上に立つ。

神は車に触れる。車は動き出し暴走を始める。やがて、タイヤやガラスまでも意思を持ち始める。さらに、神は運転手の腕を掴む。すると腕が意思を持ち勝手に動く。神は喉を掴む。すると喉が意思を持ち勝手に叫ぶ。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」

神は核兵器がある場所にいた。

「私の名前は神(じん)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。人類は気にせず夢を想う。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は核兵器に触れる。

「核兵器は意思を持つ!皆、皆、神の能力に恐れるが良い!」

神は宇宙空間に漂う。

「私の名前は神(かみ)!50歳でリストラ、妻子に逃げられたホームレス!」

神は手を上げ叫ぶ。誰も気にせず浮遊していた。

「だが私はちっとも不幸じゃない!私は幸せなのだよ!」

神は宇宙空間に触れる。

「意思を持てば宇宙の法則は変わる!これこそ神にしか出来ない能力だ!」

だが、世界征服は出来ない。


「私の能力は物に魂を与える事です」

「では、目の前で死んでいる妻に命を与えて下さい」

「うあああああああああ!!!」

人が蘇る事も出来ない。

「私の能力は物に魂を与える事です」

「では、目の前にあるペットボトルに命を与えて下さい」

神はペットボトルに触れる。しかし動かない。

「神さん。命を与える能力があったとしても、五感と神経、心臓等の内臓、さらに筋肉、骨の様な物が無いと動きません。まあ、単細胞生物のような小さな物の場合は出来るかもしれませんし、人形、ロボット等は意思を持てるかもしれませんよ」

「うあああああああああ!!!」

第八話 ゴールデンソウルギア(神) 完

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.11 )
日時: 2016/11/14 18:24
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第九話 ポゼッションドール(呪いの人形)

女性は自分の部屋の中大量の人形に囲まれていた。

「私の名前は桜庭(さくらば)。人形が大好きでーす。ツイッ○ーで呟いてまーす!」

桜庭は人形の写真を上げていた。

「この人形はうーちゃんって言います。かわいいー」

一つの人形が桜庭をじっと見つめる。まるで嫉妬をしているかのように……。

「動物でも超能力に覚醒ってするのかな?あ、物とかも?知らなーい。でも返信ありがとね!また見てねー」

そしてある日、桜庭はユニコーンの人形に触れる。すると、桜庭は意識を失ってしまう。

目覚めると、自分の身体はユニコーンの人形になっていた。

「……これって」

桜庭はユニコーンになって走る。

「私の能力は人形に憑依出来る事。憑依したい人形に触れればいつでも憑依出来る」

正式な能力は、人形に五感と魂を憑依させる事が出来る。声は出ないが目と鼻と耳の機能は使える。直、人形と呼べる物なので実際に人形に目等が無くても機能は失われない。ちなみに、桜庭は喋っているつもりでいる。

「目の感覚とかは自分で調節できるのね……。もう適応出来てる自分がいる……」

だが、身体の動きはきごちない。筋肉、骨等の関節が無いからである。ユニコーンの状態で大きさの違う小さな恐竜の人形に触れる。すると、恐竜の人形に憑依する。

「……な、何これ?何でこんな事が出来るの?」

桜庭は巨大なパンダの人形に触れる。すると、パンダの人形に憑依する。

「指の関節までは無理だけど、腕や足を動かす事は出来るわ」

桜庭はアニメに出てくる美女フィギュアを見る。

「フィギュアに憑依出来たら……二次元の世界の様にな、ななななるのかな!?」

桜庭はフィギュアに憑依する。

「で、出来た……。うわ、本物のキャラクターになった気分。コスプレより凄い……。だって本物になりきるんじゃなくて本物に憑依するんだから。サイズは私が手作りして等身大にすれば……。それは流石に無理か。いや……」

桜庭は人間に戻る。

「ちょっと変な気分……人形の時、呼吸とかどうしてたんだろ?」

桜庭は衣服類を売っている所へ行く。

「あった!マネキン!」

桜庭はマネキンに触れる。すると、桜庭は倒れる。そしてマネキンは動き出す。

「関節も動く。呼吸や声は出てないけど、五感は出てるから問題ないわね」

桜庭(マネキン)は桜庭(人間)を家へ運ぶ。

「足が汚くなった以外は問題はないわね。強いて言うなら身体が軽くてすぐに壊れる程度ね」

マネキンは手袋、サングラス、マスク、帽子、靴、靴下を履く。服は元々装着している。

「これで完璧な人間ね。体つきは男……。まあ良いわ。これで……色んな事が出来るわ。流石に犯罪は無理だけど」

マネキンは歩道を歩く。

「凄いわ。これで庖丁とか拳銃を持てば……。って何でこんな物騒な考えが生まれるのよ!別に私、人生今ので楽しいし」

マネキンは強風でよろける。

「やっぱ、体重が軽いわね……」

マネキンは壁に手を当てながら歩く。

「す、凄いわ。こんなの……凄すぎる……非科学的な事が……」

マネキンは体験出来ない世界へと連れて行ってくれる。日常では決して見れない、様々な刺激や反応。身体も軽い為、アフロパティックな動きも可能。壊れる時もあるが。

「凄い……」

マネキンは桜庭である時間がどんどん短くなる。マネキンは桜庭を見る。

「どっちが本当の私……?」

マネキンはとても美形、つまりイケメンだった。

「……」

実は桜庭は精神が男性だった。つまり、男性になりたい女性だった。人形が多いのは自分が女性だと言う認識を忘れない為に。

「私はこれまで女性として生きていなければならない。そう考えていた。男になりたいけど、人間関係やこれからの仕事等が怖い。だから何も出来なかった。だけど、だけど……」

マネキンは鏡を見る。

「俺は……どうすればいいんだ。いや、これからもこうやって……でも……」

マネキンは桜庭を見る。

「俺は桜庭に戻りたくない……」

マネキンはヴィッグを被り、目に宝石を入れて本物の目の様に輝かせ、鼻の穴を開け、マネキンにメイクをする。さらにマネキン用の服を買う。

店員は呟く。

「だから、マネキンが何処かに行ったんですよ……」

「マネキンはどうでも良いけど、服を持って行かれたのは厄介ね。監視カメラにはあそこは写らないし……」

桜庭は家に走る。

「嫌だ!こんな姿、俺じゃない。早く、イケメンにならないと……」

桜庭はマネキンになる。

「……」

もはや、マネキンになるだけしか精神的に安定出来なかった。マネキンは彼女にとって大きな依存性のある毒になっていた。桜庭の身体は自分を傷付けてボロボロになっていた。

「これが俺!俺なんだよ!」

桜庭の時の時間はマネキンの様に動かなく考えないようになり、マネキンの時の時間はまるで人間の様な動きになり、真逆の時の様に日々を過ごす。

そんな時、彼女がマネキンの状態で妹が突如家にやってくる。彼女はマネキンを演ずる。

「きゃ!何でマネキンがあるのよ。しかも目が宝石だし、メイクされてるし。やっぱ、上京しての一人暮らしは危なかったのね……。てか、何、この部屋。何で男っぽいインテリアにしてるのよ……彼氏出来たのかな……」

すると、妹は人間の桜庭の元へ行く。

「お姉ちゃん!?大丈夫!?……脈が無い。きゃあああああああああああああ!!!!」

マネキンは動き出す。

「違うのよ、それは……」

「マネキンが動いた……?」

妹は電話をしながらその場を去る。マネキンは桜庭に触れようとするが、妹と一緒に来ていた父親と母親がマネキンを抑える。

「う、うあああ!こ、こいつが……殺したのか!?」

「違う!」

マネキンからは声は出ない。

すると、警察や救急車のサイレンが聞こえてくる。マネキンは抑えられた腕を外し、逃亡。

マネキンは隠れながらぎこちなく歩く。

「お、俺は……。いや、もう一度、桜庭に触れれば……」

すると、警察が現れる。

「待て!義手を返してやるから抵抗を止めろ!」

「……」

マネキンは逃げる。

「ど、どうして俺ばっかりこんな目に遭うんだよ!俺はただ、男に生まれ変わりたかっただけなのに!」

マネキンは数日逃げる。衣服屋の前で適当にマネキンのフリをしていれば良いだけだからである。

「こ、これで……」

しかし、その後マネキンが動かなくなる事は無かった。

桜庭は死んだと判断され火葬される。戻るべき身体を失った彼はマネキンとしての人生を歩む事しか出来なかった。

「……戻りたい。もう一度、触れれば。私は私に戻れるのよ!私は桜庭なの!どうして誰も分かってくれないのよ……」

桜庭は後悔する。自分の身体を嫌った事に。だがすでに遅すぎた。

今日もマネキンは、何処かで動き自分の身体を探す。

第九話 ポゼッションドール(呪いの人形) 完

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.12 )
日時: 2016/11/17 15:20
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第十話 ハームレス(無限進化)

ある取引現場で一人の男は立っていた。

「俺の名前は田貫(たぬき)。あるマフィアで活躍している。まあ今は警察にとって厄介な存在だって事だけは言える」

田貫は取引相手の中国人と通訳を通じて話す。

「ああ……生物兵器のウイルスは俺がちゃんと管理をする。だからこの値段が妥当だろ?」

「そうか、それじゃ頼んだぞ。くれぐれもそのかばんに衝撃を与えるな……分かったか?」

「ガキじゃねーんだ。それくらい分かる」

田貫はウイルスが入ったカバンを持つ。

「ふう……」

田貫が所属しているマフィアは以前は巨大な組織だったが部下が詐欺で逮捕され警察に監視対象にされてから大きな動きが出来なくなった。

「だから、ウチのマフィアは今壊滅状態だ。だが資金があればこれまでの人脈で再び大きく出来る。そう踏んだ俺は独断でウイルス保護を願い出た。このウイルスは簡単に言えば感染すると100%死ぬ。しかも感染スピードは早い。ウイルスの動きを抑えられる事は出来ないしワクチンもまだ開発中。

勿論、違法だ。

そして、さっきの奴の所に政府関連の関係者が調べようとしていた。そのウイルスを一時的に隠す為にわざわざ中国から日本にウイルスを運び、俺の元へと届けられた。

他の国に渡さないといけない程、ヤバいブツって訳だ。何考えてんだろうな。まあ俺にはどうでも良いのだが」

田貫は外を歩く。

「誰かが変えなければ何も変わらないのだよ」

目の前には同僚がいた。

「その為にお前は悪魔になるのか?もう、止めよう。まともに生きるんだ」

田貫は同僚を押してそのまま進む。

「俺達の様な奴はな、こうやってでしかのし上がれないんだよ。俺は自分や世界に嘆いたりしない。俺は腐った世界で順応して生きていく。変えていくのは世界じゃない。自分だよ。そうすれば俺だけの世界が生まれる」

田貫の前にはまた同僚が立つ。

「……アルコール中毒、薬物中毒、ギャンブル中毒。……更生しないと駄目だ」

田貫の足はふらつく。

「そんなの更生して幸せになるのか?俺は変わるんだ。そんなもん全部吹き飛ばすくらい、幸せになってやるんだ。マフィアのボスになって……俺が変えるんだ。そうすれば……」

「自己満足だな……もう、良いよ」

同僚は消える。

「俺は生まれた世界を嘆く暇があるなら他人を犠牲にしてでもこの世界で頑張るんだよ。世界じゃなくて自分。そうすれば自分が幸せになれるんだ」

田貫の足には大量の人間が地面に倒れながら掴まれていた。この人間達は過去に田貫に裏切られた人間。

「俺は……俺は……」

一人の同僚は肩を掴む。

「……やっぱ、ほっとけなかったよ。こんな事止めろよ」

「罪悪感が足を引っ張り続けるんだよ……俺は……どうすれば良い?俺は何度も何度もこの世界に適応しようとしたんだよ。酒だって馬鹿みたいに飲んだ。ドラッグも嫌いになる程吸っちまった。ギャンブルだって苦しくなるまでやった。俺は頭がおかしくなりそうだ。いやおかしいんだろうな。死んだお前とかが見えている時点で……俺は……」

田貫はカバンを抱く。

「ガキの頃から俺は強者の下で偉そうにして、学校と言う世界に適応していた。いじめられっ子にも優しくして誰にも悪い印象を与えない様に適応した。

そう、これって何かの能力かもな。何処にでも適応出来る能力って。な訳無いか。

先生にも良い顔。親にも良い顔。でも、何処か苦しくて。そんな時にな、親が離婚してどっちも蒸発して、高校で俺一人になったんだよ。

俺は裏切られたんだよ。良い様にされてな。俺は橋から降りて自殺するつもりで飛び降りた時にたまたま今のマフィアのボスに拾われて……。俺はマフィアに適応した。俺は全てを裏切り幸せになろうとした……罪悪感だけが残ったけどな」

「犯罪で幸せにはなれないよ……」

すると、拳銃を持った男が現れる。

「それをよこせ」

「……誰だ?」

「よこさないのなら撃つ。死にたくはないだろう」

「……幻覚?」

銃声は響き、田貫は倒れる。

「俺に貴様を殺さない理由は無い」

男はそう言って車で逃げる。周りは警察等を呼んで対処をしている。

「車のナンバー見たか!」

「ああ、でもあれ盗難車だったら……」

田貫は起き上がる。身体も無傷。

「ど、どうなっているんだ?」

すると、銃弾で撃たれた心臓に近い部分のみ皮膚が硬質化していた。

「……」

すると、田貫は突如後ろから襲撃される。

目覚めると、目の前には目に突き付けられたナイフが向けられていた。女性の声が聞こえる。

「今から質問に答えてもらうわ。嘘をついたらナイフを目に刺すわ」

「……分かった」

「貴方が持っているウイルスは今どこにあるの?」

「誰かに脅されて持ってかれたよ。近くにいたなら銃声が聞こえていたろ」

「それは嘘ね」

「何でだよ……嘘なんかついてないぞ!」

「貴方、詰めが甘いわよ。撃たれたのに起き上がるなんてよっぽど警察が怖かったのかしら?」

「……違う、あれは」

「あれは私達の様なウイルスを狙う組織をかく乱させる為の罠。貴方を撃った人は貴方の仲間。銃を撃ったのは空砲かしらね」

「だから……」

ナイフは田貫の両目に刺さる。

「あああああああああああああ!!!!」

「本当の事を言えば止血してあげるわ。たかが、一マフィアがこんな大事に首を突っ込まない方が良いわよ」

すると、田貫の目からナイフが飛び出す。さらに目が元に戻り止血される。

「……?」

すると、拳銃を持った大量の者達が田貫を撃つ。

「確実に頭と心臓を破壊してついでに腕と足も……。私も疲れてるのかしら……」

田貫は身体から弾と血を吐きだす。そして撃たれた部分が修復される。

「……」

田貫の能力は、まさに適応能力。死に至る攻撃でもその攻撃に適応出来てしまう。そして最も恐ろしいのは。

「もう一回撃て!殺せ!」

銃弾は田貫の身体を突き通さずにゴムの様に伸縮して銃弾を飛ばす。

最も恐ろしいのは一回受けた自分の身体に害を及ぼすモノに対して対抗出来る事。適応能力自体も進化を続ける。攻撃を受ける事に適応、攻撃を反射出来る事に適応。このまま続ければ、害を排除しなくても、今いる環境に適応出来る。

田貫は逃げる。高く飛びたいと思えばその通りに適応される。

「うああ!身体がおかしなことに……」

さらに元の人間とはかけ離れた何処にでも順応する生命体に徐々に進化する。

燃えている所にいれば、最初は燃えた細胞を切り捨て、切り捨てた細胞が水に変化して火を消す。次に身体から水分を出して火が身体に燃える前に消す。最終的に燃えていても自分に害が無い生命体に変化する。

田貫の身体は既に拳銃が害と見なさないレベルに達していた。

無限に適応し進化し続ける田貫の身体は人間とはほど遠い存在になっていた。

「……適応しないと。人間社会に」

だが田貫の身体は戻らない。

「……」

空気感染する殺人ウイルスが蔓延しても、その影響で治安が悪くなり暴徒に襲われても、動物にまで影響し食料が不足しても、田貫は適応した。

「……」

彼はもはや世間的に見れば化け物だった。

「……」

彼は今も進化を続け、人等の生命体のずっと先、何万年先の未来の姿をしている。

全てに害は無く彼は初々しい。不死身とも言える身体は世界を見渡す。

人々は、田貫を神の様に崇める。

「……世界が私に適応した」

インフィニティエボリューション(無害) 完

「この能力の弱点は?」

「人間の都合が良い様に進化させるとかかな」

「完全な排除は不可か?」

「明らかな矛盾を創り出すとか」

「……例えば?」

「無重力に適応した奴を一気に強力な重力で……」

「そんな装置は無いです」

「いや一瞬だけ隙がある。其処で全ての細胞を一瞬で重力にで潰す。これで勝利だな。それか細胞自体を削り取れば……」

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.13 )
日時: 2016/11/18 20:27
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第十一話 スパーキングランプ(煌めきの道標)

スーツを着た女性は太陽の下の崖で話す。

「私はコードネーム、レオトリア。私はスパイだから本名は言えないわ。ごめんなさいね♪」

レオトリアは透明になる。

「私の能力は光を操る事が出来るのよ。こんな風にね♪」

レオトリアは太陽光を操り、太陽光を崖の下にある都会に向かって曲げる。都会は凄い熱気や強力な紫外線、失明等で都会は燃える。

「あらら、だけど私の能力はこの程度じゃないわよ♪基本的にこの能力は広域破壊が主な能力なんだけど……」

レオトリアはランプを取り出す。レオトリアは透明になったままサングラスをかける。

「火の強度は変わらないけど、光の大きさは変えられるのよ。そう、目が失明するレベル以上までね♪さらに光は曲げられるから」

レオトリアはランプの灯が一直線に地面に当てられる。だんだん大きくなりビームの様になる。そして地面は熱で溶解する。

「そう、そして今の透明な状態。貴方から見る光を屈折させる事で私は透明になっているのよ♪」

光の大きさを変えられる範囲は、反射された物質も含まれている。つまり、光を発していない月等の光も操作可能。実際、光なのだが。

「貴方から見える光の強度を変えて失明。光の屈折で蜃気楼等の幻の現象を引き起こしたり。

さらに、貴方の目から入る光のスピードを落としたり、ははっ♪私、光の速さを変えられるのよね。こうする事で貴方が視覚から入る情報のみ遅くなる。つまり過去の映像を見ながら未来の音声を聞く事が出来るのよ。まあこれは能力でこういう事が出来るって言うパフォーマンスよ。

そして私が透明になれるなら、別の姿にもなれる」

レオトリアは笑う。

「でもさ、ハッキリ言ってこんなの私には何にも魅力にも思えないのよ。だって私の能力の真髄は物理法則が崩壊させる事が出来るから」

レオトリアは光の速度を光速越えさせたり、遅くさせたりする。

「でもこの能力があるならさ、他の人も超能力とか持ってるモンじゃん。でも、私の前で超能力を扱った人間は誰もいない。

退屈なのよ。この能力が戦闘手段で役に立つ場面とか。スパイって言うスリルな職業でもね♪」

すると、砂の塊がレオトリアに向かってやって来る。

「……あな……た、超能力者……ね」

「……うわ……もしかして貴方、超能力者?身体が完全に砂だわ」

「さっき……町を太陽光で破壊する所を見たわ。私は身体が……砂……だから光は意味無いけど」

「まさか、超能力者に会えるなんて運命かしら?」

「いいえ、私の努力……」

「はぁ?……其処は嘘でも運命とか必然とか馬鹿の一つ覚えみたいに叫んでればいいのよ」

「私は風に吹かれて、5年以上超能力者を探した……」

「凄いわね。五感とか脳とかどうなってるの?私の声は聞こえているみたいだけど」

「時々、身体が元に戻れる時があるのよ。手とか足とか目とか耳とか。今の所はちゃんと構造の部分(骨、筋肉、血)まで治るから。まあ毎回大量出血でまた砂に戻るんだけど……」

「偶然五感のどっかの機能が丁度私が超能力を発動した時に直って、私を認識出来た訳ね」

レオトリアは砂の塊を保護する。


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