複雑・ファジー小説

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日常における超能力の影響(不定期更新)
日時: 2016/10/24 18:21
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第0話 ゼロ・リアクション(無反応)


スーツを着た男性は、公園のベンチで座っていた

「貴方は超能力を手にした時、何をしますか?世界征服。正義の味方。私利私欲に走る。後は……世界を良い方向に変えるとか?とはいえ、全てフィクションです。超能力の実例はほぼ無く、超能力があってもマジックの様なインチキでしょう。必ず何故か金儲けが重なります。それでも楽しませれば良いのかも知れませんが。……私も超能力系の漫画、ラノベ、アニメ等は好きです。厨二病って言われますけど、それで片づける奴が馬鹿って思うくらい。まあ、一人でこんな事を語ってる時点で私の方がおかしいのかもしれませんが。
……現実で超能力を手に入れてしまったら私の様な順風な人生を送っていた者には大迷惑です。超能力を隠して生きていないと駄目ですからね。現実は超能力者同士のバトルなんて起こりませんし、ロマンティックな展開はありません。つまり、超能力なんて現実にはいらないんです。あー……何でそんな非現実的な話をしてるのかはすぐに分かりますよ。

だって私、超能力者ですから」

男性は拳を公園の木に向かって何十発も殴る。拳には血が滲んでいる。

「私の能力は自分の身体の場合のみ作用・反作用の、反作用を作動させない能力。……人間社会に影響は出ないですね。この能力により、私の拳は全く痛くありません。血は出てるので止血が必要ですけど。そういえば、自己紹介が遅れました。私の名前は空木(うつぎ)。30歳。ただの独身正社員サラリーマン。平凡な人生をこのくだらない超能力により一時期、考え怯えてしまった小心者です」

時は戻り、三日前。

空木は残業をせずすぐに帰宅を始める。

「空木君。もう帰るのか?」

「……申し訳ありません。失礼します」

空木はその場を去り会社を出る。

「ウチの会社は残業が当たり前と言う風潮。こんな古汚い風潮が残るから過労死が増えるんですね。まあお陰で人間関係はボロボロです。友達30歳で一人もいません」

空木は書店に行き、漫画を買う。

「私はとにかく漫画が好き。一時期、不良漫画にハマって髪型を変える程に。今の髪型はツーブロックのショート、黒。気に入っています。今買ったのは超能力者が集まる高校で何か超能力バトルすると言う物語。良いですね〜」

空木は漫画をビニール袋に入れる。

「私はこの時、まだ超能力に目覚めてません。いつ目覚めたかと言うと……」

空木はシャドーボクシングをし始める。

「そう、私は漫画に出てくるキャラクターの真似を暗いトンネルでノリノリでしていた時に超能力に目覚めました」

空木は気合いを入れ過ぎて、トンネルの壁に拳をぶつける。しかし拳は全く痛く無かった。

「そう、この時に私は疑問を感じたんです。この時は超能力なんて分かりません。と言うか、漫画とかでそうですけど何で自分の能力を理解出来てるんですかね。物語だから、で済みそうな馬鹿な質問ですけどね。
私は今起こった現象を確かめる為、もう一度壁に殴りました。
結果は拳を痛める事はありませんでした。これで偶然により起こった現象と言う候補は無くなります。と言うか、正直何か神経の病気かと思いました。神経が死んで、感覚が無くなったと。しかし、握った時やその他の場合では感覚や痛みがありましたのでそれは違うと判断しました。まあ、病院は金かかるんでいかないですが。
今度は逆に特定の壁を殴ると痛くないと考えました。つまり他の壁で殴れば普通に痛いと。
結果は他の壁でも痛くありませんでした。私は拳で殴った場合のみ痛みが消えると考えました。その為今度は足のつま先で壁を蹴りました。結果、痛みは感じませんでした。つまり、拳限定の能力では無い。そう言った感じですね。
こうして自分の身体を調べて、超能力の内容に辿り着く事が出来ました。結論は結局、何も役に立たない能力です。人殴って拳の痛みを感じずに殴れるとかしか役に立ちません。まあ、マイナス効果をもたらす超能力よりはマシですね」

空木は公園を去る。

「これが電気を操る等の強力な超能力なら私の人生はもう、テロリストくらいしか道は残されていなかったでしょうね……。と言うか超能力に自覚出来ただけマシですか。超能力は日常にいらないですね……。日常で役に立つ能力なら良いんでしょうけど。浮遊能力でゴミを浮かせゴミ箱に入れられるとか」


第0話 ゼロ・リアクション(無反応)完



日常における超能力の影響は、あまり無い者から大きく関係する者まであまたあります。それをひたすら書き込みます。
思いついた超能力をただ書くだけなので不定期更新です。そんなに力入れてません。なので軽ーく見て頂ければ幸いです。
また一話ごとに、主人公違います。世界観は共通してますけど。



書き込む予定の超能力。

コントロール不可の自然発火。

鎖と呼べる物を操れる。

インクで書かれた記号等を取り出す。貼りつける事が出来る。

自分のみ、時の速さを速める事が出来る。

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.34 )
日時: 2017/01/17 17:30
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第二十六章 帰ろう、全ての始まりの日常へ (return wonderful world)

「この世界はいつからこんなに変わってしまったのだろうか。

いつから大人と言う存在は憧れの存在から汚れた存在になってしまったのだろうか。

昔、描いた落書き帳には希望や優しさがいっぱい詰まっていた。

なのにいつから……。

私の世界はこんなに醜くなったのだろうか」

彼の名前は千大庭(せんだいば)。

「素晴らしき世界に再会を」

千大庭は能力を発動する。

範囲、人数をキッチリ設定しその異変は起こる。

世界中の大人達が子供に還る。

彼の能力は寿命を巻き戻す事。

直、記憶は大人から戻る訳なので全て失う。

「別に過去が美しいなんて言わない。でも誰もが思うんだよ。

子供の時に戻りたい。

無邪気に遊んで友達と笑えていたあの懐かしく楽しかった日常に。

私の世界はもっと美しかった。想い出は山ほどあった。

今あるのは大人達が汚したエネルギー問題と大人達が求めた虚構のゴミ捨て場だけだ」

千大庭は振り返る。

「ミジンコの様に働かされ、社会に飲み込まれ……」

千大庭は夕焼けを見る。

「私のアルバムは今、蘇ったんだ」

千大庭は想い出を辿る。

「私は戻るんだ。私は戻らなければならないんだ。あの時の世界が私を呼んでいる」

千大庭は自分が求めた世界に向かう。

「当たり前の日常に私は帰還出来た」

しかし、彼が見たのは異様な光景だった。

いくら、責任を抱えられた大人達を無邪気な子供に戻した所で周りにある現代風景を取り除く事は出来ない。

「……」

この世界は大人のいない世界。誰もが子供に戻れる世界。だが、それもまた虚構に過ぎず、美化された想い出に過ぎなかった。

子供達はスマートフォンをしながら情報社会に入り込む。

「また歳を取ったならば私が戻そう。

此処は想い出の中だ。

ずっとアルバムに存在する。

ずっとこの素晴らしい世界にいれるんだ」

千大庭は叫ぶ。

「返さないぞ!誰も未来なんて歩かなくて良いんだ!ずっと此処にいればそれで良いんだ。

さて、私は最後の大人として憧れの存在になるとしよう。

この世界は素晴らしい」

千大庭は見事に世界を変えた。

過去も未来も無い子供達の理想の世界を。汚い大人は消え、純粋な子供達が生活する。

皆、想い出の中。

この日々が何十年も続く。

アルバムの世界はずっと夕焼けで何も進まない。

ボロボロのビルが崩落しそうな世界で千大庭は笑う。

大人達のいない世界は食料問題等が浮き彫りになり……。

「私の理想の世界ではそんな事は起こる訳が無い。

私は間違っていない。

子供の頃に戻れば皆、幸せになれる。皆、懐かしい世界の中で永遠に生き続けられるんだぞ」

子供達は騒ぐ。

「俺達が求めた世界は、子供に戻る事じゃない。

子供の時にいた親と友達がいなきゃ何にも意味なんて無いんだよ。

それに未来に向かって走っている時が一番楽しいんだよ。

落書き帳を書いていた嘗てのお前にこの世界を見せられるのか!」

「……私はただ、取り戻したいだけなんだ。

別に過去が好きな訳じゃない。時間を巻き戻したい訳じゃない。

子供の頃に帰れば……皆幸せになれると思って。

未来も過去も捨てて今を生き遊ぶ。

私の世界は美しいはずだ。

私は戻りたくない。あんな未来に。あんな過去に。

子供の頃をやり直したいんだ」

千大庭は子供の頃は自由なんて無かった。理由は両親からの酷い虐待によるモノだった。

両親はいずれ逮捕されるが犯罪者の息子として周りから犯罪者扱いされ問題が起こると全て千大庭の責任にされた。

千大庭が描いた落書き帳は子供の時にしか出来ない遊びがいっぱい書いていた。

彼のアルバムは空っぽだった。夕焼けも虚像だった。

過去に戻りたい訳じゃない。未来に進みたい訳じゃない。

行った事の無い日常に帰りたいだけだった。

「もう、汚れた自分は嫌なんだ」

鳥は羽ばたき、自由に飛ぶ。

だが、それを自由と呼べるのだろうか。

籠の中が悪い訳じゃない。

ずっとこのままの世界で。

ずっと変わらない世界で。

千大庭の世界は毎日、同じ日を繰り返す。

人間は変わらないが世界は変わる。

壊れた籠の中でも人間は変わらない。

千大庭だけは歳を老ける。能力は自分には効かないらしい。

千大庭が老人になった時、周りには誰もいなかった。

彼のアルバムは空っぽのままだった。

未来を創らない世界に過去は出来ない。

過去が無ければアルバムも無い。

「私は幸せを望んでいたのに……何でこんなに空虚感が私を襲うのだ!」

目を閉じると思いだす。想い出の日々。

その想い出一つ一つに罪悪感が付きまとう。

そして本当の過去を思い出す。

落書き帳を持つ少年は呟く。

「帰ろう、全ての始まりの日常へ」

「……」

千大庭は寿命で死ぬ。

途端に人間達は大人に戻る。

千大庭は死んで初めて本当の未来を知る。

第二十六章 帰ろう、全ての始まりの日常へ (See You Again wonderful world) 完

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.35 )
日時: 2017/01/19 15:53
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第二十七章 大金仕掛けのギャンブラー(ノーデッドノーライフ)

「ノーデッドノーライフ。

人生に必要なのは死よ。

死がなければ人は生きていけない。

さあ、始めましょう。

命がけのギャンブルを」

きつい眼光を向けるスタイルの良い女性は軽蔑する笑いを浮かべる。

「私の名前は高杉(たかすぎ)。超能力は……そうね。

命の価値を知れる事かしら」

高杉は呟く。

「死と言うスリルがあるからこそ、人は生きれるのよ。不老不死で勝負つかないギャンブルなんて意味が無いわ。

それを私は具現化するだけ。

ギャンブルとして。

だけど誰も私には勝てないわ」

高杉はイカサマをして勝負していた。

「ギャンブルの中では私は全てが許される。バレなければ全て正しい事に変わるのよ」

高杉は海外でカジノの経営をしていた。

世界中のギャンブルと名の付くモノを片っ端から買収。

需要が無くなったギャンブルは捨てる。

大量の損害と大量の利益を膨らませ続ける。

「勝負するなら何でも構わないわ。パチンコでも株でもスポーツでも蟻のレースでもね。

賭けれるギャンブルなら全部使うのよ。

イカサマなんて私ならすぐに出来るわ。

見破る事も」

この世界のギャンブルは彼女が言う事が正しいとされた。

ギャンブルは表にも表れ始める。

高杉は客とギャンブルをする。

「賭けるのは家と車ね?全然足りないわ。

後、会社も賭けなさい」

「ふざけるな!……私にはあの会社しか……」

「命を賭ける覚悟が無い奴が此処に来ちゃ駄目よ」

客は見事に負ける。

「……終わった。人生が。人生逆転して……私の会社を立て直すつもりだったのに。イ、イカサマだ!」

「……」

高杉の親は人に騙されやすかった。

連帯保証人になり大量の借金が嵩み、親は最終的に自殺。

借金は全て高杉が負う事になった。

社会の闇に屈した高杉だが、彼女は混沌の中に超能力を発動する。

「人生は死。死は人生。

私は別に復讐なんてしない。

死んだら全て終わりだから。

だから私は闇の中で伸し上がる事にした。

どんな方法でも。

それが間違っていても。

まあ、死を感じていなければ生を実感する事も無いけど」

彼女の能力は命の価値を金に変えると言う認識が出来る事。

この世界の価値はどれくらいだろうか。

いずれ、このギャンブルに超能力者が挑戦する事になるがそれはまた後の話。

第二十七章 大金仕掛けのギャンブラー(ノーデッドノーライフ)完

「私はいずれこの世界を買うわ。

私のギャンブルはこれでまだ終わらない」

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.36 )
日時: 2017/01/20 18:57
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第二十九章 絶え間なく完成し続ける地球(オールフリーズアース)

一人の男性は道路に立っていた。

「……」

車の運転手達は男性に暴言を吐きクラクションを鳴らす。

「警察を……」

男性は手のひらを車に向ける。

「オールフリーズアース」

すると、腕から大量の氷が竜の様にうねり車だけでは無く道路等を破壊する。

男性は腕に大量の氷を生やし、人々をマシンガンの様に撃ち抜く。

さらに男性は口を開け氷の管を吐き人々に突き刺し身体を凍らせる。

彼の名前はブラッド。人より少し身体能力が高く人より少し身体の氷結に対する耐性がついている。

「……」

ブラッドは足を振る。すると、大量の氷が飛ばされ車等を容易に破壊する。

すると、ブラッドに連絡が入る。

「無駄な動きはゼロ。流石だ」

「……」

ブラッドは氷塊を氷の鎖に繋いで暴れ始める。

そして足に氷のスパイクを形成しビルの壁を走る。同時に腕にピッケル状の形状をしている氷でビルに突き刺す。

ビルの屋上には一人の男性がいた。

「成程ね〜。まずは逃亡手段を削り、此処の地域にいる全員を皆殺しにしたと……。

これは何の脅しだ?」

男性の名前はクラー。能力は絶対零度(ゼロオフアイス)。

「俺とお前じゃ決着つかねえよ。お前は氷と言う物質を操る。俺は主に大気中の空気を零度にする事。

それに俺は冷え症だから」

ブラッドは無表情ながらも殺気に満ちた目でクラーを見る

「そういえばお前は特殊だったんだっけ……。全く、超能力バトルなんて現実でするもんじゃねーぜ?

一般人殺したのも肉の盾を使わせない為だろ?俺のいるビル以外も崩壊させたのも。

やってくれるね〜。

普通なら能力に色々干渉し……」

ブラッドは拳銃を用意しクラーに撃つ。銃弾は凍り突き氷柱の様に伸びる。

クラーは能力を使っても無効と知っている。そしてクラーは銃弾を受ける。

「ならお前自身の動きを封じるだけだ」

クラーはブラッドの足を氷漬けにする。

「俺の絶対零度の発動速度は一瞬。また範囲は細かく決められる。

また拳銃自体にも能力を発動。拳銃は凍り使い物にならないはずだ」

しかしクラーが受けた銃弾は爆発し氷柱の破片が身体に飛び散る。

「火薬を爆発性のモノに変え直、湿らせない様に氷の厚さを調整。

やってくれるじゃねえか」

ブラッドはクラーをただ見つめる。クラーは出血を絶対零度で止めながら呟く。

「お前の異名は殺戮マシーンだったっけな。人を殺す為に生まれ全ての感情を凍らせた。

俺もそうだが……」

ブラッドは腕をクラーに向け衝撃波や斬撃の様な氷を発射させる。

クラーは逃げる。

「……こいつは兵器だぜ。俺のいた組織はやっぱ狂ってやがった……」

クラーは過去を思い出す。

クラーとブラッドと同じ組織で活躍していた。

「寒い!寒い!しもやけになる!」

「……」

「ブラッド!?お前すげえな……」

組織は偶然により二人の超能力者を利用していた。

と言うのも、今の時代に超能力者は数が増え始め、世界人口の6分の1が超能力者らしい(自覚している、していない関わらず)。

それにいち早く気付いたある国は超能力者を兵器にする為ブラッドとクラーを利用していた。

ブラッドには大量のドーピングと結果的に体温を急激に上げる錠剤が投与され、また非人道的な医術により驚異的な身体能力、全てに対する耐性が整えられる。ただし調節は本来なら極めて難しく暴走等が起こりやすくなっているが感覚を麻痺させる錠剤が投与されている為、精神状態が空っぽになっている。

「……そう、そして問題なのは。

ブラッド自身がそれを望んだ事だ。

俺はブラッドを治す為に暗躍したが、それをブラッドにバレこうして追われているのさ。

奴はどういう思考をしているんだ?」

すると、クラーの口に氷が大量に流れ込む。

「……フガ……ぁぁぁ」

ブラッドは腕の氷でクラーの氷を剥ぎ取る。

「全ては絶え間なく完成し続ける地球を見たいが為の行動だ。

地球が真っ白に凍て付く時、初めて地球は最も美しい終わりを告げる。

しかし終わるのは人類であり地球は暗闇の中浮いている。

地球は冷凍され美しい終わりを維持出来る。

地球は常に完成されたまま時空ごと凍る」

ブラッドは精悍な顔つきで空を見る。

「オールフリーズアース。それを邪魔する者は誰であろうと必ず殺す。

其処に一切の無駄は無い。一刻も早く私は完成が見たいからだ。

完成は終わりでは無い。

維持出来ない完成は完成と呼べる訳が無い。

完成は何者にも終わらせる事が出来ない。

終わりを維持出来る者こそが本当の完成を語れる」

クラーは叫ぶ。

「ゼロオフアイス!其処で冷凍保存されてろ」

「……不可能だ。私は氷の硬さも選択出来るからな」

「畜生……流石殺戮マシーン言う事が……」

クラーは凍る。

「……」

ブラッドは黙って去る。そして不敵に笑う。

まるでさっきまでの戦闘を楽しむかのように。

凍った街を背に彼は歩く。

英雄も大衆も彼にとっては何も変わらない。

全て切り捨てる敵である。

第二十九章 絶え間なく完成し続ける地球(オールフリーズアース) 完

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.37 )
日時: 2017/01/24 15:00
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第三十章 読めるは人の価値ばかり(ハート・リード)

一人の女性はルーレットを踏みつけながら立っていた。

「私の名前は枩宮(まつみや)。能力は心を読む事。何を考えているのかが手に取る様に分かるわ。

そしてこの能力、最大の強み。それが差しのギャンブルよ。

なので世界で一番金を巻き上げているギャンブル。イカサマしてやがる高杉に一泡吹かせてやるわ。

どう足掻いても私には勝てないだろうけどね」

枩宮は高杉と会う。

(この子の生きる価値は……あら高いじゃないの。死ぬ価値は……微妙ね)

(流石イカサマギャンブラー、考え方が異常ね)

高杉は考案する。

「今回勝負するギャンブルはラビリンスよ。

用意された迷路で先に出口を見つけた方が勝ち」

「……!」

枩宮は不機嫌な顔をしながら納得する。

(差しのトランプ系なら勝てたけど。まあどっちにしろイカサマはすぐにバレるわ。私の最強の能力、心を読む事の前には無力!)

枩宮と高杉は迷路に入る。

(さらに私の能力の応用で、人物が分かれば心が読める。おのずと場所も分かるのよ。どうせイカサマしてるクズ。何をしてるかなんて分かるのよ)

枩宮は迷路に入り出口を探しながら高杉の心と場所を読む。

(イカサマは心の弱い者がする事よ……)

(ドアは全部施錠しなさい。本当の出口もね。私は出口のカギを探すから)

(成程、出口以外にもダミーの出口があり尚且つ、出口を閉める。

カギを探すって事から鍵自体は高杉が持ってる訳じゃないのね。

……?どうして高杉が持ってないのかしら?

まあイカサマに熱中し過ぎて策に溺れたのね)

枩宮はカギを探す。

こうして数日が過ぎる。

「え?え?どうなってるの?どうして……」

枩宮は心を覗くが其処には誰もいない。

「高杉は死んだ?いやそんなはずは……まずい。集中力が……」

すると高杉が枩宮の前に現れる。

「……!」

「ハッキリ言うわ。私はいかなるイカサマをする為にいかなる超能力者対策をちゃんとしているの。

浮遊能力があるなら迷路上に赤外線センサーを置き、位置を確認する。

姿が見えないなら電気の不調を装い、影が出来るようにする。

存在を消せるなら迷路を全て無色無臭の催眠ガスを流せばいいのよ。私はガスマスクを付けてるけど。

私は超能力者だけどそれをイカサマに使わないわ。

全ては自分の力よ。イカサマもね。

それを見抜けないくせに何がインチキよ。

こういう勝負に持ちかける奴は大体、自分を勘違いした超能力者だけよ。

自分が強くなった気がしたの?

違う。強いのは超能力。貴方は何も変わってないのよ。

それが分かったらリタイヤしなさい。イカサマに負けた超能力者さん」

「……」

「ラビリンス。心の迷いさえも気付かぬ愚か者に相応しいギャンブルよね。

私に勝ちたいなら正々堂々と戦い、私にイカサマの照明を叩きつける事ね。

死ななきゃ本当の命の価値は分からないのよ。ノーデッドノーライフ。超能力を手に入れスリルを無くした貴方の人生は無価値よ」

枩宮は賭けていた全てを失う。

第三十章 読めるは人の価値ばかり(ハート・リード) 完

Re: 日常における超能力の影響(不定期更新) ( No.38 )
日時: 2017/01/25 16:54
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第三十一章 黒の物語(デッドエンドストーリー)

カラスが鳴く朝とも呼べない朝頃にゴミ捨て場で一人の人間が笑っていた。

「止め……」

「俺の玩具に口はいらないな〜。ヒハハハ!!!」

人間は玩具を片付ける。

彼の名前は黒野(くろの)。能力は他人の人生を黒く染める事。自分だけは能力に適用されない。つもり彼は汚れも罪も無いままに人生を玩具と笑える事が出来る。

「……何かを求めて三千里〜。だけれど見つからぬ人生にこのままだと地球の物語が終わっちまう。

別に地球の為に掃除をしている訳じゃない。

快楽を求めるのが普通なんだろ?

それがたまたま、人殺しってだけなんだよ。

大きな意味なんて無いんだ。

チッ……人の価値は俺から見ればみーんな、玩具。

だから遊ぶんだよ」

黒野は玩具を分解しカラスの様に啄ばむ。

「蟻を踏むのは罪じゃない。鳥を大量に殺しても罪じゃない。

人間を殺すのは何で罪なんだ?

差別ってのは怖いね。俺は平等だよ。

殺しに関しては。ヒハハハ!!」

そして黒野は玩具を奉る。

「実はさ、俺って、信仰者なのよ。そう、死者は平等。

どんなクズでも死者は崇める存在。

俺って良い事してるよな。どうしようもないミジンコ共を俺が救い取って崇める存在に変えてんだから」

黒野はただの殺人鬼では無い。

死者を崇拝し盲信する。

「死者を見る事で俺は何て醜い存在かと分かる。俺も死者になりたい。だが死者を崇める存在がいなければ死者が可哀想だ。

神は何もしていないのに鳥居を建て馬鹿みたいに崇める。

死者は人の痛みが分かる。死者は平等。生前が玩具やミジンコでも死者だけは違う。

死は平等に寄り添ってくれるんだから」

黒野は必ず人生が黒くならない。自分にとっての幸せを誰にも邪魔する事は出来ない。

勿論、事件は警察の耳に届き大量殺人事件として取り上げられる。

「だが全て俺の都合の良い様に証拠は偶然無くなる。

俺には死者達の保護が付いてるんだよ」

事件の担当は後藤に任される。

後藤(ごとう)。心の強さを物質として捕える事が出来る超能力者。ただし、良い事には使わずに心を壊す事に快感を覚えている。

「……この殺人鬼の心を壊したい。私の手で。どんな心をしているのだろうか」

「反抗は無差別。目撃者もおらず証拠も凶器もありません。ただ、地域は特定出来そうなので住んでいる地域は分かると……」

黒野はカラスが集まるゴミ捨て場で笑う。

「俺は絶対に見つからないんだよ。ヒハハハ!偉い馬鹿な人が創った不完全な法じゃ俺を裁けない。

てか、俺は裁かれる事をしていない。

自分の快楽と他者の幸せと言う一石二鳥でやってるんだよ〜」

「そうか。お前の心もデッドエンドに染まっているぞ」

「……あ?」

黒野の後ろに後藤が拳銃を向ける。

「俺は絶対に見つからないはずだ……」

「ああ、犯罪者としてはな。

俺はお前を無害として此処に来ている。

お前程度じゃ無害なんだよ。この地域に心の強さが変わった奴を探せば一発だ」

「……お前さー、俺の事知ってんの?」

「知るかよ。知りたくも無い。ただお前の心を

壊しに参りました」

「お前の人生を真っ黒に染めてやるよ。俺が玩具と思ってる奴はもう玩具なんだよ」

後藤は拳銃を撃つ。しかし銃弾は出ない。後藤は拳銃を急いで投げる。拳銃は暴発する。

「誰も俺を不幸に出来ないんだよー。じゃーな。消えろ」

黒野は後藤で遊ぼうとする。後藤は時限爆弾を黒野に見せる。

「大丈夫だ。死なない程度の爆弾。まあ身体の一部は吹き飛ぶけどな。

俺は真っ黒に染まる覚悟は出来たぜ?染まるって事は死ぬ事だけじゃないんだ。覚えておけよ。

デッドエンドは生きていても起こる。

死者しか見てこなかったお前には一生分からない感覚だろうがな」

「……何でお前は其処まで俺を……」

「教えてやるよ。ガチで頭がぶっ飛んだ奴の幸せって奴を……。

初めて自分より腐ったクズを論破する。そうする事で初めてお前の心は砕かれる」

「……」

黒野はショックで倒れる。後藤は笑いながら警察に連絡する。

「その超能力があれば誰にだって勝てるのにな。

よりによって一番最弱な能力に負けるとは。

あれ?爆弾が外れない……え?」

そして後藤は爆発する。

黒野は笑う。

「……悪魔を捕まえるにはそれなりの代償を支払わないとな……。ヒハハハ!!!」

黒野は警察に捕まりながらずっと笑っていた。

その後警察に捕まったが精神状態が異常で責任は問われず無罪。

警察病院へ連れて行かれリハビリを行う日々を送る。

「……」

その後黒野は脱走。現在も行方不明。

死者達を乗せながら今日も黒野は生者を殺す。

だが黒野の心は砕かれたままだった。

第三十一章 黒の物語(デッドエンドストーリー) 完


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