二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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生命と破壊の花【ポケモンXY】completion-完結-
日時: 2016/02/01 00:44
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29995

 



 ──僕たちは生kill、この世界を──




 【前書き】

 クリックありがとうございます、本作品『生命と破壊の花』を筆記を務める元カルマのマルガリータです!
 この作品は、2013年10月13日に発売されたゲーム、ポケットモンスターシリーズ『ポケットモンスターXY』の小説です
 何故XYかというと……5月にポケモンセンターでポケモンXYグッズが販売されていたのを見て、懐かしい気分に入り、久し振りに向き合ってみようという気持ちになったからです

 ※注意※
・大まかなところは原作沿いですが、オリジナル要素が少々出てきます。なので、オリキャラも登場します
・シーズン2からカルムがギャルゲーの主人公。マルガリータ版ディック・グr( アイニス「おい、ポケモンバトルしろよ」
・バットマンネタ自重しろ、このにわか
・誹謗中傷、このスレに関係のない話や雑談、個人情報に関する話があった場合はスルーします。以前、とある方がそのコメントをしてきて非常に困りました
・グロ描写はないものの、死ネタあり。キャラ殺しはマルガリータ特権です
・バトルシーンは苦手なので、少々見苦しいと思います
・イメージCVはほぼ吹き替え声優をチョイス。有名声優チョイスしろ
・俺/私のカルムに何するものぞ、マルガリータァァァ!!(要するにカルムがだれおま)

 拙い文章ですが、よろしくお願いします!


9/23 こーすけさんとクロスオーバー作品を始めました→>>169
12/25 フラン・ブレイク・ガルシアさんとの合作始めました→>>251

8/11 タイトル変更しました。『生と死の狭間で』→『生命と破壊の花』

【新着情報】
1/30 終章 更新>>296
1/30 後書き >>298 new
このスレは02月01日を持ってロックさせて頂きます。続編は参照からお願いします

僕たちがこの美しい地方で見つけたものは──

登場人物
>>23

序章【カロス地方昔話】
>>01

シーズン1 始まりは唐突に……編

アサメタウン・メイスイタウン編【すべてはここから始まる】
>>02 >>03 >>04 >>07

ハクダンシティ編【バトル&ゲット】
>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>21 >>22

ミアレシティ編【メガシンカ】
>>33 >>35 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46

コボクタウン・パルファム宮殿編【その男、大富豪であり、プレイボーイ】
>>55 >>62 >>63 >>74 >>79 >>85 >>87

シーズン2 カルムのポケモン活躍編

コウジンタウン編【毬栗から棘鎧への進化】
>>95 >>96 >>97 >>99 >>105 >>109 >>110 >>111

ショウヨウシティ編【壁】
>>112 >>119 >>128 >>146 >>154 >>157 >>158 >>159

セキタイタウン編【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】
>>179 >>183 >>186 >>193 >>194 >>195 >>200

シーズン3 ディアンシー編

麗しき宝石のプリンセス
>>205 >>206 >>207 >>209 >>210

再会を目指して
>>215 >>220 >>230 >>284 >>285 >>286

希望
>>288 >>289 >>292 >>294 >>295

【終章】
>>296

【短編】

『ポケパルレ』ハリマロン、ピカチュウ、ゼニガメの場合
>>49 >>50

『I want to be……』ミアレシティ編終了後、ハリマロン視点
>>94

『南瓜は食べるものではなく、被るものなのです』ハロウィンss
>>214

『手のかかる隣人』カルム+セレナ。子供のようなカルムとオカンセレナ
>>216

『一番なのは君!』アニポケとちょいリンクしてます
>>231

『これからも、この先も』PUFFYの『これが私の生きる道』を聴いて思ったこと。ブログに飛びますのでご注意を
>>266

【番外編】

『ポケモン不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険』ポケモン超不思議のダンジョン発売記念日
>>132 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>145

『a little SantaClaus』ユリーカとアイのクリスマス
>>239 >>240 >>242

『ぼくとおれ』原作カルム登場
>>253 >>263 >>264 >>265 >>271

【頂き物】
アーリアさんに、カルム&セレナvsしたっぱ兄弟のドット絵を描いてもらいました!
>>100

別サイトの絵師様からエカルラートを描いて貰いました
>>227

【イメージ主題歌】
『TEEN TITANS THEME(日本語版)』PUFFY

【小ネタや元ネタ一覧】
>>208

12/20 連載してから半年が経ちました
>>233

新年の御挨拶
>>279-280

後書き
>>298

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カルムのポケモン擬人化メモ ( No.203 )
日時: 2015/10/12 16:10
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: H65tOJ4Z)
参照:

近頃やるかわかりませんが、カルムのポケモンを擬人化した番外編を投稿しようと思います
擬人化設定はカルムのポケモンの詳細に乗せようと思いますが、面倒なので此処に載せておきます
その後、シーズン3のカルムの紹介でも書こうかなーと思います。あくまでも予定なのでそのままかも


ハリボーグ
栗色の髪に尖りのある緑色の帽子を被っている。若干肌黒で瞳は黒。服装は緑色のパーカーに茶色のズボン。あどけなさの残る顔立ち

ピカチュウ
腰下まである金髪を下ろしていて、尖った黒い先端の耳。ツリ目で長身。服装のバリエーションが豊かで基本的に露出度の高い服を着込んでいる

カメール
水色の髪に尖った耳。メガストーンは首輪のまま。甲羅をイメージするようなリュックサックを背負っている。口元に小さな牙が生えている

ニャスパー
くしゃくしゃの灰色のショートヘアーにアメシストの丸い瞳。サイコパワーが漏れないように頭髪と同じ色のイヤーマフをしている。服装は灰色のトレーナーに白シャツ、黒ズボンといった学生のような服

メンバー加入、もしくは進化をしたら臨時更新します

シーズン3のカルム(仮) ( No.204 )
日時: 2015/11/14 19:28
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: tWnn3O3I)
参照: あくまでも『予定』なのデス

『誰も僕を止めることは出来ない、だって僕はヒーローだからね!』


 カルム

性別 男

年齢 13

容姿 原作『ポケットモンスターXY』の男主人公だが、服装は定期的に変わる。黒の半袖Tシャツの上に左側にモンスターボールのワッペンが付いた青のジャケットを羽織っている。下半身は黒のジーンズ、帽子は赤のハンチングの上に黒のサングラスに戻っており、黒のスニーカーを履いている。ショルダーバッグは原作そのまま。シーズン3から瞳のハイライトがなくなり、ベタ目に変更される

性格 相変わらず軽い性格のまま。ミアレの件でセレナから心配されている。父親の件によりファザコン気味が明らかにされている

一人称、二人称、三人称 僕/君、お前、アンタ、あなた/君ら、アンタら等

備考 カロスを旅してから数ヶ月が経ち、ポケモンの腕や絆、そして体も精神ともども成長している。しかし、まだ父親の死を断ち切れていない様子があり、とあるトレーナーとの出会いを件に苦悩することになる。シュトゥルムやエカルラートとの関わりが増える予定だが果たして。作者の心なしか、Mだと思われる描写がある(ピカチュウに服従させられる、クロスオーバーではリュウトに殴られる、ブラック団ボスのポケモンにフルボッコにリンチされる等)イメージCVは小野塚貴志なのだが、作者がベン10にははまってしまったせいか、保志総一朗にも聞こえてくるらしい


手持ちポケモン

ハリボーグ(♂)
性格 意地っ張り 特性 深緑
かつてはフレンドリーな性格だったが、カルムの為に強くなりたい、カルムを守りたいという強い意思が反抗期を呼んでいる
技 ???

ピカチュウ(♀)
性格 無邪気 特性 静電気
女王様。カルムを服従させたり、カルムにキスする等、雌でしか出来ない行動をしている。てんしのキッスとかわるだくみを覚えさせたらとんでもないことが起こる
技 ???

カメール(♂)
性格 控えめ 特性 激流
泣き虫や人見知りの激しさが修まり、メンバーとも打ち解けている。カルムの期待に応えようと奮闘中。メガストーンは首輪に嵌められているが……
技 ???

ニャスパー(♂)
性格 穏やか 特性 マイペース
サイコパワーの自制が出来るようになり、テレパシーを使って会話するようになる。しかし、テレパシーは特別な状況、緊急事態にしか使わない
技 ???

麗しき宝石のプリンセス ( No.205 )
日時: 2015/10/13 23:49
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: H65tOJ4Z)
参照:

 時々思うことがあります。あの時、わたしがmariを止めていなければ、mariはこうなっていなかったのかと。
 昔のmariは幼く無力だった自分に腹をただせては、リスカットをなされていました。わたしが何度も注意を促しても、mariはその行為をやめてくれませんでした。
 そして、こう言うのです。──「この痛みを抉れば、ぼくは強くなれる」。
 mariの身体だけではなく、心と精神までもが歪んでいます。これは、わたしでもあります。
 もし、あの日がなければ。もし、わたしが止めていなければ──。
 mari、貴方はわたしが憎いでしょうか。





 カロス地方の何処かにある誰も知らない洞窟。そこにはある秘密が眠っている。
 潜れば一見何もない暗闇の洞窟にしか見えないが、進んでいくうちに光が照らされているのがわかる。ダイヤモンドだ。しかし、そのダイヤモンドは"桃色"という滅多に見ることの出来ないレア物であり、売却すれば1ヶ月遊びきれる程の贅沢が出来る位の高価だろう。
 更に進んでいくと、地下には桃色に光るダイヤモンドがあちこちと発掘されており、中央には2㎝のダイヤモンドがある。金にがめつい人や探検家はダイヤモンドを持ち帰ってしまうだろう。だがしかし、此処に住むあるポケモンはそれを決して許さない。
 何故なら、この洞窟の主である"プリンセス"がいるのだから。

 プリンセスはこの洞窟の生活にうんざりしていた。毎日変わらぬ日々、自分を縛る規則、姫としての仕事──
あまりにも退屈すぎるので、外に出てみようと思った。しかし、外に出る度に大臣や家来が表れ、説教をされてしまうというオチが毎パターンとなっている。
 大臣は外は危険だと言い、外出への恐怖を教えてくれるけれども、プリンセスは納得がいかなかった。野生のポケモンは本来なら外の世界で生活をしているのに、何故自分は駄目なのだろう、自分もポケモンなのに。
 疑問は尽きず、外の世界に知りたいという一心が深まるばかりであった。

 プリンセスは今日も大臣や家来の目を盗んで、外に出ようとしていた。外の世界への好奇心というものは中々抑えられない、もっと知りたいという欲がプリンセスを動かしているのだ。
 みんなが働いている隙を狙い、プリンセスはこっそりと出口に進んでいた。ダイヤモンドの明かりがなくなって来ている。もうそろそろ外の世界だ。
 今日こそうまくいく、今日こそ外の世界にわたくしは飛び立つのだ──


「ディアンシー様ッ!」


 反射的に振り返ると、プリンセス──ディアンシーは溜め息を吐いた。もうちょっとで、この生活からおさらば出来ると思ったのに。現実は上手くいかないものである。
 ディアンシーはげんなりとした表情で大臣を見つめる。

「……見つかっちゃった」
「見つかっちゃったじゃありません!何度言ったらわかるのですか、外の世界は危険ですッ」
「危険危険と言いますが、それ程外の世界は危ないものなのですか?野生のポケモンはみんな、外の世界で暮らしているというのに、何故わたくしは駄目なのです?」
「姫、あなたにはこの洞窟を述べるという大事な役割があります。そして、あなたは宝石を生み出すという能力がある。あなたが外の世界に彷徨いていれば、いつ誘拐されてもおかしくありません!」

 いつもいつもその台詞ばかり。大臣はそうやってわたくしを縛るのだ。わたくしのしたいことを否定し、自分の意見を押し付ける。ディアンシーはそれが嫌で堪らなかった。
 いつもなら、はーいと言って引き返してしまうが今日は違うのだ。

「わたくしは諦めません!わたくしは外の世界が知りたいのですッ!」
「駄目です!!駄目と言ったら駄目!」
「わたくしは今までのわたくしとは違います!今日はお前たちを押し切って、外の世界に出てみせるッ!!」
「姫様──」


「へぇ……わざわざこっちから出迎えてくれるんだ。寧ろその方が好都合かも」


 聞いたことのない男声が響き渡る。そこには何かがいた。
 ディアンシーや家来よりも長身で手足が長く、胴体のある。頭には絹糸のようなものが生えてある生き物は、二つもいる。ポケモンではない。

「人間、ですか?」
「ご名答、お姫様。僕はエカルラート、あなたを──」

 言葉を切った人間は、シャンデリアのようなポケモンを球体から飛び出し、ディアンシーたちを襲った。
 炎が燃えている。
 顔を上げると、人間は炎と同じ瞳の色を宿らせ、微笑む。


「──盗みに来ました」


 危険を察した大臣はディアンシーの前に立ち、人間を睨み付けている。
 人間はそれを鼻で笑い落とす。
 シャンデリアとよく似たポケモンは大臣に容赦なく襲いかかり、炎を撒き散らした。効果は薄いものの、桁が違うことに気付く。
 シャンデリアのようなポケモンは大臣を攻撃して突き飛ばす。

「大臣ッ!」
「ディアンシー……様……お逃げ……下さい」
「で、でもッ」

 顔を上げると、人間の顔が目の前にある。驚愕したあまり、ディアンシーは動きがとれなかった。
 人間は笑みを浮かべたまま、ディアンシーに歩み寄る。ディアンシーは何も出来ず、その場を立ち尽くしている。
 そして、人間とディアンシーの距離が0になる。
 ──これが、人間、人間の本能、外の世界。やはり、大臣の言っていたことに間違いはなかった。大臣の言うことを聞いていれば良かった。
 後悔と人間への恐怖心に苛まれたディアンシーは、堪らなくなり、現実から逃げるように目を閉じた。
 その時。


「   」


 耳元で何かが聞こえた。
 瞳孔を開くと、人間が自分の耳に顔を寄せていたことがわかる。言葉は何を発していたのかは、忘れてしまった。
 人間はディアンシーの耳から離れ、微笑みを保ち続けていたままだった。
 ディアンシーは理解出来ずにそのまま立ち尽くしていると



 辺りが真っ暗になった。

麗しき宝石のプリンセス ( No.206 )
日時: 2015/10/18 15:34
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: H65tOJ4Z)
参照:

 天気は晴れ、今日も何事も変わらないカロス地方。
 とある町並を歩いている少年はフラフラしている。好きでフラフラしている訳ではなく

「……お腹、減った」

 アイニスは自らの娯楽の為に、ポケモンバトルで稼いだ賞金を使ってしまい、水色の財布の中はもぬけの殻となっている。娯楽と言っても、ブティックで新しい服を買っているので、ゲームや漫画の為に費やした訳でもない。
 新しい服を身に纏い、伸びてきた水色の髪を揺らしながら、必死に歩いている。
 食事はカビゴンに独り占めされるわ、財布の中はパーになるわ、もう色々駄目なのかもしれない。
 腹が空腹を訴え続けている。ヤバい、もう本当に駄目かも……。
 ふと、アイニスの鼻に何か良い匂いが漂い始めた。その匂いの方に連れるように向かうと、そこには美少女がいた。銀髪という滅多にない髪色を腰下まで伸ばしており、その頭髪によく似合うゴスロリの服装を来ている。身長はアイニスより高めなのだが……よく見ると、胸はまな板である。
 美少女はじゃこりがという有名な菓子を頬張っている。しかも期間限定版『砂糖黍バター醤油』味だ。
 不機嫌にじゃこりがを食べている美少女を眺めているアイニスの口から涎が流れており、限界に達したアイニスは、美少女の前に飛び出した。

「そこの可愛い娘ちゃーん! 手に持っているじゃこりがを、オイラに下さいなーッ!」

 アイニスの登場に一瞬ポカンとしていたが、すぐに不機嫌な表情に戻り、すぐさまアイニスに向けて怒鳴り付ける。

「はぁ!? 何で私がアンタにじゃこりがをあげなきゃいけないのよ!?」
「ええッ!?」
「じゃこりがが欲しいなら、セブンテンに行って買ってくれば良いじゃない! わざわざ私に頼まなくても普通にあるのに、アンタ馬鹿じゃない!?」

 見た目は美少女だというのに、中身は強気で生意気である。意外性にアイニスは目を見開く。見た目で判断してはいけないというのは、正にこういうことなのかもしれない。
 それでも、アイニスは屈せず何とか、と頼む。

「お願いだよぉー、オイラ今財布がすっからかんなんだよー! お詫びに何かするからぁ!!」
「嫌よグズ」
「そこを何とかぁーッ!! あうう……腹が減って力が出ない……」

 土下座してまでも必死にお願いをするアイニス。
 その様子を周囲がざわめき出している。まるで自分がこいつをいじめているみたいじゃないか。
 流石に耐え切れなくなった美少女は溜め息を吐く。

「……仕方ないわね、ちょっとだけよ」
「! 本当に!? 本当にくれるの!?」
「ただし、アンタが何かするって言ったんだから、私の言うことに従いなさい、いいわね?」

 アイニスが頭を上げた瞬間、美少女のじゃこりがが眼前に飛び出す。
 アイニスはそれを受け取り、じゃこりがを頬張り始める。
 じゃこりがを完食した後、アイニスは美少女に礼を言う。

「ふはー、元気100倍アイニス! 可愛い娘ちゃん、どもありがとねー。オイラアイニス、本名はアイニクスだよ」
「……ロザリーよ」





 ロザリーの頼み事というのは、ポケモンの通信交換らしい。ロザリーのポケモンは、通信交換で進化するという珍しい条件の付いたポケモンであり、アイニスのポケモンと交換しようと言うのだ。

「んーそうだな。だったらヤムチャとかどう? ヤムチャはマゾだけど、結構強いぞ」
「アンタのポケモンになんて興味ないのよ。私はただ、バケッチャを進化させたいだけ」
「……ハゲッチャ?」
「バケッチャよバケッチャ!!」

 ポケモンセンターにある通信機を使い、アイニスとロザリーは互いのモンスターボールを機械の中に嵌めた。アイニスはヤンチャム、ロザリーはバケッチャ。
 モンスターボールは自動的に送信され、アイニスとロザリーは違うモンスターボールを受け取る。
 ロザリーがモンスターボールを投げると、不気味なポケモンが現れた。髪の毛のような長い腕、下半身はジャック・オー・ランタンのような模様が施されている。高さは大きく、アイニスとロザリーの身長を軽く超えている。

『No.64 バンプジン 南瓜ポケモン
髪の毛のような腕で獲物を締め付ける。不気味な声で歌い、その歌声を聞くと呪われる』

「何か美味そうなポケモンだな。しかもデカイな。ポケモンがデカイのにトレーナーはないなんて……」
「何処見てんのよグズ!」

 胸囲を見られて赤面しながらアイニスを罵るロザリー。それを見てアイニスは笑った。
 すると、TVのモニター画面から桃色の髪にサングラスを掛けた女性が映る。

『ニュースをお伝えします。今朝、カロス地方にあるとある洞窟が何者かによって襲撃されたと言う痕跡を見つけました』

 映像が映り変わり、洞窟の入り口が襲撃された痕が残っている。人間では出来ない痕跡で、ポケモンで荒らしたようだ。

『尚、この調べに対し、何も心配することはないとのことです。以上ニュースでした』

 報道は終わり、ポケモンがパフォーマンスをしているCMに切り替わる。

「だったら、別にニュースにしなくても良いんじゃ……」
「スタッフも一体何を考えてるのかしら? グズね」

麗しき宝石のプリンセス ( No.207 )
日時: 2015/10/26 00:01
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: tWnn3O3I)
参照:

 ニュース報道を見終えた後、アイニスとロザリーは再びポケモン交換し、互いのポケモンを返した。アイニスはヤンチャム、ロザリーはパンプジンの元に戻る。
 このパンプジンはロザリーが初めて捕まえたポケモンで、性格もロザリー同様意地っ張りらしい。しかも高さは特大サイズであり、中々見つけることが困難であるのだ。進化条件が通信交換な為、ずっと進化させたかったらしく、じゃこりがをあげる条件として通信交換をさせると言い出したのだ。
 ロザリーはそれで満足したのか、パンプジンの入ったボールを戻した後、踵を返す。

「じゃ、私は行くわ」
「え、もう行っちゃうのー?」
「もうアンタは用済みだし、これ以上ベタベタされても困るし。お金はよく考えてから使いなさい」

 長い銀髪を揺らしながら歩くロザリーだが、急に何処からともなくぐぅぅぅと変な音が響く。腹が空腹を訴えている音だ。しかし、アイニスはロザリーからじゃこりがをもらったので腹は空いていないし、今此処にいるのはアイニスとロザリーだけ。ということは──
 アイニスがニヤニヤしながらロザリーの背中を眺めると、その視線に気付いたのか、ロザリーは赤面しながらこちらに顔を向けた。

「何見てんのよ、グズ!!」
「あれ〜もしかしてロザちゃん、お腹空いてんの?」
「煩い、グズ!! そうよ、お腹空いてたのよ!だからセブンテンでじゃこりがを買って食べていたら、それをアンタにとられたのよ! このグズ!!」
「うぅ〜それじゃまるでオイラが悪者じゃんか〜。だったら何でオイラにあげたのさ?」
「状況があれだったからよ! アンタが土下座してまで頼むから、仕方なくあげたのよ!」

 確かに人前で土下座されているところを目撃すると、その相手の印象が悪くなってしまうものだ。アイニスに同情した訳でも何でもないのだ。
 それを聞いて少し鬱になるアイニス。

「だけど、グルメ巡りの為に使っちゃったから、財布は空っぽなのよね……」
「ロザちゃんもオイラと変わんないじゃん」
「黙りなさいグズ。……はぁ、ママの料理が食べたくなってきたなぁ……」
「だったら、家に帰れば良いんじゃ──」
「!! ち、違うわ!!これは言葉の綾っていう奴よ!ママなんて大ッ嫌いなんだからッ!」

 母親の料理が食べたいなら、帰れば良いのに。しかし、ロザリーはそれを必死に否定している。何故そうなのか、わからないが、きっと何かあるのだろう。
 財布が無くて悩んでいるロザリー。それはアイニスも同じである。ふと、そこである提案がアイニスの頭に閃きをつかせる。

「だったら、此処は財布ないもの同士協力しない?」
「はぁ?」
「オイラもロザちゃんも財布で困っているんだし、仲間が一人でもいれば何か安心するし。ねぇ良いだろー?」

 嫌よグズ、と言おうとしたロザリーだが、少し考えてみる。確かにアイニスもロザリーも財布の中は空っぽで何もない。だからといって万引きする訳にもいかないが。味方が少しでもいれば、旅も少しは楽になれるだろう。

「(……まぁ、少しの間だけならいいかな)……良いわ、此処は協力しましょう」
「! 本当!?」
「ただし、短期間よ。あんまりべったりされるのは嫌だからね。ある程度貯まって来たら、私とアンタはお別れだからね」
「うん、ありがとーロザちゃん!暫くしくよろねー!」
「ロザちゃんって呼ぶなグズ」





 その後、アイニスとロザリーはポケモンセンターで食事を摂り、街の中を歩いていた。
 ロザリーはタウンマップを確認しながら歩いている。よく見るとレストランやファミレスといったフードコートに印をつけている。
 ロザリーはカロス地方にある食物を食べ尽くす為に旅をしているらしいが、野宿をする際には、スナック菓子やカップ麺で過ごしているようだ。何ともホームレスがするような食品ばかりである。ポケモンバトルで賞金を稼いでいるので何とか保っているらしい。バケッチャ(現在はパンプジン)一匹で旅とポケモンバトルをしているとは驚愕である。

「さて、財布もないし、もう此処の食物は全部食べ尽くしたし、私はもう良いわ。アンタは大丈夫?」
「オイラも大丈夫だよー」
「じゃ、行くわよ」

 とロザリーが言い掛けたところ、アイニスとロザリーの両眼にあるものを光景する。見たことのない一匹のポケモンがふよふよと浮遊しながら走っている。その背後には赤いスーツを着た男二人組がそのポケモンを追い掛けているのだ。
 ポケモンと男二人組は街の路地裏の方角に消えてゆく。
 それをぽかんとアイニスとロザリーが眺めていると、アイニスが口を開いた。

「さっきのは撤回。あの男たちを追ってから街を出よう」


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