二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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生命と破壊の花【ポケモンXY】completion-完結-
日時: 2016/02/01 00:44
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29995

 



 ──僕たちは生kill、この世界を──




 【前書き】

 クリックありがとうございます、本作品『生命と破壊の花』を筆記を務める元カルマのマルガリータです!
 この作品は、2013年10月13日に発売されたゲーム、ポケットモンスターシリーズ『ポケットモンスターXY』の小説です
 何故XYかというと……5月にポケモンセンターでポケモンXYグッズが販売されていたのを見て、懐かしい気分に入り、久し振りに向き合ってみようという気持ちになったからです

 ※注意※
・大まかなところは原作沿いですが、オリジナル要素が少々出てきます。なので、オリキャラも登場します
・シーズン2からカルムがギャルゲーの主人公。マルガリータ版ディック・グr( アイニス「おい、ポケモンバトルしろよ」
・バットマンネタ自重しろ、このにわか
・誹謗中傷、このスレに関係のない話や雑談、個人情報に関する話があった場合はスルーします。以前、とある方がそのコメントをしてきて非常に困りました
・グロ描写はないものの、死ネタあり。キャラ殺しはマルガリータ特権です
・バトルシーンは苦手なので、少々見苦しいと思います
・イメージCVはほぼ吹き替え声優をチョイス。有名声優チョイスしろ
・俺/私のカルムに何するものぞ、マルガリータァァァ!!(要するにカルムがだれおま)

 拙い文章ですが、よろしくお願いします!


9/23 こーすけさんとクロスオーバー作品を始めました→>>169
12/25 フラン・ブレイク・ガルシアさんとの合作始めました→>>251

8/11 タイトル変更しました。『生と死の狭間で』→『生命と破壊の花』

【新着情報】
1/30 終章 更新>>296
1/30 後書き >>298 new
このスレは02月01日を持ってロックさせて頂きます。続編は参照からお願いします

僕たちがこの美しい地方で見つけたものは──

登場人物
>>23

序章【カロス地方昔話】
>>01

シーズン1 始まりは唐突に……編

アサメタウン・メイスイタウン編【すべてはここから始まる】
>>02 >>03 >>04 >>07

ハクダンシティ編【バトル&ゲット】
>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>21 >>22

ミアレシティ編【メガシンカ】
>>33 >>35 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46

コボクタウン・パルファム宮殿編【その男、大富豪であり、プレイボーイ】
>>55 >>62 >>63 >>74 >>79 >>85 >>87

シーズン2 カルムのポケモン活躍編

コウジンタウン編【毬栗から棘鎧への進化】
>>95 >>96 >>97 >>99 >>105 >>109 >>110 >>111

ショウヨウシティ編【壁】
>>112 >>119 >>128 >>146 >>154 >>157 >>158 >>159

セキタイタウン編【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】
>>179 >>183 >>186 >>193 >>194 >>195 >>200

シーズン3 ディアンシー編

麗しき宝石のプリンセス
>>205 >>206 >>207 >>209 >>210

再会を目指して
>>215 >>220 >>230 >>284 >>285 >>286

希望
>>288 >>289 >>292 >>294 >>295

【終章】
>>296

【短編】

『ポケパルレ』ハリマロン、ピカチュウ、ゼニガメの場合
>>49 >>50

『I want to be……』ミアレシティ編終了後、ハリマロン視点
>>94

『南瓜は食べるものではなく、被るものなのです』ハロウィンss
>>214

『手のかかる隣人』カルム+セレナ。子供のようなカルムとオカンセレナ
>>216

『一番なのは君!』アニポケとちょいリンクしてます
>>231

『これからも、この先も』PUFFYの『これが私の生きる道』を聴いて思ったこと。ブログに飛びますのでご注意を
>>266

【番外編】

『ポケモン不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険』ポケモン超不思議のダンジョン発売記念日
>>132 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>145

『a little SantaClaus』ユリーカとアイのクリスマス
>>239 >>240 >>242

『ぼくとおれ』原作カルム登場
>>253 >>263 >>264 >>265 >>271

【頂き物】
アーリアさんに、カルム&セレナvsしたっぱ兄弟のドット絵を描いてもらいました!
>>100

別サイトの絵師様からエカルラートを描いて貰いました
>>227

【イメージ主題歌】
『TEEN TITANS THEME(日本語版)』PUFFY

【小ネタや元ネタ一覧】
>>208

12/20 連載してから半年が経ちました
>>233

新年の御挨拶
>>279-280

後書き
>>298

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Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.12 )
日時: 2016/01/28 18:21
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照:

 ありましたございました!
 気持ちの良い言葉を背に向けてブティックを出るカルムとセレナ。今カルムが被っている帽子は、昔から被っていた赤いハンチングではなく、色違いの黒である。アクセサリーとして2つのピンズが留められている。
 値段は高かったものの、トレーナーとの対戦で稼いだ賞金で何とかなった。セレナ曰く「ブティックではこれが普通の値段」らしい。
 カルムは喜んでいる。人は何かの欲望が満たされると、悦に入るものだ。
 セレナは相変わらずクールである。
 カルムとセレナは向き合い、カルムは笑って話す。

 「本当にありがとう、セレナ!」
 「大したことじゃないわ。服は旅にでも必要なもの。雨でずぶ濡れになった時にもう一着あると便利だし、例え汚れていても、別のがあれば着替えられるわ。ブティックはハクダンの他にもあるから、今日みたいになった時は訪れると良いわよ」
 「うん、わかったよ」

 ところで、と話を切り換えるカルム。その視線には、セレナが手にしている沢山の服が入った袋に向けられている。 セレナがオシャレ好きなのはわかったが、そんなに沢山の袋を持っていると流石に気になる。
 カルムが尋ねると、セレナは袋に視線を落とす。

 「これは大切なもの。そのうち話すわ。……じゃあ、アタシもうそろそろ行くから、お隣さんも頑張ってジムリーダーを倒してね」

 大切なものとは何なのだろうか。それについて訊きたいが、あまり追求しない他が良いだろう。それに、カルムはこれからジムに挑むので暇ではないのだ。
 カルムはセレナの揺れるオーク色のロングヘアーを見つめた。いつか話してくれることを願いながら。

 ◆

 腹が空腹を訴えたので、ひとまず昼食を摂ることにした。腹が減っては戦は出来ぬ、だ。それに空腹だと精神力と集中力が落ちてしまうので、人間やポケモンに食事は欠かせない。欠かせられないものである。
 どの店にしようか頭を悩ませるが、カフェオレの香りに誘われて、喫茶店で食卓を済ませることにした。このカフェ──何処の店でもそうだが──にはポケモン用の飯や飲み物もあるのだ。
 喫茶店に入ると、店員である気品あるウェイトレスに案内され、やって来たのはテラス。とても景色の良い場所だ。ポケモンを連れたトレーナーたちがよく見える。
 椅子に腰を下ろすと、ご注文がお決まりましたらこのベルを鳴らして下さい、とウェイトレスが説明をして、去って行った。
 カルムはハリマロンとピカチュウを繰り出す。冒険に出発してから彼等には何も与えていなかったので、きっと腹を空かせているに違いない。最も、ピカチュウにはオレンの実をあげていたが、あれだけでは足りないだろう。
 ハリハリ!
 ピカチュー!
 ハリマロンとピカチュウは元気よく鳴いた後、二匹はカルムを見ると疑問符をつかせて鳴く。恐らく、カルムの帽子だろう。

 「ああこれ?帽子を取り替えたんだ。このままでも良いんだけど、セレナからしたらイマイチだからって」

 良いだろ〜!と自慢気に語るとハリマロンは良いなーと言いたげに鳴き声を上げる。
 カルムは被ってみるか?と訊くとハリマロンは瞳を輝かせてカルムから渡された帽子を受け取り、それを被る。ハリマロンの頭部にある棘により上手く被れてはいないが、似合っている。
 リマリマ!嬉しそうに鳴くハリマロン。
 ピカチュウはカルムの帽子を奪いとり、今度はピカチュウがカルムの帽子を被る。ピンと立つ両耳は帽子によって垂れる。こちらも似合っている。
 それを見て苛立ったハリマロンは、ピカチュウから帽子を奪った。それに続き、ピカチュウもハリマロンからカルムの帽子を奪う。
 二匹の喧嘩を止めるかのように、カルムは二匹から帽子を取り上げ、ニシシと笑みを浮かべる。
 すると、

 「とっても良い笑顔ね!」

Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.13 )
日時: 2015/12/13 19:22
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
参照:

 ジャーナリストは新聞や雑誌などあらゆるメディアに記事を素材として提供する職業で、記者や編集者と指すことがある。
 カルムと向かい合ってテーブルの椅子に腰かけている女性──パンジーというらしい──もジャーナリストである。動きやすそうな服装に、頭に付けていたヘッドセット型のカメラ。ウェストバッグを腰に付けていて、より身軽に見える。
 パンジーはハクダンシティの先にある街、ミアレシティにあるミアレ出版で働いており、各地方で取材することもあるらしい。
 今回はハクダンシティで取材をすることになり、ジムに寄ろうとしていたところで、カルムと楽しく触れ合っているハリマロンとピカチュウを目撃し、その様子を撮影していたとのことだ。
 お待たせ致しました、とウェイトレスが珈琲の入ったコップとショコラの入ったコップをトレイに乗せてやって来た。カルムとパンジーが頼んだものである。
 ウェイトレスは丁寧な仕草で二皿のコップをトレイから下ろし、そして二皿のコップをテーブルの上に乗せる。そしてごゆっくりどうぞと、笑みを浮かべながら去って行く。
 カルムはすでに昼食を終えたところで、ハリマロンとピカチュウの飯は届いたばかりで、二匹はカルムとパンジーの足元でがつがつと平らげている。
 クラシカルなBGMが流れる中、パンジーが口を開く。

 「カルム君はカロスに来たばかりなのね」
 「はい。3日前くらいから」
 「どう?慣れて来たかしら?」
 「んー、まぁ何となく」
 「そんなすぐには慣れないわよね。でもこの旅を通して慣れていけば良いのよ!ところで、カルム君はもうトレーナーズスクールには行った?」

 トレーナーズスクール。初心者トレーナーが集う施設だ。あそこはポケモンに纏わる状態や特性、相性と言ったポケモンの基本を学ぶ学校である。
 否、と返答するとパンジーは微笑した。

 「あそこは初心者トレーナーにぴったりだから、是非行ってみると良いわ!あそこなしでジムリーダーに勝つのは難しいのよ」
 「そこまで強いんですか?ジムリーダーって」
 「ええ、 私の妹も一筋縄ではいかないわ」

 そうなんですか、と受け流し、ショコラを口にするカルム。
 直後、先程パンジーが放った言葉を再生した。

 "私の妹も一筋縄ではいかないわ"
 "私の妹も一筋縄ではいかないわ"
 "私の妹も……"

 は?

 カルムは思わず口からショコラを吹き出した。まるで発狂を起こした黄色い梨の妖精が梨の汁を発したのような光景だ。幸い、少量だったので、ウェイトレスを呼ぶ必要もない。
 漏れてくる咳を片手で抑える。その様子を見てハリマロンとピカチュウは駆け寄る。
 パンジーは心配そうに問い掛ける。

 「カ、カルム君、大丈夫!?」
 「あほっ、ごほっ。……大丈夫です、吃驚しただけで」
 「ごめんなさいね、驚かすつもりはなかったの」

 咳は何とか治まり、落ち着きを取り戻すカルム。
 カルムはパンジーがすごいと思った。カロスや各地方で取材をしている職業に就いていて、にジムリーダーである妹を持つなんて。自分もサイホーンレーサーの肩書きを持つ母がいるものの、感心してしまう。
 だがしかし、どんな相手がジムリーダーでも必ず勝ってバッジを入手してやるという意識は変わらないが。

 ショコラを飲み干し、カルムは口を吹いて立ち上がる。

 「よし、今からジムに挑んで来るぜ!待ってろよ、ジムリーダー!」

 余裕のある笑みを浮かべてカフェを後にしようとすると、待って、とパンジーが止めた。

 「ちょっと……寄っていかない?」

Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.14 )
日時: 2015/12/13 19:26
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
参照:

 机と椅子、そしてホワイトボード。名の通り、ポケモントレーナーズスクールの中は学園のような室内になっている。
 自分よりも背の低い少年少女たちが集まっていて、此処でポケモンに関する本を読書していたり、ホワイトボードを眺めていたり、椅子に座って会話を弾ませている。
 此処がトレーナーズスクールかぁ、と周りを見回す。
 良い記事が書けそうだわ、パンジーはそう言いながらカメラのついたヘッドセットを手に当てている。
 パンジーがハクダンシティで二つ書く記事があるらしい。
 一つ目は此処、トレーナーズスクールで今勉強している子供たちの様子を取材することだ。勿論教師には許可を得ている。
 二つ目はカルムがカフェで聞いた、妹──名はビオラというらしい──の取材だ。どちらにしろカルムもジムに行く予定なので少しの間同行している。
 カメラのついたヘッドセットで周りを眺めていると、パンジーがあら?と訝しげな顔をする。それに続いてカルムもその方角に顔を向ける。
 モンスターボールのヘッドフォンを水色の頭髪に付けていて、机でうつ伏せになっているポケモントレーナーは、恐らく世界で一人だけだ。
 カルムは近付いて声をかける。

「アイニスじゃん!」

 ほえ? 少し間の抜けた声と項垂れていた二本のアホ毛が上に上がる。
 目を擦り、こちらを見てアイニスはまた声を放つ。相変わらずジト目である。

「……カル〇スか。久し振りだな」
「そうそう、僕はカラダにピース!カル〇ス……って違う!!カルムだよ、カルム」

 アイニスのボケを突っ込むカルム。いい加減名前を覚えて欲しい。
 カルムの隣にいるパンジーが尋ねる。

「あら、お友達?」
「はい、僕と同じ初心者トレーナーのアイニスです」
「アイニス君ね、私パンジー。ジャーナリストよ」
「初めましてぇ……パンプジンさん。オイラアイニクス、あだ名はアイニス」

 カルムをカルメン、カルメ、カル〇ス、ケロマツをケツマロ、そしてパンジーとパンプジン。わざとではなさそうだが、彼は殆どの人の名前を間違えている。カルムケロマツはともかく、パンジーを何故パンプジンと間違えるのか不思議だ。
 パンジーはユ、ユニークな子ね、と苦笑を落とす。

「アイニスは何しに此処へ?」
「寝る為」
「あら、ポケモンについて学びに来たんじゃないの?」
「ベンチで寝てたら、みんながこっち見るから仕方なく此処に」
「それはみんな見るだろ」

 アイニスの脳内は寝ることしかないのだろうか。そもそもプラターヌ博士は何故彼を選んだのだろうか。
 カロス地方では選ばれた子どもがポケモン図鑑を手に入れて旅に出るとセレナから聞いたが、アイニスが選ばれたのも、何か理由があるのだろうか。
 カルムはアイニスから視線を外し、ホワイトボードを視る。ポケモンの状態異常について書かれている。火傷、毒、麻痺、氷、眠り……。ポケモンに関する用語だらけだ。
 それを一通り見た後、カルムはホワイトボードから視線を外した。

「よし!僕はこれからハクダンジムに挑む」
「えっ、もう?作戦とか立てないの?」
「大丈夫です、状態異常について把握しましたし、作戦なんかいりません!必ず勝って、ジムバッジを手に入れます!」

 心配をよそに、余裕綽々で答えるカルム。まだ何も準備をしていないし、全ての状態異常について把握した気になっている。
 カルムはアイニスの手を引いて、ハクダンジムに向かった。
 パンジーは少し苦笑した顔を浮かべながらカルムたちの後を追う。


 ◆


 写真、写真、写真。ハクダンジムの中には様々な写真集が飾られてある。どれも虫ポケモンが撮影されていて、羽ばたく虫ポケモン、水辺で休憩する虫ポケモンなどが写っている。どの写真からも虫ポケモンへの愛を感じられる。
 辺りを見回して眺めるカルム。流石のアイニスも見らずにはいられないようだ。ジト目であるせいか、写真を睨んでいるようにしか見られない。
 パンジーはカメラの付いたヘッドセットで写真を眺めている。
 一人の女性がカルムたちの元へやって来た。
 タンクトップに大きなポケットのあるズボンといった、身軽な服装で、首にはカメラの付いたホルダーを付けている。何より、太い眉毛が印象的である。カールされた髪型がパンジーとよく似ているよう

「あら、ビオラじゃない!」
「姉さん、久し振りね。此処に来たっていうことは、取材しに?」
「ええ、ついでにこの子たちとのジム戦を見にね」
「初めまして、カルムです。ビオラさんに挑みに来ました!」
「アイニクス、あだ名はアイニス。カル〇スのジム戦を見に来ました……」

 ビオラはカルムを見据える。その瞳には勝ちたいという意志と情熱が籠められている。
 それを見てビオラは微笑み、カメラを構えてカルムを撮った。

パシャッ

「え?」
「ジム戦に挑むその眼差し……いいんじゃない、いいんじゃないの!ジム戦が楽しみだわ!バトルフィールドを案内するからつい来て、カルム君!」
「……はい!」


 ◆

 密林をイメージ去れたバトルフィールド。ガラス越しから太陽の光が放たれていて、よりジャングルらしさが演出なされている。
 パンジーとアイニスは観客席に座って見ている。
 カルムとビオラはバトルフィールドで向かい合っている。両者とも、勝ちたいという眼差しが籠められている。

「使用ポケモンは2体、どちらかが戦闘不能にした方が勝ち。良いわね?」

 カルムは強く頷いた。

「行くわよアメタマ!」

『No.47 アメタマ あめんぼポケモン
爪先から油が滲み出ているので水の上を滑るように歩く。危険を感じると甘い液体を出す』

ビオラが繰り出したのは水色の身体に細長い脚を持つポケモン、アメタマ。タイプは水と虫である。
 それに対しカルムは

「水タイプか……水は電気に弱い、なら……。最初はお前だ、ピカチュウ!」

 可愛らしい容姿とは裏腹の小悪魔ピカチュウ。相性としてはこちらが有利である。だが、カルムは気付かなかった。ポケモンバトルは相性だけでは限らないと。

「いくわよ、シャッターチャンスを狙うように勝利を狙っていくんだから!」


カルム vs ビオラ
ピカチュウ アメタマ
ハリマロン ???

ビオラ
『笑顔を見逃さないカメラガール』

Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.15 )
日時: 2015/08/10 16:09
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: y1N6F4if)
参照:

「先行はもらいます、でんこうせっか!」

 目にも止まらぬスピードでアメタマに向かって走り出すピカチュウ。
 でんこうせっかは素早さ関係なく先行攻撃が出来る技だ。

「アメタマ、みずあそび!」

 アメタマは頭の先端から大量の水を天に向けて発射させる。
 アメタマが発した大量の水は雨となり、バトルフィールドをずぶ濡れにする。おかげでせっかく買った帽子が濡れてしまったが仕方ない。
 水溜まりになってしまったせいか、ピカチュウは立つのに精一杯だ。それなのにアメタマは平然とバトルフィールドを滑っている。

「買ったばかりの帽子が台無しじゃないか……!それにしても、アメタマは何で立ってられるんだよ……!」
「ちゃんと図鑑を見たかしら?アメタマの爪先は油で出来ていて、水の上でも滑れるのよ」

 ビオラに言われて思い出す。図鑑の音声にでも、アメタマは水の上でも滑れる油が詰まっていると。何故それに気付けなかったのだろうか。

「こっちもいくわよ、アメタマ、アクアジェット!」

 水のベールを纏い、こちらに突進して来るアメタマ。水溜まりのせいで立つことが出来ないピカチュウ。

「……っ、かわせ!」

 ピカチュウは転がってアクアジェットを翻す。水飛沫が飛び散り、ピカチュウに貼り付く。
 ピカチュウはなんとか立つ。

「アメタマ、もう一度アクアジェットよ!」
「でんこうせっかで向かい打て!」

 再び水のベールを纏って突進して来るアメタマに対し、でんこうせっかで対抗するピカチュウ。しかし、水溜まりにいるせいか、ピカチュウは滑って転んでしまう。
 アメタマのアクアジェットを受けるピカチュウ。
 

「アメタマ、四方八方にねばねばネット!」

 頭の先端から粘りけのあるネットをバトルフィールドのあちこちに向けて放つ。水溜まりの上や、更にはピカチュウにまで当たってしまい、ピカチュウは束縛の身となっている。
 ピカチュウはネットから脱出しようと必死にもがくが、ネットはとれず、寧ろ締め付けが増していく。
 ねばねばネットは、相手のスピードを落としてしまう技だ。しかも、この技によってピカチュウの長所である素早さが使えなくなってしまったのだ。
 今のピカチュウの状態は18禁でありそうな状態になっている。まさにドS行為である。

「ピカチュウ!」
「ナイスショットになりそうだわ、アメタマ、でんこうせっか!」

 これの何処がナイスショットなんだ。
 次第に焦るカルムだが、ピカチュウの赤い頬を見て咄嗟に叫んだ。

「でんきショックでねばねばネットをほどけ!」

 ピカチュウはでんきショックで拘束を解かれ、アメタマに電撃を食らわす。危機一髪だ。
 攻撃を受けてアメタマは後退する。
 その様子を見てアイニスは呟いた。

「まさかピカチュウに拘束プレイをさせるとは……やりますなぁ。しかもこのピカチュウはメス……完全にエロゲじゃないか」
「妹は手強いわ……そう簡単には勝てないわよ」

 ビオラは拘束から脱出したピカチュウを見て残念そうに呟く。

「あーあ、言い瞬間だったのに……」
「これの何処がですか!?こんなのアダルトゲームと一緒ですよ!」
「まぁ、良いわ。次でナイスショットを撮らせてもらうわ。アメタマ、滑りなさい!」

 水溜まりの上をフィギュアスケートをしているかのように滑り、ピカチュウの周囲を囲む。水溜まりにいるピカチュウは何とか立とうと踏ん張っている。

「とどめのあわ攻撃!」

 大量の泡を放射させ、ピカチュウを襲う。
 それを見てカルムは悔しげに歯を食い縛り、ジムリーダーの実力を思い知られる。こんなにも甘く見ていた自分が愚かである。

(このままだと……!)

 ふと、ピカチュウの尻尾に目が入る。ギザギザの先端がハート型になっている長い尻尾。それを見てカルムは思いついた。

「ピカチュウ、尻尾を地面に立てろ!」

 ピカチュウは震えながらも態勢を整え、そのまま尻尾を地面に突き立てる。その衝動に水飛沫が弾けて飛んだ。

「そのままでんきショック!」

 でんきショックとあわ攻撃がぶつかり合う。
 アメタマの泡はでんきショックにより、遮られ、アメタマはでんきショックを食らい、その場に倒れる。目が回転している。つまり、戦闘不能だ。

「……やったな、ピカチュウ!」

 カルムの弾んだ声に対し、ピカチュウは同然よ、と言わんばかりに耳をかきあげる。

「おお、中々やるな、カルビ」
「……成程、尻尾を地面に突き立てて態勢を立て直したのね」

 アイニスはほうほう、と頭を頷かせ、パンジーは微笑んだ。

「アメタマお疲れ様、ゆっくり休んで頂戴」

 アメタマをモンスターボールに戻した後、ビオラはカルムたちを見据える。

「カルム君、中々やるわね。ナイスショットは撮れなかったけど、次こそは決めるわ!ビビヨン!」

『No.22 ビビヨン 麟粉ポケモン
気候や風土によって羽模様が違うポケモン。色鮮やかな麟粉を蒔く』

 ビオラの二番手は、桃色の鮮やかな羽を持つ蝶のようなポケモン、ビビヨン。
 アメタマを倒せたものの、油断は出来ない。


カルム vs ビオラ
ピカチュウ アメタマ(戦闘不能)
ハリマロン ビビヨン

Re: 生命×破壊【ポケモンXY】 ( No.16 )
日時: 2015/08/11 16:32
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: y1N6F4if)
参照:

 アメタマを倒し、ビオラの手持ちは残り一体となり、勝利は目の前。だが、相手はジムリーダー。そう簡単には勝たせてくれないので、油断は禁物だ。

「ビビヨン、かぜおこし!」

 麟粉をちらつかせながら桃色の羽を羽ばたかせ、風を作り出すビビヨン。

「来るぞ、ピカチュウ!」

 ピカチュウは尻尾を地面に突き立てて態勢を整える。が、ビビヨンのかぜおこしは強風であり、それに耐えきれず、ピカチュウは壁に衝突する。

「シャッターチャンスよ!ビビヨン、まとわりつく!」

 ビビヨンはピカチュウの元へとヒラリヒラリ飛んでゆく。
 壁についたピカチュウは苦しげな顔でビビヨンを睨む。
 それを無視してビビヨンは微笑み、ピカチュウを拘束した。
 悲鳴を上げるピカチュウ。先程のねばねばネットに続いて、18禁でありそうな状態になっている。

「ピカチュウ!」

 ビビヨンのまとわりつくに耐えきれず、ピカチュウは地面に叩き付けられ、倒れる。目はぐるぐる回転されているので、戦闘不能だ。

「……よくやったな、ピカチュウ。後は任せてくれ」

 ピカチュウをモンスターボールに戻し、ビオラを見据えるカルム。他のトレーナーとは違うプレッシャーを放ってくる。改めて、ジムリーダーの実力を思い知らされる。
 だが、自分だって負けてはいられないのだ。
 カルムはモンスターボールを強く握りしめた後、バトルフィールドに向けて投げ出す。

「出番だ、ハリマロン!!」

 初めてのパートナーであるハリマロン。
 ハリマロンは待ち焦がれていたかのように頭部にある棘を強く尖らせる。
 ハリマロンを見てビオラは笑う。

「ハリマロンね……ハリマロンは草タイプでビビヨンは虫と飛行タイプ……どうやって戦うのかしら?」
「僕のハリマロンを甘く見ないで下さい!いくぞ、ハリマロ……」

 足元にいるハリマロンを見て目を疑った。ハリマロンの足元にはねばねばネットが纏わりついていて、体が思うように動けないのだ。
 ピカチュウの場合、身体全体だったが、ハリマロンは足元。これでは技の回避が困難だ。

「ねばねばネットは交代した相手の素早さを下げる効果があるのよ!」
「そんな効果があったなんて……。ハリマロン、つるのムチでねばねばネットから抜け出せ!」

 ハリマロンは肩から緑色の鞭を出し、足元にあるねばねばネットを振りほどく。

「よし、ハリマロンころがる攻撃!」
「かぜおこしよ!」

 ハリマロンは体を丸め、ビビヨンに向かって転がってくるが、ビビヨンの起こした強風により、吹き飛ばされ、壁に衝突する。

「これで私の勝ちね、残念だけどバッジはお預けよ。ビビヨン、まとわりつく!」

 ビビヨンはハリマロンの元へと飛んでゆき、ハリマロンを見て微笑んだ後、ハリマロンを拘束させる。

「つるのムチでビビヨンを追い払え!」

 ハリマロンはビビヨンの拘束を受けながらも、肩から鞭を出し、ビビヨンに向けて叩き付けた。
 ビビヨンは吹き飛ばされるが、羽を使って態勢を整える。

「ハリマロン、大丈夫か?」

 バトルフィールドに戻るハリマロン。ダメージが大きいせいか、ぜぇぜぇと息を切らせているが、カルムの呼び掛けに答える。

「これで終わりね、むしのさざめき!」

 桃色の羽を羽ばたかせるビビヨン。羽の振動により音波が発生し、ハリマロンに目掛けて攻撃される。
 攻撃を受けて、ハリマロンは倒れる。

「……ハリマロン!!」

 カルムはハリマロンの元へと駆け寄り、ハリマロンを支える。
 ハリマロンの体はボロボロだ。この姿を見てカルムは自分への愚かさに苛まれる。
 こんな軽い気持ちで挑んだ結果、こうなってしまったのだ。パンジーの言う通り、作戦を整えてから挑めば良かった。ジムリーダーを見くびっていなければ、こうならなかった。
 カルムは唇を噛み締める。
 そして、潔く負けを認めようとモンスターボールを取りだし、ハリマロンに入れようとした瞬間

「……ハリマロン?」

 まだやれると言わんばかりに立ち上がるハリマロン。ボロボロになりながらも戦おうとしている。
 ハリマロンはカルムに振り返る。

 リーマリマ!

 大丈夫、まだ戦えるよ。そう言わんばかりに笑うハリマロン。それを見てカルムは心打たれた。
 ハリマロンはまだ諦めていない。ならば、自分もハリマロンを信じて諦めない。

「あら?まだ戦えるのね」
「言ったでしょ?僕のハリマロンを甘く見ない方が良いって」
「その余裕がいつまで続くかしら?ビビヨン、まとわりつく!」
「ころがる攻撃!」

 ハリマロンは体を丸めて転がり、ビビヨンのまとわりつくを回避する。そして、ビビヨンにダイレクトアタックする。効果は抜群である。
 ビビヨンは突き飛ばされる。

「ビビヨン、飛んで!」
「やどりぎのたねで動きを止めろ!」

 ビビヨンに向けて種を蒔くハリマロン。
 種はやがて蔓となり、ビビヨンを拘束すると同時に、ビビヨンの体力を奪う。
 ハリマロンの傷が癒えていく。
 やどりぎのたねは相手に種を植え付け、体力を奪った分、体力が回復する技だ。
 体力が奪われ、羽ばたくことも困難だ。

「そんな……ビビヨン、しっかりして!」
「ハリマロン、ミサイルばり!」

 棘のついた針を召還させ、ビビヨン目掛けて攻撃する。

「いっけぇ!!」

 カルムの咆哮を乗せたミサイルばりは、ビビヨンに的中する。
 ミサイルばりを受けたビビヨンは落下し、地面に叩き付けられる。

カルム vs ビオラ
ピカチュウ(戦闘不能) アメタマ(戦闘不能)
ハリマロン ビビヨン(戦闘不能)

winner カルム


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