二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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生命と破壊の花【ポケモンXY】completion-完結-
日時: 2016/02/01 00:44
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29995

 



 ──僕たちは生kill、この世界を──




 【前書き】

 クリックありがとうございます、本作品『生命と破壊の花』を筆記を務める元カルマのマルガリータです!
 この作品は、2013年10月13日に発売されたゲーム、ポケットモンスターシリーズ『ポケットモンスターXY』の小説です
 何故XYかというと……5月にポケモンセンターでポケモンXYグッズが販売されていたのを見て、懐かしい気分に入り、久し振りに向き合ってみようという気持ちになったからです

 ※注意※
・大まかなところは原作沿いですが、オリジナル要素が少々出てきます。なので、オリキャラも登場します
・シーズン2からカルムがギャルゲーの主人公。マルガリータ版ディック・グr( アイニス「おい、ポケモンバトルしろよ」
・バットマンネタ自重しろ、このにわか
・誹謗中傷、このスレに関係のない話や雑談、個人情報に関する話があった場合はスルーします。以前、とある方がそのコメントをしてきて非常に困りました
・グロ描写はないものの、死ネタあり。キャラ殺しはマルガリータ特権です
・バトルシーンは苦手なので、少々見苦しいと思います
・イメージCVはほぼ吹き替え声優をチョイス。有名声優チョイスしろ
・俺/私のカルムに何するものぞ、マルガリータァァァ!!(要するにカルムがだれおま)

 拙い文章ですが、よろしくお願いします!


9/23 こーすけさんとクロスオーバー作品を始めました→>>169
12/25 フラン・ブレイク・ガルシアさんとの合作始めました→>>251

8/11 タイトル変更しました。『生と死の狭間で』→『生命と破壊の花』

【新着情報】
1/30 終章 更新>>296
1/30 後書き >>298 new
このスレは02月01日を持ってロックさせて頂きます。続編は参照からお願いします

僕たちがこの美しい地方で見つけたものは──

登場人物
>>23

序章【カロス地方昔話】
>>01

シーズン1 始まりは唐突に……編

アサメタウン・メイスイタウン編【すべてはここから始まる】
>>02 >>03 >>04 >>07

ハクダンシティ編【バトル&ゲット】
>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>21 >>22

ミアレシティ編【メガシンカ】
>>33 >>35 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46

コボクタウン・パルファム宮殿編【その男、大富豪であり、プレイボーイ】
>>55 >>62 >>63 >>74 >>79 >>85 >>87

シーズン2 カルムのポケモン活躍編

コウジンタウン編【毬栗から棘鎧への進化】
>>95 >>96 >>97 >>99 >>105 >>109 >>110 >>111

ショウヨウシティ編【壁】
>>112 >>119 >>128 >>146 >>154 >>157 >>158 >>159

セキタイタウン編【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】
>>179 >>183 >>186 >>193 >>194 >>195 >>200

シーズン3 ディアンシー編

麗しき宝石のプリンセス
>>205 >>206 >>207 >>209 >>210

再会を目指して
>>215 >>220 >>230 >>284 >>285 >>286

希望
>>288 >>289 >>292 >>294 >>295

【終章】
>>296

【短編】

『ポケパルレ』ハリマロン、ピカチュウ、ゼニガメの場合
>>49 >>50

『I want to be……』ミアレシティ編終了後、ハリマロン視点
>>94

『南瓜は食べるものではなく、被るものなのです』ハロウィンss
>>214

『手のかかる隣人』カルム+セレナ。子供のようなカルムとオカンセレナ
>>216

『一番なのは君!』アニポケとちょいリンクしてます
>>231

『これからも、この先も』PUFFYの『これが私の生きる道』を聴いて思ったこと。ブログに飛びますのでご注意を
>>266

【番外編】

『ポケモン不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険』ポケモン超不思議のダンジョン発売記念日
>>132 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>145

『a little SantaClaus』ユリーカとアイのクリスマス
>>239 >>240 >>242

『ぼくとおれ』原作カルム登場
>>253 >>263 >>264 >>265 >>271

【頂き物】
アーリアさんに、カルム&セレナvsしたっぱ兄弟のドット絵を描いてもらいました!
>>100

別サイトの絵師様からエカルラートを描いて貰いました
>>227

【イメージ主題歌】
『TEEN TITANS THEME(日本語版)』PUFFY

【小ネタや元ネタ一覧】
>>208

12/20 連載してから半年が経ちました
>>233

新年の御挨拶
>>279-280

後書き
>>298

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Re: 生命と破壊の花【ポケモンXY】連載半年ありがとうございます ( No.261 )
日時: 2015/12/29 08:05
名前: 竜 ◆CmqzxPj4w6 (ID: 63VIkG8S)

お久しぶりです。ちまちま更新している大学生作者の竜です。

ゆっくりしていってね!(ニコニコ動画より)

僕も本当に時間がとれずワンピースや東京喰種を1ヵ月ごとに更新してるようなものなので・・・・大学生は忙しい!!

正直、僕のキャラが早く登場するのを見たい気もありますがゆっくりまったりと待ちます。なので、頑張って下さい。


余談 ボルケリヌスって強いのか?

Re: 生命と破壊の花【ポケモンXY】連載半年ありがとうございます ( No.262 )
日時: 2015/12/29 09:30
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
参照:

竜さん

お久し振りです、コメントありがとうございます!

大学は大変なんですね、マルガリータも今は冬休みで冬休みの宿題があと一つになったのでこうやって頻繁に書いていますが、来年はどうなるか……

ヴォルフの登場は決まっているので、お楽しみに!
更新頑張りますので、そちらも頑張って下さい!

ボルケリヌス……はて……ボルケニオンのことでしょうか?
ボルケニオンは全く驚きませんでしたね。あ、やっぱ出てきたかぐらいの反応です
ボルケニオンはディアンシー、フーパ、メガラティ兄妹同様、海外ユーザーが解析してネット上に上げたポケモンなので、ディアンシーが発表された時には、フーパとボルケニオンも登場することが察しられましたしねww しかし、海外ユーザーも解析するのもやめてほしい

ぼくとおれ ( No.263 )
日時: 2015/12/29 16:23
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
参照:

 ヌメリとしたものが肌を伝い、粟立つ。その感触で瞳孔は開いたのと同時に、今僕がいる場所に驚愕した。僕は先程まで映し身の洞窟の中にいたのに、何故だか外にいる。緑色の奇妙な空、緑色や黄色といったカラフルな葉っぱを生やした木……今まで旅をしてきた中で最もおかしい場所だ。こんなところ、見たことないよ。
 口の中に何かが入り込んでいることに気付く。あのヌメリとした粘り気の味がする。うぇぇっと僕は舌を出して吐いた。気持ち悪い、水で口を濯ぎたい。水が欲しい。
 水を探しに歩いていく。こうして一人で不気味な場所を彷徨うなんて、今の僕は不思議の国のアリスだ。チョロネコもミミロルもいないけれど。だけど、もし此処にチョロネコがいたら、僕は訊くだろう。チョロネコさんチョロネコさん、教えて下さい。此処は何処ですか?
 暫く歩いていると、湖畔を見つける……のは良かったんだが、その色は緑色。何とも気持ち悪い水だ。落ちたり飲んだり口に含んではいけない、と僕の本能がそう叫んでいる。少しでも接触してしまえば、某蝙蝠男の道化王子になってしまいそうだ。飲、飛び込み、接触、ダメ、絶対。
 水なら、水タイプのカメールがいるが、その為にわざわざ呼び出すのもあれなので、暫くは我慢するか。それより今は、此処が何処だか知らないと。
 湖畔から離れると、少女と目が合った。オーク色の髪と碧眼には見覚えがある。服装は……ショウヨウシティの時と変わっていない。
 僕が口を開こうとしたら、先にセレナが言葉を放った。

「カル……ム?」

 違う、セレナは僕を名前で呼んだりしない、そんな高い声で話したりしない。そんなの、僕の知っているセレナじゃない。君は……本当にセレナなのか?
 戸惑う僕を余所に、セレナは僕が今まで見たことのない可愛らしい笑みを浮かべてこちらに駆け寄る。

「カルム、此処で一体何をしてるの?」
「え……否、その……何も」
「そっか!」

 会話はそこで途切れ、暫しの沈黙。ニコニコ笑っているセレナに、僕は戸惑いを隠せなかった。今までのセレナは僕に冷たい──というより、クールで、でも僕に気遣いをしてくれて、あまり感情を表に出すこともあまり少なかった。そんなセレナが今、僕の目の前で、明るく、笑顔で僕に接しているのだ。これは夢だろうか? だとしたら、早く覚めて欲しい。
 僕が呆然とセレナを見詰めていると、セレナの笑顔は悲しげな表情に変わり、俯いた。

「ねぇ、カルム……。カルムはどうして、アタシに冷たいの?」
「え?」
「話し掛けてもそっぽ向いたり、話しても目を合わせたりしないし、ポケモンには優しいのに、アタシの前だと不機嫌そうな顔をするし……。それに……名前で呼んでくれない。……カルムは、アタシのこと、嫌いなの?」

 What do you meanが、僕の頭の中に入り込み、支配していく。どういうことだ、僕は君に対していつも明るく接しているのに、一体何が不満だっていうんだ? 僕はセレナに、一体何をしたっていうのさ?
 疑問で頭がいっぱいな僕はセレナに尋ねる。

「えっと……一体何のことだか……」
「とぼけないで! いつもアタシに冷たいじゃない!」
「え、あの」
「アタシ……カルムと仲良くなりたいだけなの。それなのに……カルムは、どうしてアタシに……」

 アタシのこと、嫌いなの? そう顔を上げたセレナは拳を握り締め、真剣な顔をしていた。しかし、今の僕は謝罪することも、セレナの質問に対する返す言葉も、何も無い。どう返せば良いかわからないし、僕がセレナに何をしたか思い当たるようなところもない。やっぱり、このセレナは、僕の知っているセレナじゃない──!
 口を開こうとしたその瞬間だった。

「──君、お隣さんに何してるの?」

 聞き覚えのある声に、僕とセレナは声の方角に顔を向けた。伸ばした黒髪、ダークブルーの瞳が特徴的な──。あ、あれ……? 今日は本当におかしい日だ、クレイジーデーなんてあったっけ? "実際にいる人物が二人もいる"なんて、どうかしてるよ。
 もう一人の僕は、何処か不機嫌そうな表情をして、こちらに歩み寄り、セレナを抱き寄せ、こちらを睨み付けた。セレナは呆然ともう一人の僕を眺めている。

「お隣さんに何かしたら、俺がただじゃおかないから。それに……俺の成り済ましだなんて、君は一体何なのさ? オリジナリティが全くないね 」
「君は……カルム?」
「へぇ、俺のこと知ってるんだ。まさかだと思うけど、君はカルムだなんて言わないよな?」
「その、図星なんだけど……」

 僕と違って声質は低くて、性格も真逆。一人称も「俺」になっている。だけど、目の前にいるのが、もう一人のカルム─僕─であることには変わりない。
 カルムの眉がピクリと反応し、セレナを抱き寄せた手を放した。ああ、怒っているなこれ。だけど、僕は僕に怒られるなんて……何とも不思議な気分だ。

「じゃあ、バトルで示しなよ。本物の俺なら、手持ちポケモンも一緒な筈だし、もしも君が勝てたら、君のこと、認めてあげても良いけど?」

 手持ちポケモンも一緒……そうだな、性格は違えど僕であることには変わりないんだし、ポケモンバトルで怖じ気付くような僕じゃない。僕と僕がポケモンバトルするなんて何か変だけど……信じてもらえるなら、受けて立つよ!

ぼくとおれ ( No.264 )
日時: 2015/12/30 23:52
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: caCkurzS)
参照: 大晦日まで書き終わりそうにない……ブログで書くしか……!

 もう一人の僕──カルムが繰り出したのはピカチュウ。メンバーの紅一点である。あのピカチュウには見覚えがあるが、僕のピカチュウとは違ってあのピカチュウは余裕のある笑みを浮かべていない。ポケモンの性格も変わっているようだ。
 だったら僕は、彼でいこうかな。
 ニャスパー、GO! 掛け声と共にモンスターボールを投げる。ポン、と勢いよくボールから飛び出して来たニャスパーは相変わらず掴みどころのない無表情だ。
 ニャスパーはピカチュウともう一人の僕を見ても驚きや戸惑いといった表情を見せない。相変わらずクールだなぁ、ニャスパーは。僕は頼んだよと声を掛けると、ニャスパーはニャァと鳴き声を上げた。

カルム VS もう一人のカルム
ニャスパー/ピカチュウ

「ニャスパー、ねこだまし!」

 タッとニャスパーの短い両足が勢いよく動き出す。ニャスパーはピカチュウとの距離を縮めて立ち止まる。そして、ピカチュウの眼前に両手を見せて叩いた。ねこだましは素早さ関係なく先制攻撃出来る技で、相手を怯ますことが出来るのだ。最も、特性が精神力のポケモンにはただのダメージでしかないけど。
 ニャスパーは僕の元に戻る。
 ピカチュウは怯みから立ち直り、いけないと言わんばかりに頭を横に振った。

「ピカチュウ、エレキボール!」

 ピカチュウはハート型の尻尾から電撃の塊を作り出し、それをニャスパー目掛けて投げる。エレキボールは自身のスピードが相手より高い程威力が増す技だ。ピカチュウはニャスパーよります。素早さが高い。

「躱せ!」

 しかし、エレキボールのスピードはニャスパーより勝っていて、ニャスパーはエレキボールを食らう。

「ニャスパー!」
「かげぶんしん!」

 ニャスパーの周囲から、数え切れない程の無数のピカチュウが出現する。囲まれているではないか!
 どうしようと焦る僕だが、唐突に思い付いた提案に任せるしかなかった。

「サイコパワーで本物のピカチュウを探れ!」
「無駄だよ、10まんボルト!」

 ニャスパーは目を閉じてピカチュウの居場所を探知する。が、幾多のピカチュウが10まんボルトを繰り出し、ピカチュウたちの攻撃がニャスパーを襲う。頼む、間に合ってくれ……!
 ニャスパーはアメジストの瞳孔を勢いよく開かせ、サイコパワーで姿を消し、ピカチュウたちの10まんボルトを避けた。
 ニャスパーはどうやら本物のピカチュウを当てたらしく、本物であろうピカチュウの背後に立っていた。

「大合唱の時間だよ、チャームボイス!」

 ニャスパーは口を開けて、容姿とは不釣り合いの大きな鳴き声を上げた。しかし、それは人間である僕にも魅力されてしまう程の声だった。
 チャームボイスにより、かげぶんしんで作られたピカチュウは消えていき、最後には本物のピカチュウが当たった。本物のピカチュウはチャームボイスを受けて、その場に倒れ込んだ。

WINNER カルム!!

「……お疲れ様、ゆっくり休んでくれ」
「サンキュー、ニャスパー!」

 僕たちは戦ってくれたポケモンに礼を述べ、それぞれのモンスターボールの中に戻っていく。この勝負は僕が勝利したんだから、もう一人の僕も認めてくれるよね? 僕なんだし。
 もう一人の僕は顔を上げる。ニャスパーとは違う無表情。いつもの僕なら絶対しない顔。

「……俺もニャスパーを持ってるし、君が勝ったんだから……君のことを信じてあげるよ」
「さっすが僕!」

 その前に、と言うもう一人の僕の視線の先には、別世界のセレナ。セレナはえ?と首を傾げている。もう一人の僕はセレナのところに寄り、訊ねた。

「俺は別にお隣さんのことが嫌いじゃない。無茶する君がほっとけないだけだから。わかった?」
「え、えっと……」
「わかった?」
「わ、わかった! わかったよカルム」

 顔をずいと迫られ、赤面するセレナ。此処の僕とセレナって、立場が逆なんだなぁ。此処の僕は僕の知っているセレナみたいにクールで寡黙、此処のセレナは僕みたいに明るい。そう言えば、以前セレナに言われたな。『貴方がほっとけない』って。あそこのセレナはお母さんみたいだけど、此処の僕は此処のセレナの兄、というよりお母さんみたいだ。
 そんな二人の会話を凝視していると、セレナと目が合った。

「とにかく……このカルムはアタシたちとは別のカルムだってわかったけど……どうして、別のカルムが……?」
「そうだよ聞いてよ、さっきまでは映し身の洞窟っていうところにいたんだけど、その洞窟にある鏡に触ったら鏡が僕を飲み込んで……それで気が付いたら此処にいたんだ」

 映し身の洞窟? 鏡? 怪訝そうに首を傾げる二人。此処の世界には、映し身の洞窟はないのだろうか。頼む、何か反応をくれ……。
 数秒後、もう一人の僕が何かを思い出したかのように声を上げた。
 もう一人の僕によれば、この先にある洞窟─恐らく映し身の洞窟だろうか─に伝説があり、その鏡に触れると、別世界に入り込まれてしまうらしい。その仮説なら、僕がこの世界に来たことも納得がいくし、道理でみんなの性格が真逆な訳だ。
 関心してる場合じゃないだろ、ともう一人の僕に突っ込まれた。やっぱり、もう一人の僕はしっかりしているんだな。
 その洞窟は、僕が別世界に来たところにあるらしい。そこに行けば、僕は元の世界に戻れるっていう訳だ。簡単じゃないか!
 そんな軽い調子でいる僕に、もう一人の僕はポツリと呟いた。

(そう簡単にいくとは思わないけど)

ぼくとおれ ( No.265 )
日時: 2015/12/31 19:23
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: qwR26uHc)

 歩くのは好きだけど、歩き続けるのは好きじゃない。同じ道をずっと歩いているみたいでさ。僕たちはセレナのタウンマップを使って映し身の洞窟の居場所を探しているんだけど、それと呼べる洞窟は見当たらない。カルムはセレナのタウンマップを取り、今の状況を調べる。どうやら、道が違うらしい。 この別世界のセレナは、方向音痴でもあるようだ。
 別世界のセレナの新しい面を発見した僕。セレナはまたやっちゃったぁ……と溜息を吐いている。此処のセレナってドジっ娘なところもあるんだなぁと思った。
 代わりにカルムが調べると言い、此処はカルムに任せてみることにした。此処のカルムは、本当にしっかり者である。このカルムは、何だか僕のようで僕じゃない。まるで、別個体の僕みたいだ。
 カルムの指示に沿って歩くと、洞窟が見えた。僕のいる世界の映し身の洞窟とは、反転されているけど、映し身の洞窟であることには変わりない。
 中に入り、洞窟内にある鏡をあちこち触れてみた。だけど、どれも違う世界だ。
もしかしたら、その世界を通す鏡は既に破れているんじゃ……。マイナスな発言をするカルム。その言葉に僕は何故だと尋ねた。

「何処を探しても、俺──別世界のカルムの世界が見つからないんだ。だったら、そう考えるのが当然だろ?」

 何とも皮肉めいた発言。僕が絶対言わない言葉だ。確かに、カルムの言う通りかもしれない。だけど、僕はそれを認めたくはなかった。

「そうかもしれないけど……まだそう決まった訳じゃないよ。まだ、帰れる方法がある筈だ。可能性はきっとある」

 そこで諦めたくない。全ての鏡を探していないんだし、まだ始まったばかりだし、たまたま見つからないだけなんだ。
 カルムは僕を凝視すると、ふと口元を綻ばせる。

「……別世界の俺がそう言うなんて、意外。でも、俺が言うなら、そうかもしれないね」
「僕がそう言うんだから、間違いなし!」

 笑い声が洞窟の中に響いた。その時、女声らしき悲鳴が、僕たちの笑い声を遮った。周囲を見回した後、僕とカルムは互いの顔を伺った。

「「セレナ/お隣さん……」」

 嫌な予感しかないよね!
 僕とカルムが声に発生地に向かうと、予想外の人物が此処にいることに気付く。セレナは両手で顔を覆い、アタシのテールナーが……と嘆いている。どうやら、フレア団にテールナーを盗まれたようだ。此処にいるフレア団は、僕の知っているフレア団。つまり──
 僕がフレア団を睨むと、フレア団はまたお前か! と目を見開いている。それはこっちの台詞だ。

「何でアンタが此処にいるんだよ?」
「この映し身の洞窟の鏡を使って、別世界のポケモンたちを奪おうという根端だ!」
「うわっ……フレア団とは大違いだな」

 えっ、と反応すると、カルムは答えてくれた。この世界のフレア団は、自分より他人の幸福を願う正義の組織で、青いスーツを着ているらしい。そんなフレア団だったら、僕、否、僕たちは歓迎するだろう。否、今はそれより……

「つまり、このフレア団は悪い奴ってことになるね。……お隣さんのテールナーを返しなよ」
「それで返す馬鹿がいるかー! 返して欲しかったら、二人まとめてかかってこい!」

 アニメでよくある発言をして、フレア団はデルビルとズルッグを繰り出した。ハンデで来いだなんて、己の腕に自信があるのだろうか。とにかく、此処はカルムと協力して、戦うしか無いな。僕と僕が戦う……なんて、なんとも不思議な気分だ。
 僕らは顔を見合わせて頷いた後、モンスターボールを投げて、ポケモンを繰り出した。僕はカメール、カルムはニャスパーだ。別世界のカルムのニャスパーは、とてもオドオドしている。

「ニャスパー、ズルッグにねこだまし!」

 ニャスパーはオロオロしつつも、ズルッグにねこだましを食らわした。先制攻撃かつ、相手を怯ませる技なので、ズルッグはその場を立ち尽くしている。

「カメール、デルビルにみずでっぽう!」
「かみつく攻撃だ!」
「ニャスパー、リフレクターでカメールをサポート!」

 デルビルは鋭い牙を剥き出し、カメール目掛けて噛み付こうとしたが、咄嗟にニャスパーがカメールの前に立ち、リフレクターを出した。リフレクターは物理技のダメージを半分にすることが出来る技だ。そのおかげでカメールが受けたダメージの威力は低くなる。
 カメールはみずでっぽうでデルビルを攻撃し、デルビルはダメージを受けた。効果は抜群だ!
 サンキュー、僕! 僕とカルムは顔を合わせてハイタッチをした。それを見て悔しげに歪むフレア団。

「くっ、ズルッグ、リフレクターにかわらわり!」
「させるか、カメール!」
「おっと、そうはさせん! デルビル、カメールにほえる! 」

 ズルッグはかわらわりでリフレクターを破壊する。パリン、とリフレクターの欠片が粉々に飛び散る。カメールは助けようとしたが、デルビルの咆哮により、モンスターボールに戻り、僕のモンスターボールからは、ハリボーグが飛び出して来た。

「ズルッグ、ニャスパーにだましうち!」

 ズルッグのだましうちを食らうニャスパー。ニャスパーはそのまま、力無く倒れ込む。


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