二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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生命と破壊の花【ポケモンXY】completion-完結-
日時: 2016/02/01 00:44
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29995

 



 ──僕たちは生kill、この世界を──




 【前書き】

 クリックありがとうございます、本作品『生命と破壊の花』を筆記を務める元カルマのマルガリータです!
 この作品は、2013年10月13日に発売されたゲーム、ポケットモンスターシリーズ『ポケットモンスターXY』の小説です
 何故XYかというと……5月にポケモンセンターでポケモンXYグッズが販売されていたのを見て、懐かしい気分に入り、久し振りに向き合ってみようという気持ちになったからです

 ※注意※
・大まかなところは原作沿いですが、オリジナル要素が少々出てきます。なので、オリキャラも登場します
・シーズン2からカルムがギャルゲーの主人公。マルガリータ版ディック・グr( アイニス「おい、ポケモンバトルしろよ」
・バットマンネタ自重しろ、このにわか
・誹謗中傷、このスレに関係のない話や雑談、個人情報に関する話があった場合はスルーします。以前、とある方がそのコメントをしてきて非常に困りました
・グロ描写はないものの、死ネタあり。キャラ殺しはマルガリータ特権です
・バトルシーンは苦手なので、少々見苦しいと思います
・イメージCVはほぼ吹き替え声優をチョイス。有名声優チョイスしろ
・俺/私のカルムに何するものぞ、マルガリータァァァ!!(要するにカルムがだれおま)

 拙い文章ですが、よろしくお願いします!


9/23 こーすけさんとクロスオーバー作品を始めました→>>169
12/25 フラン・ブレイク・ガルシアさんとの合作始めました→>>251

8/11 タイトル変更しました。『生と死の狭間で』→『生命と破壊の花』

【新着情報】
1/30 終章 更新>>296
1/30 後書き >>298 new
このスレは02月01日を持ってロックさせて頂きます。続編は参照からお願いします

僕たちがこの美しい地方で見つけたものは──

登場人物
>>23

序章【カロス地方昔話】
>>01

シーズン1 始まりは唐突に……編

アサメタウン・メイスイタウン編【すべてはここから始まる】
>>02 >>03 >>04 >>07

ハクダンシティ編【バトル&ゲット】
>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>21 >>22

ミアレシティ編【メガシンカ】
>>33 >>35 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46

コボクタウン・パルファム宮殿編【その男、大富豪であり、プレイボーイ】
>>55 >>62 >>63 >>74 >>79 >>85 >>87

シーズン2 カルムのポケモン活躍編

コウジンタウン編【毬栗から棘鎧への進化】
>>95 >>96 >>97 >>99 >>105 >>109 >>110 >>111

ショウヨウシティ編【壁】
>>112 >>119 >>128 >>146 >>154 >>157 >>158 >>159

セキタイタウン編【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】
>>179 >>183 >>186 >>193 >>194 >>195 >>200

シーズン3 ディアンシー編

麗しき宝石のプリンセス
>>205 >>206 >>207 >>209 >>210

再会を目指して
>>215 >>220 >>230 >>284 >>285 >>286

希望
>>288 >>289 >>292 >>294 >>295

【終章】
>>296

【短編】

『ポケパルレ』ハリマロン、ピカチュウ、ゼニガメの場合
>>49 >>50

『I want to be……』ミアレシティ編終了後、ハリマロン視点
>>94

『南瓜は食べるものではなく、被るものなのです』ハロウィンss
>>214

『手のかかる隣人』カルム+セレナ。子供のようなカルムとオカンセレナ
>>216

『一番なのは君!』アニポケとちょいリンクしてます
>>231

『これからも、この先も』PUFFYの『これが私の生きる道』を聴いて思ったこと。ブログに飛びますのでご注意を
>>266

【番外編】

『ポケモン不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険』ポケモン超不思議のダンジョン発売記念日
>>132 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>145

『a little SantaClaus』ユリーカとアイのクリスマス
>>239 >>240 >>242

『ぼくとおれ』原作カルム登場
>>253 >>263 >>264 >>265 >>271

【頂き物】
アーリアさんに、カルム&セレナvsしたっぱ兄弟のドット絵を描いてもらいました!
>>100

別サイトの絵師様からエカルラートを描いて貰いました
>>227

【イメージ主題歌】
『TEEN TITANS THEME(日本語版)』PUFFY

【小ネタや元ネタ一覧】
>>208

12/20 連載してから半年が経ちました
>>233

新年の御挨拶
>>279-280

後書き
>>298

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希望 ( No.292 )
日時: 2016/01/27 23:35
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: あと、二、三話ぐらいで終わらせます

 洞窟の中には、彼等の歓迎が待ち構えていた。あいにく、こちらは手ぶらだが、彼等に返すお礼ぐらいは持っていたので、それをしといてやった。お礼を与えてやると、彼等はこちらを見ては怯え、道を開けてくれた。
 最深部に辿り着く為には、彼等のおもてなしに礼をしなければならないという、システムになっている。何とも面倒くさく、挫折しそうだ。ただでさえ緊急事態だというのに。
 しかし、アイニスは大儀そうな顔を現しながらも、彼等の礼をきちんと返してあげた。手抜きではなく、気持ちを込めて、彼等に贈り返してあげた。
 やるじゃない、とロザリーが言うと、アイニスは八重歯を見せて、ニカリと微笑んだ。
 そうやって二人で協力して彼等に贈り物を与えて、奥に進んでいく。

 さて、これらを繰り返してだいぶ時間がかかってしまった。キズぐすりも少なくなってきたし、ポケモンの体力も限界を向かえてしまうので、そろそろ最深部に入りたい。ディアンシーもソワソワし始めている。
 見えた、光が。恐らく、最深部だ。
 アイニスとロザリー、そして、ディアンシーは、その光目掛けて、駆け出した──





 ダイヤモンドの光で溢れている。そのダイヤモンドは、人工で造られたものなのか、それとも、自然に造られたものなのかは解らない。ただ一つ言えることは、綺麗。それしか当てはまらない。
 中央には、ビルのように大きな高さを誇る、桃色のダイヤモンドが、儚げに光を帯びている。ディアンシーによると、あれが王国の生命を維持しているらしい。あれをディアンシーが造り出さない限り、王国は滅亡してしまうのだ。
 王国……そういえば、国民は今、何処にいるのだろう。最深部は、無人であり、人気すら感じられない。此処にいる、アイニス、ロザリー、ディアンシーのみだ。恐らく、彼等は既にフレア団に捕えられている筈だ。急いで助けてあげなければ。
 急ぎましょう、とディアンシーが動いた瞬間、ザクりと足音が響いた。

「お帰りなさい、ディアンシー。どう? 故郷へ帰って来た気分は」
「! 貴方は……。……っ、国民のみんなは何処ですか? 今すぐ彼等を解放しなさい!」
「良いですとも、お姫様。その代わり、条件がある。それは──」

ディアンシー、我等、フレア団のポケモンとなって頂きたい。

 即効でノーと答えたくなる条件だ。ディアンシーも勿論、彼等のポケモンになんてなりたくない。
 しかし、もう迷わないと決心したディアンシーの答えは、既に決まっていた。

「……残念ながら、その条件は受け付けできません。しかし、だからといって、国民を見捨てる訳でもありませんわ。わたくしは、姫としての義務を果たし、王国を救います!」

 胸を張り、そう主張するディアンシー。その表情は、あどけなさを残しつつも、凛としている。
 以前までは、無邪気に笑い、か弱い女の子のように振舞っていたあのディアンシーとは、まるで別個体のようだ。最も、此処にいるディアンシーと二人が知っているディアンシーは同個体ではあるが。
 エカルラートはブチ切れる訳でもなく、平然としているが、何処か物足りなさそうな表情を表して、呟いた。

「ふぅん、そうなんだ。……だったら、力尽くで、君を奪ってみせるよ。ファンス、セト」
「ハッ」
「こんなにも借りが早く返せるなんて、思いもしなかったぜ。お前らの相手は、この俺たちしたっぱ兄弟だ!」

 エカルラートの呼び掛けに反応し、突如アイニスとロザリーの前に現れる。
 ファンスはコマタナ、セトはニューラを繰り出した。

「此処はオイラたちが引き受けるから、ディア(ディアンシー)はあのエナメルラート(エカルラート)を!」
「ボコボコにしてきなさいよね!」
「ご協力、感謝します!」

 ディアンシーはペコリと会釈をし、そのまま進んで行った。
 待て! とファンスがディアンシーの足止めをしようとするも、パンプジンとヤンチャムが阻止した。

「何余所見してんのよ」
「お前らの相手はオイラたちだぞ〜!」



 エカルラートは、ダイヤモンドの前で待ち構えていた。恐らく、又、卑怯な手段を使って、ダイヤモンドを破壊させるつもりなのだろうか。しかし、そんなことはさせない。わたくしが、守ってみせる。
 エカルラートはディアンシーがこちらにやって来たのを見て、嗤った。

「……このダイヤモンドは綺麗だね。こんなに美しいダイヤが、この王国の寿命だなんて、それ程、このダイヤには不思議な力が備わっているのか」
「貴方たちは、わたくしと、このダイヤモンドを狙っている……。ですが、わたくしは此処で貴方たちを倒して、ダイヤモンドの寿命、そして……この王国を救います!! わたくしが、この王国の希望となる!」

 どんなに窮地を堕ちたとしても、ディアンシーは諦めなかった。何故なら、希望を持っているから。どんな状況でも、希望を捨てたりしないという、強い気持ちを抱いているからだ。
 希望。その言葉は、エカルラートにとっては

「きらい、きらいだよ、その言葉は。希望なんて、ありやしない」
「いいえ、希望はあります。此処に、この中に」
「そんな甘ったるい言葉が、どんなに愚かなのか、今から教えてあげるよ。──さぁ、目覚めの時間だ」

 エカルラートの背後にあるダイヤモンドが、禍々しく妖しげな光を帯び始めた。ロザリーたち一行も、それに目を向ける。
 ズ……ズズッ……ズズズズッ!
 ダイヤモンドの中から、黒い何かが蠢いた。とても大きく、ダイヤモンドの中にすっぽり入るサイズだ。
 黒い何かは、紫色に色を変えた。否、正確には、姿を表した、といったところだろう。黒い何かは翼で、あの状態は眠りから覚めていたのだ。
 巨大な身体に、大きな翼と尾羽。瞳は紫色に光っており、そこに正気はない。

 グオオオオオオオオッ!!

 ソイツは、周囲に挨拶という名の雄叫びを放つ。
 エカルラートはにっこり、微笑んだ。

「おはよう──破壊神・イベルタル」

Re: 生命と破壊の花【ポケモンXY】 ( No.293 )
日時: 2016/01/25 23:23
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29959

ダークヒーロー、アンチヒーローってかっこいいよね!ということで、スピンオフ作品立ててしまいましたorz
銀杏携帯獣閉鎖した後、また新スレ立てるって……また同じ繰り返しがしたいのか自分は

キャラが使い回しだったり、ミアレ兄妹が登場したりします。花鳥風月の参照見た人は解ると思いますが、テンプレも制作中です。今はAmebaのアプリで下書きをしております←
銀杏携帯獣を件に、厳しめにするのでご了承下さい
……黒歴史でもオリキャラの件で閉鎖して、XYでは厳しめの一点張りになってるな。二度とORASは立てない

明日か明後日ぐらいには更新して、この1週間以内には完結させたいなぁ

希望 ( No.294 )
日時: 2016/07/04 21:55
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: jJ9F5GeG)
参照: 気持ちは解るけど、だからって小説に病み発言されてもなぁ……

『マウンテンカロスNo.149 イベルタル 破壊ポケモン
寿命の限界を感じると、あらゆる生き物の命を吸い取り、繭の姿に戻るという、伝説のポケモン』

 破壊神・イベルタル。妖しく輝く紫色の身体に、漆黒の翼と、翼とよく似た爪にも近い尾羽を持つ、巨大なポケモン。紫色に光る虚ろな瞳は、周囲の視線を奪っていく。
 まさか、ダイヤモンドの中に、こんな巨大なポケモンが眠っていたことは、誰が予想していたことか。しかも、フレア団が、伝説のポケモンを所有していたとは。
 しかし、アイニスのポケモン図鑑のイベルタルの画像と、眼前にいるイベルタルの姿が、違っていた。色だ、色が違うのだ。図鑑に掲載されているイベルタルの身体は、緋色であり、今いるイベルタルは紫色を宿している。これは一体、何なのか?
 イベルタルについて知っていたであろう兄弟でさえも、その姿に唖然としていた。その中で微笑を浮かべているのは、ただ一人。そして、その中で、絶句するのは、ただ一匹。

「この聖なるダイヤモンドを使って、イベルタルの力を蓄えた。どのみち無くなるんだしね。これで証明されたろ? 希望なんて、何処にもない。どんなに強い気持ちを持ったって、結局は、絶望するだけしかない」
「ち、違います……希望はある、絶対、あるッ……。希望を信じて、前を向けば、きっと……!!」
「その割には身体が震えているよ? 本当は、怖いんでしょ? 苦しいんでしょ? 逃げたいんでしょ? ──それを今、解放させてあげる」

 エカルラートが右腕を挙げると同時に、イベルタルがバサリ、と羽音を立てて、ディアンシー目掛けて突進してきた。酷く動揺しているのか、ディアンシーの動きが見られない。
 ロザリーが叫び出す。

「ディアンシー!!」

 気付いた時にはもう、遅かった。ディアンシーはイベルタルに突き飛ばされ、絶叫を上げて衝突された。ディアンシーが衝突された場所には、穴が開き、ディアンシーはその中に埋め込まれる。
 呻き声を上げつつも、ディアンシーは自らの身体に鞭を打ち、体制を立て直す。
 ディアンシーは両方の掌を翳して、その隙間に桃色に光るダイヤモンドを造りあげる。攻撃を繰り出そうとしているのだ。しかし、そのダイヤモンドは弱弱しく、儚い光を帯びている。
 そのダイヤモンドをイベルタルに向けて放つも、ダイヤモンドは消えてしまった。
 イベルタルは鋼鉄のように硬い翼を広げ、それをディアンシーにぶつけると、ディアンシーはボールのようにポーンと投げ出され、落下した。
 それでも、ディアンシーは立ち上がり、イベルタルに立ち向かう。
 またダイヤモンドを造ろうとするも、ダイヤモンドは完成せず、イベルタルに攻撃されての一点張りとなっている。
 したっぱ兄弟のファンスが呟く。その声は、悲しさをたたえていた。

「何だよ……これ……見てるだけで、何だか悲しくなってきたぜ」

 伝説のポケモンの前に、立ち向かって戦うディアンシー。どれだけ攻撃されようと、それでも立ち上がる姿勢が、したっぱ兄弟の心を変化させていく。イベルタルを応援する気持ちより、諦めないディアンシーの姿勢を見て、何かが芽生える感情の方が上回っていた。
 ディアンシーが何故、イベルタルに攻撃されても立ち上がるのか。それは、希望を持っているからである。王国を取り戻す気持ちと、前を向く強い意志が、ディアンシーをそうさせているのだ。
 しかし、その気持ちも、次第に弱み始めていく。
 ドサッと崩れる音が響く中、ディアンシーはうつ伏せになって倒れ込む。
 どんなに頑張っても、イベルタルに攻撃一つ当たらない。それどころか、己に傷が増えていく一方ではないか。これでは王国も、国民も救えないじゃないか。やはり、エカルラートの言う通り、希望なんて瞞しに過ぎなかったの……?
 絶望がディアンシーを支配する。それと同時に、イベルタルの周囲に黒いオーラが放たれ、更に禍々しくなっていく。

「……う……ううっ……どんなに立ち向かっても、やはり、駄目なのでしょうか。わたくしは、国民を救えず、ただの出来損ないとして、このまま、もう……!」

 負の感情が、ディアンシーの心を覆い尽くしていく。
 ディアンシーの紅玉のように、赤い瞳から、涙が溢れ出る。涙はディアンシーの頬を伝い、下に垂れ込んでいく。それがポタリと、地面に落ちた、その時。

「「諦めるなッ!!」」

 ハッと、ディアンシーの瞳孔が開かれる。
 横を向くと、見覚えのある二人と目が合った。二人がこちらを見ている。

「此処で諦めたら、この国は誰が収めるのよ! アンタ以外、誰もいないでしょ!!」
「ディアの仲間たちだって、ディアの帰りを、強くなったディアの帰りを待ってんだぞ! 仲間たちを裏切るなんて、卑怯だぞ!!」
「ロザリー、アイニス……」

 二人の言う通りだ。此処で諦めたら終わりだ。今までの努力が、水の泡だ。支えてくれた二人の為にも、わたくしは負けていられないのだ。
 ディアンシーは微笑んで、頷いた。迷いは、もうない。もう、諦めない。
 その時だった。ディアンシーの身体に変化が起き始めた。光だ。進化だろうか。周囲はその光に視界を奪われていた。今まで嗤っていた、エカルラートの表情が消えた。
 桃色の光は、ディアンシーを変化させていく。

「こ、これは……」
「メガシンカ……!」


-Mega Evolution-


 光が止み始め、視界が元に戻った時、そこにいたディアンシーの容姿が、一変していた。腕を露出させた白いドレス、下半身は桃色に輝くシャンデリアとなっており、ヒラヒラと揺れるベール、そして、頭部にある、ハート型のダイヤモンド。今のディアンシーは、何も出来なかったあのディアンシーと見間違える程、麗しく輝く、ダイヤモンドのプリンセス。
 ディアンシーはルビー色の瞳を輝かせ、両手を翳して、その隙間から、聖なるダイヤモンドを造り出す。

「わたくしは……諦めない!!」

 ディアンシー、否、『メガディアンシー』の桃色のダイヤモンドは、先程とは見間違える程の輝きを放っていた。
 ディアンシーはダイヤモンドの流星群を、イベルタルに向けて放つ。エカルラートが指示を送るが、イベルタルの様子がどうもおかしい。今まで禍々しいオーラを放っていたというのに、今では、弱弱しくなっている。メガシンカしたディアンシーに怖じ気ついたのか否か、不明ではあるが、攻撃を避ける素振りも見せない。
 イベルタルはそのまま、ディアンシーの『ダイヤストーム』を受けた。壁に衝突されて、粒子となり、姿を消していった。

「"レプリカ"が──」
「「消えたッ!?」」

 エカルラートの言葉からして、先程のイベルタルは本物ではなく、コピーだったようだ。道理で、身体の色も違っていた訳だと納得をした。
 今までエカルラートが浮かべていた余裕綽々の笑みは消え、驚愕しており、目を見開いている。
 ディアンシーは、エカルラートたちの前に立ち、睨みつける。

「さぁ、わたくし……いえ、『わたくしたち』の勝ちです。みんなを……解放しなさい!」
「そ、そんな、あ、あああ、怒られる、怒られる、怒られる……。『母さん』に怒られるぅ……!」

 今までの態度とは異なり、酷く狼狽えているエカルラート。ディアンシーの言葉に耳を傾ける様子も見られない。本来は彼は、下っ端と比べ物にはならない位の小物のようだ。
 それを見兼ねて一人の男が現れる。

「エカルラート様、我々の負けです。大人しく『女王』の元へ戻りましょう」
「で、でも、怒られ」
「負けは負けです。さぁ」

 部下を呼び出した後、部下たちは怯えるエカルラートを連れて消えていった。彼の叫び声が、洞窟中に木霊していく。
 やがてそれが消えた後、男はこちらを睨み付ける。

「やるな、貴様ら。見くびっていたぞ。だがしかし、これは序の口に過ぎない。いつしか大いなる絶望が貴様らが呑み込み、支配するであろう。今回の勝利は貴様らにやる。だが覚えておけ、最後に笑うのは──俺たち『フレア団』だ」

希望 ( No.295 )
日時: 2016/01/29 21:17
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)

 ディアンシーの仲間たちは解放され、国は平和を取り戻した。フレア団たちの攻撃によりみな傷ついていたが、そこまで重症ではなかったので、二週間程休めばまた動けるだろう。
 その後、ディアンシーはメガシンカで新しく聖なるダイヤを造り出し、王国の生命の維持を保つことが出来た。
 短い間だが、ディアンシーは成長した。当時は無邪気で好奇心旺盛かつ、世間知らずの箱入り娘ではあったが、今では麗しく、頼もしいプリンセスとなった。そんなディアンシーを、国民のみんなは誇りに思っていることだろう。
 ディアンシーは、ロザリーとアイニスに、掌サイズのダイヤモンドをプレゼントした。始めて造ったダイヤらしい。丁度金が欲しかったアイニスとロザリーは、このダイヤモンドを使ってお小遣いにしよう……なんて考えず、大切にする、と言った。
 王国を取り戻し、立派な姫として成長したディアンシー。しかし、それは、別れを意味することにもなっていた。アイニスは唇を尖らせ、ロザリーは相変わらずの不機嫌そうな表情だったが、瞳を歪ませていた。
 ディアンシーも涙を浮かべていたが、最後は

「ありがとう、アイニス、ロザリー。わたくしは、このことを絶対に忘れません」

 ルビーのように瞳を光らせ、どの宝石よりも輝かしい笑顔で、ディアンシーは微笑んだ。

 ディアンシーと国民たちに見送られながら、洞窟を後にする二人。アイニスは手を軽く振り、背中を向けて、先にいるロザリーの後を追う。
 もう、ディアンシーたちの声も、姿も、無くなった。
 いやぁ、大冒険でしたなあと、呟くアイニス。フレア団とは二度も遭遇したし、メガシンカを二度も目撃したので、メガシンカを見てもあまり驚かなくなった。次にメガシンカがきたって、平然としていられる気がする。
 ふと、ロザリーの足音が聞こえないことに気付く。振り返ると、ロザリーが立ち止まっていた。
 どしたの〜? と駆け寄るアイニス。ロザリーは、顔を上げて、何かを決心したかのように、真剣な顔をする。

「私……ママに謝ってくる」
「お、いきなり何だ!?」
「私も、かつてのアイツと同じで、今の自分じゃ駄目だって諦めてた。だけど、それでもアイツは前を向いて、希望を信じて戦った……。私も、希望を信じてみようと思う。許してくれないと思うけど、このままじゃ嫌だし……気持ちを伝えなきゃ、わかってくれない……アンタたちとも、約束しちゃったしね。仲直りをするって」
「ロザちゃん……!」

 ロザリーはこの件で、吹っ切れたようだ。この旅は、ロザリー、アイニス、ディアンシーにとっても、良い経験となった。希望を持つこと、諦めないこと……それらの経験はやがて、アイニスたちの味方となる。

「だから、アンタとは此処でお別れ。……いい、私の代わりに、カロスの美味しい食べ物を沢山食べてきなさいよ!!」
「……おう!」

 ロザリーの髪飾りに付けているダイヤモンドと、アイニスの腰のチェーンに繋がれているダイヤモンドが、光った。



 『女王』は不機嫌である。ディアンシーを捕らえられなかったこと、"レプリカ"が消えてしまったこと、任務が失敗に終わってしまったことに、苛立ちを感じていたからだ。
 だから、こんな出来損ないを『息子』と呼ばせる資格なんてない。それに、まだ『子供たち』はいる。『エカルラート』の代わりなんて、何千人もいる。だから、彼の名前を剥奪させ、『お仕置き』しておいた。
 だけど、得したことが一つ。それは、"負の感情"だ。これらをまた集結させれば、また"レプリカ"だって造れるし、"繭"の目覚めも、近くなる。
 その為にも、核兵器の力を浴びた"花"と"王"の協力も、いずれ、必要となるだろう。
 ふと、蒼顔に、片方のみ手袋を掛けた、男が入ってきた。どうやら、お客が来たらしい。本当なら、此処で追い出そうと考えたが、"少女"を見て、それも止まった。
 ボサボサの、腰まで届いた黒髪の三つ編み、ボロボロのセーター、ミニスカートに褐色肌。あどけない顔立ち。そして──酷く澄んだ瞳。
 彼女はどうやら、『広告』を見てやって来たらしい。

「おねがいです、ここではたらかせてください!!」

 三つ編みを揺らして、頭を下げる少女。
 その少女を見て、暫くした後、『女王』は近づき、微笑む。その笑みは、どことなく"悪魔"の笑みにも近いことに、少女は気付かなかった。

「ようこそ、"新入り"さん。期待しているわ……」

To be continued

【青年の、内に秘めたthought-毒-】 ( No.296 )
日時: 2016/01/30 14:03
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
参照:

 今日も仕事-演技-を終えた。これは長年も務めているので疲労は感じられないが、それでも疲れは溜まっている。
 ネクタイを乱雑に解き、床に向けて投げ出すと、執事がはしたないですよ、とネクタイを拾った。
 執事の言葉に耳を貸さず、ワイシャツのボタンを外し、彼の白い鎖骨を露にした。ネクタイは窮屈だ、この方が落ち着く。
 今日もまた、パーティーが行われていたのである。パーティーは幼少期から慣れていたが、集団は苦手であり、人間関係はあまり好まない。それでも、その本性を隠そうと、仕事-演技-を全うした。営業スマイル、女性との付き合い、気さくな性格──全てが完璧ではないといけない。
 そういえば、パーティーには、彼も来ていた。松葉のような赤い髪に、黒のスーツの男。彼が新しい技術を開発したその記念として、パーティーが主催されたのだ。
 男と言葉を交わした時には、彼の眉がひそめられていた。それに反応して、私も眉を動かした。それでも、邪険なオーラだけは発さずに済んだ。恐らく、彼も、私も互いの"本性"に気付いていることだろう。
 ソファに腰掛け、目を閉じると、バウッと鳴き声を上げて、こちらにやってくる足音が聞こえてきた。闇に溶けまれた部屋の中、背後に差し込まれた光と共に、愛犬がやって来た。
 おいで、と招くと、愛犬は嬉しそうに駆け寄る。フルフルと尻尾を振る愛犬の頭を撫でた。すると、愛犬はこちらの膝に擦り寄ってくる。
 微かに青みがかった上弦の月が私の視界に入り込む。そこで、私は改めて決意した。

(私は、絶対に突き止めてみせる)


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