二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 生命と破壊の花【ポケモンXY】completion-完結-
- 日時: 2016/02/01 00:44
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29995
──僕たちは生kill、この世界を──
【前書き】
クリックありがとうございます、本作品『生命と破壊の花』を筆記を務める元カルマのマルガリータです!
この作品は、2013年10月13日に発売されたゲーム、ポケットモンスターシリーズ『ポケットモンスターXY』の小説です
何故XYかというと……5月にポケモンセンターでポケモンXYグッズが販売されていたのを見て、懐かしい気分に入り、久し振りに向き合ってみようという気持ちになったからです
※注意※
・大まかなところは原作沿いですが、オリジナル要素が少々出てきます。なので、オリキャラも登場します
・シーズン2からカルムがギャルゲーの主人公。マルガリータ版ディック・グr( アイニス「おい、ポケモンバトルしろよ」
・バットマンネタ自重しろ、このにわか
・誹謗中傷、このスレに関係のない話や雑談、個人情報に関する話があった場合はスルーします。以前、とある方がそのコメントをしてきて非常に困りました
・グロ描写はないものの、死ネタあり。キャラ殺しはマルガリータ特権です
・バトルシーンは苦手なので、少々見苦しいと思います
・イメージCVはほぼ吹き替え声優をチョイス。有名声優チョイスしろ
・俺/私のカルムに何するものぞ、マルガリータァァァ!!(要するにカルムがだれおま)
拙い文章ですが、よろしくお願いします!
9/23 こーすけさんとクロスオーバー作品を始めました→>>169
12/25 フラン・ブレイク・ガルシアさんとの合作始めました→>>251
8/11 タイトル変更しました。『生と死の狭間で』→『生命と破壊の花』
【新着情報】
1/30 終章 更新>>296
1/30 後書き >>298 new
このスレは02月01日を持ってロックさせて頂きます。続編は参照からお願いします
僕たちがこの美しい地方で見つけたものは──
登場人物
>>23
序章【カロス地方昔話】
>>01
シーズン1 始まりは唐突に……編
アサメタウン・メイスイタウン編【すべてはここから始まる】
>>02 >>03 >>04 >>07
ハクダンシティ編【バトル&ゲット】
>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>21 >>22
ミアレシティ編【メガシンカ】
>>33 >>35 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46
コボクタウン・パルファム宮殿編【その男、大富豪であり、プレイボーイ】
>>55 >>62 >>63 >>74 >>79 >>85 >>87
シーズン2 カルムのポケモン活躍編
コウジンタウン編【毬栗から棘鎧への進化】
>>95 >>96 >>97 >>99 >>105 >>109 >>110 >>111
ショウヨウシティ編【壁】
>>112 >>119 >>128 >>146 >>154 >>157 >>158 >>159
セキタイタウン編【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】
>>179 >>183 >>186 >>193 >>194 >>195 >>200
シーズン3 ディアンシー編
麗しき宝石のプリンセス
>>205 >>206 >>207 >>209 >>210
再会を目指して
>>215 >>220 >>230 >>284 >>285 >>286
希望
>>288 >>289 >>292 >>294 >>295
【終章】
>>296
【短編】
『ポケパルレ』ハリマロン、ピカチュウ、ゼニガメの場合
>>49 >>50
『I want to be……』ミアレシティ編終了後、ハリマロン視点
>>94
『南瓜は食べるものではなく、被るものなのです』ハロウィンss
>>214
『手のかかる隣人』カルム+セレナ。子供のようなカルムとオカンセレナ
>>216
『一番なのは君!』アニポケとちょいリンクしてます
>>231
『これからも、この先も』PUFFYの『これが私の生きる道』を聴いて思ったこと。ブログに飛びますのでご注意を
>>266
【番外編】
『ポケモン不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険』ポケモン超不思議のダンジョン発売記念日
>>132 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>145
『a little SantaClaus』ユリーカとアイのクリスマス
>>239 >>240 >>242
『ぼくとおれ』原作カルム登場
>>253 >>263 >>264 >>265 >>271
【頂き物】
アーリアさんに、カルム&セレナvsしたっぱ兄弟のドット絵を描いてもらいました!
>>100
別サイトの絵師様からエカルラートを描いて貰いました
>>227
【イメージ主題歌】
『TEEN TITANS THEME(日本語版)』PUFFY
【小ネタや元ネタ一覧】
>>208
12/20 連載してから半年が経ちました
>>233
新年の御挨拶
>>279-280
後書き
>>298
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- 後書きと次回予告 ( No.7 )
- 日時: 2015/06/20 23:32
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: DUUHNB8.)
- 参照:
本作でも後書きと次回予告を筆記させて頂きます、作者のマルガリータです
『大地と海と空と』同様、ストーリーが終えた後にこのコーナーをたびたび出させていきます。作者以外にも、主人公やオリキャラにも喋らせて頂く予定です
まずはこの作品から。この作品は1ヶ月前から筆記しようと計画を立てていました。主人公はどうしたら良いか、オリキャラをどう登場させようか、どんなパーティーにしようか、版権要素があっても良いんじゃないか等、色々試行錯誤がありました
そんなこんなで、『生と死の狭間で』が出来上がりました
特に悩んだのは主人公カルムですね。自分が書く主人公はクール系が多いので、本作はそうしないようにしましたね。特にカルムの容姿は、ポケモンXYのカルムそのままだし、クールなイメージが高いので、それを壊してしまわないように心がけました。明るいけれど、あまり熱血漢にさせないようにとか。まだ描写されていませんが、カルムの性格は今後現させます
カルムの初パートナーであるハリマロンは連載前に既に決まっていました。他の小説やグッズでもカルムとケロマツコンビのイラストが多いので、カルムとハリマロンコンビでも良いじゃないか!とムラムラしていた気持ちと、XYで初めて選んだのがハリマロン(一目惚れという理由で)なので、ハリマロンにさせました
そして、本作オリキャラであるアイニス。彼がサナの代わりに御三家のケロマツをゲットします。アイニスはセレナやサナ、ティエルノとトロバの性格が被らないようにしました。其処で思いついたのが、面倒くさがり屋なアニオタ少年です。彼がケロマツを選んだ理由は、ケロムースを使って眠れるという理由でしょうね、きっと←
原作ではサナとバトルシーンがありますが、此処では必要ないかなーと思い、省略しました。そのせいでカルムの性格が生かせなかったんですが←
……次こそ生かしてみせる!
後書きはこれ位にして、次は次回予告をどうぞ。担当は主人公カルムです
◆
プラターヌ博士から図鑑完成の依頼を受け、カロス地方を旅することになった僕たち6人。
まずはハクダンシティを目指し、いざハクダンの森へ!
ハクダンの森の先に待ち受けるものとは一体……?
次回ハクダンシティ編【バトル&ゲット】お楽しみに!
『此処までの冒険をレポートに書き残しますか?』
→はい
いいえ
・ ・ ・ ・
『カルムはレポートをしっかりと書き残した!』
- 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.8 )
- 日時: 2016/02/17 23:58
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: f/YDIc1r)
- 参照:
そんなこんなで始まったカルムと相棒のハリマロンの旅。どうしてこうなったのかわからないが、サキは「ポケモンと一緒の旅は素敵なことよ」とのことで荷物を旅用の運んでくれたり、着替えなどを持って来てくれた。
カルムもポケモンとの旅に憧憬を抱いていたので、異議は無しだ。
サイホーンと共にいってらっしゃい!と声をかけてもらい、旅が楽しみになって来た。
「よろしくな、ハリマロン!」
マロハリー!
パートナーはにっこりと笑い返してくれた。
◆
ハクダンの森。其処には沢山の虫ポケモンが生息しており、その森を抜けると、次の街ハクダンシティが見えるのだ。
森なので薄暗く、少々不安だが、ハリマロンがいるので安心だ。
カルムが森の中を歩き回っていると、サナに呼び止められる。
「カルタロ!一緒に行こっ♪一緒だと何だかワクワクしそうなんだもん♪」
「おっ、良いよ!一人で行くより二人の方が心強いしね」
互いの意見が一致し、カルムとサナは一緒にハクダンの森を抜けることに。
「ねぇ、カルタロ。この森にはね、ピカチュウっていうポケモンがいるんだって!」
「ピカチュウ?」
「とーっても可愛いポケモンで、電気タイプのポケモンなんだって!だからね、あたしこの森でピカチュウに会ってゲットするんだ♪」
カルムはピカチュウ見たことが一度もない。見たことあるとしたら、サキのサイホーンにヤヤコマ、そして、ハリマロンたち位だ。なので、ピカチュウがどんなポケモンなのか興味があった。
「いいな!僕もピカチュウを見てみたい!」
「でしょ?一緒に探そうよ!」
カルムとサナは一緒にピカチュウを探すことになった。
しかし、どれだけ探しても、どれだけ呼んでも、結局ピカチュウらしきポケモンは姿を現さなかった。
「ピカチュウ見つからないね……」
「見つかるのは、虫ポケモンとヤナップたち位だ……」
探し疲れてぐったりと座り込むカルムとサナ。
ピカチュウは滅多に姿を現さないポケモンだとトロバから聞いたとサナは言っていたので、もしかしたらピカチュウはこの森にはいないのだろうか、と絶望し始める。
いいや、そんなことないとカルムは打ち消し、立ち上がる。
「僕は諦めないぞ!必ずピカチュウを見つけてやる!」
「サナも!」
カルムとサナは元気を取り戻し、もう一度ピカチュウを発見しようと再開する。
そんな時、カルムの頭上から何かが落下して来た。
「わっ!何だ?」
「!カルタロ、ピカチュウだよ!」
「えっ、本当!?」
『No.36 ピカチュウ 鼠ポケモン
赤い頬っぺたは電気袋であり、元気のない仲間に分け与えることが出来る。ピンチの時には放電する』
カルムの帽子の上に乗ってきたのは、黄色い体にピン、とたった先端が黒い耳、愛嬌たっぷりの顔立ちと瞳、そして、ギザギザの尻尾にはハートのような形になっている。このポケモンこそが、カルムとサナが探し求めていたポケモン、ピカチュウである。
ピカチュウは小悪魔のようなと笑みを浮かべて……電撃を放った。
「ぎゃあ♯∝∽Aヱヴ♪ゐΔヱ¶∝♭ゐヵ!!?」
ピカチュウの電撃を受け、人形の糸が切れたかのように倒れるカルム。
サナはカルムに駆け寄る。
「カルタロ、大丈夫!?」
「な、何とか……」
サナに支えられて、後頭部を抱えながら上半身を起こす。
ピカチュウは、悪びれた顔もせず、クックックッと片手に口を寄せて笑っている。その片方の手には、カルムのお気に入りであるサングラスがあった。
あれは、僕の大切な、サングラスだ。カルムはピカチュウが持っているサングラス目掛けて手を伸ばす。
「! それを返せ!」
しかし、ピカチュウは嫌だよぉ、と言わんばかりにあっかんべーをし、走り去っていく。それを、カルムが見過ごす訳にはいかなかった。
- 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.9 )
- 日時: 2016/02/18 00:08
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: f/YDIc1r)
- 参照:
「待てー!」
逃げたピカチュウの後を追う為、走り回るカルムとサナ。
ピカチュウは走りながらこちらに振り向き、あっかんべーをする。その反省の色もない行為に、カルムは困惑を覚えた。
「はあっ……はぁ……速すぎて追いつけない!……出番だハリマロン!」
「あたしも!エネコちゃん、お願い!」
『No.78 エネコ 子猫ポケモン
動くものを追ってしまうので、自分の尻尾を追いかけて、同じ場所をグルグル回るという可愛らしい面を持つ』
カルムはハリマロンを。サナは薄桃色の子猫のようなポケモン、エネコを繰り出した。にっこりと笑った顔をしている。
「ハリマロン、ピカチュウにつるのムチだ!」
「エネコちゃん、うたう!」
ハリマロンは肩から緑色の鞭を使い、ピカチュウに叩き付けようとするが、背後にいるのを悟ったのか、ピカチュウは回避する。
エネコは可愛らしい歌声でメロディを奏で、ピカチュウを眠りにつかせようとするが、ピカチュウはかわす。
「全……然……当たらな……」
「それより……サナ……眠くなって……」
逆にカルムたちを眠りに誘ってしまい、カルム、サナ、ハリマロンはその場に倒れ込み、寝息を立てる。
ピカチュウはその隙を狙い、自慢のスピードでその場を去っていった。
歌い終えた後、エネコは眠っているカルムたちを見て、驚愕した。
起きているエネコは困惑し、カルムたちを起こそうと尻尾でおうふくビンタをした。
「!サナたち、寝ていたみたい……」
「それよりピカチュウは?」
いない。あるとしたら、樹に虫ポケモンたちばかり。どうやら逃げられてしまったようだ。
がっくりと、カルムは項垂れた。あぁ、お気に入りだったのにな。しかし、ピカチュウはもう既に消えていたので、諦めるしかなかった。
◆
カルムとサナはピカチュウの行方を探った。しかし、ピカチュウは何処にもいなかった。ハクダンの森を逃げ出したのだろうか。それでもサングラスの恨みを晴らそうと奮闘するカルムなので、あちこちと探す。
「ピカチュウいないね……」
「ああ、一体何処にいるんだろう」
そんな時、
ピカッチューー!!
ピィアアア!!
森中に響く轟音と鳴き声。一匹目の鳴き声には面接があった。
カルムのサングラスを加えて逃げるピカチュウ。それを追いかける蜂のようなポケモン。
『No.28 スピアー 毒蜂ポケモン
両手とお尻にある3本の毒針で相手を攻撃し、猛毒にさせる』
両手と尻にある3本の毒針に羽の生えたポケモン、スピアーが何匹もピカチュウを狙って追いかけている。ピカチュウの悪戯癖によって、スピアーを怒らせてしまったのだろう。
これはピカチュウが作り出したことなので、自業自得だが、あんなに憎かったピカチュウが、今では助けたい気持ちに駆られる。
「わわっ、ピカチュウがスピアーたちに襲われてるよ!」
「助けに行くぞ、サナ!」
「うん!」
幾らスピードの高いピカチュウにでも、体力は切れてしまうものなのだ。疲れきったピカチュウはその場に倒れ込む。それと同時に、口に加えていたカルムのサングラスが転がり落ちる。しかし、スピアーたちはそれを許さなかった。
ピカチュウはサングラスに手を伸ばしたが、何者かの攻撃により、サングラスは壊されていた。ハッと目を見開いた。
振り向くと其処には鬼の形相となったスピアーたちが。
スピアーたちはピカチュウに目掛けて両手の毒針を下ろそうとするのを見て、もう駄目だ、と覚悟を決めて目を瞑る。
「ハリマロン、ころがる!」
「エネコちゃん、たいあたり!」
ぐるんぐるん。頭の棘を尖らせて転がるハリマロンとスピアーたちを体当たりするエネコ。
ピカチュウは目を見開いた。
次の瞬間、ふわりと体が浮いた気分になる。顔を上げると、其処には以前悪戯をした帽子の少年。隣には少女がいる。
ハリマロンたちがスピアーたちを倒したのを確認した後、カルムたちはポケモンを戻し、ピカチュウを抱えて逃げ出した。
◆
シューッ
キズぐすりをかけると、ピカチュウは痛いと言わんばかりに叫ぶ。
カルムはピカチュウからキズぐすりを離し、バッグの中にしまう。
「もう終わったぞー」
「これでもう大丈夫だよ!」
笑うカルムとサナ。
ピカチュウには訳がわからなかった。あんなに悪戯をして、挙げ句には大事なサングラスまで壊したというのに、何故優しくしてくれるのだろうか。
カルムは、壊れたサングラスに目をやる。粉々になっていて、直せそうにもない。あぁ、怒られるだろうな。
しかし、それを介せずに、カルムは笑っていた。
「何でだろうね、サングラスを壊されて、悲しいのに……だけど、スピアーたちに追いかけてられているお前を見てたら、助けなきゃって思ったんだ。僕でもわからないや。……ま、いっか。悪戯は程々にな。じゃあな!」
立ち上がり、踵を返すカルムとサナ。
その後ろ姿を、ピカチュウはずっと見つめていた。
- 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.10 )
- 日時: 2015/06/29 20:37
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: z0poZTP7)
- 参照:
「カルタロって、優しいんだね♪」
「え?」
「大事なサングラスを壊されて散々悪戯されたのに、ピカチュウを助けるなんて、カルタロは優しい人なんだね」
「そ、そうかな」
ハクダンの森の出口。カルムとサナはピカチュウの話をしていた。本当ならこのまま抜けて3番道路へ向かうのも良いが、サナの提案で「みんな一緒で出よう」となったので、4人を待つことにした。
暫くサナと喋りながら待っていると、オーク色の髪を揺らしたセレナがこちらに向かって来る。
「あら、お隣さんとサナ」
「あ、セレナ!」
「貴方たちが先ってことは、つまり才能のあるトレーナーなのね、貴方たち」
「?」
意味深な発言をするセレナ。その意味が全くわからなかった。
その間、ティエルノ、トロバ、アイニスがやって来た。
「色んな動きのあるポケモンが見れて良かったなぁ!」
「ティエルノさんは動きすぎるんですよ……」
「色んなトレーナーに声かけられて面倒くさかった……」
全員揃った。これで一緒に抜けられる。
「みんな、そろったね!それじゃ……」
「待って」
森を出ようとするサナをセレナが制する。そして、視線をカルムに変える。ティエルノたちも目線をカルムにする。
カルムは訝しげな顔をする。
「ねぇ、お隣さん。貴方の頭にいる"そのポケモン"は……何なのかしら?」
「え?」
自分でもわかる位、間抜けな声だと思った。
その時、ピカッ♪と可愛らしいポケモンの鳴き声が聞こえた。
カルムは目線を上げる。
ピカチュウと目が合った。
黄色い体、長くて先端が黒い耳、先がハート形のギザギザの尻尾、そして、愛嬌たっぷりの顔立ちは裏に秘めた本性を隠す。
「さっきのピカチュウ!?何で?」
何故だ。ピカチュウは先程カルムたちと別れた筈だ。それなのに、何故カルムの頭の上に乗っているのだろうか。
カルムとサナの驚愕をよそにピカチュウは笑い続ける。
セレナは訊ねる。
「ねぇ、サナ。このピカチュウって何なの?」
「この森に住んでるピカチュウだよ。とっても悪戯好きなんだけど、さっきスピアーたちに襲われたのを助けてあげて、別れたんだけど……」
「……もしかしたら……カルメンについて来たんじゃないの?」
アイニスが言う。眠気が覚めたのか、欠伸はしなくなったがジト目だ。相変わらずカルムの名前を間違えている。
驚いたカルムはピカチュウにそうなのか?と訊くと、ピカチュウはピッカ♪と頷いた。どうやらこのピカチュウはカルムを気に入っている様子だ。スピアーたちから助けてあげたことから影響しているのか。
「……僕と一緒に来るか?」
「ピカッチュ!」
迷い一つもない笑みと答え。
カルムは満足げによし、と頷き、バッグからモンスターボールを取り出し、ピカチュウの頭にコツン、と触れさせる。
ピカチュウはモンスターボールの中に吸い込まれ、姿を消した。
最初は抵抗をするかのようにカタカタと動き始めていたが、次第に揺れは収まり、やがて動かなくなる。つまり、ゲット成功なのだ。
カルムの初めてのポケモンゲットである。
サナが驚愕して叫んだ。
「えええっ、ピカチュウがボールの中に入った!?」
「貴方のエネコは何の中に入っているのよ。……それより、ゲットもお隣さんに先に越されるなんて、悔しいわ」
「え?」
以前からセレナはよくわからない発言をする。先に行っただけで才能あるトレーナーとか、ピカチュウを捕まえただけで悔しいとか、一番に拘りを持たないカルムには、よくわからなかった。
「じゃあ、気を取り直して、ハクダンの森を抜けましょう!」
「オーライ!そうだね!」
カルム、セレナ、アイニス、サナ、ティエルノ、トロバの6人は、一斉に足を踏み出してハクダンの森を抜けた。
◆
森を抜けた後の日差しが眩しい。晴天を遮っていた樹はなくなり、虫ポケモンたちの声も聞こえなくなっていた。3番道路に着いたのだ。
サナが訊ねる。
「ねぇ、みんなはこれからどうするの?」
「アタシはハクダンシティに行って、ジムリーダーに挑んでくるわ」
「もうジムリーダーに挑むの!?セレナすごーい!」
ジムリーダーは各地方にもいるポケモントレーナーだ。普通のポケモントレーナーとは比べ物にはならない程の強者で、それぞれのジムリーダーは違うタイプのポケモンを使ってくるのだ。ジムリーダーは全部で8人。ジムリーダーに勝利すると、ポケモンリーグに挑む時に必要なリーグ公認のジムバッジが貰えるのだ。そして、ジムバッジを8つ集めると、ポケモンリーグに挑むことが可能で、ジムリーダーよりも遥かに強い四天王を勝ち抜いた後、そして、地方の中でも最も強い、チャンピオンと対戦することが出来るのだ。
セレナの両親は、かつては凄腕トレーナーらしく、セレナもその血が流れているからか、自信があるのだろう。
「あたしは可愛いポケモンを捕まるんだー♪」
「僕は動きのあるポケモンを探しに行くよ」
「僕は……博士のお手伝いを進める為、色んなポケモンを探そうと思います」
「オイラはハクダンシティに行って寝る……。沢山歩いたから疲れちゃったよぉ……」
「カルタロはどうするの?」
みんなは決まっているが、カルムはまだ決まっていなかった。
「僕は取り敢えず、ハクダンシティに行って、ポケモンを回復させてから考えようかなって思ってる」
「そっか、カルやん、セレナ、アイニスはハクダンシティで僕たちはポケモン探しなんだね」
「そういうことになるね」
「じゃあまたね!」
サナ、ティエルノ、トロバはポケモン探し。カルム、セレナ、アイニスはそのままハクダンシティに向かうことになった。
サングラスを乗せていないハンチングを見つめながらセレナは向かった。
- Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.11 )
- 日時: 2016/01/28 18:16
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
- 参照:
良いにおいだと思った。
建物や花壇に飾られ、咲き乱れる花の香り、注がれるコーヒーやショコラの香ばしい香り、ポケモンの形を象った像の噴水からのマイナスイオン。まるで甘い蜜に誘われてやって来た虫ポケモンの気分だ。
カルムが感じた、ハクダンシティの第一印象だった。
ハクダンシティはアサメやメイスイとはまた違った街で、初心者トレーナーの為に建てられたポケモントレーナーズスクールという施設があり、此処でポケモンを学ぶトレーナーが数多い。そして此処には、セレナが挑もうとしている──ポケモンジムがある。カルムも勿論挑む予定だ。
ハクダンシティに到着後、アイニスは疲れたと呟き、ベンチに寝転んでいる。面倒くさがり屋で怠惰な性格である彼には、ハクダンの森を歩いただけでも疲労を感じるのだろうか。同い年であるカルムは、まだまだ元気だ。
アイニスはケロマツを繰り出し、ケロムースを出すように指示を送ると、ケロマツは少し呆れた顔で、ケロムースを出す。とてもふわふわで触り心地は良さそうだ。
アイニスはケロムースを枕代わりにして、一秒も経たないうちに爆睡に落ちる。それをケロマツは見つめている。こんな怠け者が主であると、そのポケモンは大変そうだ。
その様子を見た後、カルムはポケモンセンターへ向かおうとした瞬間。
「待って、お隣さん」
振り返ると、セレナと目が合った。その表情は、微笑みでも眉間に皺を寄せている訳でもなく、無表情である。一体、何の用だろうか。
セレナはカルムの方へ歩む。
「ちょっと良いかしら?」
「え?良いけど」
返答すると、ついて来て、と踵を返して歩き出し、何処かへと向かおうとしているセレナ。
セレナの背中を見つめながら、カルムはセレナの後を追う。
◆
店のウィンドウに飾り付けられたマネキンと、その服。そのコーディネートは、バッジのついた帽子に半袖パーカーとハーフパンツといった、駆け出しトレーナーに似合いそうな服装でファッションに鈍感なカルムでさえ惚れてしまう程のセンスである。
店舗の中は、何人かの男女が服を装着させたマネキンを眺めていたり、棚に置かれた帽子や羽飾りを眺めている。
ブティックである。
カロス地方の各地には幾多のブティックが建設されており、街に合わせた服装や帽子、そして、羽飾りなどが販売されてあるのだ。だからあのマネキンのコーディネートは、ハクダンシティの特徴に合わせてチョイスされたのだ。
しかし、何故セレナは自分を此処に連れて来たのだろうか。どの服が自分に似合うかとカルムに尋ねさせるのか。しかし、クールである彼女はそんなことは少なくともしないだろう。
セレナは棚に置かれた帽子や羽飾りを触れたり、じぃっと見ていたりする。やはり、彼女のショッピングだろうか。
にぎやかなBGMと人々の話し声が聞こえる中、セレナは黙ったままで、一言も喋らなず、カルムに目もくれない。流石にそれは気まずいし、自分に何をさせたいか聞きたいので、カルムは切り出した。
「なぁ、セレナ。僕を呼び出したのって、一体何──」
「少し黙ってくれない?集中出来ないわ」
振り返らず、帽子や羽飾りに視線を送る中、カルムの問いを棘のついた言い方で遮る。その口調に対してカルムは怒ったり、悲しんだりもせず、彼女の言う通り、口を閉じる。
それが続く中、セレナは帽子と羽飾りを取り出す。
「はい、お隣さん、これ被ってみて」
「え?」
渡されたのは、今身に付けているハンチングと色違いの黒い帽子に、チェック柄の赤いピンズと小さな灰色のピンズだ。男性向けのファッションである。
受け取った後、さ、早くとセレナに背中を押され、試着室に入るカルム。
一体何なんだ、としぶしぶ思いながら、鏡と向き合い、ハンチングを外し、帽子とピンズを付けた。
開けて良いよ、と許可を出すとセレナはカーテンを開け、カルムを見つめる。
青と黒を基準としたシックなコーディネートは、何処か都会人を連想させる。 性格とは裏腹の、ダークカラーの衣装は彼をクールな雰囲気にさせていて、まるでファッション雑誌を読んでいるような気持ちになる。
セレナは微笑む。
「似合ってるじゃない」
「それはどうも。……だけど、何で僕を呼び出したのさ?」
「サナから聞いたわよ。貴方、ピカチュウにサングラス壊されたんでしょ?そのままでも素敵だけど、アタシはオシャレに煩い方で、そのままだとイマイチだと思ったの。だから貴方を直接呼んで、何が似合うか調べていたのよ」
小悪魔ピカチュウに壊されたお気に入りのサングラス。今は帽子に付けておらず、バッグの中にしまい込んでいる。ピカチュウもカルムのポケモンとなったので、あまりしないと思うのだが、少しだけ気にしていたのだ。セレナはそれを察していたのだろう。気遣いのある優しい少女だ。
カルムは微笑む。
「サンキュー、セレナ!」
「……!」
それを見てセレナは目を見開いている。カルムはどうしたと問うと、セレナはいつもの表情に変わり、何でもないと踵を返した。
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