二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】
- 日時: 2016/11/04 22:15
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: y36L2xkt)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29930
どうも。伊那さんこと伊那谷ユウナですよ。
今回はサモンナイト4を軸にやっていこうと思います…が、他作品もかなーり混ざりますのでご注意。ちなみにメインは若様と従者、それと召喚師の少女かと。
矛盾があったらすみません。時系列は4本編終了後。では、いってみよう!!
『今宵はじまりますのは、愉快痛快奇々怪怪な物語でございます』
*イメージOP
TRUSTRICK【innocent promise】
*イメージED
河野マリナ【花痕 -shirushi-】
*目次
・募集用紙 >>01
・参加を予定している作品 >>28
*募集キャラクター
☆ハンディス
・クック >>16
・月村すずか >>31
・天龍 >>38
・怨霊戦艦姫 >>39
☆なにがし
・零某 >>26
☆ネフライト・メタリア
・実渕廣人 >>41
・田口華世 >>46
・氷高海斗 >>71
☆坂神銀拳心
・坂田銀花 >>101
募集キャラクターはまだまだ募集中!サモンナイトを知らない人でも大歓迎であります!!
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- Re: 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】 ( No.113 )
- 日時: 2016/07/17 20:02
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: YVCR41Yb)
すずかに案内された場所は、紫電の館だった。曰く、偶然銀時が散歩していたところ、重傷のカゲトラを見つけたらしい…そして一番近い紫電の館に運んだと。一同はなだれ込むようにカゲトラが眠る部屋へと入った。
「…来たか」
と言ったのはアズリア。彼女は壁に寄りかかり、非常に疲れた顔でカゲトラを見ていた。それと彼が眠るベッドの側にはウィルと見知らぬ女性がいた。
「……うん。これでなんとか大丈夫」
「すまないアリーゼ。休暇中の時に呼び出して…」
「平気だよ。ウィル君が頼むだなんて滅多にない事だし、ね?」
飴色のロングヘアと目を持つ彼女は、自身のメガネに少し触れて微笑む。それはさながら聖母…笑みひとつで癒される、そのような雰囲気を持っていた。
「……お取り込み中すまないけど、貴女は?」
「ああ、失礼しました。私はアリーゼ・マルティーニ。帝国軍医療専門部隊【瑞雲】に所属する軍医です」
「アリーゼは僕の従姉妹で、彼女の医療に関する召喚術は瑞雲の中でも上位に達しているんだ」
ウィルに褒められて、そんな事ないよと少し照れ臭そうに笑うアリーゼ。
「カゲトラは大丈夫なの?」
「はい。発見が早かったのと重傷とはいえ、致命傷には及ばなかったのが幸いでした…意識に関しては恐らく数日で回復するかと」
「よ、よかった…」
取り乱していたすずかはホッとする。ウィルはアリーゼを送っていくと言って出て行く…もう外は夕日が沈もうとしていた。
「まさか、カゲトラがここまで深手を負うとは…」
「アズリア、何があったの?」
「西地区の商店街に不審者がうろついていたらしい…カゲトラが様子を見に行った結果がこれだ」
「商店街…って、少し前までに俺たちがいたあたりじゃねーか!」
「なのに気づかなかったって…どういう事?」
確かに何かしら揉め事があれば誰かが気づくはずだ。
「可能性は二つ。一瞬でケリがついてしまった、もしくは私達があの結界の中で不気味な化け物と戦ったのを同じく、結界を張っていたか…」
「となると、谷裂さん達が関係あるって事ですか!?」
「いや、二人を見るからに事件の事はあまり知らなかったようだし…私達の知らない誰かが仕組んだかもね」
考えれば考えるほど、頭がこんがらがってしまうというのが現状だった。もしかすると自分より賢明なセイロンがいたら変わってるかもしれないけど…と思いながらも、ユーインはどうしようもないから解散しよう、と提案したのであった。
「…あら?」
窓をよく見ればカラスがじっとこちらを見ている。ユーインはそれに見覚えがあった。
「なんだ、そのカラスは」
「キバシのだわ…もしかして、行ったの?」
「ァー!!」
カラスは首を縦にふる。その意味は一体何だったのか…それはユーイン以外には、よく分からなかった。
☆
「ありがとう、ウィル君。送ってくれて」
「いや、構わないよ。僕が無理矢理連れてきたんだからこれぐらいしないと」
ところ変わりまして。ウィルはアリーゼが住む瑞雲の館へと送っていた。最近物騒だからというのもあるが、瑞雲は中々に頭が固…自他共に徹底とした部隊なのでウィルから色々と瑞雲の上官に説明しなければならなかった…昔のアズリアの何倍も厳しいその人と会わないといけない、というのは流石のウィルも頭が痛かった。
「なんというか…変わったね、ウィル君」
「えっ、そうかな…?」
「変わったよ。雰囲気が柔らかくなった、というか…私なんてあまり進歩なくて…」
「そんな事ないよ。今のアリーゼは面と向かって自分の意見を伝えられてるじゃないか」
冷めた少年と内気な少女ーーーそれがかつての二人。互いに色んな経験をして、こうして今の自分がいる。それは喜ばしい事なんだろうけども、同時に複雑なものだとウィルは知っていた。
「…ねえ。ウィル君はいつお休みを取るの?」
「来月、かな。先生の子供が誕生日を迎えるんだ」
「そうなんだ」
アリーゼは彼が体験した出来事を知っている…正確には彼と、彼の双子の姉が体験した出来事なのだが。
「その時はベルフラウちゃんによろしくって伝えて欲しいな」
「いつか島に来なよ。ベルフラウも喜ぶと思うから」
「うん、そうする」
そして、夜は訪れようとしていたーーー
☆
次回、恒例の夜会話ですよ。伊那谷です。ちなみにウィル、アリーゼ、それと名前だけ出てきたベルフラウはサモンナイト3のパートナーとなる生徒キャラです。ウィルとベルフラウはマルティーニ本家の子で3主人公レックス、アティの生徒でした。まあ詳しい事はいつか書くとして…そんなウィルとベルフラウは双子。似てないけどね…ウィルは父、ベルフラウは母似だったらいい。アリーゼはそんな二人の従姉妹です。ちなみに名前が出なかったナップはというとアリーゼと同じく二人の従兄弟でして。ウィル達の代わりにマルティーニの貿易商の仕事を継いで頑張ってます。簡単にまとめたこちらが四人のその後の一覧↓
ナップ:マルティーニの当主の座について貿易商の仕事やっている。ウィル達の従兄弟。
ベルフラウ:教師として名もなき島にて先生の補佐をメインにやってる。ウィルの双子の姉
アリーゼ:期待の軍医として瑞雲に所属。ウィル達の従姉妹。
ウィル:アズリアの養子として紫電に所属。ウィル・レヴィノスになる。ベルフラウの双子の弟。
という感じ。面倒くさいね!基本主人公とパートナー全員存在しています。それはつまり…?
まあそんなこんなで次回な!
- Re: 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】 ( No.114 )
- 日時: 2016/07/25 00:02
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: YVCR41Yb)
交差する悪意、平穏の終わりは近い…だなんて柄じゃないのだけれど、今の状況はまさにこれでしょうね
頭が痛くなる状況だけど、年長である私がしっかりしないといけないのは事実よね
ところで…あの子は大丈夫なのかしら?
いえ、心配しなくても大丈夫なんでしょうけど…それでも不安や寂しさは何故か拭えなくて。
私はいつものように月が映える外へと出て行った…
【夜会話】
*銀時『そういやですね』
ユーイン「カゲトラを拾って帰ってきたらしいわね。まあその、お疲れ様」
銀時「全くだっての…昨日なんて死体見かけるし、ついてねーな俺」
ユーイン「…は?死体?」
銀時「…あ、やべ」
ユーイン「やばいのはそれを隠す貴方でしょう!何故言わなかったの!?」
銀時「いやだって、帰ったら泥酔したお前に絡まれたし…おかげでさっきまで記憶ぶっ飛んでた状態だった」
ユーイン「うっ…!あ、あの時は悪かったわ…」
銀時「いやいやいいって。寧ろ柔らかーいものが銀さんの銀さんが刺激されて役得…」
…バキッ!
銀時「どふぅ!?」
ユーイン「オチが突かれたところで、おやすみなさい」
銀時「みぞ、オチ…っ」
………流石に、ないわ
*エルナ『少女は思考する』
エルナ「結局、あの二人は何者だったんですかね…?」
ユーイン「谷裂と腑桑?あれは人間じゃないわよ」
エルナ「えっ、そうなんですか!?」
ユーイン「でも詳しい事は分からないわ。でもはっきりしているのは…あの二人はシルターンに近しい力を感じた。特に、鬼系統の妖怪に」
エルナ「鬼…そういえば谷裂さんって鬼のような顔つきだったし、腑桑さんも戦いの時は怖かったです」
ユーイン「…表情の話ではないんだけど?」
エルナ「あと、気になることが一つ。腑桑さん、私の苗字に反応していたんですよね…」
ユーイン「みょうじ…ああ、確かイチノミヤだったかしら?」
エルナ「はい。もしかすると気のせいかもしれないですけど、でも…むむむ、やっぱり分かんないっ!!」
イチノミヤ、ね…確かに妙な引っかかりを感じる名だわ
*天龍『気苦労と着苦労と』
ユーイン「そういえば天龍。その装束、どうしたの?」
天龍「レインとすずか、エルナと一緒に買ったんだよ。いつまでもこの世界であの服じゃあ目立つだろ?」
ユーイン「まあ、否定は出来ないわね。私の方はもっと目立っているけど」
天龍「そりゃあ露出が高いからだろ…」
ユーイン「あら、利用出来るものは利用しないと勿体ないでしょう?問題ある?」
天龍「あるわ。下手したらポロリするだろ?気まずくなるだろ???」
ユーイン「そうね、何回かは。特に印象に残っているのは貴女ぐらいの年頃に若様と手合わせした時ね。あの時は面白いぐらい豪快に脱げて、直視した若様は今までにないカオで絶叫していたわ」
天龍「……お前の主人、苦労しているんだな」
ユーイン「そうなの?」
天龍「そうだよ…もうちょっと労ってやれよ…」
考えてみましょうか?一応、ね
*すずか『その優しさに涙する』
ユーイン「お疲れ様。これ、飲める?」
すずか「玉露、ですか?大丈夫です。ありがとうございます」
ユーイン「今日は色々大変だったわね。でもね、もう安心なさい…貴女はちゃんと役目を果たしたのだから」
すずか「ユーイン、さん…」
ユーイン「…私の胸、有り余っているから存分に使っていいわよ」
ーーーバッ!
すずか「っ…う、怖かった…怖かったんです…酷い、怪我だったから…もしもを、考えると…っ!」
ユーイン「馬鹿ね…でもカゲトラはそんな貴女よりもっと馬鹿なの。だからもしもなんてないわよ。まあ仮にもしもの事があったらぶん殴ってるから安心なさい」
すずか「追い打ちじゃないですか、それ!?」
ユーイン「こんな事で死にかけるだなんて、追い打ちの一発や二発もかけたくなるでしょ」
すずか「ユーインさんはもう少し人に優しくした方がいいですよ!?」
ユーイン「生憎だけど、貴女に胸を貸すぐらいの優しさしかないのよ」
すずか「…不器用なんですね」
ユーイン「そう、不器用なの」
すずか「…ふふっ」
ユーイン「……笑わないでよ」
すずか「ご、ごめんなさい!あの…その、おやすみなさい」
ユーイン「ええ。いい夢を」
少しは元気になったようね…良かった
【そして次回予告】
「そうか、これは迷子って奴か。洒落だったら良かったのにな…」
「……気安く触んじゃねぇ、です」
「化け物?何を今更。それよりも極悪非道を犯すあなたがたの方が化け物では?」
「あなたの気持ち、わかるよ…だって、私も同じだから」
「…………さまに、手を出すな!!」
次回、第四話【妖怪さんは跋扈する】をお楽しみに!
※台詞は変わるか使われない場合があります
- Re: 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】 ( No.115 )
- 日時: 2016/08/01 23:06
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: YVCR41Yb)
【訂正とお詫び、お知らせ】
読み返したらすずかは本来、コンムニス邸に行くチームに入ってたのにいつの間にか帝都居残り組にいたという…なので居残り組という事実はそのままにして一部台詞とか訂正…というより削りました。ごめん、すずか。
次回は出来れば早く上げたい。でもってPXP(プロクロを軸にしたクロスオーバー小説)は今月に上げるかもしれません。まあ予定は未定です。
それと昨日、デビルメイクライの短編小説をpixivに上げましたので是非。あとspiralで扱うジャンル減らしました。すいません。以上訂正とお詫び、お知らせでした
- Re: 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】 ( No.116 )
- 日時: 2016/08/08 00:55
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: YVCR41Yb)
今日はいつも以上にゲーム日和だった。
彼女はいつものようにあの兄妹へと挑み、負け、挑み、負け。その繰り返しを両者が飽きるまでする。それが日課なのだ。
で、その日課をしようと彼らの寝室まで向かっていた筈が…
「………ここはどこ、です???」
何故か知らない場所にいたーーー
第四話【妖怪さんは跋扈する】
はてさて。メリー・コンムニスを連れ戻すべく、コンムニス邸へと向かった一行だが、未だに足取りをはっきりとは掴めていなかった。その夜ーーー
「ご馳走さん、美味しかったぜ」
「やはり、フェアの料理は以前よりも洗練されておる。褒めて遣わそうぞ」
「はいはい…」
セイロンの上から目線に半ば呆れながらも、せっせと後片付けをするフェア。そんな中、ジェノスとスーズは忽然と姿を消していた。
「…若者は群れるのが嫌いなんかね」
「彼らも彼らで思うところがあるのだろう。此方は気楽に見守ればいいさ」
「………だな」
見た目によらず年寄り臭い会話をする二人。本当のところ、二人は幾つなのだろうか…?一方、フェアはというと片付けを終え、エプロンを外す。
「私、ちょっと行ってくるね!」
「そうか。暗いから気をつけろよー」
フェアは森へと向かう。彼女は昔から宿場町トレイユの近くにあるシリカの森で食材調達をしていたからか、あまり整備されていない森や山道はそれなりに慣れている。気を集中してある人の気配を探す…そしてフェアは一段と高く伸びた木の上へと目を向ける。
「スーズさん!」
「!…フェアさん」
木の上にはスーズがいた。彼は軽々と着地し、フェアに近づく。
「先程はその、ご馳走様でした。あのような美味しい食事は久しぶりです」
「ありがとう。スーズさんは何していたの?」
「自分は…メリーさんの魔力を探るついでに辺りの警戒を。この森には野放しにされたはぐれ召喚獣がいますから」
「そうなんだ」
スーズは何やら落ち着かないのかマフラーを握り、目を逸らしている。一体、どうしたのだろうか?そう聞くと彼は少し照れ臭そうに答えてくれた。
「えっと、実はぼ…自分はその、女性と一対一で話すのが苦手…でして」
「あまり固くならなくていいよ?それに、私なんてスーズさんより年下だから、名前も呼び捨てでいいし」
「すみません、呼び捨ては難易度が高いので…せ、せめて話し方は努力しま…するから」
彼は真面目にそう答えた。そのぎこちなさにフェアは思わず吹き出し、腹を抱えて笑った。
「あはは…っ!ご、ごめん、笑うつもりはなかったんだけど…!」
「いえ、此方こそ面目無い…」
暫くフェアは笑いが止まらず、スーズは困惑していたが、やっとの事で笑いが収まったフェアはそういえば、とスーズに質問する。
「スーズさんはどうして、魔力の痕跡を追いかける事が出来るんですか?」
「それは…」
「気になっていたんです。セイロンですら捉えられない痕跡をどうしてスーズさんははっきり捉えられるんだろう、って。いやそもそも…スーズさんは人間ですか?」
「!?」
図星、だったのだろうか。彼はマフラーに触れる手を離した。そしてか細い声で「仕方ないか…」と諦めたように言った。
「否定はしない、否定する理由すらないのも事実…だよ。フェアさんの言う通り、自分は…僕は、」
ーーードォォォン!!
だが、最後までそれを聞く事は出来なかった。遠くから派手な爆破音が鳴り響いたからだ。
「なっ…に事!?」
「この匂い…ジェノス君?どうやら交戦中みたいだ」
「!じゃ、じゃあ急がないと」
何故この距離でそのような事が分かったのか。フェアははっきりとした事はよく分からなかったが、とにかく急いで現場へと向かったのであった。
☆
状況は著しくない。そうジェノスは判断する。まさかこんな所で強敵に会うとは思わなかった…こればかりはきちんとセンサーで調べなかった自分が不甲斐ないし悪いと言える。
(しかし…あの獣は何だ?正面からぶつかれば、俺が確実に力負けする程の怪力…どう考えても普通ではない)
多分あれは見た目からしてライオン。筋肉隆々としたその肉体は美しくもあり、脅威であった。ここで焼却砲をぶっ放してもいい…が、ここは森。大火事になって更に手に負えない可能性もある。ジェノスはフィールド環境の悪さに自前の頭を痛ませ、悩ませていた。
「グルル…!」
「ギシャアア…!」
「ちっ、騒ぎに寄ってきたか!」
現れたのは魔獣。多分召喚師に見捨てられたか、召喚師を喪ってしまったのだろう…魔獣達は怒りと悲しみの混ざった顔でジェノスを睨む。
憎い、ニンゲンが憎い、ここにいたくない、辛いよ…そんな声が聞こえそうで、彼らは気を紛らわせる為に、ジェノスに襲いかかる。
「やむを得ない、か…っ!」
ジェノスは焼却砲を向け、発射しようとしたーーーその時だった。
「でりゃあああッ!!」
「ホゥアターーッ!!」
気合いの入った一声…否、二声と共に風が荒れる。クックとセイロンの研ぎ澄まされた一閃が巻き起こしたのだ。
「あっはっは!間一髪、間に合ったようであるな?」
「全く…物騒なもんぶっ放すんじゃねーよ、ジェノス!」
「……ふん」
そこは礼でも言えよ、と言いたいところだが…どうせ彼の事だ、意地でも言わないだろう。クックは刀を、セイロンは脚を構える。
「ちょうどいい…寝る前の運動にはうってつけだ、相手してもらうぜ」
「しかし何処ぞの召喚師があのリオネルの者を野放しにするとは…とんだ置き土産よの」
セイロンは呆れた。そう、リオネルとはメイトルパで歴史の長いライオンの亜人族だ。その腕力は亜人族随一…チームワークでの戦闘ならオルフル族…しかし単独での戦闘ならリオネル族だ、と言われている程に手強い。セイロンはかつてカサスというリオネルの青年と敵対していた時期があったのだが、彼の見境なしの一撃にセイロンは脚を無惨に砕かれた。今でもあの怪力には悪夢を見せられる。
(まあ、『アレ』と比べれば…優しい悪夢ではあるがな)
ついでに『あの事』を思い出し、セイロンは一気に気持ちが冷める。早く片付けて、ゆっくり眠りたい。
「ーーーさて、参ろうか」
地を蹴り、駆ける音。何故かそれだけは不気味な程に響き渡るのであった…
- Re: 【クロスオーバー】サモンナイトspiral【キャラ募集中】 ( No.117 )
- 日時: 2016/11/03 10:02
- 名前: 伊那谷ユウナ (ID: 06in9.NX)
前回までのあらすじ…なんだか、ヤバい予感がする。
「グオォオ!!」
リオネルの攻撃は重く、容易に近づくのは自殺行為…現に、セイロン達は大きなダメージを与える事が出来なかった。
「くそっ!」
「仕方ない…ジェノス殿は魔獣を、クック殿はリオネルの者を足止めしてくれぬか!」
「いいが…何を考えてる!?」
「召喚術だ!!」
セイロンは杖を手に取る。スパイラルロッド…赤く、美しい宝石の装飾は螺旋を描き、洗練された彼の魔力を秘める。久しく握ったもうひとりの相棒の感触は中々だった。
「ふむ、問題ないな」
彼はくるりと杖を回し、構える。然程脅威ではない魔獣の注意はジェノスが引きつけてるし、クックはリオネルの足止めをしているーーーやるなら、今だ。
「クック殿、離れい!」
「おっと…!」
普段は従者に嫌がられて出せない召喚獣…けれど、同時にこの場で一番相応しい力を持つのはーーーあの方しかいない!!
「邪を断ち、制し給え!鬼神将…ゴウセツ!!!」
龍神に並ぶ鬼神。その将のひとり、ゴウセツは規格外の太刀をリオネルに振りかざす…!
ーーーザシュッ!
「オォオオオオオ!!?」
「これにて、終幕…!」
セイロンは杖を振るい、同時にゴウセツも太刀を振り払う。リオネルはその場に倒れ…決着した。魔獣達はそれを見て危惧し、大慌てで退散したのであった。
「なんとか、なったか」
「全く…危険にも程があるぞ」
やはり、高位召喚術で魔力もかなり消費するからかセイロンは疲れているようだった。勿論、リオネルは殺されてなんかいない…かろうじて生きている。わざと急所を外したのはそう命令されたから…生温い龍人の若造だ、と歴戦の鬼神将は不満ながらもそのまま鬼妖界へ帰ったのであった。
「さて、このライオンはどうする?」
「最低限の治療はしてやるさ。このまま野垂れ死ぬなど、夢見が悪い」
「…だな」
セイロンは持っていた薬を傷口に塗り、布などで手早く塞ぐ。
「手慣れてるな」
「幼少は修行などで生傷が絶えなかったのでな。かといってストラを頼り過ぎるのも良くない。そして何より、従者であり姉弟子でもあったユーインが我以上に怪我をしていたのもある…よし」
ちょっとした昔話を思い出しながらセイロンは怪我の治療を終える。心なしか、リオネルの表情も柔らかくなったように見える。
「さて、スーズ殿と店主殿を探しに行こうか。きっとこの騒動に気づいている筈…」
「そうだな…ッ!?セイロン、後ろだ!」
僅かに聞こえた、風の音。セイロンはかろうじてそれを避ける。その正体は、先程までぐったりとしていたリオネルだった。
「オイオイ、嘘だろっ」
「ぐ、ルル…!」
「無理をするでない!また傷口が開くぞ!?」
実際、布を抑えていた包帯からはじわりと血が滲んでいた。リオネルはこれ以上になく、苦しげな表情で此方に攻撃をしようとしているーーーまるで、自分の意志に反して動いてるかのように。
「…ジェノス殿、この場にいるのは本当に我らだけか」
「ーーーいや、違うな」
と、即答で真後ろに炎の弾を撃ち放つジェノス。それは軽々と数本の木をえぐり倒す。勿論、無駄撃ちではなかった。
「魔力で気配は消せても、機械が持つ『れーだー』とやらは騙せなかったようだな?外道よ」
「チッ、化け物が!」
長々としたローブで顔を見せないそれは、男の召喚師だった。転がっている緑のサモナイト石から察するに、恐らく彼が魔獣を操っていたのだろう…そして、リオネルも例外ではない。
「俺様がいるって、どうして分かった?」
「見覚えがあっただけだ。かつて、この者と同じリオネルの若者が操られて、苦しむ姿が」
セイロンが知るリオネルの若者ーーーカサスは、闘技場の見世物としてこのリィンバウムに召喚され、血を浴びる事で狂化する召喚呪詛『狂血の呪い』をかけられてしまい、心優しい彼は無理矢理戦わざるを得ない状況に陥った事があったのだ。そんな彼と、目の前にいるリオネルは非常にそれと酷似している。
「…我らを襲う理由は何だ?」
「言うかよ!お前らみてーな化け物に!!」
「化け物化け物って、俺らにも少なからず人権はあると思うが」
「うるせえ…あの方の為にも、死ねえ!!」
召喚師の杖から緑の魔力光が放たれる。というかーーー!
「お前…!自分の仲間も巻き添えにする気か!?」
この位置からして、どう考えてもリオネルも巻き込まれる可能性は十分あった。けれど、元から捨て駒にする予定だった召喚師には関係ない。
「どうせ代わりはいるんだ!だったらここで殺しても構やしねえ…喰らいやがれーーっ!!」
ーーードォォン!!
「!?」
しかし、三人…否、リオネルを含めて四人は攻撃を受ける事はなかった。なにせ、目の前に結界が張ってあったからだ。
「この結界…セイロン、お前か?」
「否。この結界、確かにシルターンのものだが…」
セイロンが知るシルターン式の結界で間違いないだろうが、術式が他のと独特だった。確かこれは、ある妖怪の用いる術式だった気がーーー
「…ぐああ!?」
そして攻撃が通らず、呆然としていた召喚師は悲鳴を上げる。動けぬよう組み敷かれ、関節が外れたのか痛みでもがいている。その上にいたのは、スーズだった。
「そうか、お主…」
「スーズ!お前、その姿…なんだ?」
雲が渦巻くような襟巻きに、血走る赤い目。そして何より…獣の耳と尾が、スーズを人間ではないと主張していた。心当たりのあったセイロンは、彼の正体をはっきりと口にした。
「……狛犬だな?」
「狛犬って…あの神社のやつか?」
「シルターンの狛犬は、宮司や巫女に力を貸す妖怪だ。それ故、龍神鬼神が祀られる神社などを主に守護する」
「正確に言うと、自分はその半妖の子、なんですけどね…全く、難儀な生まれです」
スーズは荒縄で召喚師を縛り、投げつける。召喚師は頭をぶつけてしまい、低い唸り声を上げる。
「さて。ここで果てるか、情報を晒すか…どちらかを選んで下さい」
「う、あ…」
こんな大人数の化け物に囲まれて、正気になれず…召喚師は、思わず口を開いたのであった。
☆
遅くなってすまない…しかも9月あたりにこの小説1年越えたし…備考です。
未だに進んでないってどういう事だってばよ。意味わかんねーよ。何とか早めに次回を書き上げます。ごめんなさい。あとイメージOPを変えました。あの曲が一番リンクしている気がして。興味のある方は聞いて下さいまし。
で、ちょっとリオネル族について話しますが…亜人の中でも特に歴史が古い一族のひとつであるライオンの亜人。個人戦に秀でている一族のようです。ちなみに同じく歴史の古い狼の亜人、オルフル族は個人としてもかなり強いけど、それ以上にチームワークに秀でています。まあ狩りをしなきゃ生きられない世界ですからね、メイトルパは。サモンナイト4にはリオネルとオルフルが出ています。まあオルフルの女の子…ユエルはサモンナイト2からのゲストみたいなもんですけど。興味のある方は是非、サモンナイトをプレイして下さい。あの複雑だけど深い世界観はやみつきになるからファンタジー好きにはおすすめです。つーか何でもアリですから二次創作しやすい。是非ゲームをプレイして頂きたいお願いします。
では、次回また。
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