二次創作小説(新・総合)

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≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き
日時: 2023/03/04 20:10
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: o/NF97CU)

       
 ご注意
◯死ネタが含まれます。
◯グロ注意
◯これは二次創作です。本家とは一切関係ございません。
◯ポケバは、アニメ方式で表現させて頂きます。
◯誤字脱字、私の語彙力不足での分からない所は、紙ほかの裏の陰謀についてでも、ここのスレでも大丈夫です。

《閑話》
【2022年夏】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 金賞
【2022年冬】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 銀賞
読んでくださってる方々、心の底から本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)


──

プロローグ

ここは地球。
この星に住む、不思議な不思議な生き物。
──ポケットモンスター 縮めてポケモン
彼らは 空に 海に 大地に…さまざまなところに分布している。

この物語は… この世界の… この星の"裏"で生き残る少年の物語である…






  ──覚悟はできてるんだよね?──






 【記憶】

イチ─仕事場─ >>1-11
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ニ─恋バナ─ >>12-13
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
サン─双子─ >>14-24
───────────────
ヨン─リゼ─ >>25-30
───────────────
ゴ─3柱─ >>33-44
───────────────
束の間の刻 >>45
───────────────
ロクーチャーフル・ジーニアの英雄譚ー 
>>48-58
────────────────
ナナー嵐の前の静けさー 
>>61-65
────────────────
ハチークズレハジメルー
>>66-
────────────────
番外編 腐れ縁のユウとレイ、リウとフジ
>>63
────────────────

   ・・・

『オリキャラ、お客様リスト』

暁の冬さんーリゼ >>20
女剣士さん
――――――――――――――――――

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.24 )
日時: 2022/01/12 14:50
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DMJX5uWW)

《タツナ》
母親と父親。そんなものは知らなかった。生まれた時からいなかったから。否、気づいた時から僕は培養槽にいた。ひとつのポットにミソウと一緒に。身体中にチューブを付けられずっと、ずっといた。苦しくもなければ楽しくもない。只只無が続くだけだった。
ある日、2歳になった頃かな。ポットから出されて施設に放り込まれた。私たちは"普通の人間とは違う"から施設に放り込まれても何とかやっていけたけど... 生と死の狭間に毎日いると狂ってしまう。ミソウがいい例だ。ポットにいる間は外の世界について楽しく話してて、明るくてアグレッシブな子だったのに毎日の生死の分け合いで狂ってしまった。狂った当初はポケモンを八つ当たりのようにポケモンを狩りまくっていた。でもそれが続いていくとどんどん表情が無くなっていき、今のように無表情。何も興味を示さない子になってしまった。だからこそ、ミソウがシュウに興味を示した時は驚いた。だからこそシュウになら尽くそうと思った。この身を骨を、魂全てを。

ーーーーーーーーーーーーー
《シュウ》
僕の生い立ちが話終わったあと、タツナとミソウの生い立ちが話し終わった。それは5歳とは思えないほどに壮絶で残酷な生い立ちだった。まず親がいない、培養槽で生まれた。これだけでも過酷な人生が決定されてるようなものだ。更にこんな過酷な環境の施設に放り出されて、妹が狂うなんて。僕よりも倍壮絶な生い立ちだった。

「私達は話した。最後はレイ。」

タツナがレイに話を振る。レイはうーんと唸る。

「言わなきゃダメ?」

レイは無駄に整った顔をかくんと傾げる。カッコイイ...と思わず声が出そうになった。しかしタツナとミソウはギラッと目を釣り上げる。

「言えよ。」

「言って。」

タツナ、ミソウ2人の声が重なった。やっぱり双子だなぁと僕は呑気に思っていた。

「はぁ…話すから。その目辞めてくれないか。シュウに嫌われるだろ。」

レイが双子にきつく当たる。いや、いつも仕事で守ってもらってる身からするとそんなことで嫌ったりしないよ。レイなりの冗談かな?

「俺は_」

ーーーーーーーーーーーーー
《レイ》

俺も双子と同じ。培養槽で生まれた。双子とは違って1人でな。全身透明チューブで繋がれ、白衣を来た大人たちにジロジロと見られる気持ち悪い生活だった。
ある日突然外に出されてこの施設に来た。初日の仕事は死にものぐるいでこなしていった。と言っても一日に5体程しか倒せなかったが。
その日の夜飯の時。俺よりも強い奴らに襲われた。そんな中助けてくれたのが俺の初恋の人だ。本当に強くて、俺の数倍強かったであろう奴らがゴミのように蹴散らされてしまったのだ。多分。今の俺の数倍強い。そこから鍛えられて今に至る。

ーーーーーーーーーーーーー
《シュウ》
レイも培養槽育ちだったんだ。奴隷市場から来る人はそんなに居ないのかな?それより、初日で5体のポケモンを殺したって本当?!僕初日どころか、結構な期間レイに助けられて一体も殺せなかったよ!バケモノとの差って最初からあるんだな…と思い知ってしまう。

「はい、俺の話は終わり!まあこうして打ち解け合えたし。俺達はもう仲間ってことでいいよね。」

え、仲間?!レイ、仲間にするの強引だな。やっぱり人と仲良くするのって苦手なのかな。

「誰が仲間だよ!シュウはともかく、レイと仲間なんて思われたくもねぇ!」

タツナと、ミソウは僕に懐いてくれてるようだ。バケモノ級の子達と言っても見た目は孤児だ。懐いてくれるのは嬉しい。レイは残念だけど……

「じゃあシュウの世話は君達がしてくれるのかな?」

え、ええええ?!レイ!僕を捨てる気?!いや、元々レイの物ではないけど。
でも、レイに捨てられると思うと悲しいような怖いような…

「あぁ!シュウは俺達で世話する!」

「シュウ。私達と。一緒。」

タツナとミソウが言う。するとレイは微笑みを絶やしていないが…なんか口元がピクピクしてる。
お、怒ってる?

「ならいいけど。コイツ。一日に助けもないと500体殺せるかどうかだよ?しかも弱いやつ。俺の助けがなかったら一日2匹倒せるかどうか。それを世話しきれるの?」

レイの猛攻撃が続く。隣のゲッコウガもウンウンと頷く。ぼ、僕そんなお荷物だった?いや、お荷物の自覚があったけどこんなダイレクトに言われると結構傷つく…

「うっそれは…」

「……出来ない。」

タツナとミソウにとっても僕はかなりのお荷物のようだ。
うっ、不甲斐なくてごめんなさい…
僕のメンタルはどんどん凹まされていく。

「で、提案だ。俺達と一緒に行動したらシュウを世話しながら一緒にいられる。さらに毎回ランキング1位の俺がサポートする。よって双子のランキングも上がる。どうだい?悪い話じゃないだろう?」

確かに。双子にとってはこれ以上ないメリットが詰まった案だ。しかし、タツナはかなり頭が切れるようで、こんな甘い案にも即乗らずに考え込んでいる。

「兄さん……タツナ兄さん。私。乗りたい。案」

ミソウがボソ、ボソッと呟く。タツナはミソウの声にすぐさま反応する。

「乗る。その案乗るよ!」

思考を放棄しレイの案に乗る。こう見るともしかしてタツナってシスコン?なんか親近感が湧くな。

「よし決まりだね。早速リーダーに頼んで同じ部屋にしてもらおうか。」

そう言ってレイは部屋を出ていった。なんだかんだ言ってレイが1番喜んでるじゃないか。するとタツナはまた何かを考えてる。

「どうしたの?タツナ」

他に考えることは無いだろうと思って聞く。

「いや、ずっと1人で行動して、ランキング常に1位だったレイがなんで仲間を作ることに執着するのか分からなくて」

確かに。なんでだろう?というか、こんな小さい歳で考えようとするなんて凄いな。僕より頭いいのかも。

「うーん。単純に寂しかったとか?」

僕は思ったことをそのまま口にしてみた。タツナは眉を歪める。

「そうだといいんだけど…」

それってどういうことなんだろ?
まあいいか。

こうして僕らにタツナとミソウという双子が仲間に加わった。

〜完〜

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.25 )
日時: 2022/01/15 00:41
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Mu5Txw/v)

ヨンーリゼー

『ガヤガヤガヤガヤガヤ』

食堂にて、人が看板を見るために集まり、圧死される人が出るかと思うぐらいぎゅうごゅうになっている。ここを通るなんて出来なさそうだな…
僕は半ば諦めた。すると

「通してくれるかい」

レイの低く、深い深海のような声がじわっと響き渡る。決して大きい声ではないが耳に残る声。その声を聞いた瞬間。野次馬はビクッと体を1回跳ねさせ、すぐさま僕たちに道を開けてくれた。
やっぱり凄いな…レイは。
タツナとミソウもおおっと小さく声をだし関心している。
しかしレイはそれが当たり前かのように堂々とその道を歩く。

「これが今回のランキングのようだね。」

レイが見つめるその先には掲示板に貼られたボロボロの紙があった。そこには1位から10位までのランキングが書いてあった。

1位は…レイだ。

「さすが…レイだね」

僕がボソッと呟く。それにレイは微笑みを絶やさずこういった。

「まぁね」

その顔が綺麗で僕はうっかり見とれてしまった。

「あっ!俺たち2位になってる!」

見とれているとタツナが目を輝かせランキング表を見る。そこには2位 タツナ ミソウ と表示されていた。いつの間にタツナとミソウの名前がバレたんだ… 隠してるわけでもなかったけど。

「上がってる……ランキング……!」

心做しか笑ってるようにみえるミソウが言う。タツナはミソウの頭をがしゃぎしゃと撫でている。それじゃあミソウの綺麗な青髪サイドテールがグシャグシャになっちゃうじゃないか。少し惜しく感じながらも僕はその様子を微笑みながら見る。

「シュウ。見てご覧。5位だよ」

レイが僕に声をかける。ほ、ほほほほ本当だっ!僕5位だ!
10位以内にも入るの難しいって言われてたのに!やったぁ!
僕はそこでガッツポーズをとる。タツナとミソウには負けてるけどね。

すると後ろから視線を感じる。いや、視線は野次馬から痛いほど突き刺さってるけど、なんていうか、殺気?っていうか。とにかく僕は背筋がゾッとした。その先を見ると…
ショート髪に紫髪、琥珀色の瞳の子が遠くから僕のことを見つめていた。目が合ったと思うとその子はすぐに去っていってしまった。
なんだったんだろう?

「シュウ、タツナ、ミソウ。ランキング上位に入ったんだから、物品を貰えるよ。」

そうだ!それを貰うために僕は頑張ったんだよ!これで脱走に1歩近づく!僕達はその物品が貰える場所に行くため歩き出した。

『6位 リゼ』

そのランキングには僕達は見向きもしなかった。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.26 )
日時: 2022/01/26 18:01
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Z/MkaSMy)

「え...これって...」

僕は絶望していた。そこには服、ズボン、タオルのように見える布切れが並んでいた。

「ランキング上位の人から好きなものを1つ選べるんだよ」

レイはそう言うと服を選んでとる。レイの服ボロボロだったもんね...じゃない!
ランキングの報酬ってこんな布切れだったのか...?なら脱走なんて絶望的じゃないか。

僕は解決案も思い浮かばず深く深く絶望していた。

ーーーーーーーーーーーーーーー
   ガタッ

僕は長い長い廊下の果て、レンガの壁の1部を押し出す。すると壁が開き、下への階段が現れる。その先の扉を開けると...

「やぁ。来たんだね。」

そこには紫がかった白髪にポニーテールをした少年が何かどす黒い液体が入ったフラスコを持って立っていた。

僕はここ数ヶ月ちょくちょくダミに会いに来ていた。そこで分かったことが幾つかある。ダミは何かの研究者だということ。変なフラスコや、液体、薬を作っている。

「おや、シュウはまた怪我をしたのかい?手間がかかるなぁ。ほら、これを塗って」

ダミはクスクスと笑いながら僕に塗り薬を渡す。僕は仕事でパックリと割れてしまった腕に薬を塗る。すると瞬く間に傷が治りピカピカの肌に早変わり。
そう。ダミは天才なのだ。様々な便利な薬や機械を作れる。更に昔からここにいるらしい。

「ありがとう。」

僕は素直にお礼を言う。

「で、今日は何しに来たんだい?」

ダミは紅茶を入れながら僕に尋ねる。僕は相棒のモココを膝にのせ、アンティーク物の椅子に座る。

「今日は特に用はないんだけど。時間が空いたから顔出そうかなって。」

「そっか。まあゆっくりしていきなよ」

そう言ってダミは僕にお菓子と紅茶を出してくれる。ダミは本当に不思議な人だ。別にお菓子目当てで来てるとかじゃないからね?!
でも裏の世界である「施設」で表の世界の食べ物が食べられるのは嬉しい。僕とモモコは出されたクッキーを手に取ってモグモグと食べる。

「相変わらずレイに似てるなぁ」

ダミは何も食べず頬ずえをつき僕達をみる。僕とモモコはお互い顔を見合わせる。

「僕が?ないないない!」

僕は一生懸命否定する。微笑みを絶やさず基本喜怒哀楽の感情を表に出さないようなクールでカッコイイ レイと似てるなんておこがましいにも程があるよ!

「ふふっ。そっちのレイじゃないよ」

ダミは微笑み僕に言う。ダミこそ頬ん出るところとかレイとそっくりだよ。
それにしてもそっちのレイじゃないってどういうことだ?
僕は首をカクンとかしげる。すると、ダミの後ろに伏せられた何かの板ある。なんだろう。そう思って無意識に席をたちその板を触ろうとした。

「あ、それは、ダメだ!」

ダミがなんか叫んでいたが僕はその忠告を受ける前にその板をひっくり返してしまった。するとそこには...

「嘘...」

2、3歳程の幼い子。ブカブカのマウンテンパーカーを被り長いキラキラした黒髪。そして目の位置、高い鼻。パッチリした目。
僕と瓜二つの女の子。これは...僕?いいや、こんな写真を撮った覚えはない。じゃあ...これは誰だ?

「見てしまったか。まあ後々分かる事だから仕方ないか。」

ダミは呆れながら僕の方へ来る。

「なんで、この写真をダミが?それより、これは誰...?僕?」

「シュウ落ち着いて。それは君じゃない。」

これは僕ではない。そうなると消去法でたまたま僕と瓜二つの子が居たということになるか...
死んだはずの双子の妹が来ていたということか...

「シュウ。君には双子の妹が居たんじゃなかったかい?」

ダミは僕を諭すように話しかける。それでも僕は混乱していた。死んだはずの妹が...生きていた...?
そうじゃない!それよりも

「なんで、それを知ってるんだ?」

僕は震えた声でダミをみる。もしかしてあの時家を襲撃した犯人ってダミなんじゃ...

「この子から聞いたんだよ。」

この子って...俺の妹チャーフル・ジーニアから?

「チャーフルは...チャーフルはこの施設にきていたのか!」

僕の頭は真っ白になりダミに食らいつく。ダミはそれでも落ち着いている。

「そっか。この子の本当の名前はチャーフルって言うんだね。この子はこの施設に来て、僕たちを助け施設のてっぺんを取り、ピラミッドの上まで追い詰めた伝説の存在だよ。」

伝説...?僕の妹が...?

「どういう...こと...」

「君の妹はこれ以上ないほどの戦闘の才能を有していた。今のリーダーの数倍強いだろうね。いや、施設の規模じゃ収まらない。裏の世界で一番、最強とも言える力を有していた。 そこで彼女は裏の世界を平和にするために尽力していたんだ。」

まって、僕の妹が裏の世界で一番...?
信じられない。というか、生きていたのか?家の襲撃を受けた後、チャーフルは生きていたのか?!じゃあ

「今も生きているんじゃ...!」

ダミは真顔になる。レイのように微笑みを絶やさなかったダミが...真顔になった瞬間体が一瞬凍る感覚を覚えた。

「死んだよ。昔ね。僕らでこの施設を脱走する際に。大量の酸に溶かされて。死んだ。」

もう、居ない...?この世に居ないのか?チャーフルは... もう会えないのか?
酸で死んだ... 苦しかっただろう。辛かっただろう。しかもこんな地獄のような施設で生きて頂点になった。僕よりどれだけ辛いことを経験してきたのだろう。
チャーフルは幸せだったのか?否、不幸だったはずだ。裏の世界を平和にするために尽力していた。襲撃を受けても尚離れていても僕に元気を与えてくれたチャーフルは何故幸せになれなかったのだろう。どうして...どうして...

「...僕達もチャーフルには世話になってね。レイもリーダーも僕も、この施設にいて狂わずに済んだのはチャーフルのお陰だったんだ。チャーフルの笑顔で僕達は生きていけた。でも、チャーフルはもう居ない。僕らはもう狂ってしまったんだ。」

ダミも傷心に浸っていた。けれど僕はその声は全く聞こえなかった。ただ、真っ白な世界に飛び込んだような感覚を覚える。
すると、不思議と目から水が出てくる。

「あ、あはは...あははははははははは!」

僕は溢れてくる大粒の涙を抑えることが出来なかった。そして、悲しく泣いているはずなのにただ笑いが口から濁流のように溢れてくる。
心の中か真っ黒な何かで塗りつぶされる感覚。

ーあぁ。これが狂うなのか。

僕は「狂う」感覚を覚えもう何もかもどうでもよくなってしまった。

「ダメだ!シュウ!君まで狂ってしまったら皆を救えない!」

ダミは珍しく慌てて僕の、両肩を揺する。しかしその声は僕には届かなかった。
僕は何をすればいいんだろう。真っ先に思いついたのは妹を殺した、不幸にしたこの裏への施設への復讐。そうだ復讐しよう。妹が味わった地獄を味わってもらわなくちゃ。
すると

「メヘヘヘヘッ!」

モココの声が聞こえたと思うと体が痺れて動かなくなった。これは...モココのでんじは?
僕はモココの方へ向く。モココは心配そうに僕の顔を覗く。その瞬間。レイの顔が思い浮かぶ。
ずっと微笑んでいて何事にも動じない。そして無ともいえる雰囲気を出している。それはまるで、ミソウのようだった。
レイも...もう狂っていた?

僕の真っ白な頭がどんどん落ち着いてくる。

『レイを...レイを元にもどしてくれ』

ふとリーダーが言っていたことを思い出す。元に戻すって狂ってるレイを救うことか...?

「確かにチャーフルは死んだ。そして命をかけて裏の世界全てを救おうとしていた。そんな人が不幸で終わるなんて許せないと思わないかい?」

ダミの声は雰囲気は、怒りに満ちているようだった。僕がさっき思ったことだ。

「思う...思うよ!」

僕は深い深い深海から何かが引っ張ってくれる感覚を覚える。

「ならさ、双子であるシュウが狂って、不幸になるのは更にチャーフルを不幸にしないかい?」

思う。思うよだから、だからこそ

「僕はここで折れる訳には行かない」

深い息苦しい海から脱出する感覚。手を引っ張ってくれたのはチャーフルだった。チャーフルはいつもの笑顔だった。

「いい顔になったね。このまま狂ったら計画もくるう所だったよ」

ダミは心底ほっとしたような顔をする。え、計画?

「計画って...何?」

「施設脱走計画だよ」

ダミはこれ以上ない楽しそうな顔でニヤリと笑っていた。
施設脱走計画...?!僕はそれに一筋の希望を覚えた。いくら高いランキングになっても布切れ1枚しか貰えない中僕は脱走に関しては絶望的だった。しかし天才であるダミの力を借りれたら...脱走出来るかもしれない!

「その話...乗ったよ!」

その瞬間ガチャっと隠し扉へ続く扉が空いた。そこには紫のショートボブに琥珀色瞳をしていて、サーナイトを連れている少女が居た。

「あっ...ごめんなさい。聞いちゃってた」

脱走計画を...いや、その前にチャーフルについても聞かれてた?!
どうしよう!
それに対し、ダミはニコニコと微笑んでいた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.27 )
日時: 2022/02/28 21:00
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: SEvijNFF)

「まさかこの短期間で2人も迷い込んでくる人がいるなんてね。僕は君の敵じゃない。君の名前は?」

ダミは僕が迷ってきたのと同じ言葉を紫髪の子に聞く。その子は少し黙ったあと...僕に向かって踏み込んできた。

「え?え?!」

僕は慌てながらもバックステップを取った。こういう反射神経が極限まで鍛えられている所。この施設に馴染んでしまったんだなと思う。紫の子は僕に回し蹴りを食らわせようとしたがギリギリ避ける。その足をタミがガシッと掴む。

「こらこら、暴力は頂けないよ?」

タミは1層ニコニコしながら紫の子に言う。紫の子は一生懸命足を抜こうとしているがタミの力が強すぎるせいか全く抜けない。

「...サーナイト」

紫の子はそう言った瞬間僕らの前に立ち、桃と水色が混じった神秘的な球体を生み出す。
ムーンフォースだ...!

「モココ!」

モココは毛をもふもふにさせてムーンフォースを受ける。コットンガードだ。

「ちょっと落ち着いてくれるかい?」

ダミはここでも冷静で紫の子に優しく語り掛けている。僕は危うくこの子に攻撃しようとしてたのに。施設に馴染んでいるデメリットが出てしまった。

「...その黒髪。私の順位。奪った。だから殺す。」

黒髪...って僕のこと?!順位を奪ったなんて、そんなつもりはなかったんだけどな。でも今まで順位に入らなかった人が入るということは誰かを蹴散らすというわけだもんね。それに順位は高ければ高いほどいい報酬を得られるし。

「その前に僕はダミことプラタナス。この黒髪の子はシュウ。君は?」

ダミはやっぱり冷静で紫の子に自己紹介をする。

「私は...リゼ...前までランキングでは5位だったのにこのシュウに奪われた。」

あ、だから僕に襲いかかってきたわけだな。いや、なんか申し訳ない...けどここは弱肉強食だから仕方ない...よ。

「なるほど。それよりもリゼ君?君計画のこと聞いたよね?」

ダミはニコニコしながらリゼに聞く。ニコニコしすぎて逆に怖い。何か後ろにゴゴゴと雰囲気が出ている気がする。

「聞いた。今すぐリーダーに知らせる。」

リゼは一生懸命足を振りほどこうとしながら言う。ダミは更にリゼの足を掴む手を強める。

「そうか。言うんだ。」

ダミはそう呟く。それに僕はこう問いた。、

「リーダーに知らせられたらマズイの?」

「当たり前だよ。最悪殺されるよ。ここは脱獄厳禁だからね」

するとダミはスッと無の表情に戻りリゼに向き合う。圧が強く僕も足がガクガクしている。これだけの圧を出せるなんてダミ...何者?

「まぁ聞いてくれよリゼ君」

ダミは幼い子を諭すようにリゼに言う。

「な、何...」

リゼはダミの圧にたじろきながら返事をする。この圧に耐えられる上に向き合って返事できるだなんて...リゼもかなりの精神の持ち主のようだ。

「脱獄に協力して欲しい。」

「私のメリットは」

ダミの言葉にリゼは直ぐに聞く。自分でメリットデメリットを判断しようとするなんて...もしかしたら僕よりも頭切れてるかもしれない。

「表の世界で自由に暮らせるよ。分かるかい?表」

「分かる。皆の...理想郷...表の世界」

ダミが言うとリゼは歯切れが悪くなる。表の世界は皆の理想郷という認識らしい。そこまでいい世界でもないけど確かにこんな環境よりはマシだ。

「デメリットは」

「それ...は...」

リゼがそう言うと次はダミの歯切れが悪くなる。こういう所心理戦のようで見てる方は面白いけど、僕も脱獄計画に加担していたとリゼがリーダーに知らせたら溜まったものじゃない。ここはダミの話術を信じていいのだろうか...
そう思いながら2人の様子を僕は見守っていた。

「バレると拷問行き」

「拷...問?」

僕は聞いてもいなかったことに背筋がヒヤリとする。ダミはもしかしてデメリットを僕に提示せずに脱獄計画に加担させようとしていた...?

「...そうだよ。脱獄に失敗し、捕まった人は拷問を受けられて二度と脱獄なんて考えないような体にされる。」

聞いてないよ...そんなこと!
僕たちの間に沈黙がどんよりと現れた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.28 )
日時: 2022/03/09 21:45
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: HPUPQ/yK)

「それで、どうするんだい?シュウ、リゼ」

ダミは何事も無かったように僕たちに問う。ダミは嘘はついていなかったけれど、僕にデメリットを教えずに脱走に参加させようとした。正直そんな人を信用したくはない。と言っても、僕単体で脱走できるかと言われたらそうでも無い。

「私は協力する。」

リゼが呟く。
冗談じゃない!こんな怪しい人に協力するだなんて……

「一応理由を聞いてもらってもいいかな?」

ダミも僕と同じことを思ったのかリゼに聞く。自分で怪しいという自覚があるらしい。

「ダミは信用ならない。それは事実。だけど、脱走するためには自分単体ではできることじゃない。なら協力した方がいい。あくまで利害の一致で。」

ザスッと言うなぁ。こんなに正直に言うのは大丈夫なのだろうか。ダミに逆上されたりしないかな?いや、ダミは逆上したりする性格ではないと思うけど、やっぱり心配だ。

「利害の一致…か。まあ、いいよ。僕が怪しいのは事実だしね。シュウは?」

怒らないんだ…僕は安堵した。
それよりも僕がどうするかだ。ダミに協力するか、しないか。正直協力はしたくない。だって明らかに怪しいんだもん。下手したら裏切られかねない。こうなったらやっばり1人で脱走した方がいいのかも。

「ごめん。僕は協力できない。明らかに怪しいから裏切られかねない。」

僕はハッキリ自分が思っていることを言った。逆上されないだろうか。いざと言う時は逃げよう。そして二度とここに来ない。
僕は逆上される前に部屋を後にしようとした。

「君は、昔脱走を測った者たちの話を知っているかい?」

ダミが去り際に僕に言う。そんな事言われても僕は止まらないからね。そう決意し足を進めようとした。

「1人で脱走しようとでも思ってるの?」

ダミが嘲笑うかのように僕に聞く。当たり前だ。信用できるのは僕一人。嘘をついていたダミに協力は出来ない。

「昔ね。脱走をした例が2つある。1つはかけ落ちだった。2人の少年少女が軽々脱走したようだ。」

ダミが勝手に話を進める。

「なら僕1人でも脱走は出来る。」

僕は疲れてたのかもしれない。それとも、毎日命のやり取りをして警戒心が高ぶっていたのかもしれない。
そのためか、いつも暇な時に会っていたダミのことを完全に悪として認識していた。
そして、ムキになって出来もしないことを口走ってしまった。

「まあまあ、待たないかい?話はまだだ。」

ダミは僕がムキになっても落ち着いていた。その声に僕は微かに安心し、そのまま話を聞くことにした。

「2回目。6人の少年少女が脱走を試みた……が失敗。2人の少年は拷問を受け、まだこの施設で奴隷として働かされ、残り4人。1人は片腕を落とされ殺された。1人はポケモンの毒に犯されジワジワと殺された。2人の少女は脱走の最後の難関。酸の海に溶かされ死んだ。」

……おかしい。一回目は簡単に脱走出来てたはずなのに2回目は明らかに難易度が上がっている。

「2回目の方が難易度が明らかに高い。それ程施設の脱走は年々難しくなってきているということだ。それは事実だが、1回目の2人の力がおかしいということもあるけどね」

ダミはそこら辺をグルグル回りながら説明する。それにしても、何故ダミはそんなに詳しいのだろうか?レイにも、タツナにもミソウにも聞いても一言も聞けなかったのに。

「なんで……そんなに詳しいの?私が生きてる間に1回脱走があったとは聞いたけど、そんなに詳しくは知らない。私以外も」

リゼがダミに探りを入れるかのように聞く。なるほど、普通の仕事人達は脱走のことなんてそんなに知らないんだ。なら尚更ダミは怪しい。

「そりゃそうだ。僕は2回目の脱走未遂者だこらね」

ダミが涼しい顔で僕たちに微笑む。
脱走未遂ってことは……拷問を受けたってこと?

「拷問を受けても尚脱走を試みるんですか?!頭おかしいんじゃないんですか!」

リゼが声を荒らげる。あれほど荒らげるなんて…どんな拷問が待っているのだろう。僕は背筋がゾッとする感覚を覚えた。

「いんや、僕は死んだよ。拷問は受けてない」

ダミはスラリと質問に答える。え、死んだ?なら、目の前にいるダミは一体……?
急にダミが恐ろしく感じ、僕とリゼは数歩ダミから下がる。

「大丈夫大丈夫。確かに僕は生きてないけど。死んでもない。安心して」

そんなニパァッとした顔されても…こんなスピリチュアルなことを聞かされるだなんて思ってもいなかった。でも確かに、ダミが幽霊だとしても、僕はダミと触れ合ったり触ったりしてた。幽霊では…ない?でも死んではいるんだよね…怨霊?

「スピリチュアルな思考を一旦僕から遠ざけてくれるかい?」

ダミが苦笑しながら僕らに呼びかける。それが僕の心を読み取ったように感じ余計不気味さを感じる。

「それより、シュウ君。君に物凄い情報提供をしてあげよう」

ダミはそう言うと2枚の写真を僕に見せる。さっき見せてくれたチャーフルの写真と…もう1つはチャーフルに似たような顔立ちの少女。あれ、この面影は…どこかで見たことがある。これは…これは……!

「君の。母親だよ。」

綺麗だ。鼻が通っていて高く。そしてチャーフルのようにキラキラとした、大きな目にどうしても抜けない童顔。

僕はとある森の中の一軒家に生まれた。3歳までは。ある日襲撃を受け、家族は皆殺された。父と母は家で燃やされ、妹は僕が一生懸命運んでいる最中に黒色の格好をした人達に連れていかれた。妹に川に突き飛ばされなんとか、一命を取り留めた。チャーフルはその後この施設に来たのだろう。
その後、次の母親に拾われ、メープルを育てて育った。

この母親は1回目の方の母親の顔だ。間違いない。雰囲気は少し違うけれど、確かに母親だった。
僕の妹と母親はこの施設に来ていたというのか… これが運命ってやつなのかな。そして2人とも脱走を測っている。

「君の母親は無事脱走出来ただろうけど、チャーフルは脱走は叶わなかった。妹の思いをシュウが晴らすべきだとは思わないかい?」

ダミは人を計画に乗せるのが上手い。更に頭がいいため、僕は丸め込まれかねない。でも、できるだけ抵抗はしたい。

「確かに妹の無念は晴らしたい。けど、ダミに協力する話とはまた違う話だ。僕は僕1人で脱走する。」

僕はキッと目を釣らせてダミを睨みつける。リゼは静かにダミの背後によって僕の方を見つめる。ダミはニコニコした顔は絶やさなかった。こういう所レイに似てるな。
て、そんなことはどうでもいいんだ。今は僕がこの話を断り、ここから安全に逃げ出すことが出来るか…だ。

「そうだな…じゃあ最後の手だ。2人とも。こっちにおいでよ。」

するとダミはナチュラルで木材の床のでっぱりを掴むと、下への扉を開いた。そこには金属の道と縄ばしごがあった。

「ここから先は結構ハードな所だ。けれど、脱走するならどちらにしろ見なければならない。覚悟は良いかい?」

脱走するなら見なければならない?どういうことだろう。でも、なにか情報が掴めるかもしれない。僕とリゼは頷き縄ばしごを降りていった…


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