二次創作小説(新・総合)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き
日時: 2023/03/04 20:10
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: o/NF97CU)

       
 ご注意
◯死ネタが含まれます。
◯グロ注意
◯これは二次創作です。本家とは一切関係ございません。
◯ポケバは、アニメ方式で表現させて頂きます。
◯誤字脱字、私の語彙力不足での分からない所は、紙ほかの裏の陰謀についてでも、ここのスレでも大丈夫です。

《閑話》
【2022年夏】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 金賞
【2022年冬】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 銀賞
読んでくださってる方々、心の底から本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)


──

プロローグ

ここは地球。
この星に住む、不思議な不思議な生き物。
──ポケットモンスター 縮めてポケモン
彼らは 空に 海に 大地に…さまざまなところに分布している。

この物語は… この世界の… この星の"裏"で生き残る少年の物語である…






  ──覚悟はできてるんだよね?──






 【記憶】

イチ─仕事場─ >>1-11
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ニ─恋バナ─ >>12-13
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
サン─双子─ >>14-24
───────────────
ヨン─リゼ─ >>25-30
───────────────
ゴ─3柱─ >>33-44
───────────────
束の間の刻 >>45
───────────────
ロクーチャーフル・ジーニアの英雄譚ー 
>>48-58
────────────────
ナナー嵐の前の静けさー 
>>61-65
────────────────
ハチークズレハジメルー
>>66-
────────────────
番外編 腐れ縁のユウとレイ、リウとフジ
>>63
────────────────

   ・・・

『オリキャラ、お客様リスト』

暁の冬さんーリゼ >>20
女剣士さん
――――――――――――――――――

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.39 )
日時: 2022/05/11 22:17
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 7hcYnd26)

次の朝。僕はいつものように起きて、仕事場に放り出された。いつもなら僕とリゼ、レイ、タツナ、ミソウで行動するところなんだけど……

「あのさ、レイ。今日はリゼと別行動してもいいかな?」

僕は恐る恐る言う。レイは微笑みを絶やさない。何考えてるか分からないが確実に怒ってるだろう。

「は?ダメに決まってる。」

「そうよそうよ。」

タツナとミソウが僕にそう言う。やっぱりそうだよね…危険だし。けど、別行動じゃないと3柱の1人に会えないし…どうしようとリゼに目配せする。リゼは肩を竦めたため、ノープランということだ。

「……今日だけだよ。」

レイはそう言うと双子の襟を掴んだ。

「ちょっま!俺らは許してねぇぞ!」

「離してっ!」

その言葉を最後に、レイは双子を連れて消えてしまった。

「…どんな風の吹き回しでしょうか……」

リゼは呆気に囚われている。僕もである。僕とリゼを2人きりにさせるだなんて何かあったのか。それとも、ただの気分が…
レイはいつも微笑んでるため何考えてるか分からない。

「取り敢えず好都合だ!行こう!リゼ!」

「……はい。そうしましょう。」

そう言うと僕らはダミに言われた通りの場所へと走った。

ーーーーーーーーーー

僕らは木々を伝いながら、なるべく早くその場所へと足を進めた。といっても、仕事を放置することも出来ないため、小さいポケモンは殺して回ってはいる。相変わらず断末魔がこの世のものとは思えないもので、度々不快感に苛まられる。しかし、当初は気が狂いそうだったため、成長したとも言えるのだろうか?いや、どんどんレイやミソウのように狂ってる側に引っ張られてる気がする。完全に狂う前に…早く行かなければ…!
チャーフルは、こんな過酷な環境下でも耐えて皆を救ってたんだな。僕は…ちっぽけだ。

「ぼさっとしないでシュウ」

リゼがキツく僕に言う。僕はギクッとするが、直ぐに整える。

「ごめん。早く行こうか。」

僕らは脚力を上げた。

ーーーーーーーーーー

そこには大樹があった。木には沢山傷が付けられており、それでも尚立っている大樹は大きな存在に見えた。すると、後ろからなにか、ゾワッとしたものを感じる。これが俗に言う殺気だ。ポケモン達からいつも殺気を当てられているが、いまの殺気は何か違う。桁違いに強い『何か』である。
僕は瞬時に前にジャンプし、後ろを振り返っていた。

「そんなに警戒しなくてもいいじゃないか。」

その『何か』はケタケタと笑いながら僕らを見る。それは黒髪でアイスブルーの目をした…人間だった。けど、人間にだせる殺気じゃなかった。こいつ…何者だ?

「あなたが…ユウ、さん?」

リゼが警戒しながら言う。このただならぬ殺気に素人とは思えない、隙がない立ち姿。間違いなく3柱の1柱である。

「そうだよ。私はユウ。君たちと同じ。自由を目指すものだよ。」

ユウ…さん?はそう言うと僕らに近づいてくる。けど、今回は殺気も何も感じなかったため、警戒を解く。

「ぼ、僕はシュウです。」

「私はリゼ」

「知ってる。」

ユウさんはケラケラと笑いながらそう言った。この人。よく笑う人だ。とても豪快に。狂った人しか居ない施設では珍しいな。けれど、その人は決して狂ってないという訳ではなかった。濁った瞳。狂った人に共通している瞳だ。

「私はこの施設で情報屋みたいなことをしてるんだ。だから皆の名前は大体知ってる。」

ユウはフフフと笑うと小さいメモノートを取り出す。まるで何もかも見通しているような態度で、正直怖かった。未知のものに触れるような恐怖が僕の体を這い回った。

「……ってことは、キメラの事も…?」

僕は恐る恐る聞く。

「もちろん。ここはポケモン×人間のキメラの実験場だということも知ってる。ロリースの事もね。」

「「ロリース……?」」

僕とリゼの声が被る。ユウはキョトンとする。

「あれ?ダミから聞いてないの?」

ダミの事も知っているのか…?!
3柱っていうのは…こんなにも偉大なのか。
僕達は首を横に振る。

「じゃあ、その事は後で話そう。まずは自己紹介だね。私はさっきも言った通り情報屋をしていて、基本仕事での情報をリーダーに伝えている。ランキングを作ってるのも私だ。君たちの事は知ってるからいいや。ダミに言われて来たんだろ?取り敢えず話してみて。」

ここで僕らは驚く。だから名付けたばかりのタツナとミソウの名前がランキングに乗っていたのか。合点が行くか、こんな広大な施設の情報を握り、ランキングを書いているだなんて…ユウはどれほどの情報を握ってるんだ…

それよりも、話さなければ。僕達は今まであったことを赤裸々に話した。
ここは表世界でも孵化余りポケモンの処理をする施設であること。人間にポケモンの能力を付与する実験をしていること。過去に2回脱走があったこと。

「うん。間違いない。全部正解だよ。」

ユウは最初から全て知っていると言うふうに言った。そして…

「私の力が必要なんだろう?戦力と、情報も。」

さっきユウは『君達と同じ。自由を目指す者』と言っていた。確実に僕らの同士である。そして、ダミを知っているということはユウは脱走に加担しており、確実に僕らの仲間になってくれるということ。そして、リーダーと強い繋がりがあるということ。
ここで僕らのことをリーダーにバラされたら一貫の終わりだったが、ダミの『大丈夫』とはそういうことだったのだろう。

「私を仲間にするためには、私を気絶させてからだけどね。」

前言撤回。そういえばダミは『多分、大丈夫』と言っていたな。忘れてた。

「な、なんで」

僕はそう言った。ユウはさっきのような笑顔ではなく、レイのような微笑みを顔に出して。

「弱いやつに加担すると思う?」

と言った。その通りである。僕とリゼは顔を見合わせるとユウに攻撃を仕掛けた。

まず、リゼが足払いを決める。しかしユウはジャンプして軽々とかわす。リゼは足を透かしてかわされたと分かったのか直ぐに下がり、拳を突き出す。しかしユウは軽々とその拳を右手で受けてリゼの手を反対側に曲げる。すると『ゴキッ』という音がする。

「がっ、ぐっ……!」

リゼが苦い顔をするが、そんなに声は出さない。普通の女の子ならキャーキャー騒ぐ所だけど、この環境下だと身体ダメージは慣れたものなのだろうか。どちらにしろリゼの片手は使い物にならない。けど、十分だ…!
リゼとユウが戦っていた間、僕は何をしていたかと言うと、大樹に登っていた。
そして、ユウがリゼに集中して隙ができた時に僕は思いっきり大樹から降りてきた。空中で数回転し、ユウに蹴りを入れた。
ユウは受け止められると思ったのだろう。片腕で僕の蹴りを受け止める。『ボキッ』その嫌な感覚は僕にもしっかりと伝わっていた。

「なっ!」

そのまま僕はユウを蹴った。流石に宙に吹っ飛びはしなかったが、後ろにズサッと衝撃を受ける。

「あー、これは片手1本持ってかれたね……」

ユウは苦笑いしながらそう言う。僕が蹴りでユウの腕を折ったのだ。リゼは手首をぐるぐるとして、立ち上がる。どうやらリゼは関節を外されただけだったらしい。いや、それはそれで大変だけど、感覚が麻痺した僕らはそれを軽傷と認識していた。もちろん骨が折れることも軽傷である。

「…フフッ。流石、ヌメルゴンのキメラだ。頑丈だね。」

ヌメルゴンの…キメラ?それってもしかして…

「私の事も知っているのですね。」

リゼがそう言う。リゼって、ヌメルゴンのキメラだったの?!そう言えば、あの資料をあさったとき、リゼのことは調べてなかったな…
リゼはその時自分のことを知ったのだろう。

「私はインテレオンのキメラなんだけど、そのためか、素早さが高いんだよね。」

ユウは居られた片手をぶらーんとさせながらそう言った。

「さすが、キメラの子。」

ユウが僕に向かって言う。…僕も人間じゃない。資料をあさったとき分かったことだ。僕は、

「ガブリアスのキメラと、ミュウツーのキメラの子。実質この世界最強の生物だ。2匹のポケモンの遺伝子を持ってる上に、片方は伝説のポケモン。潜在能力は異常だ。」

ユウはふふふと不気味に笑いながら何か錠剤を取り出した。赤色の錠剤で、それをのんだ。
というか、僕ってそんなに貴重な存在だったの?!通りで資料は僕とチャーフルについて細かく書いてあったのか…

「けどね、私もそんな簡単に引くつもりはないんだ」

ユウはそう言って錠剤をしまった。すると、ユウの肌は青くなっていき、しっぽも生え、顔半分は、まるで、『インテレオン』のようになった。

「これが、ロリースだ。」

すると後ろから声が聞こえた。嫌な予感がして後ろを振り返ると、ユウが片手で鉄砲の形をもして、人差し指を僕の額に向けていた。

「ロリースをするとね、技も使えるようになるんだよ。」

そう言うと、ユウさんの人差し指の先端に水の玉が集まってくる。狙い撃ちである。

「めへへへっ!」

すると僕の後ろに隠れてたモココがユウさんにぶつかった。あれは、スパーク…?

「あがっ…ぐ。私は水タイプだから、電気タイプは弱いんだよね…」

ユウはカラカラと笑いながらも、余裕があるように見える。

「めへへへ……!」

するとモココが光出した。光始め、足が伸び、背が伸び、胴が太くなり…

「パルッ!パルルルッ!」

デンリュウへと進化した。

「デン……リュウ?」

デンリュウは自分に任せてというように僕を護るような体制を取った。

「……なら、私もポケモンを出そうかな」

『パチンッ』

ユウが指をならすと、どこからともなくピンク色のポケモンが出てきた。胸と耳にリボンがあり、凛々しい立たずまい。僕はこのポケモンを知らない。

「ニンフィア……」

リゼがサーナイトを出してそう言った。ニンフィア…このポケモンはそういうポケモンらしい。色からしてエスパーか、フェアリータイプであろう。

「少しは、面白くなりそうだね……」

ユウは何か瞳にギラギラしたものを宿し、舌なめずりをした。この施設の人は。何故バトルになるとこんなに目をギラギラさせるのだろうかそんな僕も、目をギラギラと輝かせていたと思う。

「デンリュウ!いくよっ!」

「ぱるるるっ!」

ーーーーーーーーーー

「あ…がっ!」

リゼがそう呻き声を出す。ユウに顔面を掴まれ、そのまま投げられた。伊達にユウは3柱ではない。桁違いに強かった。あの変な錠剤を飲む前は僕らでも倒せそうだったのに…飲んだ瞬間桁違いに強くなった。ニンフィアも強い。
僕は辛うじて立ってるものの、デンリュウも、サーナイトも、リゼも倒れてしまった。

「……楽しかったよ。じゃあね…?」

そう言うと、頭上にユウが居た。片腕は折ったはずなのに、いつの間にか回復して、手を銃の形に模して、人差し指で僕を狙っていた。
さっきよりタメが長い。ハイドロポンプだ。
僕は本能で感じた。これは死ぬ…と
僕の半分がガブリアスのキメラだからであろう。『じめんタイプに水タイプは弱い』

「ポケモンとの連携なら、人間を狙う方が勝てるんだよ」

そう言われた瞬間、そのハイドロポンプが至近距離で……放たれた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.40 )
日時: 2022/05/12 18:22
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ZFblzpHM)

その瞬間。視界が揺らいだ。
いや、視界が揺らんだんじゃない。ユウが何かしらの衝撃で揺れたんだ。ユウは誰かに膝蹴りを顔面にお見舞され、大樹に吹っ飛ばされた。

「なっ、誰だ!」

ユウはそう言うと僕らの周りに水の玉を浮かべた。ユウに膝蹴りをした人物に向かってその水の玉が向かってくる。しかし、その人物は全てを避けきり、まるで戦闘の模範解答のような美しい挙動と共にユウの顔面を大樹に押さえつけた。
早すぎて分からなかったけど、今気づいた。ユウを瞬殺したのは……レイだ。

「このポケモン弱い」

「滑稽。滑稽。」

すると横ではタツナとミソウが不気味な笑みを浮かべながらニンフィアのリボンを掴んで宙に浮かせている。

「お前。シュウをどうする気だった。」

その言葉で瞬時に場が凍りつく。ケラケラと笑っていたタツナとミソウもゾッとし、声の主の方を見る。声の主は…レイだ。
レイは大樹がミシミシと言ってるのをお構い無しに、ユウの顔面をめり込ませる。

「あぁ、その体制じゃ何も言えないな。」

そう言うとレイは次はユウの首を掴んで上げた。

「やぁ、久しぶり……だねっ、フジ。」

「俺はレイだ。なんだ?殺されたいのか?」

レイは1層怒りをこめてユウの首を絞める。このままじゃ本当にユウが死んじゃうよ?!けど、喧嘩をしてた僕が止めるなんておかしい話だし…

「死ぬっ!死ぬから!ちょっ、やめ……ぐはっ。」

すると次はユウのみぞおちに拳を入れ、大樹にユウの体をめり込ませた。

「さっきよりはマシだろ。シュウをどうしようとした?応えろ。」

レイは低いどう黒い声で木霊するようにユウに問いかけた。

「久しぶりに…強者が…現れたっ、から…手合わせ…を。」

「ロリースをしてまで手合わせしたかったのか。なら俺がしてやるよ。 」

するとレイはユウを宙に投げた。そして、地に落とされたユウはよろよろしながらも立ち上がる。

「いいよ、久しぶりに手合わせをしようじゃないか……」

ユウはもう満身創痍である。主にレイのせいで。その状態で大丈夫…なのか?

「おい!シュウ大丈夫かよ!」

するとタツナにそう言われる。僕はちょっと痛い部分はあるも、軽傷と思い

「う、うん。大丈夫…!」

といった。タツナは『そうか』と安心そうな顔をすると、ニンフィアを取り押さえるのを始めた。

「じゃあ、先手必勝でいくよ。」

ユウはそう言うと指で銃を模した。狙い撃ちだ…!
そう思った時にはもう遅かった。その狙い撃ちは真っ直ぐとレイに向かって飛んだ。しかし、次の瞬間にはそこにはレイは居なかった。

「内臓。潰すぞ。」

微かだが、そう聞こえた。空中にいるユウの背後にレイがいたのだ。
いつの間に……?
そう思ったのも束の間。レイはユウにパンチを食らわした。そのパンチは破壊力が高いことがすぐ分かった。

「がっはっ!」

ユウが大声でそう言うと、地面にぶっ飛ばされた。地面はユウが着地した衝撃でえぐれている。それより、レイはどうやって宙から降りるのだろう。と思ったが、心配無かったようで、クルクルと数回転した後に普通に着地した。

「私…これでも3柱なん……どけど?」

ユウはもう戦闘不能だろう。というか内臓潰すってレイ言ってたけど、ユウさんは大丈夫なの?!
僕はユウさんに近づいて怪我の状態を見る。……これはひどい、ユウの口からは血が出て、レイにパンチされたみぞおち部分は服が敗れ、内出血をしていて、紫色になっていた。確実に内蔵のひとつや2つ潰れているようだった。

「手加減はした。これに懲りたらシュウにはもう手を出すな。次は殺す。」

その殺気は。感じたこともないような物で、殺気だけで気絶してしまいそうだった。ユウさんは『ハハッ』と笑うとそのまま気を失ってしまった。外傷にレイの殺気で気絶してしまったのだろう。そして、気絶すると同時にユウの姿は元に戻った。
それにしても、あんなに強かったユウさん。しかも『ロリース』?だっけ。をしたユウさんが、レイに瞬殺だなんて…しかも手加減はしたって…
レイは底なしに強い。でもリーダーはそのレイの5人分強い。僕らよりも遥かに強いひとばかりでゾッとしてしまった。

「シュウ。行くぞ。」

タツナとミソウはニンフィアも気絶させたのか僕の手を引っ張る。けど…

「ごめん。ユウさんを放っておけないから今日はここでユウさんを守っててもいいかな。」

すると双子は「えぇ?」という顔をするが、レイはフッと笑う。

「相変わらず…レイに似てお人好しだな。」

その言葉。今なら分かる。レイ…2代目レイの事だ。本名はチャーフル・ジーニア。僕の双子の妹である。かつて妹はこの施設にいてみんなを救っていた。それに僕が似てるだなんて…チャーフルに比べたらちっぽけなものだよ……

「双子。行くよ。」

レイはそう言うと、また双子の襟を持つ。

「はぁ?!そんなことさせるわけ……」

タツナが何か言う前にレイはどこかしらへ消えてしまった。

「あー、命拾いしたな…」

すると目が覚めたユウが掠れた声で言う。まさに今、死にそうな時の声である。

「それ以上何も言わないで…!」

僕は必死にそう言った。内蔵が潰れている。その応急処置の仕方など分からない。出血してる訳でもないのに。

「私はポケモンとのキメラだ。3日間は死なないよ。あと、ダミが何とかしてくれるから…… それより、仕事が終わるまで私このままだとポケモンに食われそうだから守っててくれない?勝負を仕掛けた私が言うのもなんだけどさ。」

ユウはそう言うと、バツが悪そうに笑った。僕とリゼは無言です頷いた。

「ありがとう……じゃあ、なんか話そうか。そうだ、君たちは合格だよ。私を満身創痍にしたのはレイだけど、私の腕を1本折ったのは2人だからね。十分強いよ。」

ユウは僕たちにそう言った。ってことは…

「協力してくれるんですか?」

リゼが食い気味にユウに言った。ユウはカラカラと笑う。

「もちろん。協力するよ。じゃあ、脱走するために、ロリースの事を話さないと行けないね。」

そう言ってユウはポツポツと話し始めた。

ーーーーーーーーーー

『ロリース』それはポケモン×人間のキメラの潜在能力を発揮させるというもの。要するにいつもは人間だけど、『ロリース』をすると、ポケモンの姿に近くなり、ポケモンの能力も使えるようになるわけだ。そのロリースをするためには、研究所で作られた注射を打つか、ダミ特性の錠剤を飲むしかないらしい。でも、研究所の注射は打つとあんましポケモンの力を発揮できない上に、その後すぐ死んでしまうらしい。ダミ特性の錠剤は携帯できるし、飲みたい時にすぐ飲めるし、すぐ死なないしのため、ダミの錠剤を飲んでるらしい。つくづくダミは天才だと思う。
でもその変わり、ロリースをしたら寿命が縮んでしまうらしい。そして、元々キメラは寿命が少ない…ということも知った。

「キメラは……寿命が少ない…?」

リゼが顔面蒼白にして言った。

「そう。せいぜい生きれて50年程だ。シュウはキメラの子だから、寿命は人間と同じだと思うけどね。そして、ロリースをすると余計寿命か縮む。私はもってあと4年だ。」

ユウはそう言うと、咳をした。すると手には血が着いていた……

「ユウ…本当に大丈夫……なの?」

僕が聞くもユウはヘラヘラとした態度で変わらない。

「大丈夫大丈夫。レイに内蔵潰されたからね。」

大丈夫じゃないじゃないか…僕は困ったように携帯していたオボンのみとふっかつそうを、取りだし、そこら辺の石ですり始めた。薬を作るつもりだ。

「レイってそんなに強いんですか?」

「あぁ。あいつは化け物だ。私みたいなやつは赤子の手を捻る程簡単だ。」

「なんでそんな化け物に喧嘩打ったんですか……」

リゼは呆れていた。ユウ自身も「耳が痛いよ」と笑っている。

「少し、昔話をしようか。」

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.41 )
日時: 2022/05/14 20:13
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ShMn62up)

昔...何年前だろう。気がついたら、私ともう1人、私の妹は何かの培養槽の中に居た。ここはどこ?私は誰?なんてテンプレートな疑問は浮かばなく、只只無であった。
けど、妹は研究者から何か入れ知恵をされたらしく、表世界の事を嬉しそうに話していた。
それは、キメラの失敗作として施設に放り出された後もそうだった。

最初はずっと負けっぱなし。傷だらけだった。だけど、ポケモンとのキメラだからなのだろうか、どれだけ傷だらけにされても死なない体だった。もう嫌だ。もうこんなことしたくない。周りの人はポケモンを殺してる。そうしないと生きられないことなんて分かってる。けど、ポケモンを目の前にすると、罪悪感が勝ってしまう。幼い頃、1人の研究者に私達は気に入られてて、表世界のことを沢山教えて貰ってた。だから、そのせいで、私は生き物の命をとる事は...出来なかった。

妹も同じだった。というか、妹の方が表世界への憧れが高く、私より妹の方が重症であった。
このままでは死んでしまう。表世界へ行くためには数万人もいるこの施設でNo.1を取り、その上『ピラミッド』にも入らなければならない。
表世界に行くためにはポケモンを殺か、このまま野垂れ死にするか。

選択肢は1つしかなかった。けれど、私と妹は躊躇った。小さいポケモンですら殺すことなんて出来なかった。2人で殺す為のイーブイを拾って、束の間の時間。イーブイ達を愛でる程で、殺すなんて考えられなかった。
そうやって後回しにしてたのが悪かったのだろう。妹は死んだ。呆気なく。

私達はかなり衰弱していた。施設の底辺者は貴重な食料すら奪われ、満身創痍な時に、凶暴なポケモンに襲われたのだ。
目の前で流れる妹の鮮血。潰された頭に飛び出す目玉に脳みそ。キメラだからか、無駄に生命力がたく、上半身を潰されても、ギョロッと飛び出した内蔵はドックンドックンと動いていた。
ただ、私はその妹だったものにすら恐怖していた。そこで、あの人が現れる。

黒く濁りながらも美しく輝く紫がかった白髪。長いまつ毛に吸い込まれそうな紫紺の目。
その人は、施設の人々でも有名な...4柱の1人。4柱のドクであった。そう。今のリーダーである。

「あ...え?」

「大丈夫か!」

その時のドクは今の無口で冷徹無敵な性格とは考えられないほど温厚で優しかった。
その時、抑えられないほどの高揚感が私を包み込んだ。吊り橋効果という物だろうか?まあ、簡単に言うと恋に落ちたのだ。

「ドクッ!何してるの?」

すると、長髪ロングの黒髪でどこまでも澄んだ瞳の少女がこちらへやってきた。それは後光がさしているように見え、この世のものではなかった。ただものでは無いとど素人でも分かる雰囲気と、全てを包み込むような優しさが感じ取れた。この施設でこの優しさに当てられると、正気を保てられなくなる。だって、今まで誰も手を差し出してくれなかったんだもの。誰でもこの優しさに当てられたら涙の1つや2つ流すもの。

「あ...ぐえっぐ...」

私は妹が目の前で死んだショックに守ってやれなかった自分への恨み、ドクへの救われた感情に、この少女に救って欲しい気持ち。その他の複雑な気持ちでぐちゃぐちゃにされてただ泣くことしか出来なかった。

「ちょっとドク!この子泣かせたの!」

「いや、僕は何もしてないって!この子が襲われてる所を助けただけで...」

当時のドクは気が弱く年下であるだろう少女に逆らえずに居た。それを見守りながら、私はひたすらに泣いていた。号泣していた。

「なんで...なんで私が、ユウがこんな目に会わなくちゃ...ならないのっ!」

私はそう嘆いた。誰かに届いて欲しい。誰かに救って欲しかった。けど、そんな女神は現れるはずなんてない。そう思っていた。

「...ごめんね。ごめんね。」

そう耳元で囁かれた。私は少女に頭を抱え込まれていた。それはとても暖かく、人生で初めて人の優しさに触れて、余計涙が止まらなくなった。

「うあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!」

喉が掠れ、水分が絞り尽くされたよな痛覚を覚えながらも。私は嘆いた。嘆き続けた。
どれぐらい時間がたっただろうか。私は何分、何時間かかったかなんてどうでもよかった。考えられなかった。
それでも、始まりがあれば終わりもある。私はどんどん鳴き声が小さくなった。それを察してか、少女は私から離れた。私の涙と鼻水で服はぐしょぐしょになっていた。この世界で布類は貴重である。それを汚してしまい、今思えば恩人に申し訳ないことをしたと思った。

「私の名前はレイ。この施設のリーダーで、裏世界の柱の一角をやってる。そして...」

「僕はドク。4柱の1柱。」

私は目を見開く。この施設のトップ2人が目の前に居るのだからそれはそれは驚くだろう。

「アタシ...リウ。ユウ。シンダ。カナシイ」

当時の私は言葉すらまともに話せて居なく、カタコトでそれでも今の気持ちをなるべく正直に話した。

「大丈夫。私が、何とかしてみせるから。私が、この施設を...裏世界を幸せにしてみせるから。リウを笑顔にしてみせるから...だから、今は少しだけ我慢して欲しい。」

当時の私はこんな長文聞き取れなかった。レイも私に聞かせると言うより、自己暗示のような物だったのだろう。けれど、断片的には聞き取れた。笑顔、我慢。この2つだけどけどね。そこから分かったよ。もうすぐ楽になるから少し我慢して欲しいと。

「ドク。リウちゃんの世話をしてくれない?」

「世話って...」

「言葉を教えて、戦い方を教えて、生き方を教えて。」

ドクはその時顔を歪ませた。悩んでいたのだろう。私なんてお荷物だ。死ぬはずなのに死ねなかった出来損ないだ。だから悩んでいたのだろう。けれど、決してそんなことではなかった。

「僕...出来るか不安なんだけど...」

そんな事を言うと、レイはドクの手を取り、輝かしい笑顔で言った。

「大丈夫!ドクは4柱でしょ!ドクの優秀さは私が保証するんだから!」

ドクは顔が真っ赤かになっていた。『恥ずかしい』そんな感情は当時も今も持ち合わせてなかったため、その様子をみて何が何だか分からなかった。
ドクはうーんと唸ると、私の手を取り

「来い。教える。」

ドクはそうたった2つの単語を私に言った。私は言葉を半分理解出来ていない。そう思われていたのだろう。まあ、事実だが。
それからはあっという間だった。ここの大樹の下で生きる術、戦い方を教えて貰った。そして、ドクは当時リーダーに施設内の情報を伝える『情報屋』もしていた。私を跡継ぎにしようとしたのか、情報屋としての基礎知識、世渡り、ロリースまで教えて貰った。そうして私はすくすくと育っていったよ。それまでの過程はとても楽しかった。ドクと2人っきりで他愛もない話をしていた時間が特に楽しかった。まあ、ドクは口を開くとレイのことしか喋ってなこったけどね。それでも楽しかったよ。
好きな人と話す時間は。

その楽しい時間が崩れたのは唐突だった。

私が柱になれる直前になる前に...脱走騒動が起きた。柱とその他人物。計6人が脱走を試みたのだ。その中には、レイ、ドク、フジもいた。
私は立派に1人で情報屋をやれるぐらいには成長していたが、それでも脱走なんて情報1つも入ってこなかった。きっとダミの根回しが上手かったのだろうな。そして、ドクもそれを黙認していた。
脱走騒動が起きたあとは私の世界が何もかも変わった。まず私は状況生理をするために情報を集め回った。その結果。脱走を測ったのは
レイ、ドク、ダミ、フジ、アーボ、スイ
の計6人。その中のスイ、ドク、ダミ、アーボが柱で、レイはリーダーであった。
そして、ドクとフジ以外。死亡。

その時私はどう思っただろう?ドクが生きてて良かったと安堵したか?恋敵のレイが死んでせいせいしたか?こんな地獄のような環境でも、明るく皆を照らす存在であったレイが死んで言葉にならぬほど悲しかったか?

全部大正解。その時、妹の他に大切な人を失った気がして、気が狂いそうになったよ。1度しか出会わなかった人物だけどね。けれどね、その1度だけで人生の1ページが刻まれるほど、レイの存在は圧倒的だった。
気が狂いそうだった...私はさっきそう言ったけど、よく考えたらもう狂っていたのかもしれない。心の中では感情がぐちゃぐちゃしてたけど、涙ひとつすら出なかったよ。もう表情筋が死んでたんだ。
当時空気が薄かったフジはかい?今は『レイ』と名乗って3代目レイとして3柱の1柱になっているよ。信じられないよね。あのレイにくっついて離れない大人しかったフジがだよ?今みると笑えるね。

その後、ドクとフジは優秀な人材だっただめ、殺されずに拷問を受けた。拷問の内容は...酷すぎるから伏せておくことにするよ。そうして、2人とも人が変わってしまった。私が恋焦がれていたドクは冷徹になり、私にも冷たくなり、誰もを拒絶した。そして、繰り上がり式でリーダーとなり、今の施設を統治してる。フジは、キラキラに輝いていた美しい紅目は今のように濁りに濁ってしまい、レイと同じ色だった黒髪は、白髪になり、レイがつけていた赤いターバンを着けるようになった。性格はいつもおどおどしてレイのことになったら百面相になってたからかいがいのあるやつだったのに、今のように常に微笑んでいて、ポケモンを殺すことには躊躇いが無くなった。生物兵器へと豹変したよ。

そういう私も変わってしまったのかもしれない。いつも「もう少しで楽になる。」なんて希望を覚えながらひたすらにポケモンを殺していたけど、大切な人が死んで、大切な人が豹変して。初恋も終わり私はいつの間にかこう名乗っていた。

ーーーーーーーーーーーーー
《シュウ》

「ユウってね。」

そう言って、ユウさんの話は終わった。それは、言葉で言い表せないほど過酷極める酷いものであった。2代目レイ...僕の妹はそこまで皆を包み込んでいたと思うと誇りに思う。けど、チャーフルはもう、この世には居ないんだ。

「...なんで...私達はこんな目に合わなければならないんでしょう...」

リゼはそう嘆いた。僕も同感であった。そして、こんな酷い目にあってる人々の屍の上に表の世界が成り立ってると思うと、表世界のせいで妹が死んだと思うと...表世界に住んでいた僕も、表世界全てを怨みたくなった。何もかも、無くなってしまえばいいと投げやりにさえなっていた。けれど、それを引き止めるのはチャーフルだ。悲しそうな顔で、僕の心の中で僕のことを見るんだ。

「裏があるから表がある。表があるから裏がある。コインと同じだよ。」

ユウさんはやや達観したように語る。

「コインは表がなければ裏は出来ないだろ?それと同じだ。」

ユウは濁った水色ともいえなくなった瞳でガラスドームを見つめた。
すると、後ろから何かを感じた。殺気...では無いけど、何かの気配。
僕とリゼはユウを守るように構えた。

「...そんなに構えなくてもいいよ。」

「敵じゃない。」

そこには、タツナとミソウがいた。

「...聞いてたの。」

リゼが双子のことを睨みつける。双子はレイと深く関わっている人物の2人だ。話を聞かれ、脱走のことをレイに告げ口される可能性を考えると僕とリゼは今ここで双子を消さなければならない。
自分の妹弟のように可愛がっていた人物を自分の手で殺さなければならないとなると、力が入らなくなってしまうが、それでも、僕は殺気立てて双子を見た。
しかし、双子は何も構えずゆっくりと僕たちに近づいてきた。
戦闘能力、経験、ここまで2人だけで生き抜いてきた才能の差がここ出る。
相手は余裕だが、こちらはあまり余裕でない。

「聞いてた。わりと序盤から。」

ミソウがそういう。しかし、その言葉にはいつもの冷徹さはなかった。むしろ...

「その話。俺らも1枚噛ませて貰ってもいいか?」

思いもよらぬことをタツナが言ったのだ。
僕らは殺す覚悟で構えていたが、その言葉で拍子抜けした。

「詳しく聞かせてもらう。」

ミソウがそう言うと、僕らは構えをといて、僕、リゼ、ユウ、タツナ、ミソウで輪を作った。
そうして、脱走のこと、僕らのこと、2代目レイの事など、赤裸々に話したんだ。
少しは警戒したら良かったんだろうけど、ユウが「大丈夫」と言っていたため、包み隠さず双子に明かした。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.42 )
日時: 2022/05/14 09:13
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)

うぅ〜……、今回の回は1番切ないです……。
特にわたし、こういう涙脆いお話は弱いんですよ〜。
原作アプリにも、こういう涙脆いイベントがいくつかあります。
だからかも知れません、見た目では持ち堪えているように思いますが…本当はそんな自分自身を演じているんですよ。
回想シーンにあった、リウちゃんのように。
だけど私の描くピカチュウやイーブイは違います。
ちゃんと自分を受け入れてくれる人がいるから、人は怖くないと認識出来るんですよ。

いつも感想描きに来てくださり、ありがとうございます。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.43 )
日時: 2022/05/14 15:12
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 7dCZkirZ)

>>42
うわぁぁん!泣いてくれたの嬉しいよぉ!(´;ω;`)
元々ユウはオリキャラで、妹と両親を亡くした設定でお願いしますと言われたんですが、物語の都合上両親が居ない試験管ベイビーとなってしまったため、両親の代わりにドクと、2代目レイを、大切な人に置き換えました。
ドクは死んでませんが、昔のドクは居ないため初恋と共にユウの気持ちも死んだ……となりました。

結構文書だけになってしまって……それでも読んで頂いたのならとても嬉しいです!


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。