二次創作小説(新・総合)

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≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き
日時: 2023/03/04 20:10
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: o/NF97CU)

       
 ご注意
◯死ネタが含まれます。
◯グロ注意
◯これは二次創作です。本家とは一切関係ございません。
◯ポケバは、アニメ方式で表現させて頂きます。
◯誤字脱字、私の語彙力不足での分からない所は、紙ほかの裏の陰謀についてでも、ここのスレでも大丈夫です。

《閑話》
【2022年夏】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 金賞
【2022年冬】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 銀賞
読んでくださってる方々、心の底から本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)


──

プロローグ

ここは地球。
この星に住む、不思議な不思議な生き物。
──ポケットモンスター 縮めてポケモン
彼らは 空に 海に 大地に…さまざまなところに分布している。

この物語は… この世界の… この星の"裏"で生き残る少年の物語である…






  ──覚悟はできてるんだよね?──






 【記憶】

イチ─仕事場─ >>1-11
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ニ─恋バナ─ >>12-13
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
サン─双子─ >>14-24
───────────────
ヨン─リゼ─ >>25-30
───────────────
ゴ─3柱─ >>33-44
───────────────
束の間の刻 >>45
───────────────
ロクーチャーフル・ジーニアの英雄譚ー 
>>48-58
────────────────
ナナー嵐の前の静けさー 
>>61-65
────────────────
ハチークズレハジメルー
>>66-
────────────────
番外編 腐れ縁のユウとレイ、リウとフジ
>>63
────────────────

   ・・・

『オリキャラ、お客様リスト』

暁の冬さんーリゼ >>20
女剣士さん
――――――――――――――――――

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.59 )
日時: 2022/06/22 16:43
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)

女剣士です。

……切ないです、うわぁ〜ん!
仲間たちを失った痛み、凄く分かります。
まるで、今回のメインになった子と私の知ってるダイの大冒険の主役・ダイと似ている部分がありますね。

彼もね、アニダイ編で父・バランを失った時のシーンでね…今みたいに憂鬱になっていました。(※アニダイの第60話を参照すると分かりますよ)
だからかも知れないかな、共通点があるのは。
しかし、これからどんな風に立ち上がるのか気になりますね。
これからの展開が、気になります。

それでは、また来ます。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.60 )
日時: 2022/06/23 17:57
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: xXhZ29pq)

>>59

もう最初は2代目達について描こうと思ったんですけど辞めました()
アニダイは見たことないですね…多分共通点があるのはアニダイ関係ないです。
立ち上がる?面白いことを言いますね女剣士さんは。



ここまで来たら堕ちる他無いでしょう……

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.61 )
日時: 2022/06/30 16:07
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: XsTmunS8)

ナナー嵐の前の静けさー

「だーかーらぁ!なんでレイはポケモンを一撃で殺すんだ!」

「逆に何故双子は苦しめて殺すんだい?」

 タツナ、ミソウ、レイは同室でいつものように喧嘩をしていた。喧嘩といっても可愛いものでなく、ガチの戦闘が始まったのだ。もう1人、同室のシュウはまたアワアワしながらその様子を見ていた。そうしているうちにレイVS双子がドンパチし始めた。最近双子がレイに対して攻撃的だけど、何かあったのだろうか。うーん、確実に脱走計画のせいだよね。ごめんねレイ。
 そんな呑気な事を思いながら僕はリーダーを呼ぶために図書室へ走った。正直今の僕だったら2人の喧嘩は止められると思う。それぐらいは強くなった。
 けれど今力をレイに見せつけたら計画に支障が出てしまう。仕方ないからいつもリーダーを呼んでるのだ。

「リーダァァァーーー!! またレイとミソウとタツナがぁぁー!!! 」

 僕は叫んで図書室の中に入る。するとリーダーは薄黄色のコートーフードを翻して黒電話で何か電話していた。僕は咄嗟に口を紡ぐ。

「え、あぁ、何でもないっす。そうっすか。これからは施設に帰れないんっすね。了解っす。」

 そんな会話をした後リーダーはガチャンと電話を切った。僕は息を止めてその様子を見ていた。玄人相手ならば呼吸だけでも相手がいることが分かるからだ。といっても、最初に叫んでしまったため意味は無いかもしれない。

「すまん。仕事の話をしていた。また喧嘩か? 」

「そうそう、助けてリーダー! 」

 僕は小説に出てくる爽やかな主人公のような素振りをしてリーダーを見つめた。眉を八の字にして、うるうるとした目で見つめる。こうすれば誰でも落ちる。それは表世界でもそうだった。僕の顔の良さが幸いするのだ。

「はぁ。シュウ、そろそろお前もこちら側だな。」

 リーダーが意味の分からない事を言う。僕はカクンと首を傾けるとリーダーは難しそうな顔をする。

「もう、お前の瞳は淀みきっている。俺らと同じ"裏側"に、もう来てるんだよ」

 僕はそんなことを言われ『ライトノベルの好青年主人公』の顔を辞めた。もう何も顔に出さない。強いて言うなら僕の険悪な何かを抑えることを辞めた。

「気づいてたんだな。」

「口調まで変わるのか。お前の双子…2代目レイが似たような事になってたからな。」

 そういえばリーダーは僕の片割れと深い仲だったね。レイとユウもダミも僕のこの演技を見抜いてるかもしれない。いや、それは無いか。ドクとダミはともかく、レイとユウは僕にゾッコンだからね。気づくはずもない。
 何故なら、
 "チャーフルの演技にも気づかなかったのだから"
 まあ、チャーフルが死んだ今となれば関係ないけど。

「で、リーダー。早くしてくれないと困るんだけど」

「口調までそっくりなのかお前ら双子は」

「何の話?」

「いや、なんでもない。すまないが俺は今から仕事なんだ。」

 リーダーは僕から目を背けながらそう言った。チャーフルも僕のようになっていたのだろうか。流石僕ら双子である。チャーフルも色んな人を魅了していたんだろうな。誇らしい。

「仕事って、ピラミッドの? 」

「そうだ。今大きな仕事が来ていてな……正直、施設にいられるのは今日で最後だ。」

 リーダーが寂しそうに古びたチャーフルの日記を大切そうに持っている。今日で最後って、どういうこと? 何故みんなにその事を伝えないの? リーダーはどうなるの?
 急に衝撃の事実を言われ僕は施設に来た初日のように疑問で膨れ上がった。

「色々聞きたいことがあるんだけど……」

「そうだろうな。最期の仕事だ。遅刻しても文句は言われないだろう。ゆっくり図書室で話すか。」

 リーダーは何か取り憑かれたものが落ちたような顔をして図書室の椅子に座った。僕もリーダーが真正面に居るように座った。リーダーは『はぁぁぁ』と大きなため息を着いてダラーッとした座り方をした。

「もう僕も疲れたよ。威厳あるリーダーなんて、チャーフルみたいにしたんだけどさぁ。無理だよ……」

 するとリーダーとは思えない口調で言い始めた。初めてこの口調……素のリーダーと対面するけど、ユウやダミから話は聞いていたため特に僕は焦る様子は見せなかった。

「俺が素を見せるなら、自分も素を見せようってこと? 相変わらず情に弱いねリーダーは」

 俺ことソレイユ・ジーニアは頬ずえをついてリーダーを見つめる。リーダーは否定が出来ないのか苦い顔をした。

「それで、聞きたいんだけど。今日で最後ってどういうこと? 」

「俺がピラミッドの一兵卒なのは知ってるな」

 僕はその言葉で頬ずえから崩れ落ちそうになった。ピラミッドなのは知っていたが一兵卒なのは聞いてないし知らないし思えない。施設で1番強いリーダーがピラミッドの下っぱなんて考えられないのだ。『世界は広い 』俺は今そう知らしめられた。
 でもそれを言うと話がそれそうなため取り敢えず頷く。

「それで表世界の組織から依頼を申し込まれた。"イッシュ支配"について。そして、その計画もそろそろ大詰めでそこに僕は行かないと行けないん……だけど。これは確実に負け戦だ。」

 またしても俺は目を見開くことになる。情報量が多すぎて追いつけないって。
 まずイッシュ支配って、そんな壮大なことが行われていたことに驚きを隠せない。イッシュ地方─俺が牧場で暮らしていた所の西の西にある地方である。そこの支配をするだなんて……どれほど壮大な組織なのだろうか。
 裏世界だから、表世界だからという理由で組織の大きさは決まらない。図書室の歴史本を読み感じたことだ。その組織がイッシュを支配したのなら、裏世界にも魔の手を伸ばすかもしれない。
 ただ、引っかかるのは"負け戦"という所だ。リーダーがいるというのに負け戦なのは納得が行かない。

「負け戦って? 」

「まあ、表世界の敵が強くてな。力では敵うが、権力と条件が厳しすぎてぶっちゃけ無理なんだ。」

「それと、リーダーが施設に来ることが無い事はなんの関係があるの。」

 俺はかなり真剣な顔でリーダーの事を見る。リーダーは少し寂しそうな顔を見せる。本当にこの人はリーダーなのかと疑いたくなる。情に弱すぎるし、威厳もクソもない。そりゃ演技もしなければやってられないなこりゃ。

「今回の仕事は地方支配という大きな仕事だ。なのにそれをファドゥーである僕に依頼。頭沸いてんのかと思ったよ。まあ、それは置いといて。これは僕にとってピラミッドの昇格に関わる……いや、それ以上の依頼だ。それを失敗したら、分かる? 」

 俺は勘が悪い訳では無い。逆にビンビンに良い方である。勿論分かった。

「首チョンパ……だね。物理的に」

「That's Right……」

 リーダーは僕を指さして勢いよく言ったつもりなのだろうがしおらしすぎて何も言えない。というかこういう所ダミに似ているな。一応リーダーとダミは兄弟だもんね。ダミは死んでるけど。
 まあ、大体のことは分かった。リーダーは大きな仕事を任されるが失敗確定のため、自分が殺されるのも確定。
 というわけである。可哀想だが裏世界とはこういうものなのだなと割り切った。こんなことを割り切れるだなんて、たしかに俺は裏側に堕ちてるかもしれない。

「じゃあ次の質問。何でそれを俺達に伝えなかったのか。俺はともかく、レイやユウには伝えるべきだろ。」

「少しは僕の心配をしてよ……」

「俺が心配した所で変わらないだろ」

 俺があっけらかんと言い放つとリーダーはガックリと肩を落とす。一応俺はチャーフルの双子で顔が同一人物かと思うほどそっくりである。そしてリーダーはチャーフルが好きだった。
 好きな人とそっくりな人に心配されなかったらそりゃあガックリするだろう。

「レイやユウに何故言わないのか……だっけ。2人には心配して欲しくないんだよ。裏世界の繋がりはいつかはあっさりと切られるもの。僕はそれに従ってるだけだよ。」

 リーダーは寂しそうにそう言った。けど、俺はしっかりとリーダーの目を見ていた。それが違うことぐらい、分かった。いや、半分は本当何だろうけど……

「レイ達にトラウマをもう植え付けたく無いとかは? 」

「……シュウに隠し事は出来ないな」

 リーダーがハハハと乾いた笑いをだす。ケラケラと笑うダミと比べたらリーダーは良い人だな。俺はこんな人には慣れそうにないよ。そう考えると聖人だったチャーフルと俺は正反対なのかもしれないな。
 レイ達は前に脱走未遂をして、大切な仲間を数人失った。特にチャーフルを失ったのはリーダー含め施設皆のトラウマだろう。リーダーが死んでもチャーフルほど皆にトラウマは植え付けられないと思うけど、リーダーを傷つけて他の質問を聞けなかったら不味いから言わないでおこう。

「じゃあ、これからリーダーはどうなるの? 」

「僕は死んでなんの記録にも残らないだろうね、強いて言うなら歴代リーダーとして、歴代ピラミッドの一兵卒として名は残りそう……かな。心残りはレイとユウを置いておくことかな」

「あー違う違う。リーダー……ドクの心情なんて興味無いから。施設のリーダー役はどうなるのかって話」

 またしても俺はリーダーを傷つけてしまった。もうリーダーは涙目になっているが質問は返してくれそうなので知ったこっちゃない。

「……リーダーはレイになるだろうな。柱も双子が成り上がりでなるかもしれない。そして、レイは結構強いから俺の代わりのピラミッドになりそうだな」

 俺はその言葉が聞き捨てならなかった。レイがリーダーになる? 冗談じゃない。ピラミッドは聞いた限り基本的に汚れ仕事を受け追う組織だ。そこにレイを入れるだなんて俺が許さない。余計計画を成功させなければならない。

「次は僕から質問だ。シュウ達は脱走計画を企ててるだろう? けど、普通の脱走じゃない……」

 その瞬間。俺の肝が冷えた。脱走計画がリーダーにバレていた。全て筒抜けという訳では無いのだろうが、『普通の脱走じゃない』と言われてる時点でかなりの情報を掴まれてる。流石元情報屋と言うべきか。
 しかし、考えろ、考えるんだソレイユ・ジーニア。それを、分かった上で俺に聞いている。ということはだ、俺たちを捕まえて拷問をするつもりはないという事だ。リーダーの情の弱さに救われたよ。

「俺の口からは何も言えない。」

「僕に弱みを握られているんだよ? 今拷問しても問題はない。」

「それは出来ないんじゃない? 情に弱いリーダーさん。」

「っ……この双子は……」

 リーダーは図星だったのか苦い顔をして俺の事を見る。この双子は、何だい? 何を言われようとも俺らにとっては褒め言葉だね。流石チャーフルだ。
 すると廊下から軽く、早い足音がする。これはリゼだ。

「リーダー! シュウ! 何してるんですか! 本当にレイとタツナとミソウが施設を壊しますよ! 」

 リゼは、はあはあと息を切らしながら俺らにそう言った。僕はいつもの『ライトノベルの好青年主人公』の顔を浮かべる。リーダーもいつもの圧を取り戻す。

「すまない。今行く。」

 そう言ってリーダーは全速力で走り出した。本当にリーダーは凄い。足音なんて全然聞こえないんだもの。僕達もリーダーに続こく。

「リゼ。さっきの話聞いてたでしょ」

「……まぁ」

 僕はニコニコしながらリゼに、言うとリゼは目を逸らす。ダミの部屋といい、今回のことと言い、本当に、リゼは運が悪いね。けど、僕の素を知られようとなんて事ない。計画に支障は出ないのだから。

ーーーーーーーーーーー
《ドク》

 恐ろしかった。本当に恐ろしかった。捧擲 寿という人物は、素を出したとしても心の内を全く開けず、情等虫けら程度に思っている様子で、溢れ出る圧も物凄かった。さっきは俺が居なくなったらレイがピラミッドになると言ったが、下手すればシュウがピラミッドになって、最悪裏の頂点に立つかもしれない。そうならない為の計画となると、ダミは本当に賢い。
 普通じゃない計画。それだけは何となく脱走計画者の行動を見ていたら分かるが、内容はまだ分からない。もし、俺達と似たような計画だったら……
 それが1番良いのかもしれない。まあ、脱走が始まった時には、俺はもう死んでそうだがな。

「お前ら! 仕事人同士の争いは辞めろと言っただろう! 」

 俺はそう言ってレイの襟を掴む。レイは俺を睨みつけながらじたばたするが途中で諦めてしおらしくなる。双子に関しては俺が来た瞬間から何も言わなくなった。
 今回も喧嘩を止められたが、今後の喧嘩は俺が居ないため他の人に任せるしかない。リョクとユウ辺りに頼むか。
 そう思いながら仕事へ向かおうとするが……

「リーダー」

 廊下でレイに呼び止められる。レイの顔を見るのもこれで最後か。せめてフジの頃の顔をまた見たかったが、無理なようだ。せめてレイには、幸せになって欲しいものだな。

「なんだ」

「……リーダー……」

 レイは要件を言わずにただ下斜めを見て唇を噛んでいる。俺はレイの勘の良さを舐めていたかもしれない。これから俺が居なくなることを察してしまったようだ。それでも、それでも。

「明日も、喧嘩したら容赦しないからな」

 俺はそう言った。レイはもう泣かない。レイは感情を表に出さない。そんな奴だっただろう。なんで、今更そんなへしゃがれた顔を俺に見せるんだ。
 俺は何も言わずにレイに背を向けて廊下を歩き始めた。

 まあ、例え負け戦でも。


 最期まで足掻いてやろうか。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.62 )
日時: 2022/07/06 00:57
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: PNMWYXxS)

いつもの仕事場、いつもの風景。人外が人外を殺しあってゆく様子に微動だにしない木々達。この森が夜になると無機質な迷路になるなんて、到底考えられない。まあ、自分は行ったことないし、行く気もさらさらないのだが。

「やーやー。待ったー? 」

 すると物音をたてずに自分の背後に回る人物が1名。ボサボサとしたどす黒い黒髪に濁りきり、ギリギリ青色が見えるという瞳。
 ダラッと立っているように見えて隙のない体勢に、片手にはメモ帳。
 3柱のユウである。

「近況報告をしろ。」

「あのさー。リーダーなら分かるし、1柱のレイもギリギリ許せるけどさ。何で2柱であるリョクに情報渡さないといけないわけ? 」

 ユウは飄々として、誰をもおちょくり情報を手に入れるのが得意な性格だが、やはり自分こと、2柱リョクの前だと警戒してるのか声が座りふざけた様子など無い。
 まあ反抗はするがな。しかし、所詮ユウは情報屋としての権力が上がった故に3柱にギリギリ入れてるだけで、ロリースしなければ自分にとって敵ではない。まあ、その肝心のロリースも使いすぎて力は無くなってきてるがな。

「自分も柱の一角だ。3柱で結束する時に無駄な話をしないで済むだろ」

「私にとってはこの時間すごーく無駄なんだけど? 」

「殺すぞ」

 ユウは伊達に3柱でないため頭はかなり切れる。先代情報屋と比べたら劣るが、自分ではユウは手に負えない。そのため実力行使で黙らせた方が楽なのだ。
 自分は本気とも取れる脅しをユウにかける。ユウだけではないが、施設の生き残りは皆この脅しには慣れたものだが、自分とユウのように実力離れしてる際の脅しはもう半ば実行できる状態である。
 ユウは流石にそこで口を閉じた。

「はぁ、頭脳で力が決まる世界とかあったらいいのになー……」

 とかぼやきながらメモ帳をめくってく。頭脳で力が決まる世界等存在しないだろう。異世界とか異次元に行かない限り。表世界だって、行ったことは無いがきっと実力行使の弱肉強食の世界だろう。

「今回のランキングは1位 レイ、2位リョク、3位タツナ、ミソウ……5位 シュウ……10位リゼ
 まあ、こんな所かな? 」

 ユウはふぅと言いながらメモ帳を閉じる。相変わらずランキングにユウは載っていない。それが、どれ程情報屋の権力が凄いかを物語っている。というかランキングは俺も見れるから要らない情報なのだが。しかし、また今回も1位はレイか。数回前はレイのお気に入りの双子に抜かされたが、今回は定位置の2位につくことが出来た。
 あとは大体いつも通り出ないだろうか。1人を除けば……

「そのシュウというやつは何者だ」

 自分が言うとユウはさぁと首をかしげる。絶対何か知ってるだろう。自分はそう確信していた。何故ならユウは知らない時は素直に『知らない』と言う。言葉を濁すということはそういう事だ。例外もあるがな。
 しかし、気になる。自分が聞いた話だとシュウという人物は奴隷市場出身の、定期的に肉壁として連れてこられる奴隷の1部であったはずなのに。生き残れること自体がおかしい。それだけで十分なのにランキング入りを果たし、そこからずっと5位を保っている。重要なのは『一定の順位を保っている』ということだ。奴隷市場から来たただの人間のはずなのに生き残り、ランキング入りを果たすだけでリーダー並に化け物なのに、これ以上人外要素を増やさないで欲しかった。
 基本順位はかなり変動するものなのだ。新たなキメラ失敗作が毎度暴れたり、ランキング入りをしたものは大体他の奴には目をつけられ殺される等。レイ……は元々2代目のお気に入りで育てられた為ずっと1位なのは把握してる。そしてレイのお気に入りとして育てられてる双子が自分と2位争いをしてるのは悔しいがまあそういうものだと飲み込もう。リゼは毎度ランキング入りを果たしているが殺してる数が多いだけでランキングに、入ったり入らなかったりだ。
 なのに、シュウは1回ランキングに入ってからずっと5位を保っている。成長も退化もしてなければ殺されてもない。微妙に保つのが難しい5位を保っているのだ。
 おかしい、おかしい! 普通の人間がそんなこと出来るはずがないだろう! 身近に例外リーダーは居るが、そんなのがポンポン表れてたまるか!
 落ち着け、落ち着くんだリョク。結局何が言いたいのかと言うと、5位を、保ち続けられる実力を持ってるということは、5位以上の力を持っていると言うわけだ。

「シュウ……か。」

「シュウの情報欲しい~? 」

 自分が口を塞ぐとユウがここぞとばかりに自分に聞いてきた。さっきとは打って代わり自分の方が立場が下になるためユウはものすごくニヤニヤしていた。

「お前……やはりシュウの事を知ってるんだな」

「対価は前のランキング入りの報酬」

 自分の質問には答えずユウはニッコニコしながら自分に要求してきた。前のランキング入りの報酬といえば……服か。コイツはランキング入りは果たせないため物資をランキングで調達出来ない。やはり生き方が賢い。

「……分かった。それで手を打とう。」

「まいどありー。シュウ、本名 捧擲ホウチャク 寿シュウ カロスの高原で貧しく暮らしているところを捕獲。そこからは奴隷市場に売られ、ここに来たよ。性格は好青年の、まあ表ではよくいる性格らしいよ。あ、ここリーダー情報ね。そのせいか結構な人たらしでね。レイ、タツナ、ミソウ、その他施設の奴隷もやられてる。これぐらいかな。」

 ユウはシュウに関しては詳しいのかメモ帳を見ずにスラスラと答えた。表世界のカロスという所で育ったのか。そして、人たらし……もしかしてユウもそのシュウの人たらしにやられて、ランキングの改ざんをやっているのか? いや、それは無いか。ユウは生まれてこの方リーダー一筋である。なら、シュウは何者だ。

「そのホウチャク シュウは人間か。どことなく2代目に似ている気がするのだが。」

 自分はユウにそう問いかけた。雰囲気が、見た目がどことなく2代目に似ている。いや、どことなくというレベルじゃない。そっくりである。まるで2代目がそのまま成長したような見た目だ。そしてリーダー並に人外離れしている能力。リーダーと同じ人が現れたと言うならば納得がいくが、さっきも言った通りリーダーみたいな化け物がポンポン現れる訳が無い。

「気の所為じゃない? シュウは人間だよ。あ、報酬よろしくー」

 ユウはそう明後日の方向を見て呟くように言いながら消えてった。情報屋……それは力が無くとも移動の早さと賢さがあれば出来る。逃げ足は流石と言ったところか。

「シュウ……」

 レイが気に入ってるのも、もしかしたら2代目との関係があるからかもしれない。そして、2代目レイと繋がっているということは……もしかしたら

「スイさん」

 スイさんとも繋がりを持ってるかもしれない。自分は10年前にスイさんに貰って以来1回も開けてない赤い錠剤を握りしめ、曇天の中、颯爽とかけた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.63 )
日時: 2022/07/19 15:53
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: pUqzJmkp)

番外編 腐れ縁のユウとレイ、リウとフジ

「……リョク来ないな」

仕事場、仕事中。柱とリーダーの集会にレイとユウは来ていた。
 仕事人は仕事中は建物に入れないため集会は大樹の元と決まっている。
 2人は特に話そうともせずに明後日の方向を向いて何か考え事をしていた。
 レイはシュウの事を。ユウは脱走のことを考えており、お互い話そうともしなかった。

「ねぇねぇ。レイはシュウの事好きなの?」

「あぁ。そうだが」

「本気かい?」

「悪いか」

 そこで会話は止まる。レイは正直ユウと1対1で対面するのは好きではない。相手は情報やの為口が回る。そのため自分の情報を取られないように気をはらなければならない。
 しかし、今回の話は情報を抜き取られても問題ないと踏んだレイは涼しい顔で言った。
 ユウは考えた。腐れ縁相手だからこそ覚える違和感。"本当にレイはシュウの事が好きなのか"
 傍から見たらシュウとレイは両想いに見えるが、レイからシュウへの対応が違和感あった。

「じゃあ質問を変えよう」

「余計なことは答えないぞ」

 ユウが人差し指を宙でクルクル回しながら言った。レイは普段よりも警戒した声色で言った。

「2代目が生きていたら君はシュウと2代目。どっちを取る?」

 ユウの質問にレイはピクッと動いた。そして虚ろな目で下を向き始め、ユウは少し意地悪をしてしまったと後悔する。
 ユウはレイをからかうのが好きだが、レイの過去を抉るような一線は超えるのを躊躇った。赤の他人なら抉るのは躊躇わないがレイとリーダーだけは躊躇ってしまう。
 レイはユウに質問された瞬間頭が真っ白になった。何と答えれば良いか、何を言えば正解なのか。
 しかし黙っているだけだと、弱い質問をユウに知られてしまう。

「2代目はもう。居ない」

 レイは答えた。2代目が、初恋の人が居ないのは分かりきってるし、そんな世界あるわけが無い。
 その事実を再確認するとレイはいつになく心が抉られる感覚を覚えた。

「仮にだよ。仮に」

「……お前はリーダーとダミならどちらを取る」

 レイは答えられず質問を投げ返した。ユウは眉をピクっとさせ明らかに不機嫌な顔をした。
 レイもユウに対しては一線を越えないつもりだが今回ばかりはやり返したかった。
 
「私はリーダーもダミも取らない。ドクを取る」

「ダミはドクと全く性格が違うから分かるが、リーダーとドクは同一人物だろ」

「全く違うよ」

 ドクは、リーダーの昔の名前で、ダミは今は亡きリーダーの弟である。
 2代目とシュウも兄弟なため、ドクとダミの話をレイは振ったが、ユウは即答だった。

「ドクとダミはあの通り性格が真反対。ドクとリーダーは確かに同一人物だが、違う。分かるかい?」

「分からん」

 ユウがそう言うとレイはすぐ言った。
 レイにとってはリーダーもドクも変わらなかった。確かに対応は変わったが、根は変わらず、逆に2代目の背中を追いかけ合っている同士と思っている。

「……フジとレイは違うだろう? それと同じだ」

「なるほど」

 ユウが少し考えていうとレイは直ぐに納得した。
 フジとは、レイの昔の名前だ。レイは昔、今とは真反対の弱虫な性格であった。それを知るものは昔からの知り合いのリーダーとユウだけである。

「で、話は戻るが、シュウと2代目どっちを取る?」

「……」

 ユウの言葉にレイは再び黙ってしまった。
 レイにとって、2代目は今は亡き初恋相手だ。シュウは2代目の双子であり、世界で唯一2代目の面影を持っている人物である。
 レイにとってはどちらも手放せなかった。

「迷うかい?」

「……当たり前だ」

 レイはムスッとしながら手に顎を付けた。時間をかければかけるほど、ユウの目は鋭くなっていく。その目は嘲笑ってもなく、バカにしてるようでも無く。ただ、答えを先延ばしにしているレイを厳しく見ていた。
 レイは普段とは違うユウの目に焦りを感じながら頭を回していた。

「……選べない」

「所詮はその程度かい」

 レイがボソッと呟くとユウは余計その顔を冷たくさせた。レイは冷や汗をかいてユウのことを見る。

「何が言いたい」

「所詮、レイはシュウを2代目の代用品とでしか見てないんだよ」

 ズドン

 レイは片足を地面に踏みつけ勢いよく立った。その力で地面が少し揺れる。
 その力はリーダー以上の代物でユウなど到底敵わない力であった。それでもユウは怯まず鋭い眼光をレイにとばす。

「なんだい? 言いたいことがあるなら言ってみなよ」

 レイは何かを言おうとするが言葉が詰まる。喉から出かかっている言葉はレイ自信認めたくないものであった。

「君は2代目が好きなんだ。シュウに惑わされるな」

 ユウが真剣な顔でいうとレイはもう何も考えずユウを殴ろうとした。ユウはレイを怒らせすぎた。しかしユウ自身は後悔して居ない。
 いずれはぶつかる物だから。踏ん切りがないとダミ達の犠牲が無駄になるから。
 ユウは甘んじてその拳を受け止めようとしたが……

「リーダーはもう来ないそうだ」

 すると横から別の男性の声が聞こえた。その男性はレイの拳を片手で受け止める。

「やーやー遅いよリョク君。私殺されかけてたんだから~」

 ユウはそこでいつものように飄々でヘラヘラした顔になる。 レイはここで頭が冷えてユウを殴るのを辞める。が、八つ当たりでリョクにタックルをした。
 リョクはふらつきながらもしっかりと立つ。

「また喧嘩してたのか。リーダーが不在なんだから辞めてくれよ」

 リョクが呆れながらユウとレイに言った。2人とも不機嫌そうにするが黙って席に座る。

「リウが余計な質問を……」

「フジ君が優柔不断だから」

『あ"ぁ"?!』

 レイとユウのいつもの煽り合いが始まるとお互いキレてしまい、殴り合いが始まった。
 その様子を見てリョクは安心した。傍から見たら危険な殴り合いだが、さっきのお互い本気のやり取りでなく、いつもの冗談のようなやり取りだったため、いつものようになったためホッと息をついた。

「早く始めるぞ」

『こいつぶん殴ってから!』

 レイとユウの声が見事にハモる。仲が良いのか悪いのか。それよりもこれはこれで大丈夫じゃないだろう。
 そんな事を思いながら、リョクはいつものレイとユウの喧嘩を見守り始めた。

 ◇◇◇

《レイ》

「レイ! どこ行ってたの?! 心配したんだよ!」

 仕事終わり、食堂へ行くとシュウを先頭にリゼ、双子が俺の元へ走ってくる。その様子は2代目達と重なる所がありつつ、レイとして築き上げた関係と思うと胸が暖かくなる。

「レイが3柱の寄合に行くと聞いてずっと待ってたのに来ないから。心配してたんですよ。シュウが」

 リゼが『シュウが』の部分を強調して言う。シュウは否定せずただニコニコしていた。

「そうだぞ。心配してたんだぞ。シュウが」

「シュウがだぞ。シュウが」

 双子も『シュウが』の部分を強調している。リゼと双子の様子を見ていると本当に俺の事を心配してなかったのは分かる。しかし、それが施設の関係で、シュウと2代目が特殊なだけだ。
 それにしても、双子は素直になった気がする。俺がシュウにちょっかいを出すと双子はかなり攻撃的になっていたのに、最近俺がシュウに関わっても何も言わない。
 逆に応援しているような生暖かい視線を感じる。それが少々気持ち悪い。

「ほらっ、レイ! 早く行くよ!」

 シュウは上目遣いで俺の片手を両手で握る。
 その様子は2代目そっくりで、そして、俺が昔から夢見ていた光景であった。『2代目を俺が守る。』
 ずっとこの日々が続いたら良いのに。俺はそう思いながらシュウに引っ張られた。
 ふとユウの質問がよぎる。
『2代目が生きていたら君はシュウと2代目。どっちを取る?』
 もう2代目は、2代目レイはこの世に居ない。それに俺はもうフジではなく3代目レイである。
 今更そんなこと考えても腹も膨れなければ娯楽にもならない。
 それから考えることを辞めようとしたが、どうしても胸騒ぎがする。
 バカバカしい。俺は、3代目レイはシュウに連れられ食事を取り始めた。

         終


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