二次創作小説(新・総合)
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- ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き
- 日時: 2023/03/04 20:10
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: o/NF97CU)
ご注意
◯死ネタが含まれます。
◯グロ注意
◯これは二次創作です。本家とは一切関係ございません。
◯ポケバは、アニメ方式で表現させて頂きます。
◯誤字脱字、私の語彙力不足での分からない所は、紙ほかの裏の陰謀についてでも、ここのスレでも大丈夫です。
《閑話》
【2022年夏】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 金賞
【2022年冬】カキコ小説大会 二次小説(映像・紙ほか合同) 銀賞
読んでくださってる方々、心の底から本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)
──
プロローグ
ここは地球。
この星に住む、不思議な不思議な生き物。
──ポケットモンスター 縮めてポケモン
彼らは 空に 海に 大地に…さまざまなところに分布している。
この物語は… この世界の… この星の"裏"で生き残る少年の物語である…
──覚悟はできてるんだよね?──
【記憶】
イチ─仕事場─ >>1-11
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ニ─恋バナ─ >>12-13
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
サン─双子─ >>14-24
───────────────
ヨン─リゼ─ >>25-30
───────────────
ゴ─3柱─ >>33-44
───────────────
束の間の刻 >>45
───────────────
ロクーチャーフル・ジーニアの英雄譚ー
>>48-58
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ナナー嵐の前の静けさー
>>61-65
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ハチークズレハジメルー
>>66-
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番外編 腐れ縁のユウとレイ、リウとフジ
>>63
────────────────
・・・
『オリキャラ、お客様リスト』
暁の冬さんーリゼ >>20
女剣士さん
――――――――――――――――――
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.49 )
- 日時: 2022/05/16 16:43
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
どもです。女剣士です。
……。
上官の命令だけに従い、人とポケモンを少しずつ滅して行く。
昔捨ててしまったと言う感情を、今思い出しては行けないだろうか。
でもね、私的には抱え込まずに誰かに打ち明けるのも大事だと思う。
私の描く作品のほとんどの子たちもそうして、抱えながら今の自分を演じ続けているからね。
同じ位、私にも痛感します。
まだまだこれだけでは泣いたりしない、わたしは待ちます。
それでは。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.50 )
- 日時: 2022/05/16 18:51
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ShMn62up)
>>49
チャーフル(2代目レイ)は、上司という人は存在しませんでした。2代目レイが頂点に立っていたからです。全ての判断は2代目レイが行い、2代目レイが裏世界、表世界の命運を握っていたとも過言ではありません。当時彼女は5歳です。この年であんな考えをできるのは私も恐れを隠せざるえません。
そうですね。抱え込まず誰かに吐き捨てるのはとてもいい事だと思います。しかし2代目レイはどうでしょうか?
吐いても何も変わらない。まず2代目レイは皆を幸せにしたい、苦しませたくないという正義感で動いていたので自分のせいで余計部下や施設の人々を悩ませたくなかったのでしょう。
それと、裏世界に入ると誰もが敵になります。味方と思ってる人も、所詮は利害の一致や、本当に信頼できる人とは限りません。その中で情報は命です。そう易々と悩みを話て弱みを握られるのも避けたかったのでしょう。
これが大人の、裏の世界です。実際、政治家等、上の階級にいけば、現実世界でもこのようなやり取りが行われます。それを私はポケモン世界に移しただけにありません。
彼女は、いや、誰もが裏世界で自由に動くことは出来ないのです。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.51 )
- 日時: 2022/06/16 08:49
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: q9W3Aa/j)
《シュウ》
「え…なに…これ?」
僕は2代目レイこと、僕の妹チャーフル・ジーニアの行動日記を読み終えた。その内容はとても綺麗でレイや、ダミ、ユウが言っていた綺麗で皆を包み込むチャーフルとは思えなかった。
「これで分かったか。チャーフルも。俺らと同じく人間なんだ。」
リーダーが横で呟く。
チャーフルは立派だ。皆を幸せにすべく、身を粉にして働いていた。それがこんなにも過酷で厳しいものなんて思ってなかった。
結局…チャーフルは狂っていたんだ。狂って…もう……
「うっ、えっぐ、あっぐ……」
僕は…いつの間にか涙が出ていた。施設に来てから1度も泣かなかった僕が。チャーフルがこうやって死にかけていた時に僕は悠々とメリープ達と戯れていたんだ。チャーフルが…チャーフルが…
施設に居る人の中で1番辛かったのがチャーフルだったのかもしれない。嫌、チャーフルだ。1番苦労して、1番苦しんでいたのはチャーフルだったんだ。
「……」
リーダーはずっと図書館でこのチャーフルの日記を読んでいた。そのため、何も言えなかったのだろう。
僕は嘆いた。僕は叫んだ。
しかし、それはチャーフルに届く事は無い。チャーフルは『シアワセ』を捨てた。捨ててまで救おうとした。
3代目レイ フジを
「……お前はどうするんだ。」
リーダーが本棚に持たれかけながら僕に言う。僕はこの図書館に来た時、リーダーに全てを話した。というか、話さないと読ませて貰えなかった。リーダーがここにいつも来ている理由。それはチャーフルの日記を読むためである。リーダー…もといドクも、僕の妹チャーフルが好きな1人である。ずっと、チャーフルの悲劇をここで何回も何回も見ていたのだろう。
「リーダーは、もう知ってるんじゃないの?」
僕はそう言って笑った。伊達にチャーフルの双子の片割れじゃない。実力は双子よりは低いけど、周りの探知能力は多分ユウより上だ。僕たちがユウと話していた時にレイとリーダーの話ぐらい聞こえていた。多分双子とユウは知らない。
だから、リーダーはこの行先僕が何をするかなんて分かってるはずだ。
「……お前も、ここに来て変わったな。」
「それは、リーダーもでしょ?」
「……」
リーダーは黙りこくる。僕は得意げな顔して図書館を出ていく。
もう全てが分かった。
もう全て吹っ切れた。
もう全てこの身を捧げる。
「ありがとうねっ。」
僕はいたずらっ子のような笑みを浮かべリーダーに言う。リーダーは少し驚いたような顔をすると、後ろを向いてしまった。リゼもチャーフルの日記を読み、何も言わずに僕に着いてくる。
じゃあ、行こうか。
ーーーーーーーーーーーーー
《ドク》
シュウが図書館から出ていく。最初来た時はオドオドしていて、レイにしがみつきながらも着いていくような奴だった。なのに今は1人で身を粉にする決意をするまで成長していて…その様子はまるで……まるで
「レイみたいだ。」
俺はそう呟いた。2代目レイのように可憐で起用とは言えない。しかし、レイのように優しく、笑顔で、何事にも立ち向かう。これは、双子だから…かもしれないな。いや、これは恋…か。俺が恋したチャーフルが居なくなるだけでこれだけ豹変したように、シュウは逆で、恋の相手が現れたことにより、カッコつけなくなり変わってしまう。もしかしたら、2代目レイもそうだったのかもしれないな。どちらにしろ、2代目レイとシュウの双子をあれだけ変えたのは『レイ(フジ)』という存在があってこそだろう。
相思相愛なのに、相手を救うために身を犠牲にし、残された人は気が狂う。一体。何がお互いの、片方の幸せになるのだろうな。
『シアワセなら、とっくにすてたよ。』
……2代目レイは、もう幸せなんて捨てたんだったな……シュウも、そうなのだろうか。
『ジリリリリ』
すると図書館付属の電話がなる。なんとまあ、タイミングが悪い時に電話がかかってくるものだ。俺は何も言わずにその電話をとる。
『トゥエルブスさん。お仕事です。』
「……はいっす。」
俺はそう言って薄黄色のフードコートを来た。それに黙って、ポリゴンZは着いてきた。
俺はこれからどうするかって?そんなの決まってるー
ーーーーーーーーーーーーー
《シュウ》
「戻ったよ。」
僕とリゼはいつものダミの隠し部屋に着いた。そこにはいつものように謎のフラスコを持つダミと、結果が分かっているような顔をするユウ、不安そうに見つめる双子が居た。
「……決まったかい?」
ダミが僕に聞くと、僕は頷く。そして僕は前に出る。
「……僕は。チャーフル・ジーニアが大好きだ。」
「……何言ってるの。」
僕が言うとミソウが半ギレになりながら僕に問いかける。しかし、ユウはそれを咎め、僕にまだ発言の権利を与える。
ダミもユウも酷いものだ。結果は目に見えてわかっているだろうに。
「だからこそ。チャーフルが死んでも守りたかったフジを。僕も守りたい。」
双子は僕のことを凝視する。ダミは、少し切なそうな顔をして僕を見つめる。その顔も、感情も、所詮プログラムなのにね。ユウは何も無く微笑む。微笑んでいるだけだ。
僕は知っている。その微笑みは、自分の弱い所を隠すために顔に貼り付けているだけだと。
「……シュウは、レイのこと好きなの?」
ミソウが言うと僕は微笑む。まるで、僕も弱虫のようだ。いや、弱虫なんだ。僕も、レイも、チャーフルも。
「僕はレイ狂おしいほど、大好きだ。」
「「「「っ?!」」」」
僕はどんな顔だっただろうか?なにか表情筋が勝手に動いたような気もする。そして、謎に顔が火照ったような気がする。
ミソウはなにか思ったのか、何も言わずに走っていく。
「おい!ミソウッ!」
するとタツナも走ってく。
なんか申し訳ないことしたかもしれない。けれど、この気持ちに嘘をつくわけもないし、顔を背けもしない。
「……リゼは?」
ユウがリゼのことを呼ぶ。リゼは目を閉じて「はぁ」と息を吐く。
「私も。救いたい。チャーフルを。日記読んで思い知りました。私はこの世界にとってちっぽけなものだと。そして、シュウや、レイ、ダミ、ユウのように心の柱としてきた人物なんて居ない。だからこそ羨ましいとも言えます。
というか、私の意思関係なく、計画を実行した方が『私が居た』という証明を世界に示せるでしょう。協力しますよ。私。『リゼ』が。」
かなりの長文だった。リゼなんて何考えてない、悪く言えば自己中な人だと思ってたけど……
心の支えもなしに生まれた時からここで生き抜いて見せたのは、レイよりも超人的だと言えるだろう。
「リゼは、自分がいる証明をしたかったのかな?」
「そう…かもしれませんね。」
リゼはバツの悪い顔で横を向く。
これで僕とリゼ、ダミ、お前のユウという戦力が増えた。双子は…分からないけど。
「……双子はどうするんですか?」
「大丈夫だよ。ね、ダミ。」
「そうだね。まあ数日はかかるかもしれないけどね。 」
そう言ってユウとダミは余裕の笑みだった。2人はもう結末が分かっているのか。
情報や人を読む能力においては、2人には敵わないな。チャーフルなら出来てただろう。チャーフルなら、何もかも完璧に。チャーフルなら……
「2人はもう帰るといい。」
ダミが一言そう言った。決意が固まった僕達はダミの部屋を後にした。双子は……2人が大丈夫というなら大丈夫だろう。今までもそうだったから。
「シアワセ…ですか。」
リゼがそう呟く。僕はその言葉にピクっと反応するも、もう何も感じなかった。
「『シアワセなんてもう捨てた。』」
「それ…2代目の……」
「でも、違うかもしれないね。」
僕は廊下で歩きながらふっと笑った。
「好きな人が幸せになることが。自分の最っ高の幸せなのかもね。」
「……」
僕は満面の笑みで言った。その笑みは自然と溢れ出た笑みで、顔が火照っていた気がした。
「あ、僕の部屋ここだから。じゃあねリゼ。また明日。」
「はい。また明日。」
そう言って僕は部屋の中に入った。
ーーーーーーーーーーーーー
《リゼ》
「じゃあねリゼ。また明日。」
「はい。また明日。」
そんな会話をシュウとすると、私は自分の部屋に戻ることにした。あのシュウの笑顔を恐ろしいほど綺麗で狂った笑顔。
シュウはもう。狂ってしまったのかも知れません。いえ、客観的からも第2視点からみても、シュウは狂ってるようには見えません。でもそうでしょう。『狂う』の種類が違いますもの。
「『狂愛』」
私はポツリと呟いた。私には程遠い言葉ですね。
そう思いながら、自分の部屋のドアノブを捻った。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.52 )
- 日時: 2022/05/20 16:35
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 6Z5x02.Q)
《ミソウ》
嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
「シュウはレイが好き?嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
あ…そうだ。レイを消せば良いんだ。あの忌々しい3柱を殺って私が3柱になればシュウは私を好きになってくれるかもしれない。レイを消せば。あいつさえ居なければ。
私は調理場に行き、綺麗な刃を手にする。
「待てっ!」
すると私と同じぐらいの歳で、私と似ている桃色の髪型の奴が邪魔をしてくる。
邪魔
私は一心不乱にソイツに刃を振るった。私と似たような動きをして、似たような実力である。それでも何回もふるう何回もふるう何回もふるう何回もふるう何回もふるう何回もふるう何回もふるう何回もふるう
「ミソウッ!俺だ!俺…ガハッ……」
仕留めた。1回刃が刺さると生物は動きが鈍る。その隙に何回もふるう何回もふるう何回もふるう
『グサッグサッグサッグサッグサッ……』
何回もそんな血走る音が聞こえる。あぁ、最高。私はこのために生きているんだ。サラサラと流れる美しい鮮血が私の腕を頬を体全てをつたう。その感触に私は悶えながら私に似た『ナニカ』に何度も刃を振るう。
「あはっ、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!」
甲高い私の声が食堂全体に響き渡る。もう全部壊れてしまえ、何もかも無くなってしまえ!何もかも、何もかも!
「…ソウ……ミ……そう……」
桃色が私の片腕を弱い力で掴みながら何回も私の名前を呼ぶ。鬱陶しい。邪魔。もう、血は出そうにないし腕を切ってやろう。そうしよう。
そして私は刃を振り上げた。
「ヴォンッ!」
すると目の前に2匹のキュウコンが現れた。水色と黄色の奴。あぁ、今仕事だっけ?殺さなきゃ。
私は容赦なく刃をふるおうとするが、悪寒がする。
なにか来る。
私は反射的にバックステップをする。すると水色のキュウコンから冷気が漂い、雪やら風やらが勢いよく私の方へと向かってくる。吹雪だ。厄介なものだ。
私はそのまま動けないでいた。すると前から何かの気配がする。刺さなきゃ。そう思い反射的に刃をふるうと『グサッ』と確かに腸を引き裂いた音がした。
仕留めた!
そう思った。すると視界が揺らぎ、私は倒れ込み、殺ったはずの桃色にマウントを取られている。すぐさま刺そうとするが、次の瞬間気づいた。
タツナだ。
「ハァ…はぁ……ようやく頭冷えたか愚妹。」
タツナは体中傷だらけで、それでも力を緩めず私へのマウントを辞めない。キュウコン達は私の周りに座ってその様子を見守っている。
私は、今までずっと兄に刺していたのか。周りが見えなくなってて分からなかった。けどまあどうでもいい。頭が冷えて分かった。私がすべきことはレイを殺すことだ。
「どいて私はレイを殺す。」
私は目を見開いてタツナを見つめる。周りはもう暗く、窓から見える様子もキッチンも……タツナも黒ずんで見える。
私はレイを消な無ければならない。シュウに振り向いてもらうため。シュウを私のものにするため。シュウに見てもらうため。シュウにシュウにシュウに
『パァンッ』
その瞬間。頬に衝動的な痛みを感じ、あまりの力で首ごと力の方向へと持っていかれそうになる所を持ちこたえた。
え、今、何が起こった?平手打ちされた?誰に?タツナ?
「……目を覚ませ。」
タツナはその時いつもクシャクシャと笑って、私に何かあると百面相になって、いつもシュウみたいに輝いていた顔が、紙を丸めたようにあちこちに顔にシワが入っており、大きな瞳も潤み、綺麗な丸とはいえなかった。下唇を噛みながら私のことを見つめる。
「次はコレだぞ。」
タツナが身体中からサラサラとした美しい鮮血を流しながら刃を私の胸に当てる。
あぁ、これ私殺される?あれ、私何がしたかったんだっけ?シュウに振り向いて欲しくて、その笑顔が眩しくて、そのキラキラがどうしても欲しくて。光に群がる虫ポケモンのように手を伸ばして。
それを全てレイに持ってかれた。
「……現実逃避をするな。ミソウ。」
私の胸の刃にタツナは少し体重をかける。すると数ミリ私の身体に刃が入り込む。私、死ぬの?殺されるの?実の兄に?私の片割れに?
「目を覚ませミソウ!」
その瞬間、モヤモヤとした何かが吹っ切れ、私の中ではタツナのその言葉がずっとエコーしてかかってる。そして、何回も何回も同じことを考えながら何回も何回も現実逃避をしている自分が目の前に居た。
「…俺はシュウが好きだ。独り占めにしたい。あのキラキラを俺だけのものにしたい…レイが憎い……!」
タツナは私が思っていた事を復唱する。
同じことを思ってるなら、同じことを考えてるなら。レイを殺そうよ。邪魔なやつは消そうよ。今までそうしてきたじゃない。ねぇ、兄?
「けどな」
タツナが言いにくそうに口を開く。
同じことを考えてるなら……同じことを思ってるな…ら……?
「俺らは……」
やめて…やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!
それ以上口を開かないで!それ以上……それ以上!
私が腕を使いタツナの口を塞ごうとするも2匹のキュウコンに押さえつけられ動けない。動かせない。
「やめて…やめてやめてやめて!!!」
私が溢れかえった気持ちを口から出す。それ以上はやめて。聞きたくない。知りたくない。向き合いたくない!
「死にたいんだよ。」
「……ぁ……」
今まで目を背けてきた現実を、自分の写鏡とも言える双子の兄に突きつけられた。
『死にたい』もうこの苦痛から逃れたい。死んで楽になりたい。そんな気持ちに幼い私が向き合えるはずもなく、ずっとずっと背いてきた。
けど、兄は違うんだね。ずっと向き合って、向き合ったまま笑顔を保ってたんだね。
双子なのに。全く一緒のはずなのに。兄の方が私の思考の1歩先へ言っていた。
「死にたい。苦痛から逃れたい。こんな地獄から……逃れたい……」
タツナはそう言うと刃を抜く。そして、自分の胸に突き刺そうとする。
私はシュウが全てだ。心の中は全てシュウで埋まっているはず。
なのに…なんで?なんでこんなに綺麗に整理した気持ちを嵐のようにぐちゃぐちゃにされる感触を覚えるの?
「けど…死ねない。」
私はポロッとこぼした。
死にたいけど死ねない。私達の本能が働いているのか、それとも、仕事に快感を覚えているからなのか…
どちらにしろ死にたくても死ぬ度胸なんて無かったんだ。殺そうとする相手には死ぬ気でかかってるのに、自分で自分を殺そうとする時は、どちらも覚悟が出来ない。
「そうなんだよ。だからさ。」
タツナは刃を片手でポキッと折って後ろに放り投げた。そして、1粒涙を流した。1つ流れると2つ3つと幾らでも出てくる。
「死ぬなら、シュウの為の屍になろうぜ。」
タツナは両目からボロボロと大粒の涙を流しながら今までに見たことないような美しい笑顔見せた。
タツナの涙が重量の法則に従い私の頬をつたる。何粒も何粒も私の頬をつたり、いつの間にかタツナの涙より私の頬に流れる涙の量の方が多くなってきたかもしれない。
「……うん。」
その一言で、私とタツナは立ち上がる。
お互いのキュウコンを隣に控えながら見つめ合う。見れば見るほど自分のようだ。私とミソウは手と手を合わせ合う。
「「結局死ぬなら……『最期の足掻き』をやってみせましょう。」」
そう言い、お互いくしゃりとした笑顔を見せ合う。その笑顔は、外の謎の光に照らされ、お互い人生で1番綺麗な顔に見えた。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.53 )
- 日時: 2022/05/20 20:40
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
こんばんは。
大好きでもあり大切な仲間でもあるシュウを振り向かせる、独り占めしたいからレイの前ではかなりの殺気があったんですね。
確かにミソウのシュウへの想いが、ひしひしとこの最新話に伝わって来ます。
これならきっと、私でも上手く扱えるかも知れません。
……とは言っても、ベリーさん程ではないですけどねw
正気に戻る前のミソウの狂気っぷりが、凄かったですね…。
本当にもう駄目なんだと思いましたが、タツナが止めてくれてよかったです。
続きを楽しみにしています。
それでは。
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