二次創作小説(新・総合)

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逃走中 グレートディストラスト(完結)
日時: 2025/05/25 22:23
名前: TDR (ID: kOmP6qDh)

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 WARNING 注意

・この作品は「もしもアニメ『逃走中 グレートミッション』の逃走者が、本家バラエティと似た空気感で、Netflix版のような疑心暗鬼のゲームに挑んだら」というコンセプトのもと作られています
・各キャラクターに対する独自解釈を含みます
・気を付けていますが、キャラ崩壊の可能性があります
・アニメでウォークライ未使用だったキャラクターが、この作品オリジナルのウォークライを使用する場面があります
・ハンターは本家のような個体番号ではなく、A・Bなどを付けて識別しています

 以上を踏まえてご覧ください
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ムーンワールドコロニーチャンピオンシップの開催2週間前。
A7コロニーの代表も発表されていない中で、クロノス社からの招待状により、29人の逃走者が集められた。
挑むのは「裏切りの巨大迷宮ステージ」。逃走エリアは、2024・某巨大商業施設。
無人の迷宮で、逃走者たちはこれまでにない心理戦を強いられる。
裏切り、絆、疑心、謀略、欲望、信頼……。
それぞれの思惑が交錯するゲームで、ハンターから逃げ切り、高額賞金を獲得する者は現れるのか!?


 逃走者(五十音順)
園城えんじょう マイカ
オーガ クリスタル
オリヴァー フォックス
カイ ブルーム
カラハリ シュウ
クエスチョンくん
クレア サマーズ
シド フェニックス
ジャイロ デーモン
進心丸しんしんまる すすむ
セイラ ピーボディ
千石せんごく 城太郎じょうたろう
ダイナ アレキサンドロス
タロット 幻霧げんむ
チャマ ハスラー
兎桜とざくら マリン
トラヴィス ロウ
根津ねづ 忠太ちゅうた
パンナ ラヴ
ピエタ バローネ
ヒメナ ヴィクトリア
フェザリー ギバー
フォルト ヤング
ペンタ バッカーナ
マジカル ホーミー
ライパチ(神堂しんどう 雷八らいぱち
ランゴ メイザー
リリィ ボーン
リンセン

逃走者紹介 ( No.1 )
日時: 2025/03/26 23:08
名前: TDR (ID: kOmP6qDh)



今回参戦する29人の名前・年齢・異名・紹介文。
1行目が公式の紹介文、改行後が今回オリジナルの紹介文となっています。





園城えんじょう マイカ(25歳)
【スクープキャッチャー】
熱き記者魂を持つ新米記者。ホワイトエリアで話題の『怪盗アポロン』の正体を知りたいと取材を続けている。偶然出会ったシグマを疑っているようだが…。
今回は初めて出会う有名な逃走者が多いため、交流しつつ取材の交渉を狙う。



・オーガ クリスタル(50歳)
【ムーンドリーマー】
有名ヒーロー映画で怪獣の『中の人』を演じていた伝説のスタントマン。ゲーム内の困難な状況を映画のワンシーンとして捉えて役になり切り突破していく。『逃走中』出場後、映画スターとなった。
スター街道の足掛かりとなった『逃走中』を盛り上げるべく、忙しさの合間を縫っての参戦。



・オリヴァー フォックス(32歳)
【ローンソルジャー】
元軍人。あらゆる場所や状況を仮装した机上演習を日夜繰り返して頭に叩き込み、その想定に沿って行動する常連逃走者。
階級は少佐。自首で高額賞金を手に入れ「もう出ることはない」と宣言し参戦しなくなったが、数か月ぶりに戻ってきた。



・カイ ブルーム(29歳)
【ドルフィンマン】
月世界水泳選手権自由形3連覇中の大人気競泳選手。勝ち気で元気いっぱいだが、やや無鉄砲タイプ。潜水が得意で、ついた異名は『ドルフィンマン』。
その無鉄砲さが原因で成績が伸び悩んだため、今回は『何事も慎重に』をモットーに動く。



・カラハリ シュウ(37歳)
【超感武人】
とある狩猟民族の末裔。視力・聴力をはじめとする五感には超人的なものがあり、それを頼りにハンターから逃げる。和を愛する心優しき男。
自身の超人的な味覚をも満足させる『ねづや』の中華料理を気に入っており、常連客となっている。



・クエスチョンくん(22歳)
【極限配信者】
約300万人フォロワー数を誇る人気ネット配信者。再生数を稼ぐ為、危険なミッションにも率先して挑む。
その職業柄ゆえに、独り言が大きく、ハンターに見つかりやすいのが弱点。



・クレア サマーズ(20歳)
【チアープリンセス】
トラヴィス ロウも在籍する強豪アメフトチームの人気チアリーダー。いつも元気で明るく、他の逃走者を応援しながら、意外な運動神経でハンターから逃げる。
他の逃走者との協調を重視しており、どんな相手ともすぐに仲良くなれる。



・シド フェニックス(20歳)
【超次元の貴公子】
『逃走中』のスーパーアイドル。目立ちたがり屋の超イケメンで、生まれつき知力、体力、運がバランスよく秀でている実力者。過去に逃走成功した経験あり。
今回は颯也やシグマらが不在のため、自分が主役だと人一倍はりきっている。



・ジャイロ デーモン(33歳)
【マネーピラニア】
あくどいと評判の闇金を営む借金取り。債務者を徹底的に追い込み、そのしつこさは『マネーピラニア』の異名がつくほど。ペンタと因縁があるようで…。
そのペンタとよく行動を共にしているため、他の逃走者からはペンタの相方と認識されている。



進心丸しんしんまる すすむ(22歳)
【角界の不動明王】
大相撲の若き横綱。デビュー以来連戦連勝の大人気力士である。どこの世界でも自身が横綱になれることを証明する為、『逃走中』に参加。普段は優しい性格だが、勝負事だと勝気に。
力士ながら小柄で、他の力士との体重差をなるべく埋めるべく、『ねづや』に通って増量中。



・セイラ ピーボディ(19歳)
【ボルダリングの女王】
ボルダリングの天才少女。どんな傾斜も僅かでも指のかかる箇所があれば登り切ってしまうフィジカルモンスター。
3日前のクライミングの大会で失敗し、数年ぶりの予選落ちをしたことに傷心中のようで…。



千石せんごく 城太郎じょうたろう(30歳)
【ワイルド捜査官】
敏腕刑事。ロンドンステージでは、ゲーム内に紛れた犯罪者を捕まえる為、会社員のフリをしていた。リリィに慕われ、師弟関係に。
最近、リリィの父親くらいの年齢に間違われることが多いことを気にしている。



・ダイナ アレキサンドロス(28歳)
【月光貴族】
貴族的な階級出身のエリート逃走者。女性に対しては優しいが、男性は容赦なく見捨てる。絶対的な自身の持ち主。
今回は過去に見捨ててしまったパンナがいるため、気まずいと感じている。



・タロット 幻霧げんむ(29歳)
【ディスティニーガイド】
『ブルーエリアの母』と呼ばれている的中率の高い占い師。カードによって運命を決め、逃走ルートも決める。
今回のゲームの直前にした占いで、不穏な雰囲気を感じ取っている。



・チャマ ハスラー(18歳)
【裏取りマン】
すべてが他人任せの少年。のらりくらりと生きてきたが一念発起して、『逃走中』に参加。
他の逃走者を間近で見て、特に大きな目標もなく、なんとなくで参加している自分を変えたいと思い始めた。



兎桜とざくら マリン(29歳)
【ムーンライト歌劇戦士】
ムーンライト歌劇団の兎組男役トップスター。周囲を助けるリーダータイプで、女性人気が高い。歌や踊りを愛し、劇団で身に着けた殺陣を応用し、ミッションに挑む。
逃走者の中でも特にミッションに積極的で、仲間意識も強い。



・トラヴィス ロウ(33歳)
【タッチダウンキング】
現役アメフト選手(RB)。スピードと俊敏性においては時にモーリスをも上回るといわれ、判断能力にも優れたスーパースター。
今回は同じチームに在籍するクレアと協力し、逃走成功を目指す。



根津ねづ 忠太ちゅうた(19歳)
【町中華の希望ほし
老舗の町中華店『ねづや』の跡取り息子。『逃走中』で活躍して店の宣伝になればと考えている。性格がよく、騙されやすい。
その甲斐あって店は繁盛したが、今回は母親への親孝行のために賞金獲得を目指して参戦。



・パンナ ラヴ(24歳)
【逃走クラッシュキング】
甘い言葉で周囲を惑わし、他力本願で『逃走中』を楽しむ悪女。裏切りを繰り返し、自身の欲望を満たしていく。
『キング』ではなく『クイーン』の方が自分らしいのではないかと考え始めている。



・ピエタ バローネ(33歳)
【スリリングバスカー】
月世界で超有名な大道芸人。綱渡りが得意で、笛を吹いて小動物を操る特技がある。目立ちたがり屋で陽気な性格。口癖は「ライフ・イズ・スリリング!」。
初参戦から1年未満ながら、逃走成功寸前まで何度も残ったことがある実力者。



・ヒメナ ヴィクトリア(19歳)
【アクセレートクイーン】
月世界パルクール選手権で優勝した若きパルクーラー。逃走中では常に好成績を収めており、颯也に一方的にライバル心を抱いている。ふざけたような大技も見せるが、いざとなったら逃走能力はピカイチ。
グレートチャンピオンツアーでは満足のいく結果ではなかったため、挽回しようと意気込む。



・フェザリー ギバー(24歳)
【マインドフルネスレディ】
元体操選手であり、現在はヨガ講師。柔軟性があり、ハンターからタッチされそうになる直前でかわし逃走することも。ゲーム中でも瞑想し、集中力を高める。
視聴者に居眠りキャラと認識されていることを、ヨガ教室に活かせないかと日夜考えている。



・フォルト ヤング(20歳)
【ハイパーダッシュ】
『ハイパーダッシュ』の異名を持つ人気逃走者。月面陸上選手権連覇中の快速スプリンター。
最近は1人目に捕まりがちのため、隠れることに力を入れ、スランプ脱出を誓う。



・ペンタ バッカーナ(30歳)
【自首大魔王】
おしゃべりでお調子者のトラブルメイカー。借金返済のために『逃走中』で一攫千金を狙っている。ビビりで、逃げ足は誰よりも早いが、土壇場では活躍することも…!?
これまで自首2回で獲得した賞金は、いずれもギャンブルに消えている。



・マジカル ホーミー(25歳)
【アメイジングウィッチ】
ポーカーフェイスの人気マジシャン。カードマジックが得意で、カードを一気にばら撒き、ハンターをかく乱する。
多くの逃走者を裏切ったシブヤステージ以降、ほとんど参戦せずにいたが、今回は久々に参戦。



・ライパチ(神堂しんどう 雷八らいぱち)(30歳)
【クセモノ盗塁王】
俊足だけが取り柄の元プロ野球選手。初速だけならフォルトやトラヴィスよりも速いと自負しているが、カーブを大きく曲がる癖がある。ヘッドスライディングが得意。
走る機会が『逃走中』くらいしかないため、日ごろから走りに飢えている。



・ランゴ メイザー(58歳)
【冒険野郎】
月世界のさまざまな難所を旅する冒険家。サバイバル術を駆使して、ピンチを打破する。愛称は『冒険王』。
今回の逃走者で最年長だが、見た目が若いため、ほかの逃走者からはオーガより年下だと思われている。



・リリィ ボーン(15歳)
【レディチェックメイト】
若き天才チェスプレーヤー。無口だが洞察力が高く、ミッションに秘められた謎をいち早く解き明かす。千石刑事のことを尊敬している。
推理に夢中になると視野が狭くなることが多い。



・リンセン(35歳)
【情熱のマエストロ】
月世界で超有名な指揮者。カリスマ性があり、誠実な言動から周囲の人望も厚い。タクトを振るい、情熱的に『逃走中』に挑む。
マリンとは付き合いが長いため、逃走者の中でも特に信頼している。

プロローグ ( No.2 )
日時: 2025/04/06 21:52
名前: TDR (ID: kOmP6qDh)

リリィ ボーンの朝は早い。
午前5時、目覚ましをかけずともベッドから起きる。その足でキッチンへ赴き、コーヒーを1杯淹れ、AIチェスの対戦記録簿を眺める。
この毎朝のルーティンが、朝から脳の回転を活発にさせる。
その日も虚ろな目でキッチンに向かい―――


 ピピピッ


部屋に響く、軽快な音。ベッドの横に置いたクロノブレスが、メールを受信した音だ。
ルーティンを優先したいところ。しかし、朝早くに届いたメールとなれば、緊急の連絡の可能性もある。
引き返して、クロノブレスの画面を見やる。

リリィ「……えっ?」

そのメールは、クロノス社からの「逃走中」への招待状だった。





 PROLOGUE  Before the Game




絶対王者・モーリスの逃走中引退宣言から、早3日。
月世界王者統一戦「ムーンワールドコロニーチャンピオンシップ」開催が宣言されたのは、つい昨日のこと。クロノス社の動きがあまりに早くて、驚かされている。
そんな矢先の、この招待状。招集された日付からして、月世界王者統一戦への招待状ではない。

千石『やはりリリィくんの元にも届いたか。クロノス社が忙しいであろうこの時期に、興味深い招待状だね』

午前7時。久々の休日に家でくつろいでいた千石さんに電話をかける。
休日の朝としては早めだけれど、千石さんがこの時間に起きていることは知っている。

リリィ「千石さんのところにも届いてるのね?」

千石『うん、届いているよ。一週間後、午前9時半、クロノス社北側に集合するよう書かれている』

リリィ「……9時半にクロノス社北側?私は、午前9時にクロノス社南側だった」

千石『おや?別の時間に別の集合場所なのか』

リリィ「どういうこと……?」

首をかしげる。基本的に、ゲーム開始前の集合場所は、全逃走者同じ場所のはず。

千石『ふむ……先ほど連絡を取ったブルームも北側集合だったんだが、どういった事情だろうね』

リリィ「……先に、ブルームと連絡取ってたんだ」

千石『ああ、向こうから連絡をくれたから』

いけない、ムッとしてしまった……。きっと子供っぽいと思われた。

リリィ「えっと……これは、魔法都市ステージの時のように2ゲーム同時開催なのかもしれないわね?」

ミスをごまかし、話題を変える。

千石『そうかもしれない。なんにせよ、当日に備えておこう』

リリィ「ええ……!」

幸いここ3週間……王者統一戦まではシーズンオフで、チェスの試合がなかったので、逃走中に向けて調整ができる。
それにしても、普段は応募制なのに、どうして今回は招待制をとったんだろう……?





1週間後、クロノス社南側。

予定時間の10分前に、集合場所に着いた。
先に来ていたのは、ペンタ、ジャイロ、ピーボディ、ピエタ、マリン、カラハリ、パンナ、クレア、フェザリー、根津、オーガ、オリヴァー、チャマの13人。
オーガとオリヴァーは、逃走者としてのデータこそ持っているけれど、今日初めて会う。

クレア「わあ~、リリィ!久しぶり~!」

顔を合わせて早々、クレアに抱き着かれる。

リリィ「ひ、久しぶり、クレア」

マリン「クレア、放してやりなよ。リリィが困ってる」

クレア「だってリリィ可愛いんだもん……」

自己評価が「可愛げがない」の私に、クレアの言葉はこそばゆい。

クレアから離れ、みんなに挨拶を済ませていく。

ジャイロ「よう、リリィ。親父さんは一緒じゃないのか?」

リリィ「……もしかして、千石さんのこと?こことは会社の反対側に集合してるはずよ」

ペンタ「反対側?なんで別の集合場所があるんだ?」

リリィ「それは分からないけれど……ところでジャイロ」

ジャイロ「ん、なんだ?」

リリィ「千石さんに直接、父親いじりをするのはやめてあげてね。父親みたいだと言われることを気にしてるから」

ジャイロ「そ、そうなのか……。わかった、気を付けるわ」

ペンタ「ぷぷっ、まぁ並んでりゃ親子にしか見えねーけどな」

ジャイロ「言葉に気をつけろよペンタ、お前も、千石や俺と同じ〝こっち側〟だ」

ペンタ「えっ……マジ?」

たしかペンタは、千石さんと同じく30歳のはず。千石さんの方が、ペンタよりも貫禄がある。
というよりも、ペンタが若い印象があると言えるかも。……悪い意味で、だけど。

年齢と言えば……さっきから話してるあの2人。

チャマ「母親のために、忙しさの合間を縫って参戦って……」

根津「俺の夢は叶ったけど、ずっと忙しい母ちゃんに親孝行したいので」

チャマ「偉いなぁ……そんな若いのに、すげーよ。俺は何の目標があるわけでもなく、『このゲームに出たら、何かがいい方向に変わるかも』くらいのノリで、逃走中出てるのに……。根津のこと、見習わないと」

根津「いやぁ、すごいなんて、そんなことないですって!チャマさんも、動機は十分じゃないですか!いい方向に変えられるよう、お互い頑張りましょう!」

チャマ「そうかぁ……?」

チャマも根津も、どちらも私と同じ10代の逃走者だ。でも、生き方は正反対。チャマは常に人任せで、夢や目標はない。根津は、自分の夢や目標のために率先して動く。

チャマ「困ったことあったら、いつでも言えよ!俺が出来ることならやってやるから!」

根津「頼もしい……!ありがとう、チャマさん!」

……チャマらしくない発言だけど、根津から何かいい影響を受けたのかもしれない。それとも、単に影響されやすい人なのか。

カラハリ「これで全員か?」

オーガ「全部で14人とすると、ゲームやるには中途半端な人数―――」

???「やぁ、待たせたね!」

声のする方を見ると、ランウェイのように廊下を歩き、両腕を広げたシドがやってきた。

シド「大スターは遅れてやってくるものなんだ」

今は集合時間の5分前。この大スターはこんなキャラだけど、時間はちゃんと守る。

フェザリー「シドも入れると15人ね」

パンナ「普段通りの規模のゲームなら、あと5人だけど……」

と、そこへ、クロノス社の制服を着た人たちがやってきた。

アンナ「皆さま、午前9時となりました。お揃いのようですので、移動いたします」

ピエタ「ちょっと待ってくれ。その前に聞いておきたいことがある」

ピエタが手を挙げる。

ヤマト「はい、なんでしょう?」

ピエタ「どうやらここ以外にも集合場所を指定された奴がいるらしいが、そいつらもこれから『逃走中』に参加するってことか?」

アンナ「はい、そのとおりです。今回は、『ムーンワールドコロニーチャンピオンシップ』直前記念として行う、特別なゲームとなっています。逃走者の人数も多いため、集合場所を2か所設け、逃走者の皆さんの住居から近い方に集合していただいています」

ピエタ「なるほど、了解した」

オーガ「特別なゲームか。そんな回に正体してくれるとは、光栄だな」

ヤマト「では先に、今回の参加者の名簿を皆さんに送っておきますね」

社員の方が端末を操作すると、私たちのクロノブレスに参加者の名簿が送られてきた。
名簿に載っている逃走者の人数を数えると、なんと29人。

リリィ「グレートチャンピオンツアーより1人少ないだけ……」

ペンタ「うひぃ~、こりゃまた過酷なゲームになりそうだ」

シド「……颯也やシグマ、スネークはいないのかい?」

アンナ「ええ、今回は不参加です」

シド「なるほど……それはつまり、今回は僕が主役ってこと!大スターの輝きを、ベイビーたちに見せてあげよう!!」

騒がしいシドをよそに、社員の方はこちらに向き直る。

アンナ「では皆さん、こちらへどうぞ」

社員の方に案内され、クロノス社内を進む。





一つの会社にしてはあまりに広い社内を進み続けると、大きな広場に出た。
天井はあるのかどうかが分からなくなるくらい、高くにある。

ペンタ「……ん?なんかデケー船止まってねぇ?」

広場には、大きい宇宙船がある。

ジャイロ「なんだ、これに乗れってことか?」

アンナ「ええ、そうです。今回はこの宇宙船で向かう場所から、普段と別のロビーから入場していただきます」

パンナ「なんだか今回、いろいろ普段と違うことしてるけど、いったいどうしたの?」

ヤマト「具体的なお話は、全員集合後にする予定なんですが……、これには皆さんご存じの、AIダビンチが関係しています」

AIダビンチ。グレートチャンピオンツアーの際に誕生した、月面コロニーを侵略しようとする高性能AI。そのAIが理由……?

アンナ「AIダビンチはモーリスたちの活躍により、パリステージ内で消滅を確認しました。しかし、エリア内のコンピューターやクロノブレスなど、あらゆるシステム内を自由に動いていたAIダビンチが、自身のコピーを秘密裏に作り出していないとは限りません」

根津「たしかに……」

アンナ「それに伴い、クロノス社内のシステムの多くをメンテナンスする必要があること、そして、今後同様の事象が起こる可能性を排除する必要があること。そういった事情から、システムのメンテナンスがすべて終了するまでは、普段とは別のシステムを使わざるを得ないんです」

ヤマト「ですので、今回のゲームには、ストーリーシナプスや牢獄転送装置がありません」

ペンタ「えっ、マジかよ?じゃあ、今日のゲームは今までと別物ってことじゃねーか!?」

ストーリーシナプスや牢獄転送装置がないゲーム……。たしか、逃走中ミュージアムで、初期の逃走中はそうだったという記録を目にしたことがある。かつて使用していたシステムを流用するということ……?

アンナ「王者統一戦前にはメンテナンス完了する予定ですので、ご安心ください」

リリィ「そういった事情があるのなら、この時期にゲームはやらず、メンテナンスに注力するべきでは?」

ヤマト「僕もそう思うんですけどねぇ……。そちらにも、やむを得ない事情があるみたいで―――」

アンナ「ヤマトくん、自分の立場!」

ヤマト「す、すみませんでした!」

アンナ「皆さんすみません、ゲーム開催を優先する事情は口外できなくて……」

どうやら、今このタイミングでゲームを行わなくてはならない事情があるらしい。大方、スポンサーの関係だろうか。

アンナ「これまでのゲームと違い、今回は逃走者の皆さんの安全を保障しますので……。それでは、乗船をお願いいたします」

社員の2人の会話を背に受け、順番に乗船する。





全員が乗り込み、席に腰を下ろす。シートベルトを締めると、宇宙船はゆっくりと発進した。
南側と北側の集合時間がズレていたことからして、ロビーはクロノス社北側寄りにあるんだろう。おかげで私たちが乗った宇宙船の移動時間は、そこそこかかりそうだ。

パンナ「今日は誰にキャリーしてもらおうかしら?ねぇリリィ、いい人いない?」

私の隣の席のパンナは、相変わらず誰かにキャリーしてもらおうとしてるみたい。

リリィ「たまには1人でチャレンジしてみたら?グレートチャンピオンツアーの序盤、一人でもやれてたじゃない」

パンナ「そう言うけど、やっぱりキャリーしてもらいたいのよ。1人だと、ほら……不安だし?」

リリィ「不安……。そうね、キングは刺客に狙われた時のために、護衛がいないといけないものね」

パンナ「……あんたね……またそうやって〝キングいじり〟してきて。性格悪いわよ!」

パンナの異名は〝逃走クラッシュキング〟。クイーンではなくキングというのが妙に面白いから、たまにいじっている。

リリィ「ふふっ、ごめん。お詫びにゲーム序盤はキャリーしてあげるよ」

パンナ「ふん、あんたにはキャリー頼む気ないから!」

ムキになったパンナは、窓の方を向き不貞腐れてしまった。
パンナはいじるとすぐムキになる。でも、すぐに機嫌を直すことだろう。
ロンドンステージの頃は初対面だったから、パンナの人となりが分からなくてギクシャクもしたし、殺人鬼だと疑ってしまったこともあった。
けれど、グレートチャンピオンツアー出場を一緒に目指していく中で相互理解が深まって、今となっては仲良くやれている。



会話が終わってしまい暇だったので、他の人の会話に聞き耳を立ててみる。
後ろの席に座っているのは、オーガとオリヴァーだ。

オーガ「久しぶりだな、オリヴァー!いつの間にか、逃走中への参加、全然しなくなってたよな?」

オリヴァー「そっちもな。まあ、映画スターになれたんだから当然か」

オーガ「俺はたしかに、そういう理由で出なくなった。そっちは何かあったのか?」

オリヴァー「……思うところあって、しばらく参加をやめていた。おかげで色々と鈍っている」

オーガ「勝負勘はすぐに取り戻せるんじゃないか?あんたは賞金獲得できるぜ、きっと」

オリヴァー「そうか……?その心は?」

オーガ「映画スターの勘は当たる……そういうもんだ」

オリヴァー「……お前、大物になった途端にうさん臭くなったな」

オーガ「はははっ!おいおい、そりゃないぜ!」

自信たっぷりのオーガと、冷静沈着なオリヴァー少佐。改めて考えると、変わった組み合わせだ。



クレア「ねぇ、ピーボディ?今日どうしたの?」

通路を挟んで反対側、私から見て斜め前の席にいるクレアが、さらに前の席にいるピーボディに話しかけている。

ピーボディ「……えっと、どうしたって?」

クレア「なんか今日、見るからに元気ないよ?何かあった?」

言われてみればたしかに、ピーボディがここまで口を開いた記憶がない。普段の活発な彼女なら、私が集合場所に来た時点でクレアやマリンたちと会話しているはずだ。

ピーボディ「だ、大丈夫だから!心配させてごめんね」

クレア「そう……?」

ピエタ「やめておけ、クレア。アスリートってのは、こういう日もあるだろ」

クレア「ピエタ、何か知ってるの?こっそり教えて」

ピエタ「スポーツニュース見てないのか……?自分で調べてみたらいい、すぐわかるから」

スポーツニュース……。もしかして、3日前のあれだろうか。たしかにあれは引きずると思う。

ピーボディ「……3日前の大会で、ひどい失敗したんだ」

口をつぐむピエタを見て困らせまいと思ったのか、ピーボディは自分から話し始めた。

ピーボディ「クライミングで、手を滑らせて……落ちちゃった。おかげで何年振りかの予選敗退でさ。3日経っても、まだ引きずってる」

クレア「そうだったんだ……。ごめんね、無理に話させちゃって……」

ピーボディ「ううん、いいんだよ。気にしないで」

振り向いて、どうにかクレアに向かって笑顔を作ろうとしているピーボディだけど、無理してるのがわかる。

フェザリー「私、元アスリートだから、気持ちわかるよ……コロニー代表選手やってるピーボディほどの大変さじゃなかったけどさ。ずっと完璧な人はいない。こういう辛い経験も、あなたなら乗り越えられるって思うよ」

カラハリ「雲外蒼天。困難な経験の先には、努力が実る、明るい未来があるものだ」

フェザリー「ほら、〝仙人・カラハリ シュウ〟も、こう言ってるから」

仙人……?カラハリはよく四字熟語を使っているけれど、それが仙人みたいってこと?
私は首を傾げたけど、ピーボディはさっきより自然な笑顔になった。

ピーボディ「ふふっ……フェザリー、カラハリ、ありがとう」

ピエタ「……まぁ、あんまり溜め込みすぎるなよ」

マリン「今度また、『ねづや』に行こう」

ピーボディ「ピエタ、マリン、ありがとう。励ましのチャットもくれたし……」

マリン「あはは、言われちゃった」

ピエタ「言うな言うな、なんか恥ずかしいから!」

クレア「きっとピーボディなら、また1位を獲れるよ!今までもずっとすごかったんだから!」

ピーボディ「クレア……ありがとう」

彼女の周りの席の人達が、次々とピーボディに声をかけていく。

ピーボディ「あはは……みんな、あったかいなぁ……」

今、正面を向いたピーボディの顔は、私の席からは見えないけれど、声は少し涙声になっている。
ふぅと一息ついたのが聞こえた。

ピーボディ「おかげで、逃走中に向けて切り替えられそう。本当にありがとう、みんな!」

さっきまでとは違い、元気を取り戻したような声が、船内に響いた。

パンナ「……みんなして人が良いわね。その優しさを私のキャリーに向けてくれないかしら。ね?」

機嫌を直したパンナが、私に話しかけてくる。

リリィ「キングに向ける感情は優しさより、恐れ多さの方が上回っているのかも」

パンナ「……またそうやっていじってくる」

今度は不機嫌になることなく、パンナは微かに笑った。

リリィ「ふふっ」

これまで苦労を共にしてきた逃走者同士の信頼は厚い。ライバルであり、仲間でもある。
目前に迫るゲームがどんなに困難なものでも、私たちは乗り越えていける。


この時の私は、そう思っていた。




それがまさか―――



ジャイロ「信用なんかできるか!!」



シド「まるで地獄だ……」



クレア「騙されてた……!」



ペンタ「おかしいだろ、こんなの!!」



ピーボディ「…………ごめん、ね……」



こんなことになるなんて……。





リリィ「はぁ、はぁ……」

???「―――……―――……」

誰かの声がする。敵か味方か分からない。
居場所を知られてはいけない。もし敵だったら……終わってしまう。
身を隠し続けろ。信用できる人間を見極めろ。

リリィ「ゲームマスターは、どうしてこんなゲームを……」

???「リリィ……?」

リリィ「!」

この声……パンナ?

パンナ「リリィ、いるわよね?一緒に行動しない?」

……この言葉を、信じるべき?
それとも……疑うべき?

パンナ「リリィ、いるんでしょ……?ねぇ、隠れてないで出てきて?」

リリィ「……!」



 To Be Continued...

ゲームスタート ( No.3 )
日時: 2025/03/29 21:25
名前: TDR (ID: kOmP6qDh)

 Before the Game


ゲーム前、エリアに散らばる、29人の逃走者たち……。





シド フェニックス「おーい、見えているかい?」


ドローンSID[……]フォンフォン


シド「僕のスターとしての輝きを、そのカメラに収めてくれよ!」


今回、逃走者には1人につき1台、小型のドローンカメラがついている。


逃走者の様子は、個人のカメラに撮られた映像を、中継映像として放送する。





ドローンQUESTION[……]フォンフォン


クエスチョンくん「いえーい!僕のカメラ映像観てる人は、チャンネル登録よろしく!」





ドローンCLAIRE[……]フォンフォン


クレア サマーズ「ドローン、ぴったり付いてきて、なんだか可愛い!」





ドローンOLIVER[……]フォンフォン


オリヴァー フォックス「飛ぶ音は静か、そして視界から極力外れる動き……。こいつらが付いてくると聞いたときはどうなるかと思ったが、これなら集中して逃げられそうだ」





カイ ブルーム「なぁ、そっちにも招待状来たのか?」


兎桜 マリン「ああ、来たよ。招待制なんて珍しいよね」


今回集められた逃走者は、クロノス社からの招待状を受け取っている。





千石 城太郎「招待状、大人数の逃走者、そしてストーリーシナプスのないゲーム……。今回は異質なゲームだ。なぜだろうか、胸騒ぎがする」





 プルルルル


ジャイロ デーモン「おっ、メール来た。どれどれ」


パンナ ラヴ「『これより、ゲームを始める。今回は、賞金への欲望と、仲間との信頼関係が重要となる』……なにこれ?賞金はともかく、信頼関係って?」


フェザリー ギバー「気になる文言ね……『信頼関係が重要となる』って」


ライパチ(神堂 雷八)「『ゲーム時間は180分』……大分短い時間。でも人数は多いんだよなぁ」


ペンタ バッカーナ「『賞金は1秒200$ずつ上昇、最後まで逃げ切れば216万$を獲得できる』……うひょ~、単価高めだ、お得じゃん!」


※$=ムーンドル(月世界の単価)


ダイナ アレキサンドロス「『今から30秒後、ハンターが放出される。ハンターの数は5体』」





ハンターA「……」

ハンターB「……」

ハンターC「……」

ハンターD「……」

ハンターE「……」





リンセン「よし、気を引き締めて行こう」


トラヴィス ロウ「ここで逃げ切れば、夢に一歩近づける……!」





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 高額賞金と、仲間との信頼を賭けたゲームが、幕を開ける……!

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 START 180:00
       $0





ハンターA「……!」ピピッ

ハンターB「……!」ピピッ

ハンターC「……!」ピピッ

ハンターD「……!」ピピッ

ハンターE「……!」ピピッ





ハンター×5「……」タッタッタ……


 ゲームが、始まった……。





フォルト ヤング「始まった!ハンターが何体来ようが、振り切ってやるぜ」


フェザリー「外が暗いから、恐怖心が刺激されるわね……」


ハンターA「……」


ハンターに捕まれば、賞金は0……。





ジャイロ「『賞金への欲望と、仲間との信頼関係が重要となる』……か。賞金のために仲間を売る展開になるかもな」


〝マネーピラニア〟ジャイロ。与えられた情報を、冷静に分析する。


ジャイロ「特に信用できそうなのは、シドあたりか?裏切るタイプじゃないだろう。信用できないのはペンタ、間違いない」





シド「颯也やシグマがいない今回は、大スターである僕が主役!」


ジャイロから信用されている、〝超次元の貴公子〟シド。過去には逃走成功の経験もある。


シド「さて、久々に逃走成功させてもらおうか!」





ペンタ「自首ボックスの位置確認、しておきてーなぁ」


一方、信用されていない〝自首大魔王〟ペンタ。今回も、目先の賞金を狙う。


ペンタ「つーか、建物の外、夜かよ」


ハンターA「……」


ペンタ「おっと」ダッ


ペンタの近くに、ハンター。すぐに距離をとる。


ペンタ「へっ、始まってすぐに捕まったりしねーっての」


自首で高額賞金を2度獲得した男は、伊達じゃない……。





ピエタ バローネ「5体なら見つかっても難なく振り切れそうだが、このゲームは気を抜いたら終わりだ。油断しないように……」


ゲーム後半まで残ることが多い実力者、ピエタ バローネ。スリル満点のエリアを、慎重に動く。


ピエタ「……!」ダッ


ハンターC「……」


視線の先に、ハンター……。


ピエタ「……おいおい」タッタッタ


ハンターD「……」


逃げた先にも、別のハンター……!


ピエタ「……こっちにもいる」ダッ


 下のフロアに降り、身を隠す。


ハンターC「……」


ハンターD「……」


ピエタ「開始直後に2体も近くにいるなんて、スリリングだねぇ」


気づかれなかったようだ。


実力者であっても、一瞬も油断出来ない。





ライパチ「1回、調子を図るうえで、ひとっ走りしたいところだが……」


元野球選手にして、異名が〝クセモノ盗塁王〟のライパチ。ハンターを探す。


ハンターB「……」


ライパチ「おっと、いたいた」


フォルト「……ライパチがいる」


その近くに、フォルト ヤング。


ハンターB「……!」ダッ


見つかった……。


ライパチ「来たな、勝負だ!」ダッ


フォルト「おいおい、こっち来るぞ!」ダッ


フォルトも、巻き込まれた!


ライパチ「うおおおお!」タッタッタ


フォルト「ハァ、ハァ……!」タッタッタ


ハンターB「……」タッタッタ


  【SEARCH MODE】
     [ + ]


ハンターB「……?」タッタ……


素早い身のこなしで、ハンターを振り切った。


フォルト「何してんだ、お前!こっち連れてくるなよ!」


ライパチ「悪い!」


フォルト「ハァ、油断も隙もねぇ。下手すりゃまた最初に捕まるところだったぜ……」


ライパチ「いやぁ、今日は調子いいかもしれない」


走りに飢えた、盗塁王……。





パンナ「今回は、誰にキャリーしてもらおうかしら?」


〝逃走クラッシュキング〟パンナ。向かう先に……。


ダイナ「……ん?」


パンナ「……あっ!」


かつてシブヤステージで、パンナをキャリーしたダイナ。


ダイナ「……な、なんだ?」


パンナ「あんた、前に私を見捨てたわよね?その借り、返してもらえる?」


ダイナ「御守りが期限なしと言った覚えはない」


パンナ「御守りどうこう以前に、あの時はあんたに囮にされた形だったんだけど?」


オリヴァー「騒がしいな……。あの声では、ハンターが寄ってくる」


近くには、オリヴァー少佐と……。


ハンターE「……」


黒い影……。


オリヴァー「―――来たか」ダッ


ハンターE「……!」ダッ


ダイナ「!」ダッ


パンナ「えっ、来た!?」タッ


ハンターE「……」タッタッタ


3人別々の方向に逃げる……!


オリヴァー「向こうの2人が引き付けてくれるだろう」タッタッタ


ダイナ「……」タッタッタ


パンナ「こんなすぐに捕まらないわよ……!」タッタッタ


ハンターE「……?」タッタ……


距離があったため、うまく撒いたようだ。


ハンターC「……」


しかし、近くにもう1体……。


パンナ「はぁ、はぁ……危なかった」


オリヴァー「……ふぅ、もう1人目確保はこりごりだ」


ダイナ「気まずかったから、助かった」


ハンターC「……」





ダイナ「体勢を立て直して―――」


ハンターC「……!」ダッ


ダイナ「―――なにっ!?」ダッ


今度は至近距離で、見つかった……。


  【TARGET ROCKED】
   DINA[ + ]


ダイナ「ハァ、ハァ……っ!」タッタッタ





 ポン!

 176:23 ダイナ アレキサンドロス 確保
               残り28人





ダイナ「ば……バカな……!この私が……!?まさか……!!」


早くも1人目の犠牲者が出た……。


ダイナ「…………」


ハンターC「……」スタスタ


ダイナ「……ハァ、牢獄には歩いて行け、だったか。傷心の相手にする仕打ちか?」


なお、今回は確保されても転送されず、指定の場所にある牢獄へと歩いて向かうこととなる。





 プルルルル


フェザリー「『ダイナ アレキサンドロス確保』……えっ、まだ5分も経ってないのに!」


パンナ「ダイナ確保。ふふっ、シブヤの時の罰が当たったのよ」





 Run for Money 逃走中

 グレートディストラスト





逃走中とは、月世界で行われているエンターテインメントショー。

逃走者は、ハンターから逃げ切り、賞金獲得を目指す。





今回のゲームは、「裏切りの巨大迷宮ステージ」。


逃走エリアは、かつての地球に存在した巨大ショッピングモール、2024イオンレイクタウン。


直線の多いmoriエリア、入り組んだ通路の多いkazeエリア、開けて見通しが良いアウトレットの3つのエリアが、連絡橋で繋がっている。一部の店舗には侵入可能だ。


リリィ ボーン「いつもよりエリアが狭いみたい……。ハンターと遭遇しやすいかもしれない」


時間は、夜明け前。建物の外は暗く、ハンターを見つけづらい。


リリィ「情報を共有して逃げたいけど、1人ずつしか通話かけられないから不便ね……」


なお今回、クロノブレスによる通話機能は、従来の全体通話が禁止され、個別通話のみとなっている。





自首ボックス[……]


チャマ ハスラー「おっ、自首ボックス見ぃつけた。自首にはまだ早いけど、場所は覚えておこう」


moriエリア3階・kazeエリア1階の2か所にある自首用電話から自首を宣告すれば、その時点までの賞金を獲得し、ゲームからリタイアとなる。





ハンターE「……」


ただし、ハンターに確保されれば、賞金は0……。





逃走者28人vsハンター5体



残る逃走者:28人
オーガ、オリヴァー、カラハリ、クエスチョン、クレア、
幻霧、シド、ジャイロ、進心丸、千石、
チャマ、トラヴィス、根津、パンナ、ピーボディ、
ピエタ、ヒメナ、フェザリー、フォルト、ブルーム、
ペンタ、ホーミー、マイカ、マリン、ライパチ、
ランゴ、リリィ、リンセン


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