恋物語 作者/椿希

第8話  夏祭り



  夏祭りの日は、結局部活が入ってるので、終わってから行くことにした。

 「優依!!夏祭りいこ。」
「へ??別にいいけどぉ?いつから?」
「いったん家帰ってから。そうじゃないと金が・・・。」
「そっか。そうだよね・・・。」
「ほかに、あいつらもいるよ。ちょっといやだけど。」
「禿げ鼠と、桐谷ぃ~。まぁいっか!!」

 桜神は、優依に、始めてこの話を持ちかけたのだ。びっくりさせるために。

 桜神は、勇杜と二人っきりでいけない理由が二つあったのだ。

 一、話が、盛り上がらない
二、2人で行くとクラスに恋人騒動??が流れるから。

 桜神的に、恥ずかしいのだ。
行きたいけど行けない・・・・。これが本性なのだ。

        午後八時

 優依と禿げ鼠は、自宅へ、帰ってしまった。桜神は、家に電話したときに母から
「最低でも、9時には、帰ってきなさいよ。」
といわれたため、あと一時間だけ、いるつもりだ。
・・・・・・・・ということは、一時間は勇杜と二人っきり。

 (あ~あ。どうせ勉強のことしか話さないんだろうな・・・。)
桜神は、心の中でそう信じていた。
でも、まったく逆のときもあるんだと思い、半信半疑で、話していた。

 「木下たち、帰ったな。」
「そうだね・・・・。なんかつまんなーいっ!!」

        クックックっ

 「お前のテンションでこっちは、楽しいけどな。」

 

 桜神は、勇杜が笑っているところを久しぶりに見たような気がする。
こんな風に笑ってたっけ・・・。と今でも、そう思っていた。

 「なんか。あんたが、笑ったの、久しぶりに見たかも。」
「オレいつも笑ってるよ。」
「あんま、あんたとしゃべんないし。」
「そっか・・・そうだな!!!」

 桜神は、勇杜が何もかもを、笑って通してるような気がした。
やっぱ、こいつと両思いになるのは、気が遠いほど未来なんだね、と自分で感じてしまっていた。

 でも、そんな桜神の考えを覆すような出来事が、起こった。