死に方を知らない君へ。

作者/杏香 ◆A0T.QzpsRU

一章 「理想と現実」-6


このまま本を読むことにしても、また夢中になっては困る。
だから私は、リビングでテレビでも見て暇を潰そうとリビングへ向かった。

リビングでは、相変わらずお母さんがテレビを見ていた。
少し気まずかったが、仕方ない。
私はいつもここで暇を潰しているし、お母さんもそれは同じだ。
それに、ここではあまり怒られる心配もない。
(気まずいのくらい、怒られるより何倍もマシだ)
私は自分にそう言い聞かせ、いつものようにお母さんとは離れた座布団に座る。
テレビでは、ちょうどニュースをやっていた。
バラエティなどにはあまり興味がないけれど、ニュースは好きだ。
私は少し身を乗り出すようにして、画面を食い入るように見つめる。
もちろん、お母さんの邪魔にはならないようにだ。
するとさっきまでのニュースは終わったようだ。
画面に映された次のニュースは、最近連続して起きているコンビニ強盗についての特集だった。


そうこうしているうちに、画面の隅っこに映されている時間が5時ちょうどになっていた。
そんな時、お母さんは画面を見つめながらぶっきらぼうにこう言った。
「今日はコンビニ弁当だから」
その一言だけで、私が何をすればいいのかは十分分かりきっていた。
私は座布団から立ち上がり、台所へ向かった。