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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*18*
「初めましてでござる。拙者は川村猫衛門。通称ネコザムライでござる」
3日後、あたしたちの前に現れたのは、黒くて美しい髪をちょんまげにして、猫を思わせる大きな黒い瞳、小柄な体に昔のサムライの恰好をして、腰に刀をさげた色白の男の子だった。
猫衛門という名前が、なんとなく未来から来たお助けロボットを連想させるのは気のせいだろうか。
「真帆殿、この拙者に任せるでござる。
必ずやお主のご両親の心の中の闇を断ち切ってみせるでござる。
この、『斬心刀』で!」
彼はいきなり腰の日本刀を抜いて私に見せた。
光に反射してキラキラ輝いて綺麗だけど、これって本物じゃないでしょ?
「それはご想像にお任せでござるよ」
そう言って彼はニコッと微笑んだ。
よく見ると、川村くんの顔はまるで日向ぼっこをしている猫みたいで、可愛い。
「ヘンリー殿、報酬を期待しているでござる。『元気モリモリチョコレートバー』を10本あげるという約束、忘れないでくだされ」
10本?
あのお菓子ってたしかこのお店のお菓子の中でもかなり安いほうだけど、そんなもので雇われるだなんて、安すぎな気がするのはあたしだけかしら?
「拙者はあれがないと生きていけないのでござる。それはともかく、早速仕事に移りましょうでござる」
彼は言うが早いが外に飛び出す。あたしたちも慌てて追いかける。
「では行ってくるでござる!」
彼はジャンプだけで家の屋根から屋根をぴょんぴょん渡り走る。
忍者を彷彿とさせるその素早い身のこなしにうっとりと見つめつつも、今更ながら彼で本当にうちの両親を説得できるのかどうかと、不安になった。