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*120*
詩伍郎
「………愛弓、どういうことなんだ?」
詩伍郎
「今のお前の見た目は亡くなったばかりの若い姿だ、あれから10数年は経っているのに………なんで変わっていないんだ」
愛弓
「そうか、あの時の雄吾はまだ年齢が1桁だったな………元気にしているか?」
詩伍郎
「元気も何も、あの通りだ」
愛弓
「そうか、ある意味では父親似だな」
愛弓
「………私が生きているのが、不思議でしょうがないのだろう?」
愛弓
「その前に………だ」
愛弓
「兄ぃに足りないものを私は知っている」
詩伍郎
「俺に………なんなんだ?愛弓」
愛弓
「……兄ぃはよく言ってたな、無茶するなと」
梨子
「………どうしてそれを!?」
詩伍郎
「………愛弓、お前は昔からヒーローになりたがってたな」
詩伍郎
「子供の頃は危なっかしくって………」
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~数十年前~
詩伍郎
「愛弓!お前またガキ大将と喧嘩したのか!?」
愛弓
「だって弱いものいじめしていたんだぞ………ほっとけないだろ」
詩伍郎
「全くお前は……」
愛弓
「母さんも父さんもさ、もう少し女の子らしくしろってうるさいんだ」
愛弓
「誰かを助けたり、悪い奴に立ち向かったりするのに男も女も関係ない………兄ぃもそう思うだろ?」
詩伍郎
「………まぁ、その通りだ、誰かの事を思えることは立派だと思うし、兄としては情けないが俺も憧れてる」
詩伍郎
「だけどこれだけは言う!無茶しないでくれ」
詩伍郎
「お前に何かあったら俺はもちろん母さんも父さんも心配する………それに」
詩伍郎
「お前が誰かを守りたいように、俺もお前を守りたいんだ」
愛弓
「兄ぃ………」
詩伍郎
「だから1人で突っ走って無茶するな!何かあったら俺を呼べ!」
詩伍郎
「………出来る限り、足でまといにはならないようにするからさ」
愛弓
「ああ、兄ぃ………そういうところ、嫌いじゃない」
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愛弓
「もう、そんな昔の話か」
愛弓
「私が言いたいのはそういうことだ」
愛弓
「兄ぃは縁の下の力持ちなんだよ、だから………共に戦う必要はない」
愛弓
「いつものように、疲れた体を癒してくれれば………な」