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標的58 生きたい
束の間、沈黙が支配した。
ディーノのあの驚きも沢田が茫然として声が出ないというのも何となく分かった。
《テメェ!!ふざけた事言ってんじゃねぇぞ!!》
獄寺叫んだ。怒っている、とっても。すごく。
こんな時に嘘言えるほど、馬鹿でもないし考え無しでもないし・・・大胆な真似が出来る訳ないじゃん。
「神無は嘘吐きだからねぇ…。しかも裏切り者には死を・・・っていうの掲げちゃってるし・・・」
私をどうしても殺したいんでしょ。その言葉が出た途端。沢田に叫ばれた。
《ふざけるなよ!!何だよそれ、最初っから知ってたなら何で・・・生きたくないのかよ!!!?》
本気で心配してくれていたんだね・・・巻き込んじゃったなぁ・・・そう思いながら
「そう言う意味じゃ無いんだよ。ゴメン・・・ほんとゴメン・・・もう切るね…あと日本にも戻るから」
まだ沢田は言いたかったようだが私が一方的に切った。話すのが苦しくなったから
そしてディーノの方を向き「ゴメンね?」と言うと、何か言おうとしてやめていた。
**
その日の夜、ディーノに付き添われて…日本に着いた。(一人では不安らしい。私はアンタのドジが不安だ)
着いた途端長い間のフライトだったからか、疲れていたらしく私は意識を手放していた。
目が覚めると、そこはどこかの病院で沢田達がいた。
泣きそうになっていたり、睨んでいたり、じっとこっちをそらさず見ていたり…、優しい人たちに囲まれていたんだね。私は幸せだった。
でも・・・
「一緒にまだ遊びたかったなぁ…ご飯食べて、ゲームして、喧嘩して…、あ、後、沢田が無事に10代目になれる所見たいし、出来れば・・・本当に出来れば結婚して子供が欲しかったなぁ…」
なぁんて・・・と言えなかった。続けれなかった。
「何で私・・・こんな事なっているんだろうね?沢田達の顔が見れないし、声もよく聞こえないし・・・上手く体が動かないし・・・」
ココまで言うともう限界だった。ずっと隠してきた思いが全部溢れ出した。
心配させたくないと思って言わないでいた事全部が、我慢できずに
「嫌だ、嫌だよ!!何で!何で!何で!!私こんな事なっているの!?意味分かんない!!まだやりたい事一杯有るのに!!やっと信じれる大事な仲間が出来たのに!!・・・たくない・・・死にたくないよ…。」
ゼェゼェと私は浅い呼吸を繰り返した。
「私はっ、まだ生きたい・・・!!」
隠していける筈か無いじゃないか。私が大好きなファミリーに嘘は付けれないのに。