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*11*
「グレイー!」
ハッピーが近寄る。
まだグレイは意識があり、立ち上がれる体力もある様だ。
「っはー…、はっあ…伊達に喧嘩してるわけじゃないからな。」
強気な様子にハッピーは安心する。
そしてアイリに向かって叫んだ。
「お前!どうしてグレイを蹴ったんだよ!」
「…腹が立ったのよ…。」
アイリの目が変色していく。
黒から、深紅へ。
「何様よ…ギルドに迷惑かけといてこんな態度だなんて…。」
「何のことだよ!」
「知ってるのよ?氷古龍の事件。」
氷古龍。その単語に、グレイはビクリと体を震わせた。
あの事件はグレイからしたら、忌々しい過去でしかない。
「これから、私達は過去を手に入れる。」
「過去、を…。」
「そして!!」
アイリの声が、耳に響く。
「蘇らせるんだ、――――――」
「!」
それは、あのときの光景の様だった。
背筋が凍る様な、あの時の。
「お前等……………!」
「昔から、恐れられていたんだ。それに、あの人も…」
グレイは歯を食いしばる。
冗談じゃない、やらせてたまるか。
「アイスメイク…!」
「させないよ、キク。」
「……空竜の斬撃。」
無数の風がグレイを切り刻む。
一部、ハッピーにも被害が及んだ。
「っく…!」
「うわあっ!」
ギリギリ手首を斬られなかったが一つ一つの傷は深く、これが手首にと思うとゾッとした。
「アイリ…キク…やめないか。」
「はい。」
「っち…分かったわよ。」
アリアが苦笑いでグレイの肩を叩く。
「君は人質であり、引き寄せ役であり、計画に必要な存在だ。…グレイ。」
グレイは、ギルドの皆を思っていた。
(来るな…頼むからくるなよ…!)
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