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*60*
「………!」
目を見開く。
空高くに浮かぶのは、鍵。
夜の暗さに、鍵にまとわる光は美しく見えた。
「なんだ、アレ。」
「キレイー。」
「月か?」
「違うだろ、向こうに月あるし。」
ザワザワと、辺りが騒がしくなる。
全員その光にみとれ、動けなくなっていた。
ふいにナツがグレイを見ると、グレイは目を瞬かず光を見つめている。
「………グレ、」
「ナツ、あれ!!」
話しかけようとすると、ルーシィが光を指差す。
光―――鍵は、キラキラと浮きあがる。
すると、もう一つの鍵が現れた。
「あれって!」
「『妖夢の鍵』だ!」
二つの鍵と魔境は、また浮き上がる物体に近づいていく。
その物体は。
「兆年孤独唄ッッッッ!!!!!」
誰かがそう叫ぶ。
兆年孤独唄にはもう、グレイのネックレスがつけられていた。
遂に二つの鍵が、兆年孤独唄に刺さる。
ガチャリ、音が響いた。
瞬間、全員の耳に言葉が響いた。
『これを求めし者よ、その証を答えよ。』
「…………。」
グレイが、静かに前に出る。
後ろで止めようとする声が出るが、そのまま前に立ってしまった。
『冷たき静を持つ者に、告ぐ。』
「お前……あの絵本、の…。」
ぼんやりと姿が映し出され、グレイは呟く。
それにかまわず目の前にいる者はこう言った。
グレイは、ただ空を見つめている。
目を、見開いたまま。
「Fimbul……、」
「……meteor。」
すると、すぐに夜空は光に包まれた。
グレイを、連れて。
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