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25話「青空」
「っくぅうう…!!」
ジュビアを締め付けるメアの目からは、涙が溢れていた。
(何をしているの?)
(仲間はどうしたの?)
本当の自分の声が、雨粒のように流れ込む。
逆さまに、違う声も混ざった。
(仲間は、いるじゃないか)
(そいつ等の通りに進めばいいじゃないか)
「…!!」
メアの拳から力が抜けた。
それでも、またジュビアを締め付けようと手を握りはじめる。
「貴方は、ジュビアという『1つ』の水を操る事ができる。」
「え…?」
「っでも!!」
ジュビアは体を分散させた。
ざあああああ、と雨が降り始める。
いや、雨など降るはずがない。
ここはノアの箱舟で、室内なのだから。
「まさか、自分の体を雨に…!?」
「水流斬破!!」
雨がカッター状に変形し、メアの体を切り刻む。
メアの体に、声が響いた。
『…どうして、泣いてるの。』
『だって、ジュビアが歩くところには雨が降るの。』
『じゃあさ、私と一緒に遊ぼうよ。私も、雨女だよ。』
『雨が、降るよ?』
『気にしないわよ!さ、行こ!』
「貴方、あのときの…泣いてた子…!」
「ジュビアも、今思い出した。…あの時は、ありがとう…!」
ぱしゃぱしゃと地に落ちてゆく雨は、ジュビアへ戻った。
すぐにジュビアはメアのほうへと走り、あのときのように手を握り締める。
「雨、降ってない…?」
「ジュビアは、もう平気なの。貴方は?」
「…今、雨が止んだよ。」
「…『我はノア、水の契約は解除された。』」
「ジュビア、やったか!」
「っち、やってくれるのね…。」
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