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*10*
―その頃のグレイ達―
「うわぁ!」
「っくぁ…!」
思い切りアリアに投げ捨てられる。
「グレイ〜…。」
「…お前達は、何が目的だ!!」
威勢よく声を張り上げるが、アリア達は笑ったままだ。
メアがグレイの顎をつかみ、グッとあげる。
「っ…。」
「生意気ねぇ…、もう一回鞭で叩こうかしら?」
メアはクツクツと笑う。
それでも、グレイはまだ睨んでいた。
「やめろ、メア。」
「はぁい。」
ケラケラと笑いながら、メアはグレイから手を放す。
「グレイ、何もお前だけじゃない。」
「あ?」
「俺は、辛い過去が欲しいんだ。エルザ、と言う奴でもいいんだぞ?」
「………っ!人質か?」
「さぁ、な。」
グレイの前に、ハッピーが立つ。
「は、ハッピー?」
「オイラはどうして!?」
それに、アイリがツッコんだ。
「いや、アンタは腕引かれただけでしょうよ。」
「あい!」
「馬鹿…。」
グレイは呆れながらも、逃げるチャンスは無いかと辺りを見わたす。
その時、アイリがグレイの下にきて
いきなりグレイの横腹を蹴りだした。
「―――――――――――――!?っは、がは!げほっ…!」
「グレイ!お前、何するんだ!」
ハッピーがアイリのほうへ走り出す。
だが、ハッピーの顔にアイリの足がめりこんだ。
「むぎゅ!」
「っくは…!ハッピー!」
またアイリは、グレイの腹を蹴る。
「あ”っい…!ぐッ……、っ、ああ”あ”っ…!」
「やめておけ、アイリ。」
アイリは、何も言わず頷いた。
「まったく、君は腹が立つと暴力的だね。」
「…アリア、私は冷静だよ?」
「どこが、君の目…深紅だよ。」
徐々にアイリの目の色は、元の色に戻っていく。
グレイの息はヒューヒューと薄くなっていた。
それをキクが哀しげに見ていた。
グレイじゃなく、アイリを。
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