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*9*
五話「味方」
ハッピーとグレイが連れ去られた後、ナツ達は急いでギルドに戻った。
マカロフに出来事を話す。
「また…グレイか…。」
「いえ、マスター。今回の敵の目的は、過去です。」
「過去?」
その単語に、マカロフは首を傾げた。
はい、とエルザは頷く。
「過去を使い、願いを叶える……そう言っていました。」
「それで何故、グレイが狙われたんじゃ?」
「おそらく、グレイの過去にデリオラがいたからです。」
グレイは幼い頃、両親がデリオラに殺される所を目撃していた。
そして、目の前でウルが凍る所も見た。
「グレイだけじゃ、無いはずです。…私も、指摘されていた。」
「エルザは、楽園の塔だよね。」
ルーシィがエルザの過去の重要なポイントをいう。
「ああ…。ナツは火竜、ルーシィは無限時計、ウェンディは天竜だな。」
無限時計は、以前のゼントピアの件で創ってしまった物だ。
壊れたのだが、過去魔法は忌まわしい物でも過去なら創れる。
「また……何かが起ころうとしている…!」
ちなみに今ナツは、柱にくくりつけられている。
「いいからっ!早くグレイとハッピー助けに行くんだ!」
「ナツ…、まだ計画が立ってないのよ?」
「それでもいいんだよ!」
「駄目よ!敵には滅竜魔導士がいるのよ?」
ウェンディは先ほど自分が負けた事を思い出す。
空竜のキク。
天竜とは互角だろうか。
「…私は、天竜なんだ。」
「ウェンディ?」
「早くっ、助けに行きましょう!」
「ちょっとウェンディっ!アンタまで…っ!」
いつもの控えめなウェンディはそこに居ない。
立派な勇気を持った、魔導士がそこにいた。
ナツを縛っていた縄をきる。
「私は…あの空竜の子が、気になるんです…哀しそうで…。」
「空竜って、あの黒いコートの多分ー…男の子?」
「はい。」
その時、ナツが「あああああああ!」と叫んだ。
「な、何よナツ!」
「あの過去魔法…生物も復活できるんだよな?」
「あ、ああ…そうだな…。」
肯定するとナツが笑顔になる。
「つーことは、レイガ生き返るんじゃねえか!!?」
ギルド全員が納得する。
レイガが生き返れば、グレイも喜ぶ。
だが、マカロフは「駄目だな」と言った。
「何でだよ!デリオラができるなら―」
「デリオラは悪魔じゃ、…生物ではない。」
「それもそうだな。」
エルザも納得する。
何だよ…とナツはうなだれた。
「計画は、やめにしよう。」
エルザが呟く。
は?と頭の中で全員が思った。
「心強い者が今来たぞ…。」
全員がギルドのドアをみる。
そこにいるのは。
「助けに来たよ。」
「久しぶり!」
「元気にしてた?皆。」
ルド、エーガ、ギルだ。
「お、お前等!!」
「皆、無事なんだね…!」
ルーシィが涙目で笑う。
「レイガの件はごめん…、俺のせいだ。」
「ナツ、茨の事はごめんね…。」
「…エーガ、私が勝手にやったんだよ。嫉妬の茨は…。」
あのときのことを後悔しているのか、三人とも哀しそうだ。
それでも、ナツは笑顔だった。
「無事だったんだな!」
「…ああ。」
ナツとルドが握手する。
だが、その和やかな空気をエルザが元に戻した。
「それは後だ、…今はグレイが優先だ。協力、してくれるか?」
「ああ、何でもやるさ。」
「私だって、何でもやるわ!ね、ギル。」
「うん。」