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*36*
12話「フィンブル ミーティア」
「この本だ。」
グレイが全員に茶をだし、次に本を机の上に置く。
どうやら、この文字は西洋のようだ。
「これの原作は東洋なんだと。」
「そうなの?じゃあこれは…」
「いや、そういうのじゃなくてよ。」
どうやら、東洋を舞台にした西洋の話らしい。
題名をみると、エルザが眉間に皺を寄せる。
「『フィンブル ミーティア』…破滅の冬の流星…?」
「なんか、恐ろしい題名ね。」
ルーシィは大げさに、腕を摩る。
まずは読もうと、ページをめくった。
エルザが。読み上げる。
「あるところに、男の子がいました。
男の子はキレイなキレイな流れ星を見ていました。
男の子には、お母さんもお父さんもいません。
ある日、流れ星が少年にアドバイスをしました。
『幸せになりたいなら、この2つの鍵を探しなさい。』
星は鍵を遠くへ落とし、少年は幸せのために走りました。
長い長い旅でした。
ようやく男の子は2つの鍵を手に入れます。
すると、流れ星がこういいました。
『それを、夢を叶えるこの機械につけるのです。』
男の子は、すぐに鍵をとりつけます。
流れ星はさらにいいます。
『その十字の鍵も。』
男の子は自分が身に着けていた十字の鍵をとりつけます。
するとその機械は翼を生やし、空へと浮きました。
機械から無数の流れ星が流れました。
一つ一つは青く、美しく輝いています。
それから男の子は、幸せになんてなりませんでした。
代わりに、世界は戦争が生まれました。
『僕のせいだ。』
男の子は、悲しみました。
ある日、戦争の国が空を見上げます。
すると、空は冷たい黒にそまり、キレイな流れ星が一つ降ってきました。
よくみると、それは男の子でした。
男の子はそのまま、海にへと落ちていきました。
流れ星は、哀しそうに男の子を見ます。
『死んじゃったから、やり直し。』
それから、世界はその日を【フィンビル ミーティア】、破滅の冬の流れ星といいます。
その日は必ず、戦争が起きるのです。
…だそうだ。」
パタンと本を閉じ、辺りを見わたすエルザ。
すぐにグレイは本を受け取った。
「なんだか、星空の鍵みたい。」
「男の子は最後、不幸になるがな。」
壮大な話だったため、全員の体はまだ硬直している。
グレイは少し苦笑いで、本を読み返した。
「この話、昔はよくわからなかった。…でも、今わかったよ。」
「グレイ様………。」
ジュビアが心配そうにグレイを見つめる。
「これは、警告だ。兆年孤独唄を蘇らせるとどうなるかってさ。」
「じゃ、じゃあこの流れ星の『やり直し』は?」
「……あの、私の意見ですけど…生贄…とかじゃないでしょうか?」
あまり話に干渉してこなかったウェンディが参加する。
じゃあ、とナツは目を見開かせた。
「生贄のために、この男の子を騙した、とか?」
「それなら、納得いくな…。」