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*43*
14話「リッカ」
―ウェンディ達―
「マグノリア図書館にはどんな本があるんですか?」
マグノリアの道中、ウェンディが不思議そうに問う。
そうだな、とリオンが答えた。
「基本は歴史書だ、他にも色々あるがな。」
「じゃあ、最適ですね!」
ウェンディが微笑む姿をみて、ロメオの顔が赤くなる。
「ロメオ君?」
「い、いや何でもないよ!」
「…青春ね。」
シャルルが微笑みながら二人を見ている姿を、ジュビアとリオンは不思議に思ったという。
―ナツ達―
「で?盗人野郎、どんな情報があるんだ?」
「それは決定事項なのね!?」
いきなり情報があると決め付けられ、リッカはショックを受ける。
だが、情報はあるらしくリッカは素直に話し始めた。
「…石碑には、ヒントが記されているね。」
「石碑…メイキースのか?」
その問いに、コクリとリッカは頷く。
「そうね、鍵の在り処のヒントが隠されているのね。」
「ソレは、何処で知った。」
普通はそんなことを知っている筈がない。
だが、リッカは知っていた。
知った理由を聞けば、まだ何かが分かるかもしれない。
「………知らないね。」
「は?」
「知らないうちに、知ってたね…。」
知らない筈なのに、何時の間にか知っていた。
それはまるで。
(何かを、伝えようとしているみたいじゃないか。)
「そうか、ありがとな。」
「え?」
いきなり感謝されて、リッカは目を見開く。
ナツがどうした?とでも言う様に、リッカをみつめた。
「な、何で?何で捕まえないのね?私は盗人…、」
「お前さ、良い奴じゃん!何で盗人なんかやってんだよ!」
リッカは、心に何かが来るのを感じた。
視界が歪む。
「うお!何故泣く!?」
「…そんなこと、言われた事無かったね。…分からないけど、まぁ頑張るね!」
「おう!」
ナツが笑顔でじゃーな、と手を振りながら歩く。
それに全員ついていった。
最後にグレイが苦笑いで微笑む。
「アイツ、変だろ?でも、…アイツなら何でも出来る気がするよな。」
「…アンタ、これから苦しいことがあるのね。…それでも、きっと大丈夫ね!」
「!…ああ、あの馬鹿がいる限りは大丈夫だよな。」
二人が微笑み、拳をぶつけ合う。
早く来いと急かされ、グレイは走り去った。
リッカは、素直に笑う。
自分の兄が彼のことを大切に思っていたという気持ちが、良く分かった。
「…兄ちゃん、彼は良い人なのね。兄ちゃんの、言うとおりね。」
レイガにソックリの髪の色は、美しく輝いてみえた。