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*51*
「ここが、スズランの街。」
ナツの直感で、ソリタリオの居場所をつかむ。
ソリタリオがいるらしい建物は、古びた小屋だった。
扉を開ければ埃が落ち、思わず顔をしかめる。
だが、誰も居ない。
「いねー、のか?」
「…あ、地下!地下の入り口がある!」
ルーシィの指差した場所は、床。
埃でよく見えないが、取っ手が見える。
「よっし!行くぞー。」
ギイイイ、と床の扉がひらく。
ロウソクが灯されているのをみれば、まだ生きているようだ。
階段が続く道をナツの炎で見えやすくし、歩いていった。
どれぐらい歩いただろうか。
ナツの視力で、遠くに誰かがいることがわかる。
「おーい。」
「…誰じゃ…。」
声からして、男性の老人だろう。
こちらを振り向き、じっと見つめられる。
「俺達は妖精の尻尾っていうギルドの魔導士です。」
「…名を、魔法を名乗れ。」
未だに疑われている。
まぁ、それが当たり前だが。
「俺はナツ・ドラグニル。滅竜魔法だ。」
「アタシはルーシィ・ハートフィリアです。星霊魔法を使います!」
「エルザ・スカーレットです。換装魔法を使います。」
「オイラはハッピー!エーラって魔法だよ!」
一人一人、自己紹介をしていく。
老人は最後にグレイを見つめ、名をうかがった。
「俺は、グレイ・フルバスターです。…氷の造型魔法を使います。」
「!!フルバスター…?造型…魔法か…!?」
老人はグレイの腕を強く掴む。
その力は予想以上に強く、痛みにグレイは顔をしかめた。
「っ…!」
「あ…、すまん。」
「あの…貴方はソリタリオさん、ですか?」
「…何故、ワシの名を、」
言う前に、ソリタリオは倒れた。
「!?ちょ、大丈夫かよオッサン!」
「ぐ…!…………大丈夫だ。」
ソリタリオは、近くにあったベッドに座る。
こっちに座れと、ソファを指差した。
「…ソリタリオさん、聞きたい事が…。」
「ここはな、元は聖堂だったんじゃ。」
ソリタリオは上を見上げ、呟いた。
全員上を見上げる。
上に描かれていたのは、神が泣いている絵。
誰かが、吊るされ消えていく絵だった。
「魔法絵画…。」
「何だよ、それ。」
「動く絵よ、絵自体に魔法をかけて動くようにするの。」
その光景が繰り返される。
吊るされ、消えて。泣いて、泣かない状態に戻る。
それが繰り返され、そのまま下を向いた。
「…私達、兆年孤独唄の鍵を探してるんです。」
「!」
「ソリタリオさん、何か知って、」
「消えろ。」
凄みのある言葉が、体を震わせた。
その迫力はすさまじい。
「アレを蘇らすつもりか。」
「ち、ちがいます!!」
「…なら、どうするつも―――」
瞬間、目の前が赤く染まる。
ソリタリオの心臓に――――――弓矢が突き刺さっていた。