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*66*
どれだけ、走っただろうか。
今、ナツは一人だけだ。
実は途中で、全員の敵と会ってしまった。
ジュビアはメアを、ウェンディはキクを。
そして、ルーシィはアイリを。
「っくそ!まだつかねぇのか!?」
俯いていた顔を上げると、暗い道は明るくなる。
目を見張らせると、階段の向こうにグレイがいた。
「グレイ!!!」
「ナツ!?」
唐突に現れた仲間に驚いたのか、グレイは目を見開けた。
出してやる、そう叫び走り出し―――
「光砲!」
光に弾き飛ばされた。
ナツは衝撃に耐え切れず、地面に転がる。
「ナツ!!」
「ってぇ…!つか、今の魔法、」
目の前を見ると、一人の女が立っていた。
「リッカ!!!」
「…『風の唱歌』臨時メンバー、リッカ。アリアの代わり、ね。」
何故、ここにいる。
その気持ちが、ナツとグレイの思考を巡った。
「な、なんでお前が…!」
「グレイ…貴方が生贄とは、知らなかったのね。」
「は…?」
リッカは苦しげに微笑む。
それは酷く、美しく見えた。
「貴方は父親の血がある…、貴方の父はね…、」
それ以上は聞いたら駄目な気がして、グレイは首を振る。
ナツが攻撃をする前に、呟いた。
「――メイキースの、真実を受け継いだ。」
ナツの拳が、リッカを目掛ける。
リッカは杖を捨て、腕に魔力をこめた。
「火竜の鉄拳!!!!」
「アンドロイド壱の式、『力』!!」
二つの魔力がぶつかりあう。
それをグレイは、見つめる事しかできなかった。
だが、すぐに我に返り叫ぶ。
「受け継いだって、なんだよ!!」
「そのまま、ねっ!!!」
魔力が弾け合い、二人は吹き飛ばされた。
足でソレを止め、ナツは意味が分かんねぇと呟いた。
「あの馬鹿の父ちゃんが、メイキースの子孫だって言いてぇのか?」
「馬鹿はお前だろ、違うのね。アイツは知ってしまった。」
ナツは顔をしかめる。
「だから、何だよ?」
「何かの弾みで、グレイの父と母は結婚したのね。」
「弾みって…、やめろよ。」
「問題は母の一族。母は、東洋人。メイキースは、半分東洋。」
「あ、そういやぁ…、」
グレイの持っていた絵本は、東洋が舞台だ。
「メイキースは、東洋にささげることにしたのね。」
「…俺の、母さんは父さんを信用してあのネックレスを…?」
「そ、起動装置。ずっと、護ってくれるってね。」
「それが、俺に譲られたのか…。」
偶然にも、そのネックレスには護符効果があった。
全てを守る、効果が。
「つまりは?」
これじゃ理解ができないのか、ナツがまとめを要求する。
「つまり、原因はグレイの母。グレイの母が父を信用して、ネックレスを渡した。
そして父が死ぬ間際、秘密を言ったら駄目だと。
グレイに真実を話してネックレスを渡したね。
起動方法を覚えてたグレイは、父親に言われたというのを忘れてしまった…。」
「それから、こんな事件が…!」
ナツがグレイをみると、グレイの目から光が消えているのを見た。
やばい、とナツは悟る。
星空の鍵の時、このときでは融合がもう末期までいっていた。
グレイを見つめてると、グレイはおもむろに口を開いた。
「…『我はノア、封印された扉は開いた。完全融合まで、時間は少ない。』」
「グレイ!!っくそ!」