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重なる世界〈完結〉
作者: 古火羅 ◆t2Fwfd0vJs  (総ページ数: 75ページ)
関連タグ: ドラクエ 二次創作 
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*23*

   微かに残っていた師の思いを受け止めて・・・

佐駄男の師はこの世にはもういない。癌で亡くなってしばらく経つ・・・
「思えば一度も来てなかったな、懐かしい部屋だ。」
古ぼけた稽古場は時間の経過を感じさせない。佐駄男が此処を訪れたのはほかでもない、力を求め自分の唯一できることを探した結果だ。師は残しているはずだ。過去に教われなかった技を・・・
「ん、手紙?なんだこれ?えっと、この私の唯一の弟子へ・・・俺か」
手紙を俺は読み進めていった。

『この私の唯一の弟子へ

この手紙は遺書となっているだろう。ならずとも、そのとき私は喋ることもできないと思う。君がこの手紙を読んでいるとき、君は大人になっているのだろうか、さまざまなことに立ち止まってはいないだろうか。答えを探さなければ、進めない時は人である限り来てしまうだろう。君は辛い人生を歩まなくてはならない、それこそ物語のような人生を。周りの人とは比べることもできない血にまみれた人生を。それが君の宿命だ。だが恨んではいけない、妬んではいけない、もし他人の人生を歩んだとしたら・・・それは君でなくなってしまうだろう。自分を信じろ、君は私の弟子だ。ただ一人の弟子だ。

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