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名と、意味と、記憶と〜3〜
古びた道場に案内されたんだ。まだ、虚ろな状態でな。詳しくは覚えていない。ただ、そこでしばらくお世話になってな。季節園には戻れるはずもなかったし、有り難かった。始めは朦朧としていた意識も、徐々に昔を取り戻していったんだ。欠落した感情も順を追って直っていった。だが、直らないものがあったな。夢、たった一字でありながら人という存在に作用する部分だ。夢がない、それは目標を持たず、向上を妨げた。力を除いてな。師は三年前に逝ってしまったが、師と過ごせた日々は俺を形成しているな。
まぁ、そのあとただ生きていたんだが、いきなり不可解な現象によってこの世界にきたんだ。そっから世界を往復させられて今に至る。佐駄男以前の名も覚えていないし、政則には会っちまったしな。あれが本当に俺の知る政則と確認する術もないな。
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