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*45*
崩落した世界の中で・・・
混乱しないはずがない。もとの世界にはあるはずの家がなくなっている。在ったとしか分からない。街は崩れていた。灰色の街を紅が彩っている。悲鳴が、怒号が、喚き声が、こだましている。
「なにが、起きている。夢・・・じゃないのか・・・」
人がいた。転んだ。潰された。あちら側にいた存在だ。いるはずがない。どうして・・・
「分かっていたんじゃないのか?この景色、すばらしい。」
「誰だお前は、お前か。お前が・・・お前がやったんか!」
「間接的には、な。だが、実際はお前の存在が大きい。
“ありがとう”」
「ふざけるな!!俺がなにをした。俺のなにが悪い!!答えろ、お前は・・・誰なんだ!!」
「俺を忘れたか。ククク、面白い。俺は九零路、思い出したか?お前に父を奪われた男だよ。」
言葉がなかった。悲鳴さえ耳に入らなかった。そう、俺の罪は消えていない。深く、残っていたんだ。
立ちすくむ俺に後ろから声が聞こえた。
「自分を見失わないで、事実を探して。真実はつらくても受け止めなきゃいけない。君をあちら側に戻すから。見つけて!」
綺砂那の声とともに自分が自分から離れていった
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