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6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
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*43*

♯35 「大智 柏(ダイチ ハク)」

「ねぇ、柏、なんであんなこと言ったの?」

「ああ?」

「てか、なんでここにいんの?」

は? 今さら? 俺は、華の言葉にハテナマークを抱いた。
おかしな言い方だけど。

「なに、今さら疑問に思ったわけ?」

「え、いや、なんかいろいろ・・・あったから」

「頭、追いつかなかった?」

華はゆっくりうなずく。

うん、ひどいけど、なんで華があいつの彼女なの?
うん、今頃だけど・・・。

「華って、バカなの?」

ほんっとごめん。
申し訳ない気持ちなんて、1ミリもないけど、ごめん。

いやさ、晃も華も昔から知ってるけど、あの2人がくっつくなんて、予想外だよ!?

今の今まで当たり前だったから、へんな感じしないけど。
よくよく考えたら、おかしいよ!?

俺は、頭のなかで1人ツッコミをした。

すると・・・。




「柏、お前、なんつった?今・・・」

「「あ」」



肩で息をして、春なのにめちゃめちゃ汗をかいている、晃が来た。

「「晃!!」」

あも、晃!!も、俺と華が2人で言っている。
ああ、なんだろう、このいらいらと、気まずい感じ。

多分、無意識に早口になってる。

「名前なんて、言われなくても分かる。
 柏、お前、今、なん、つっ、た?」

ゆっくり、言葉をきって言うときは、晃の感情が最高潮までいってる時だ。

嬉しいとき、怒ってるとき、悲しいとき、あせってるとき、興奮してるとき、不安なとき、辛いとき、楽しいとき・・・。

でも、たいてい、いい感情のほうじゃない。怒りとか、悲しいときとか・・・。

「『晃!!』」

「ふざけんのやめろ」

「『あ』」

「人の話聞いてたか?」

「・・・」

思い当たるふし、ないわけがない。

「ごめ」

「違うの、晃!!」

「え、華!?」

驚く俺と晃。

華は、上目遣いで晃を見た。

「助けてくれたんだよ、柏。私が変なとこ入っちゃって、そしたら・・・」

「柏が来た・・・?」

「うん」

その瞬間、晃は座り込んでしまった。

「はあ、なんで僕、見つけらんなかったんだろう。
 なに、変なとこって?何かされた?」

「え?」

今度は、華が聞いた。

「晃、メールみなかったの?」

「送ったけど、きてはいないよ。きたら分かるもん」

「え?」

もういっかい、華は言った。
ん?どういうこと、何、なんで華そんな顔してんの。

「だって・・・」



・・・。







「ええーーっっっ!!!」

俺と晃のデュエット。

「今、なんつった?」

「紅さんが、メールを送ったって」

「はあー?」

晃が、いっきに意味不明という顔になった。

そりゃそうだ。
なんなんだ、その紅ってやつ。

華は全てを話した。

そして、後から華と俺は後悔することになった。

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