完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~

*56*

(岳)

電話が来た。
5分後に来い・・・か。

ここからだったら、ヨユーでいける。

でも。いや・・・、言いなりになっとくか。

階段を駆け下りる。
人ごみを掻き分けて、グラウンドが見える窓まで来た。
すばやく隠れて、そっと確認する。

中央に、2人。華と柏だろう。

勘がいいのは、晃だけじゃなかったのか。
・・・、柏の場合は、少し違うかな。

単純なようで、そうじゃないやつは、そうそういない。

オレが、見抜けなかったヤツ・・・、という意味だけど。
オレを送ってきた意味が、分かったよ。

あいつらは、手ごわい。

中庭にも、駐車場にも、晃の姿は見当たらない。
その他の場所にも。

つまり、いるとしたら、裏庭。
なかなかてこずってるんだな。

「っと、時間か」

腕時計をみる。
青白い、機械的な光が輝いている。

少し、胸が痛むのに気がついた。

オレも、もう少し大人だったらよかったのかな。
それか、もう少し、ガキだったら・・・。

早く、この中途半端な時期を抜け出したい。
そしたら、そしたら。


この胸の痛みも、消えると思うから。

55 < 56 > 57