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魔天使マテリアル 「ペンダントの秘密」
作者: マヤ  (総ページ数: 208ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル 
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「綾美っ なんで…なんで雪成さんが…?」

「それはね…」


それは、約30分前にさかのぼる。


ピンポーン

「はい」

綾美がインターホンを押し、雪成がそれに出る。

「初めまして。雪成さん…ですよね?わたしは、紗綾と黎夜の姉の、日守綾美です」

雪成は、思わず目を丸くする。
まさか、訪ねてくるとは思っていなかっただろう。

(この子が噂の…)

雪成は、まだ柊会には参加していないが、綾美のことは、噂で少しだけ知っていた。

「悪いけど…もう俺は…」

そう言って雪成は家の中に戻ろうとする。

「待ってください!」

綾美は少しだけ声を張り上げて言う。
少し驚きながら振り返った雪成に、ふわりと微笑む。

「雪成さんは…紗綾たちを守りたいんですよね?」

「もう…俺にはそんな力はない」
「あります!」

「・・・は?」

綾美が即答するが、雪成は納得がいかない様子。

「雪成さんの力が…戻る可能性があるんです」

そう言って、綾美は雪成に向かって手を伸ばす。
柔らかな笑みをこぼしながら―――

「行きましょう?雪成さん。紗綾を…支えてあげてください」

綾美の笑顔は、どこか切なそうで―――
紗綾のことを思っているような、不思議な笑み。

その悲しそうな笑みは―――あの時の紗綾となぜか重なって。

いつもは、わがままを言わない紗綾が、泣いてすがってきた。
その時の記憶は、今も雪成の心に残っている。
すごく、鮮明に…

「―――わかった」

(俺は…あいつを守りたい。もう、悲しそうな顔はさせたくない)

紗綾を守りたい。ただ―――それだけ。

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